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よっしゃ……んじゃ、行くか!
バカ親父を引きずり出しに!
[低く言う瞳には、明確な決意の色彩。
もう一度室内を見回した所で外へ、そして、広場の中央へと足を進める]
─…→広場中央─
―祭り最終前日・広場―
[相変らず祭りの賑やかさは健在で。
広場にあつらえた舞台では、
明日の最終日に向けた準備が急ピッチに行われていて]
[青年も勿論かり出されていて。]
[最終演目前の広間は、祭りに飽いたのか少し静か。]
─広場─
[やって来た広場は、多少にぎわいも薄れ。
実行委員の面々が、クライマックスの準備に追われている]
……なんか、あっと言う間だな……。
[進められていく準備を見やりつつぽつり、と呟けば。
肩の相棒がきゅ、と鳴いて頷いた]
[最終日の演目は今日までの村の安全へ感謝と、
明日からも恙無く過ごせるよう、また来年祭りが開けるよう
妖精に感謝し、これからの安全を祈願する
…この祭りの主旨に準えた静かな式典…が行われる。]
[式典で入場者が着用する、白い衣が搬入される。]
[そして子供は、あたたかなミルクを両手で抱えて、
そっと外へ出た。
祭りはもうすぐ終わりだけれど、
子供は広場に近づこうとは思えなくて、
かわりに、そっと、コエをなげる。]
[明日の式典の間は、一度村中の全ての日が落とされ、
舞台で焚かれ、シャーマンの祈りが込められた火を
各自持ち帰ることになるだろう。]
[実行委員が先導し、街灯の替わりの雪灯篭に火を灯しながら
民は各々一番大切にしているランプに火を貰い自宅へ。
そうやって、ゆっくりと広場から灯火が村の至るところへ。]
[……明日は一日村中に雪灯篭を作る事が仕事になるだろう。]
[暗くなった現在、舞台の設営は終盤で。
天井を覆うようにかけられた白い布がトーンダウンした祭りの喧騒に揺れる。]
「今日の所はこのあたりだな。」
[実行委員の誰かがそうつげ、準備に駆り出された面々が開放される。]
――そう、やっとお勤めも終わりね。
[小さく呟き…自身に宿る妖精に声をかけた。
頭の中で、怒られないですむ、とは言うモノの、あまり…嬉しそうには聞こえない声]
…まぁ…今更なのよ。
最初っから…ユリアンを見守っていれば良かったんだから。
[その呟きは喧騒へと消える。
向かう先は…広場]
……………………
[明日の夜には祭りは終り日常が帰ってくる…はずである。]
[そうは言っても、祭りの最中に欠けていった
いくつかの日常がはたして戻ってくるかはわからず。]
[青年は小さく溜息をつきつつ、
準備から開放されたので舞台裏を後にする。]
[その手には二つのガラスが交わり合った装飾。
色は黄色と透明で…光を表していた]
…でも、ね。
ユリアンにとっては、良いチャンスだったんじゃない?
ミリィにも、本当の気持ち、言えたんだし…ミリィは聞いてたかは知らないけどね。
家族にも…本音を言える、チャンスなんだし。
[軽く目を細めると、小さく呟き…]
…だって、ユリアンはユリアンだもの。
まぁ、少し…悲しいけど。
[…すれ違う人々は、火を灯したランプを持っていて。
ソレを見ながら広場へとたどり着き…]
…ともかく…王様には言っておいてよね…
仕事させるんなら、ちゃんと聞く耳持ちなさい、って。
[くす、と小さく笑うと…
雪灯籠からランプに灯を移した]
[青年が舞台裏から…屋台に寄って糖分を補給しようとしたところで
ぼんやりと舞台を眺めるユリアンを見つける。]
[非日常により欠けたに地上が戻るかの要…に、なるのだろうか?]
[そのボンヤリした姿は、とてもそうは思えず。]
[青年は甘いグリューワインと、甘さを押さえたグリューワインの2つを用意し
ボンヤリしたユリアンの後に忍びより
甘くない方のマグカップを、その頭へ軽くぶつけるようにおく。]
……んなっ!?
[頭にぶつかる、軽い衝撃。
その衝撃に物思いから我に返り、はっと振り返る]
一体な……アーベル?
[青の瞳をきょとん、とさせつつ。
カップを手にした青年の名を、ややとぼけた声で呼び]
[ランプに火を灯すと、ガラスはその光で辺りを照らす。
黄色の硝子。
透明な硝子。
そして、曇り硝子。
…金と銀の光を出すつもりで]
ぇ?何?
…良いじゃない。
これぐらいの…手間賃は。
[ポツリと零すと、その視界にユリアンとアーベルの姿が入り…軽く手を振った]
[飲み終わった紙のカップは捨てて、
子供は砂糖の花をもう一瓶、買った。
それから、広場へは向かわず、
村の外れの方へと歩き出す。
人波に飲まれるように、子供は、
丘へと向かう。]
―村の外れの丘―
ノーラさん?
[白い月の冷たい光が、
白い雪を照らしてる。
村の中はあかりでたくさん。
だけれど子供は、
その白の方が好きだった。]
[覇気の抜けた姿に、もう1つ溜息]
……準備は済んだの…か?
[結界をこわす、妖精王を引き摺り出す…
…………そしてミリィを迎えに行く。]
……ミハエルに先をこされているみたいだが。
[と、先にユーディットに会いにいった少年の事を持ち出す。]
[ホットチョコレートの入ったマグカップを両手で包んで
そっと自室の窓を覗き込めば、ガラスが白く幕を作った。
それに、さほど気にした様子を見せないまま
窓の外から見える、準備作業の進められる広場をぼんやり眺めて]
[問いに、一つ瞬いて。
それから、ああ、と頷く]
やらなきゃならない事は、全部片付けた。
後は、時間を待つだけだな。
[先をこされて、といわれれば、ただ、苦笑するしかなく]
ま、それは……仕方ねぇだろ。
[ため息混じりに言った後、手を振るイレーナに、こちらも手を振り返し]
……あの灯りを見るとさ?
もうすぐ終わっちゃうんだなーっていっつも思うんだよね。
まぁ、村中が灯ると…すっごく綺麗には違いなんだけどさ。
少しだけ寂しくなるの。
[小さく笑みを浮かべたまま
――誰に投げかけるでも無く、ぽつりと呟いて]
―――――。
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