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―― 夜 ――
[銃を手から離されて、支えられた。
相手が殺しはしないと分かると、いけないと思いつつぐたりと身体が重い。
頭は上手く回ってくれないけれど、情報だけ収集していた]
[支えてくれるとても線の細いからだ。
エリカの制服ににじむ色。
立ち去ろうとするエリカの背に、つっと音を紡いだ]
エリカ
[それ以上は言葉が形作れなくて自分の部屋に連れられていく。
下級期間船員のための、小さな狭い6人部屋]
……どうして、ねえ、どうして……
[支えてくれるノブに、うわ言みたいにつぶやいていた]
[部屋の入口で、相手が離れた。髪をかきまぜられる]
[泣きはらした腫れぼったい目。のろのろと見上げて。
表情は未だ薄く、頬にあまり血も上っていない]
………ごめんなさい
[部屋の中は、まるで何もなかったみたいで。
それを言えるくらいには回復できた。
ちょっとかなり間を取ってからで、おやすみなさい、は頷くのが精一杯だったから、返せなかったけど]
[彼が去る背中を見送って、やがて意識はすとんと落ちた]
―第二階層・自室―
[歩きにくそうにする姿に、リディアにもう少ししっかり見てもらう必要があるかと思考は流れた放送で途切れる。
オーフェンが首をかしげながら投げかける問いかけに]
おそらく誰かに殺されたか、PMCにやられたかだな。
[望まなくてもどうせ殺し合いしなければいけない状況で進んで誰かを殺しにいくような者は生き残ってる中で思い当たらない。
リディアに昨日撃たれていた人なら話は別かもしれないが、その撃たれた相手はすでに死んでいる相手]
とりあえず外に行かないことには情報はあつまりそうにないな。
―― 朝 ――
[放送での目覚めはいつものことだ。
その放送が、いつもと違うってだけで]
[昨夜泣きすぎて頭が痛い。
顎も何だか筋肉痛がすごかった]
……………
[ベッドに寝転がったまま端末を操作する。
自動的に記録されていたメッセージ。再生]
……………
[昨日と現実が変わっていないことに、のろのろとため息。
起き上がった。武器を拾い上げて、裏、表、見てみる。
少しエネルギーが減っていた]
生きてる。
[呟いた]
死ぬの、あたし
[ぞくっと身震い。耳元で声が蘇る]
自分を選ぶ?
……勝手に、皆、退治してくれればいい
[部屋の中で蹲って、しばらく少し考えた]
[新たに誰か死んだって言う。知らない名前。
………やがて、ぐうと腹がなりのろのろそろそろと部屋を出た]
―翌朝/第二階層・自室―
だれか、ぴーえむしー…。
[表情は少しだけ悲しげに。
だが放送でそう伝えられただけでは、昨夜のような感情の起伏は起こらない。
どこかぼんやりとしているのは、寝起きだからのはずなのだが。
外へと言われれば、うんと頷き、ひょこひょこと父親の後をついて行こうとした。]
ねー、とーちゃん、とーちゃんは誰がぴーえむしーだと思う?
[歩きながら、子供は素朴な疑問を父親に尋ねた。]
─第二階層・リディアの部屋─
[近づいてくる足音に反応して、扉を振り返った。
やがて姿を見せたスティーヴからの言葉>>41を認識する前に、艦内放送>>#3が割り込む。
Lydia=Stone。
名前とそのデータを照らし合わせて、己が探していた者のことだと理解。
そうして彼女がもう居ないことを漸く知ると、うろつくのを止めてその場に座った]
[新たな足音に首を向けて、僅かに尾を揺らし]
くぅ。
[再び投げられる問い>>42。
そちらに頭を向けて首を傾げてみせたなら、それだけでも何も見ていないということは伝わるだろうか]
[犬の首元には昨日の夜と違い、小さな赤い機械が取り付けられていた。
昨日リディアの協力を得、入った整備室から引っ張り出してきたそれ。
“ペットの気持ちが分かる”という触れ込みで随分昔に流行った玩具で、いつだったか整備士の誰かが面白半分に持ってきたものだった。
今の技術から見れば見た目も中身も本当に稚拙な機械ではあるが、あったほうが多少は便利と、機械犬なりに判断してのことかも知れない]
[それにも先の問いに関する答えか、『いいえ』という文字が浮かんでいた]
―― 朝 リディアの部屋 ――
[端末を開く。
生存者の情報をデータベースから引き出した]
[登録されてるホロを見る]
………………
[歌を歌おうと口を開いて、声がガラガラで出やしない。
ふさわしい歌も思い浮かばない]
[そこら中に転がる死体]
せんめつ
[呟くと、食料庫から両手にドライフーズのパックを抱えてきてあてもなく歩く]
[ふと、人が沢山いる気配を察知した。
息を凝らして――とは言っても、訓練していない身、ばればれなのだが――そちらの方へと足を向けた]
―第二階層・自室→ー
[オーフェンを連れて部屋を出ると廊下に転がる死体やら地の跡やらは綺麗になっていた。
通路の奥の方を見ると定期清掃を行う大型の掃除機械が作動しているのが見える。普段よりも長い時間がかかっているのは清掃量が多いため。
さしたる人工知能も搭載されていないその清掃機械にとっては、廊下に転がる死体などはゴミや汚れとしか認識されなかったらしい]
誰がか…、
[オーフェンの質問には答えに窮する。再度頭の中にスティーヴの言葉を思い返してから]
誰がかは、よくわからないが…、
スティーヴは違うような気もするな。
[何よりも警戒心と、それにともうなう知識と行動力がこの中では一番ように感じる。そんな彼は一番寄生される可能性は低い気がした。
またPMCを誰よりも一番探しているらしい姿からもそう思わせた]
何をしてるの
[その部屋が誰の部屋かなんてしらない。
腫れた眼、下げられた武器。両手に抱えた食事]
[おびえたように小さくなって、人の気配がするほうを覗く。
エリカの姿が見えたから、まだ震えの残るこえでそう聞いてみた]
[背後からかけられた声。ひくっと大きく飛び上がり、ばっと振り返る。昨日、運んでくれた人]
のぶ・おずわるど・あかつき、さん
[直接聞いたわけではなく、文字を読んだだけだから。
どことなく片言。
両者への警戒の色をかなり残したまま、ぺこりと小さくお辞儀した]
― 翌朝/第二階層・廊下 ―
そうなの?
[こてりと父親の言葉>>61に首を傾げる。
スティーヴ=おっちゃん、というのは消去法で理解できた。知らない名前はそこだけだった為。
自分を撃った相手を思い出し、難しい顔をする。
父親は正しいと信じている。だから、違う気がすると言われれば、そうなのかもしれないと思うけれど。]
でもおれ、今度だれか撃てって言われたらおっちゃん撃つよ。
だって、やられたらやりかえしていーんだってばーちゃん言ってたし、ノブにーちゃんもそうしてたし。
[だから間違ってないんだと、そう言うときの子供の表情は少し誇らしげだった。]
─第二階層・リディアの部屋─
おん
[扉の方から小さな声>>63と、その後から覗きこんできた顔>>64。
鳴き声はどちらに反応してのものか]
[機械の文字もそれに合わせて、単なる挨拶の言葉に変わる]
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