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―二階・部屋―
さて、シスターはどこまで本当だと思っているでしょうねぇ
[小さく笑った]
[かばんを開ける]
…いやぁ。まさかこの中に
[一つ、大き目の宝石を取る]
この薬が入っているとは、誰もしらないでしょうけれど。
さて
アーベル君に話さないといけませんねぇ。
俺は死ぬつもりもありませんし。
[*闇は深い*]
―薪小屋―
[朝を迎え、目を覚ました後、そこにいた]
[――ガツン!]
[ぱらぱらと砕ける宝石]
[その中に小さな丸薬]
[仮死状態を作り出す薬――の筈だ]
あぁ、ようやく割れましたねぇ。
もし奴らでしたら嫌ですし、アーベル君には実験
…いえ、仮死状態になってもらえばいいですよねぇ
[試していないらしい]
[人狼の死を確認しなければ、場が崩れたとは思われない]
[ならば仮死状態にすればもしかしたら大丈夫だろうかと思っただけだった]
[決してそれを、力を持つ者には知らせないという条件の元で]
まぁ俺が試すより安全でしょう
人狼ですし、治癒能力もあるでしょうし…
[丸薬を取り上げて]
さて、有無を言わせず飲ませちゃいましょうかねぇ
[*物騒な事を朗らかに呟いた*]
ん、しょ……と。
[イレーネの額に乗せられたタオルを取り替える。
大分、温くなっていた]
……包帯も、替えないとね。
[自分の右腕へと、視線を落とす。
手当てをしてくれた薬師の少女は、もういない]
[立ち上がり、キッチンへと足を向けた]
……あは。
ばっかみて……。
[小さな呟きが、ぽつりと落ちた]
『自分』が『ひとり』なコトなんて。
……ほんとは、あの時から、ずっと、わかってたのに。
[往生際悪すぎ、と。
自嘲するよに吐き捨てて]
……こんなとこ、か。
[呟いて、見つめるのは小さな雪の山。
その上に、目印になるように小さな花を添えておく。
白の中には、銀の狼が隠されていた]
……少しだけ、我慢しろよ?
ケリがついたら、ちゃんと……兄貴んとこ、連れてってやるからな。
[お前は『ひとり』じゃないから、と呟いて。
一つ、息を吐く]
さて、と……。
いつまでもここにいても、ラチ開きゃしねぇし……。
どうにかして、システ……。
[システムの呪縛を打ち破る。
言葉に落とすより早く襲う、痛み]
……早いとこ、何とかしねぇとな……。
血が、必要に、なる前に。
とはいえ、こんなややこしいコト、知ってそうなの……。
いや……ゼイタク言えねぇ……。
[宛もなく暴れまわるよりはきっとマシだと繰り返し念じつつ。
ともあれ、ゆっくりと、音もなく、*集会場へと歩き出した*]
[仄かに甘い香りを含んで、薄く湯気が漂う。
見つめていた手のひらから視線を上げ、ふるりと首を振った]
[カップを手に広間に戻り、暖炉の前に陣取ると、両の手で支えてゆっくりと傾けた。
あたたかさとやわらかい味が、気分を落ち着けてくれる]
[静かだった]
―広間―
[偶に意識が浮かびかけても認識まですることはできず。
ただ誰かが傷を治療してくれたこと、そして何度か額に当てられた布が替えられたことをかろうじて感じただけ。
痛みと熱と。
傷によるものか、無理が祟ったものか。
それとも一部が失われてもまだ、色を失わずにいる朱花がもたらすものか]
――ん。
[再びうすらと目を開いた時には。
どれだけの時間が経ったのかも分からなくなっていた]
―広間―
[「探してくる」と言ったアーベルを、男は止めなかった。同情したからではなく、彼が行きたいと本気で思っているのなら、結局自分に止める力は無いだろうと知っていたからだ]
[ユリアンが止めたのであれば、違ったかもしれない。だが、自分では、彼にとって「障害」にしかなれない。そして障害を排除しようとして、彼の中の人狼としての衝動が目覚めてしまったら、そこでおしまいだったろうから]
[結局の所、男は余所者でしかない]
―外―
しかしあんな規格外のもんとやりあって、よく生き残ったもんだ
[昨夜自室に寝にいき、倒れるように寝た...は今更ながら思う
人狼を追い払ったとはいえ...は全く誇らしいとは思わない。
運が…コインの結果がよかったということだろう]
だからといって、傭兵辞めて墓堀になる気もねえんだけどな
[アマンダ、ノーラ、エーリッヒの墓の近くに作り上げた穴を二つ見ながら呟く]
[集会所に戻り、マテウスに事の次第を聞いても、新たな感情は産まれなかった。鉛の塊を飲み込んだかのような痛みは鈍く、熱く、心の奥に燻ってはいたが、現実の傷を負った者達とは比べるべくもなかっただろう]
[弱った身体でイレーネの看病を申し出たユリアンを、手伝う事もなく、暖炉からは離れた窓辺に座り、眠れぬ夜を明かした]
[黒鳥の鳴き声に瞬く。
更に届いた声に身を起こそうとして]
ッ。
[癖で右手を使おうとした。
痛みに動きが止まる]
…うん、ちょっと、痛い。
[呼吸を整えながら、とりあえず答える]
─集会場・外─
……ってと。
[集会場から少し離れた場所で、小さく呟く]
とりあえず、どーしたもんか……。
[何も言わずに姿を消すのは簡単で。
しかし、それでは、ここは解放されず。
知らぬ事と見捨てて行くのは容易くて。
……でも、痛みを伴うものだから]
あー……めんどー……。
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