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いえ。
私はそうでなければ在れないものですから。
囚われぬもの、打ち壊すものはいるのだろうか、と思うのです。
……揺らすものとは、そういった存在なのかもしれないとも。
かと言って、その干渉を決して肯定することは出来ないのですが。
[ 影は歩みを止めぬから、距離は幾許か離れる。
皆の姿が見えるところにまで行くと、想像よりも集っているようだった。]
……皆様、ご無事ですか?
[ 問うた後に、壁が無事ではないと気付くのであるが。]
―― 東殿・私室 ――
[部屋を出て、食堂の方へと歩く。他の竜の集まる場所は、わざと避けていった。左腕は、だらりと、幾分不自然に下げられたままだ]
やーだなぁ。
爺ちゃんのこと、信じるのはあったりまえじゃん?
[安堵の息を吐く様子に、こちらも軽く言いつつ、また尾を揺らす]
ん、わかった。
確かに、何がなんだか誰がなんだか、わかんねぇもんな、今って。
……とりあえず、火炎のにーさんに調べてもらったりなんだりしないと、だっけ?
ここに浮かんでても、空がおかしい、って事以外はなんもわかりそうにないし……竜都、いこーか?
[ちらり、と目指していた場所を見やりつつ、軽い口調で提案してみたり]
―東殿・回廊―
そう、まほうのことば。
[頷いた翠樹の仔に、優しく微笑みかけてから。
聞こえなかった様子のナギへは、くすりと一度微笑んで。
丁度、アーベルに治癒を行ってもらっているオトフリートの所へ、近付いて行く]
オトフリート、お疲れ様。
[そう一言だけ、小さな声で掛けて。
その後は、ベアトリーチェを月闇竜の傍へと下ろした]
[アーベルにより、背の痛みがひいてゆく。
さすがに痛みがなくなると安堵で微笑み、その顔を見上げる。]
ありがとうございます
[礼は深い心を込めて。]
―東殿/回廊―
[血が止まり痛みが動きに支障ない程度に収まった頃、青年は静かに手を引いた。完全に消すと傷がある事を忘れてしまう為の処置だ。
指先に微かに付いた赤にそっと舌を這わせて舐め取り、聞こえた若焔の問いに振り向く]
………そうだね、その時限りの心の揺れなら何度も感じているよ。
[目を合わせぬよう若焔の生え際辺りに向けた視線を、流水竜の方へと一瞬だけ流す]
けれど、そうではなく別の意味で聞いているのでしょうね。
それなら残念な事に…わからない。
[視線を落し、申し訳なさそうに首を振る]
それがわかれば事態は早いのですが。
[ブリジットに声をかけられ、そちらを向く。]
いえ、情けのない限りです。
[口をつくは、少し苦笑を含み。
それからベアトリーチェを見ると、安心させたくて微笑んだ。]
ご無事で、なによりです。
ほんに、ありがたいことじゃ。
[当たり前との言葉に表情はもはや恵比須顔。尾を揺らすティルの頭をもふりと撫でた]
うむ、ダーヴィッドなれば辿ることが出来よう。
あやつも干渉されてはおらぬと思うしの。
仮に干渉されておるのじゃったら、直ぐに分かるわぃ。
誤魔化すのが苦手な奴じゃし。
[何気に酷い言いようです。竜都へ、と言われれば一つ頷いて]
そうじゃな。
途中かけらに触れぬよう気をつけねば。
[ティルに注意するように、己に言い聞かせるようにしてから、一路竜都を目指す]
そうでなければ在れないもの。
[呟き、前へと歩む彼女の背を見る。
そして彼女に遅れ、小走りになって彼女を追ってそこに集う人々へと目を向ける。
問うノーラの後ろから返事を聞く前に、壁に目を向けて小さく口が、開いた。]
…そっか。
[青き心竜の答えに、むぅと唸りつつ。]
とはいえなぁ…あてずっぽでやるってわけにも行かないし…。
[迷ってる。めっちゃ迷ってる。]
[ダーヴィッドとナターリエの会話が聞こえれば、微妙に赤くなりつつも肩を落としたか。
恩人に向けても、今まで向けた事のない温度の低い視線が向いてしまったのは仕方の無いことだろう]
…余裕を持ちたい、とは私も思いますけれど。
[呟きは困惑交じりの呆れ声]
……。
直せるのでしょうか。
[ 周囲の喧騒を余所に、じっと壁を見詰めた。
雷撃の竜との会話はそれで打ち切りになったようだった。]
[月闇竜殿の傍らへと下ろされた仔は、不安げに一度氷竜の方へと目を向ける。
しかして事が進展する訳ではあるまい、仔はその表情のまま闇竜殿へと向き直った。
笑みを向けられ、つられた様に僅か仔の口許が綻ぶが――しかし不安にか僅かに眉が下がったままに見えるは否めぬ。]
…えっと。
……えっとね。
[何を言い澱んでいるのか判らぬが、恐らくは先程の「魔法の言葉」とやらだろう事は容易に想像付いた。
暫くの躊躇いの後、漸く口を開く。]
…いたいの、いたいの。とんでけー。
[傷を負っただろう背に直に触るのは、気が引けたか。
遠慮がちに、服の裾を掴もうと手を伸ばしながら…嗚呼、これが「魔法の言葉」であったかと仔の腕にて一つ納得する。
僅かに左へと首を傾いで、しかし闇竜を見る目はやはり不安の色が滲んでいた。]
…まほうのことば、おしえてもらったの。
――…オト、げんきに、なった?
手当ては、はい。ちゃんと致します。
このままにしておくわけにはいきませんから。
[治癒を終えたらしいアーベルにそっと言うと、穴の開いた壁の方へと近づいた。状態を確認して、もう一度溜息]
ここまで大きい穴となれば応急処置で手一杯、でしょうか。
どこで何が起きるか分からない以上、できるだけ力は温存しておきたいものですし。
[ノーラ達の姿に気がつけば軽く頭を下げて、困ったように言った]
[ノーラが壁の穴を見つめて呟く言葉を聞き取れば]
直せないまでも、氷のか、大地のが埋めればいいんじゃありません?
ま。氷のが埋めたら寒くなるかも知れませんけれどもねぃ。
[軽いノリで答えた]
―東殿/回廊―
[若焔の悩む様子に視線を上げ、白いシャツに包まれた両腕を組む]
あてずっぽう…は確かに。
貴方の疲労も馬鹿にならないでしょうから。
[声を掛けても爆睡していたのを知っている為にそう呟き、ふと問いを投げる]
――…そう言えば、前はどのような基準で調べられたのですか?
[手を振ったブリジットには会釈を返し、
未だ現状が把握出来ず少しだけ離れた位置に足を止め]
…また、現れましたか。
幼仔殿には、誰かついていたほうが良いかもしれませんね…――。
[眼鏡をあげつつ、口元に軽く拳を当て。
眉を水平に顰めた。]
―東殿・回廊―
[水竜の呟きが聞こえると、微かに困ったように]
大分涼しくなってきたとはいえ、日に照らされたら溶けますよ?
[そう、軽めの調子で呟いた]
……ところで、誰か疑問に答えれくれませんの?
それとも、私だけが仲間はずれなのかしらぁ?
さっき出た化け物たちは何かしらぁ?
なんでこのようなところへ?
あぁ、陽光んところの小さい仔をね。
保護者も居ないし、理由もわからずに誑かされてしまいそうな気がしてさ。
樹姫の方は、お目付けの小さいのがついてるからまぁ大丈夫かなって。
[心竜に問われて、素直に答える。]
ま、あの仔じゃないのはハッキリした。
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