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― 東殿・広間 ―
……待たせたの。
[ 幾許か遅れて広間に姿を現した影は、扉の傍で一礼をした。先程の事など、まるで無かったかのような素振りで。変わった事と言えば、普段、肩に羽織っているショールが失くなった事くらいだ。]
それで……、『力ある剣』の事じゃったかの。
おお、そうじゃった。
ダーヴィッドが誰かを調べるという話じゃったな。
じゃが戻ってきたばかりでまだ調べては居らぬじゃろうかのぅ…。
[ソファーに沈むエルザを見て、落ち着かせるようにその頭をぽむと撫でる。
ティルから帰って来た言葉には一つ頷き]
そうじゃな、何かしら分かったことはあるやもしれん。
ブリジット辺りは、懲りずに結界の解析でもしとりそうじゃし。
うんうん、偉いわね、リーチェは。
[しっかりと頷く様子を見て、同じように微笑み、首を縦に動かした]
ふふふ、そうね。はやく出してあげなきゃ、だめね。
がんばって、さがしましょ。
[くすくすと微笑み、優しい翠樹の仔の頭を、もう一度撫でた]
そう言えば、広間に集まる、とか言う話を誰かしていたですわねぃ。
[存外、時間のかかる衣服のためか着込むには少し時間がかかる]
何か新たな情報でも出てきたのかしらぁ?
私も行ってみましょうか。
[髪はまだ濡れたままだったが、ぷるぷると頭を振って、先程もらったハンカチサイズの布を少し頭に巻きつけてから、ナターリエが移動を開始した]
―――浴室→広間
[ナターリエにはへらり常の笑みを向ける。
さて素早く連れ去ったが、気づいていたかは分からない。
億劫そうに口を開いた月闇竜には、はぁっと小さく息をつきながら。]
…中にタオルと来客用の服が適当にあるはずだ。
ちゃーんと拭いて、着替えてから戻ってこいよ。
[口にはしないが、上着透けて色々知られても知らんぞと、暗に告げる。]
ついでに落ち着いて心の準備もしてくれば、言う事なしだけどな。
[みんなの居るところに帰るには勇気がいるよ!
とこれも暗に。
伝えれば、自身は返事も聞かずに扉の前からは離れるのだが。]
はいはい。気をつけますから。本当の本当に、約束です。
[エーリッヒの念押しに、困ったような笑みで頷いた後。
翠樹の仔と、機械の若竜の会話を傍目で見ながら、精神竜へと改めて見向いた]
─東殿・広間─
氷破のおねーさんか。
調べるために、無茶な事してなきゃいいけど。
[ブリジットの名に、ぽそり、と呟く。
もっとも、『風雷棒』で叩き殴ろうとしていたヤツに無茶と言われたくはなかろうが]
―― 西殿・結界前 ――
[氷破竜と精神竜の会話には、僅かに眉を寄せるものの、専門外のことと口は挟まない。分析を終えて何らかの手だてをということになれば、何か役に立つ事もあるだろうと情報を記憶に取り込むのみ]
あ、そうでした。
すみません、ご挨拶が遅れました。ナギさん。
エーリッヒです、どうぞ御見知り置きを。
[氷破竜に促されて黄蛇に一礼。ユルの紹介については、本人?が実地にやってしまいそうなので、とりあえず保留した]
……はい。
[自分の服を見て、そういえばそうだったと、ため息。
さっさと行ってしまったようで、のろのろと服を*手に取り始めた*]
[広間に入ってくるノーラの姿を見ると、エルザの傍から離れ適当な席へと]
うむ、その話じゃ。
お主はその剣に関して何か知っておるかの?
先程の話──「揺らすもの」がその剣を狙っているのでは、と言うのは儂の推測に過ぎんが、可能性が無いと言う保証も無い。
仮に本当に狙われているのであれば、その剣を渡さぬようにせねばなるまいて。
「ご丁寧に…アーベル殿、ご機嫌麗しく存じます。」
――アーベル。?
…ん。
[名だけを告げられたのは、仔にとって幸いだったか。
一つ頷いた様子を見るに、幼き記憶の棚へ難なく収める事が適ったようだった。
しかし先程から、目上の者に対しての一切に敬称をつけておらぬのは気のせいであるまい。
――嗚呼、仔竜とは云え、礼儀が成っておらぬと聊か不安でならぬ。]
リーチェにあえたら、たのしい?
…おともだち?
[空で旋回する機械竜に、幼子の視線が奪われる。
見慣れぬ其れは、酷く興味を引いたか。翠樹には無き物故に――
仔の小さな手がその羽へ触れようとおそるおそる手が伸ばされる。]
[広間に着き、軽く周りを見渡しながら挨拶]
はぁい。
御機嫌よう。私も同席しても―――。
[言いながら、どうしても許せない属性の焔が目に止まり、一瞬にして、顔をしかめたが]
―――同席しても、いいかしらねぃ?
[それでも、最後まで言葉を連ねると、空いているソファーを見つけて座り込んだ。
当然のように、焔からは一番遠い席だ。
ちなみに、先程のやりとりの気恥ずかしさなど、本人なんとも思ってません]
―西殿/結界前―
さっき、
[唐突に密やかにかけられたブリジットの問いに、見られていたの事と気付いて反応が遅れた。一瞬合ってしまったレンズ越しの瞳を慌てて逸らし、視線を下方に向ける。
『封印』を司る氷破竜の心を覗き込む事はなかったが、仔竜達に心配を掛けたくない優しい心が幻のように見えた気がした]
――…いえ、たいした事は。
私では結界を解く手伝いは出来そうに無いと悟っただけでした。
[長年世話になっている彼女に気まずそうに俯いて告げる]
[やって来たナターリエに、やほー、と言いつつ手を振って。
コロッケかじり続行しつつ、周囲の話を聞く。
口を挟まないのは、自身の知識と情報の不足もあるが、なにより。
ずっと感じている奇妙なざわめきと、それがもたらす嫌な予感に*意識が奪われていたから*]
―広間―
えぇ。
…たぶらかされそうな幼子なら、保護者のついてる樹姫よりは、陽光様の末弟の方が心配かと。
[気を取り直して、触媒の香煙草を手に取る。]
供もいないようだし、大丈夫かなぁ…
ダーヴィッドが誰かを調べる?
[ 鸚鵡返しに、疑問の意を持って繰り返す。
しかしザムエルより齎された問いに、開いた掌が口元を滑り頬に添えられた。影は肯定の頷きを返すと、言葉を捜しつつ、ゆっくりと口を開く。]
それを口にしても良いか、は別の話だがのぅ。
干渉者の影響を受けし者が、居らんとも限らんのじゃろう?
……狙われている、か。
可能性としては、有り得るじゃろうな。
直接、竜王の力を狙うというよりも理解は出来る。
―東殿・広間―
[またどこか心ここにあらずという顔をしていたが]
っ!
[唐突に小さな息を漏らした。
目を瞬き、大きく深呼吸をする]
…は、はい。
出来るだけ多くのお話を聞ければと。
[入ってきたナターリエに頷く。
どこか挙動不審なのは、見てはいけなかったかもしれないものを見てしまったからだろう]
―― 西殿・結界前 ――
おっと…
[幼子の手が機械竜の羽根に伸ばされるのを見て、仮染めにも羽ばたく金属のそれが小さな手を傷つけぬようにと、手袋を嵌めた左手を伸ばす、ふわと柔らかい天青石の光が機械竜を包み、その羽ばたきを止めた竜はおとなしく翠樹の仔の目前の空中に静止した]
―西殿・結界前―
[扉から離れ、向かうは始めに向かいかけた結界のある場所。
予想通りというか、結界に齧りつくかのような氷竜と―他にも数名、竜が居た。
片手をひらと上げながら。]
よぅ、進展はどんな感じだ?
[そう尋ねるも、曇った変わらぬ結界を見れば、あまり成果が無い事は分かるわけだが。]
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