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立派……なのかな。
養母は、翼が美しいと。
養父は、竜鱗が美しいと。
そして魂の父は、瞳が美しいと。
色々と言われはしたけれど。
俺自身は、どうにも実感がなくてね。
[苦笑めいた面持ちで言って]
……竜は、滅多に外界に関与しないから、それも仕方ない。
特に、俺のように使命も何もなく、ただ放浪するものなど、限られているから。
[ミハエルの云った言葉にほんの少し眉を寄せました。真似するように、口もとに小さな手を当てます。]
そういう、ものなんだ。
ベアトリーチェにも、それはわからない。
[けれども首を左右に振られたので、ベアトリーチェはなんとなく上下に揺らしたのでした。]
[窓の向こうの影の精に、ふらついたのは悟られぬようにか、すぐに微笑を向ける。
しかしそれも肩を支えられてしまえば、意味はなかろう。
困ったような顔で、時の竜を見上げた苗床は]
ううん。別にどうもしないよ。
[ほんの少しの蔦の無理、とは言わなかった。
蔦が一番、彼から力を吸収してゆくものなのだ、などは、かれに言う必要もあるまい。]
立派だと思うよ。僕は、とても。
そこから見たときに、とても綺麗な翼が見えた気がしていたし、
君のその目の色もとてもとうとい色であろう。
鱗を見たことはないから、わからないのだけれど、
君の髪も、とても綺麗だった。
実感してしまったらナルシストになってしまうのではない?
[くすくすと笑う]
まぁ、放浪が楽しいのならそれでよいのではないかな。今度僕の森にも行くといい。静かな良い場所だよ。
ー教会・告解室ー
[最後の告解者を見送り、ワイングラスを手に取る]
ふむ、少々薄味に感じるな。
[呟いて、傍らに現れた黒猫を見る]
愛し子は、元気なようだな…さて、今夜のこともそろそろ考えねば。
[笑う]
……あ。
[オトフリートがティルの肩を支えたのには少しびっくりして]
えーと、おはよう?
じゃなかった、こんばんは?
[どうも気が付かれたみたいなので窓から挨拶をしてみた]
[じたばたとするも身体が動かず。
しばらく彼女のボディチェックを大人しく受けるが、
アマンダの目の前にふわり桃色の光が現れて注意がそれる]
[その隙を見て、彼は渾身の力を込めて、
無理やり地面を蹴りつける。
すると彼の身体が拘束を解き、宙を舞う。
――桜の木のてっぺんよりも高く]
……へっ!ち、ちょっと待て!なんだよこれ!
[大絶叫]
思い違いをするな。
私は…
[決してそれは悲しい事でも辛いことでも無いのだ]
[続く筈だった言葉を、伸ばされた手が遮る。始めはイレーネの動作の意図が分からなかったが、頭へ触れた彼女の手を払おうとして、動きを止めた。
それから緩くその手を払い除け]
…お前は幾つも記憶を捨てても、それを忘れずに居るのだな。
―西通り・宿の自室―
[簡素なベッド。その上で彼は寝転がったまま。]
[飾り気の無い部屋を、窓から差し込む夕焼けが朱に染めていく。]
混沌の海、か……。
溺れない自信があるのか、それとも溺れたいのか……。
んー……どっちにしろそれなりにチカラがなきゃあんなの持ち出せっこないよなぁ……。
[ゆっくりと、この町で出会った人たちを思い返して。]
んぁ……なーんかしっくり来ないんだよな。
なんだろ?
[しばらくそのまま物思いに耽っていたが、ふいに身体を起こし、違和感を抱えたままふらり、外へと。]
[既に朱は薄れゆき、夜の気配が侵食をはじめていた。]
[綺麗にふんわりと地面に着地と行かず、半分転びかけだったのだが、怪我がなかったのは偏に彼の身体能力のおかげか?]
[彼を追いかけようとする彼女を、桜吹雪が襲い。
再び静けさが取り戻した後には、もはや彼の姿は*なかった*]
親……か
[彼女の脳裏によぎるのは、2つの「親」
彼女という存在を作った2つの「親」
片や愛され愛し殺された「両親」、片や愛され憎み殺した「親」
向けられた感情は同じでも、向けた感情は全くの真逆であったな]
[自嘲]
……なら、いいが。
[どうもしない、という言葉に違和感を感じるものの、それは追及せず]
ナルシストか、確かに。
そして、それはいくらなんでも性に合わないから、止めておこう。
[悪戯っぽく笑んで、こう返す]
放浪が楽しい……というか。
俺にとっては、この世界のあるがままを、あるがままに感じる事。
それが……大きな意味を持っているというべきかも知れない。
[一転、静かに言った後、森に、という誘いにはああ、と頷いて]
[ミハエルに向ける瞳は、少し微笑んでいただろうか、悲しそうだったろうか。
自覚の無い複雑な目線をミハエルに向けた後、俯いた。]
[イレーネ、ミハエル、ナターリエ。
それぞれの様子を、ベアトリーチェは首を横に倒して、どこか不思議そうに見るのでした。]
……無理は、しないように?
[離れるティルに、かける言葉は静かなものだが。
いつの間にか翠の双眸に戻っている瞳は、やや険しいかもしれなかった]
君がナルシストになったら、とてもハマりすぎている気もしなくもないけれど。
[離れてから、苗床は可笑しそうにそう言って]
君の存在としてはそういうものなのか。
僕は竜族に詳しいわけではないからね。一ツ目カラスが教えてくれた、その情報ばかりだよ。
君は君の思うとおりに、居ればいいのではないかな。
きっと森は君を歓迎しよう。
[その時、自分はいないだろう。それを苗床自身が口にすることはない。]
ここの森にも、実は繋がっているんだ。昨夜も行ってきたのだけれど、闇緑の森には戻れなかったけれどね。
……まだ戻る心算はないけれど。
ー広場ー
[教会を出ると、異なる光彩に彩られた者達の姿が目に留まる。しかし、笑みを浮かべただけで、近付こうとはせず、そのまま足を西通りに向ける]
うん、無理はしていないよ。
こればかりは仕方ないんだよ、僕にとって。
君の存在が放浪を求めるように、僕の身体は破滅をもたらす力を受けては渡すものなのだから。
これでも壊れないように、気をつけているよ。
[時の竜に笑い。]
……それは、どういう意味なのかと。
[ハマりすぎ、という言葉に、怒ったように眉を寄せるも]
俺は、普通に生まれた竜じゃないから。
そして、生まれてから初めて降り立ったのが、この世界だった。
この世界は、虚だった俺に、そのままでは得られなかったものを、いくつも与えてくれた。
……だからこそ……虚として視て来た世界のようには、したくない……。
[静かな言葉の最後の部分は、どこか独り言めいて]
ああ。訪れる時を、楽しみにしている。
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