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まあ、邪魔しないようにしないとね!
書庫なんて、物陰だしさ!
メイクラブってやつ?
「お前、そんなこと本人の前で言ってみろ」
いやだなぁ、本人は照れるにきまってるじゃない!
そんなの言ったらかわいそうだよ。
恋は応援しないとね!!
「いやだから誰が誰に」
そんじゃ、今日はお勉強これだけでいいや。
オトせんせーには後で会いにこよっと。
今日は二回も絵師様を近くで見ちゃったから、満足満足!
[駄目だこりゃって顔をされたのを、少女は気付いていないし、
その彼が、ミリィかオトフリートにそんな妄想を語るなんてことも、考えていないのだった。]
―アーベル宅―
[アーベルの自宅へと招かれて扉をくぐると
見知った彼の両親が出てきて歓迎してくれる。
にこにこと笑みで答え、促されるままに椅子へと座った。]
えぇ、困った事は無いわ?
あ…――
[言いかけ、何かを思い出したようにぴたりと一瞬動きを止める。
何か?と聞かれても笑顔のままふると頭を横に振り]
うぅん、なんでもないの。
ちょっと思い出しただけ。
そうそう、畑の奥の坂道へじゅんかいに行ったときに――
[そして暫く出されたキノコ茶を飲み、
暖かい空気に身を浸し、楽しげな時間をすごした。]
[美味しいお茶と、蜂蜜味の甘いおみやげを貰って
ぺこりとお辞儀をして外へと出ると、
さわりと風が頬を撫で髪を攫い、目を細めた。]
あ、ふくろ。
[糸紡ぎ場へと小走りで向かい、布袋をまた貰う。
それからゆっくりと歩いて居ると、
トカゲを肩に乗せた少女とすれちがい、
ごきげんようと、笑顔で挨拶をしたかもしれない。
そうして、誰が待つこともない自宅へと一度帰った*]
―道端―
「あ、リディ、あんたまたサボったでしょ!」
さぼってないよ!
ちゃんと仕事したじゃんかー
ほら、糸作るの得意だし。すーぐ終わったもんね。
「まじでー?」
うんうん。ちゃーんと見てきなさい。
そうそう、オトせんせーとミリィせんせーが良い仲みたいだよ。
「うっそ、それマジ?」
だって二人で書庫だよ? ふたりっきり。
きっと何かあるね!
ほら、年齢も近いしさ!
「えー、オトフリートさん狙ってるのにー」
はへ?
[びっくりして変な声が出た。
それからちょっと恋愛相談。
声が少し大きかったせいで、娯楽のような噂話がおばさま方に伝わるのは、*そう遅い話でもなかった*]
……ぁ?
[どうやら眠っていたようだ。
ゆっくりと体を起すと、綿毛を敷き詰めた床を踏む。
ぱっと散って浮く様は雪のようだが、
この都市の人が雪を知っているかどうかは、また別のお話。
足に紐を絡めるようにして靴を履き、外へと出ようとして]
そうだ。
[机に置いてあった、
黒曜石のような石を連ね糸を通したペンダントを手に取った。
それを握り締めたまま、道を歌いながら歩いて行く。]
―自宅→道―
―道端―
う、うーん、確かにいっぱい物知ってるし、うーん。
でも年だって上だよ?
「幼な妻って言うじゃない。年の差婚とかいいし、ほら同い年の男よりさー」
幼な妻って年じゃないよねー
うーん、ミリィせんせーと良いかんじだし望み薄かもよ?
[※妄想です]
でも応援する!
勉強の邪魔しないでくれたらね!
「しないって! わーいありがとー! 手始めに好きなものは?」
んー、なんだろ。実は甘いものも好きだったりしそうかなぁ。
ああ、いたいた。
[追いついた頃には多少息が上がっていた。
少女と話しているらしき兄、その少し離れた場所で息を整えた後、2、3歩近付き]
…ん?
[視界の隅で何か動いた気がして、急停止。
眉を寄せ、物陰を見て]
気のせい、かな。
[その裏にリディが隠れてあれこれしているなどとは思いもせず。
視線を外した]
それ、兄さんが言えることじゃないでしょう。
…ああ、こんにちは。
[横合いから突っ込みを入れ。
傍らの少女には挨拶の言葉を。
それから兄に従って、少女には頭を下げて。
共に帰路につく]
ミルドレッドさん怒ってたよ。
「新薬の実験台になって貰おうか」って。
後で来るんじゃない?
…逃げちゃダメだからね、自業自得なんだし。
[帰り道、会話の中でそんな風に釘を刺せば、兄はどんな顔をしただろうか。
いい気味だとばかりに、少し笑って]
…だから、兄さんにそれ言われる筋合いはないんだけど。
[それでもアトリエに着いた時には、懲りてない様な軽薄な笑みに、深々と息を吐く]
まあ、うん。
またね。
[ランプを持ったほうの手を軽く上げて、独り自宅へと向かった]
でもほんとに良いのー?
年いってるじゃん。
「良いの。だいたいそっちは絵師様(はーと)でしょ?」
しつれいな、かっこはーとなぞ言っておらん!
だってさ、絵師様すっごい綺麗じゃんー。
それに絵師様だしー。
すごいよねぇ。
あ、今日二回も見たんだ! 超ラッキー
「はいはい。今度会いにいけばいいじゃん。どーせ髪とかやってたら合えなかったんでしょ?」
う、うっさい。
オンナゴコロってやつじゃないか! 憧れの人に会うときくらい、可愛くありたいオンナゴコロ!
「普段からしとけばいいのにー」
さてと。
[自宅に着き、食糧は棚の中に。
二階に上がって、ランプは机の上に。
横に纏めて置かれた楽譜と、机横の楽器ケースに視線を向けたが]
…少し寝よう、かな。
[兄に言われたのは少し不服ではあったが、長い距離を歩いた後で流石に疲労は否めず。
何日か振りに、ベッドに横になった]
♪ヴォレイ チェ ヴェロ
セシ ヴォルアン アラ
[弾むように、歌声を残して歩く。
きょろり、周りを見渡すと見知った小さな兄妹が居て
軽い白い石で石壁に落書きをしていた。]
たのしそぉ、まぜて?
[高い声をかけると、子供達はにぃと笑って
白く軽い石を渡してくれた。
一緒になって、夢中で石壁にらくがきをする。]
[描きながら、隣の子供の絵を見て
何を描いているのか聞いたり、
それについて話したり絵に線を増やしたりして]
絵を描くのって、素敵ね。
たのしいわ、たのしいわ。
[本当に愉しそうに、笑う。
それから彼女は手を肩から大きく振って
描いた絵は、沢山の縦横無尽の線。
それは他の人からは何の絵かは判らないのだけれど、
彼女はとても満足げに、わらった。]
─食堂外─
んあ、リディじゃん。よっす。
[食堂に入ろうとしたところで同志リディに遭遇。
進捗具合を聞かれて、あー、と頬を掻きつつ、]
ちょっとばかし壁にぶち当たっちまってるんだよなぁ。
理論は間違っていねぇはずだから、あとは熱した空気を逃がさねぇようにすればいいんだが。
あー、そっちも失敗かぁ。
そっちもどれだけの空気を逃がさずに持っていけるかが問題だよな。
普通の綿毛草の布じゃ目が粗すぎて上手くいかねぇし。かといって代替のモノと言っても量が確保できねぇし。
くっそ、足りないモノばっかで、ストレスたまるぜ。
[がしがしと頭を掻き毟る。]
……っと、わりぃ。思わず愚痴っちまった。
ともあれ、まだまだ先は長そうだが、俺は諦める気は更々ねぇ。
だから、お前も諦めずに頑張れよ。
俺に出来ることあるなら手伝ってやるし、遠慮なく言えよな。
[そう言って、互いの拳をごっつんこ。
去り際のスープのお勧めには、応と手を挙げて返し、食堂へと*入っていった*。]
―アトリエ―
……っ!
[は、と転寝から目を覚ます。
痛み止めを飲んだ後、引き込まれた眠りは夢に破られて]
……重いんだよ、なぁ。
[起き上がり、右の肩越しに振り返るよに背へと視線を向ける。
背の右肩近く。そこには蒼い三日月が座す。十歳の時に『昇った』、蒼の『月』]
……ま、言っても仕方ないがな。
[小さく呟いて、立ち上がる。
身体はだいぶ楽になっていたから、幾つか作業をしておこう、と思って。
スケッチブックを片付け、画材の残りを確かめる]
ん……採取に行った方がいいか。
[小さく呟いて、採取用の道具を詰めた鞄を手に取り、肩にかける。
逃げるな、と言われた記憶には、蓋をした。
それはもう、厳重に]
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