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…ん?
[間の抜けた声を出しながら、それでも動きは素早く。
背中に刺した黒銃をさっと取り、腰の横あたりで握り締めて振り返る。
その瞬間、光が自分の頭の位置に飛んでくるのが見え、瞬時に身を引いた。
鼻を掠めて、銀が走った。]
…『オプス』っ。
[呟き、走った刃物を確かめるより先に、足は発射地点に向けて地面を蹴った。
手に持った黒銃は移動の軌跡を具現化し、長い棒状へと変化する。
銀の発射地点にいたと思われる人物は、スカートを翻して彼女よりも早いスピードで滑るように駆けた。]
…っち。
[舌打ちをする。
彼女は、そう、烏賊を退治した時に空中にいた、かの彼女じゃないだろうか?]
[足は緩めずに追いかける。]
[たじろぎつつも、歩みは進める。]
ある、ような。
……無い、ような。
[はっきりしない答え。
そうこうしているうちに、追いついた。]
何、なさっていたんですか?
――ええと、
─昨夜回想/二階・個室(F)─
[肯定の返事に、そか、と言って、二階へ。
途中、自分の部屋に立ち寄るイレーネを訝りつつも、自室でミルクティの用意をする。
それは、ピアノ共々、姉から教えられたもの。
兄からは戦う術を、姉からは癒す術を、それぞれ伝えられていた]
……戦う……か。
[イレーネが入ってきたのは、呟きの直後。
聞き取られたかどうかは、定かではなく。
それを気にかける間もなく、差し出された包みに思わずきょとり]
[告げられたのは、謝罪の言葉。
ふ、と、緊張が緩み、素の笑顔がこぼれる]
ん、わかってくれたんなら、いい。
……ありがとな。
[俺が甘いの好きなの覚えてたか、と。
少し、弾んだ声で言って。
ほんわり甘いミルクティでお茶の時間を過ごした]
[明けて、翌日]
……さて、どう動いていくかな、と。
[呟きつつ、食事はとっておかないと、と準備をしておいて。
ちゃんと食べているのか不安になった事もあり、イレーネの分も用意して声をかけ。
食事を済ませた後、ふらりと外へ向かう。
イレーネがついて来る、というなら、止める事はせず、宛もなく歩き出す]
─ →現在時間軸へ─
――…どっちなんですか。
[相手の曖昧な言葉に、呆れ交じりの溜息を零して。
近くへ寄ってきた、自分よりも下にある相手の顔を見下ろした。]
何をしていたって。
…別に、暇潰しにうろついていただけで。
[特に意味なんて無いですよ。
手持ち無沙汰に、ポケットにねじ込んだままの端末から、
零れ落ちる小さな鈴を、指先でちりりと鳴らし。]
[ふわり、宙に有る6つの球体は
少女を中心に、四方八方に飛び交う。
そうやっている間に少女は階下に向かう。
どうやら、球体はユリアンを探し出さなかったようだ。]
……、すみません。
[へなりと眉を下げた。
俯き加減になり、そっと相手を見上げる。
端末を包み込むように持った両の手を、口許まで上げた。]
[問いかけは、会話の切り口としてはどうにも拙かったようで。
互いの声と、時折崩れ落ちる礫の音は、静寂を切り裂くには至らない。]
……最初は、下見のつもりだったんですけれど……
いつの間にか、探検に変わった…… かな?
いろいろあるから、……つい。
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