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― → 台所 → 個室・C ―
[そう思って台所を覗きに行くが、そこにもいない。
けれど、誰かがそこを使っていた痕跡はあった。
まだ火のついていない竈には、水だけが入った鍋が乗せられ。調理台のまな板の横には、これから切るつもりらしい芋などが置いてあった。
おまけに、オーブンからは、焦がしたらしいパンの香ばしすぎる匂い]
トイレにでも………いや、違うな。
[調理途中で一時的にこの場を離れているだけなのか、と思ったが。ついさっきまで人がいたにしては、そこは寒すぎた。
香ばしい匂いはするが、オーブンに触れても冷たくて。中を覗けば、真っ黒になったバゲットが冷え切っていた]
ユーちゃん……どこにいったの?
[昨日は、自衛団長が牙に掛かった。今日も誰かが牙に掛かったかもしれない。
そんな考えが過ったけれど、それがユーディットだとは思いたくなくて。
彼の無事な姿を確認したくて、地下の食料庫を見にいき、また台所を覗くが、探している姿はなかった。
もう一度ユーディットの使っている部屋の扉をノックするが、返事は無い。
そうこうしている内に、ユーディットの向かいの部屋を使っているゼルギウスが様子に気付いただろうか]
― 集会場外・個室C近く ―
ユーちゃん、開けるよ?
[そう扉の向こうに声をかけるが、返事はない。恐る恐る扉を開ける。
やはりユーディットの姿はないが。何故かこの季節に、窓が開いたままになっていた事が気になった。
部屋に足を踏み入れ、窓へと近づく。
途中、ベッドの上にお風呂セットが置いてある事や、窓の近くにある椅子が倒れ、その横にはトランクがひっくり返っているのに気付いた。
嫌な予感がした。窓の外を見てはいけないような気がした。
けれど。恐る恐るもう一歩踏み出し、窓の外へと視線を向ければ。
そこに広がる紅と、その中に倒れているメイド服姿の幼馴染の姿が目に入った]
ユー、ちゃん……!?
[スカート姿にもかかわらず、思わず窓を飛び越えて。外へ駆け出しその傍らへと急ぐ。
ユーディットは喉を食い破られ、右腕を中心にあちこちを食い千切られていた]
――――ユーリー!!
[日頃、めったに呼ぶ事の無かった彼の本名を叫び。服や体が血で汚れるのも構わず、その遺体を抱きしめた。
その声は、まだ眠っている者も起こしてしまったかもしれない]
― 集会場外 ―
[叫んだ後。ふつりと、その顔から表情が抜け落ちる。
声を聞いて駆けつけてきた者がいれば無表情のまま、遺体を抱きしめたまま緩慢な動作で彼らに視線を向けただろう。
その中にこの閉ざされた『場』の中に唯一となってしまった、無条件で信用している伯父の姿があれば、彼にだけは今にも泣き出しそうな顔を向けたかもしれないが]
………なんで、ユーリーが……
[小さな呟きは、誰かに聞こえただろうか。
それがユーディットの本名だと知る者はその場にはいないが、その呟きがもし聞こえたら、腕の中で冷たくなってしまっている彼の事だとはわかっただろうか。
もし、ゼルギウスあたりから、ユーディットの腕にあった蒼花に似せた刺青の事を聞けば。
自分がそれをクレメンス以外に示さなかった為に、身代わりとなってしまった事を知るだろう]
ユーちゃんの腕の、その花のことを知っていたのは……それを見たのは、他に誰がいるかご存知ですか?
[その情報を齎した者に尋ねるその声は、酷く冷たい響きを含んでいたかもしれない**]
― 昨夜/広間 ―
待って。
こっちで冷え切ったビーチェを受け止める人も必要だ。
[広間には誰が残っていたものか。ユーディット以外にもいれば、座ったままその人を引き止めるようなことを言って。
視界が落ち着くまでの間、そんなことも呟いた]
ビーチェ。
[ベアトリーチェを連れた二人が戻ってくると、安堵の響きでその名を呼んだ。
初めて罠に引っかかった時、覗きに来た少女を怒ろうとする間に入ってきたウェンデルの使っていた呼び方。少女がまた大きく泣き出しそうになれば、強く唇を引き結んで黙った。
別の使い方をしようとなんてしなければ、ここでは崩れなかったはずの視界。問題なく立ち上がり]
ライもそのまま埋葬を?
ならそっちを手伝ってくる。
[穴を掘っているエーリッヒ達>>45の所に向かった。
ローザの結果が聞けていれば、表情を消してただ黙々と。手伝わせて欲しいと作業に加わった]
― 個室A ―
月のいとし子を見つけないと。
人が減ってしまう。
[夜半過ぎまでベッドに腰掛けて瞑想し、時間が来たところで意識を凝らす。狼は複数いるはずだからと、焦りながらも負担の少ない方法を選んだ。
白一色に埋まる視界。疑わしいと思える相手はまだおらず、無理にも疑いを掛けるとしたら誰になるか。ベアトリーチェの一件で頼りとしたクレメンスが外れ、隣の部屋にいるはずなのに最後まで出てこなかった女性の形を捕まえた]
駄目か……。
[その足元には等身大の人の影が伸びている。
安堵と落胆を同時に感じて、頭痛を堪えながら息を吐いた。
また手探りで布団の中へと潜りこんで眠りに落ちて]
― 翌朝 個室A→集会場外 ―
[今朝も叫び声が目覚ましとなった。
昨日の今日で、もっと近い場所。飛び起きるようにして上着を羽織り反対側の部屋を覗いた。窓が開いて、カーテンがはためいていた。外に誰かのいる気配。広間を駆け抜けて外に出た]
蒼花の持ち主だったからだろう。
[抱きしめた体の肘は角度的に見えなかったが断言して。
呼び名>>60に首を傾げながら、疑問に答えた]
されど、甘美なるその花は。
時に強く、激しく、月の牙を引き寄せる。
古い御伽噺では『人狼への生贄』と呼ばれることもあるものだから。
ユーさんは水仕事の時に腕捲りをして晒していた。
台所で一緒になった人は皆見ていたと思うよ。
[支えるべきは「双花」である。
朱花を見つけたからこんなに冷静でいられるんだろうかと、自分でも淡々としてるなと思う声で伝えた]
― 翌朝 集会場外 ―
ミハさん。埋葬の準備をしないと。
[スカート姿でも呼び方は変わらない。
他の人も集まってきただろうか。
玄関の方を伺いながら、ミハエルの耳元に顔を寄せて]
ミハさんが人狼じゃないことは分かってる。
悔しいだろうけど、自分を大切にして。
狼が見つかった時には、ちゃんと教えるから。
[引き止められなければすぐに離れて。
やってくる人への説明や穴掘りの準備に*回ろうとした*]
[朝になり、悲鳴は少し遠かったか。
それでも眠るために降ろした髪はそのままに階下へと向かい。]
……何があったの?
[人の気配がする外へと出て事情を知ろうと*した*]
― 昨日 / 集会場外 ―
この先って……続くのかよ。
ウェンディが。
[口元に手をあてた。先の言葉に関しては吐き気を催すほどの嫌悪感が来た。それでも、吐くかわりに疑問を零す]
なぁ、クレメンス先生。どうしたら、そんなふうに、動じずにいられんだ?
[スコップを取りにいっている間にミハエルは来たのだろうか。結果として、すれ違った]
[だが、それはリネン室に行った時に、今までの奇跡的なすれ違いもついぞ夢にまでみたかもしれないミヒエルのドレス姿を目撃することになった。でも心情で直視というか、いっぱいいっぱいだったのでそれを実感するに至らなかった]
[シーツでウェンデルを包み、穴を掘り、そして、ラーイか他の誰かかと一緒に、ギュンター爺さんの隣に弔った]
ウェンデル。ぶどうジュースやりんごジュースじゃなくってもっといいもんよこせ、っつっていってたけれどよ。
村に帰れたら、お前にやるよ。一緒に遊んだ、ウェンデルに。
[その言葉は、たとえ正体が何者であっても、その記憶の為に弔うという宣言であった]
―昨夜 / 広間―
[2人の弔いでくたくたに疲れた。
腹は減っているのに、アルコールやらストレスやらで弱った消化器官があんまりちゃんとした固形分をうけつけてくれそうになく。スープにパンを浸して食べた]
[食事よりもものすごく気になったのは、ミハイルのドレス姿である。説明なしのドレス姿に???がいくつも飛び交ったが、アマンダなどが女性扱いをして、ああ、何でこんな最悪な時に夢みているんだ俺……とほっぺをつまんだりもしたが、現実を認識したのは結局のところ、ユーディットのキックである]
[そして、クレメンスも見守るところで、ミハエルに謝った]
その、ごめん。
勝手に部屋あけて覗いてさ。
何ってーか……女の格好も似合ってるよ
[性別を超越した変を長年感じていたからか、言葉のチョイスを誤った。女装が似合うってことかよ!的な的確な突っ込みをユーディットから受けた。本人はわるいわるいといいつつも結局ミハエルのことは直視できなかった]
[酒席は体調もあって辞意し、その日は個室に帰ってさっさと眠りにつく。布団に入って3秒で寝た]
―残念な男の回想 3―
[自分が変なのは仕方がない。変になってしまったからには、向こうに迷惑をかけぬよう生きなければならない]
[大学行きに両親は反対した。兄は賛成した。「広い世界をみてこいよ」という兄の言葉が後押しし、大学に行くことは許された]
[そうして距離を置けば、変も治るかもしれないと。
都会にはいろんな女性がいて、まぁ、それなりの青春を謳歌した。だが、何かが違うなぁ、と首をひねる。媚びる女は好きではない。過剰に期待する女もだ。背筋がまっすぐで、凛々しく…… とか考え出すと、誰のことを基準にしているのか気づいて思考を停止させた]
[マメに実家に帰るのは、兄や両親に自分の生活の充実ぶりと心配は何もないことを伝える為。そして――いつも、家に帰る前に、とある貴族の別荘を見てまわった。今は人が来ているかどうか。
何を期待しているんだ、馬鹿か、そうは思ったが――。背は伸びても、いつも何かと戦っているような、変わらないあの子を見て、迷惑をますますかけてはいけないという気持ちを強くしたのであった]
[実際逆効果なのは言わずもがなであるが、それに気付かないのが残念が残念たるゆえんである。]
[大学からさらに上に進学した時から、貴族の子弟と交流する機会を持った。
今後も先生の助手なり何なりで大学に席を置くつもりなら、お見合いで結婚しとけ、という周囲の勧めからである。見た目も絶望的に悪いわけでもなく、球蹴りなり狩りなどの腕は温室栽培の貴族を凌駕する。
このままいけば、それなりの生活をして、もしも村がつぶれることになっても家族を引き取って暮らしていける。そんな青写真をやいていた]
[そんなまっすぐな人生のレールは、女神の導きにより人狼騒動というポイント切替を経て、再び、変ルートに向かって駆けてゆく。続く]
― 早朝 / 個室M ―
[昨晩は早くに眠りについた為か、翌朝は薄暗いうちに目が覚めた]
[誰かの悲鳴で目覚めない朝は、実に快適で、昨日までのことが夢であって欲しいと願わずにはいられない]
[でも、それは甘えなのだろう。割り切れないものはあれども、ただ何もしないで殺されるのもいやだった。何かあった時に、生きたいと叫ぶだけの何かが欲しかったし……何かを止める為の力も欲しかった]
[トランクを広げて、小さな工具箱のケースと、銃のケースを開ける。慣れた手つきで分解して埃を掃除し、再度組み立て、弾を装填する。全部で8発。替えはない]
平和を望むならば、戦いに備えよ、か。
[ホルスターで、銃を肩に吊る。上着を着れば、一見して銃を持っているようには見えないだろう]
[いつもならば朝ご飯、腹時計が鳴る時間に、時計の代わりに刻を告げるのは1Fの悲鳴。"彼女"の声で半分は安堵するも、険しい表情で部屋を出た]
― 昨夜・広間 ―
まあ色々とあって、性別を偽る必要がなくなったので。
[もし誰かにドレス姿について問われれば、そう言って。
母がつけてくれた女としての名前を名乗っただろう。
ついでに、集会場に着いた時に書いた身上書がまだ広間にでもあるのなら、赤で大きく×してすぐ下に書き直しておいた]
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■名前:フレデリカ・ミハエラ・モルゲンシュテルン
Friderica Mihaela Morgenstern
■年齢:17
■職業:子爵
■経歴:家の都合で男として育てられたが、諸々の事情で解禁となった。
クレメンス氏は母方の伯父。
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― 昨夜 ―
[謝られたり、女の格好も似合ってる、というエーリッヒの言>>70には、何と応じて良いものか迷い。
顔を赤くして言葉を濁していたら、ユーディットから突っ込みと一緒にエーリッヒへ再び手が出ていたか。
慣れない状況に、伯父や母の親友であった人へ、助けを求める視線を送っていたかもしれない]
……結局、エーリッヒさんってボクを男だと思ってるのか女だと思ってるのか、どっちなんだろう。
[お世辞にも『大きい』どころか『人並み』とも言えない胸は、それでも皆無じゃない。
男装時は一応サラシを巻いていたが、いまはそれをしてないので、ドレスの胸あたりは少しは膨らみもあるのだが
そして、そんなことを気にしている理由については、本人は全くの無自覚だった]
― 今朝・集会場外 ―
蒼花……ユーちゃんが?
[ゼルギウスの言葉>>64に、眉値を寄せた。
『場』に同じ花が重複することなどあり得るのか、と自問し。
昨日微かに思い出した、幼い日に見たユーディットの腕の痣のようなものに思い当たる。
ユーディットの腕にそんなものが刻まれた理由はわからない。
自分の胸にあるそれが何かを知らなかった筈だから、ユーディットが自分でやったとは考えにくく。
父か執事あたりが、いざという時の替え玉にするために、刺青を入れさせたのだろうか…と思考が飛躍した]
台所に出入りしていた人……では、その中にいるのでしょうか。
[人狼は複数いるはずだから、台所に出入りしないからといって人狼ではないという保証はないが。
そう呟いて、視線は教えてくれたゼルギウスを経て、その場に出てきているなら、ローザ、ブリジット、アマンダ、ベアトリーチェに向けられただろう。
伯父も出入りしていた一人だが、彼は蒼花がどこにあるか知っていたから除外した。
アマンダとベアトリーチェも疑いたくはないが、視線は半ば無意識に向けらる。
なお、ローザが双花を支える一人であることは、その話の時には近くにいなかったので知らない]
─ 昨日/集会場外 ─
ああ、続く。
[エーリッヒの言葉>>69に返す声は短い。
途切れた言葉の代わりに向けられた疑問には、答える前にエーリッヒを見詰める一拍の間が空いた]
………俺のは慣れでしかねぇ。
動じずに居たいと思うなら、現状を受け止めて、人の死を許容する覚悟を決めな。
[人の死を見るのも齎すのも、村を出ていた間に慣れてしまった。
そしてその時に既に『場』を体験してしまっている。
現状を受け入れるのが早いのも、識るが故の慣れと言って差し支えなかった。
動じずに居る条件を口にした後は、相手の反応を見ぬままにベアトリーチェを宥めに向かうのだった(>>47へ続く)]
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