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―三階/休憩室―
大丈夫でしょうか。
[ダーヴィッドとヘルムートを見て、小さく首を傾げ]
下手とは思わなかったわ。
私の指も調子よくとはいかないし。
[ユリアンに答えたのは本心から。
それは専門でなければとつくかもしれないけれど、調律が出来ると聞いて納得したのと同じくらい、上手に弾くとも思ったのだ]
ありがとう。
ダーヴィッドさんも…お願いします。
[椅子を譲られ、座らせてもらって。
そうなったら欲求を止めることが出来なくなった。
まだライヒアルトは戻ってきていなかったが、鍵盤に手を伸ばす。触れた一瞬、爪の割れた指先に痛みが走ったが、それも瑠璃を閉じてやり過ごし]
斧を握りしめて、
視界が翳ると──命取りになるかも、と。
蛇より、おかしな生物が居る場所で。
……汗は、私もかいている。
それに、学生時代に慣れているよ。
テニスじゃなく、アーチェリーか、フェンシングにすればと悔やまれるが。
[首を横に振った。]
ピアノと キマイラ か。
そんなに似てるの。別に、身代わりでもいいけど。
[小さな声で言って、息を吐けば頬は元に戻った。]
うん。傍にいるよ。ライヒにも、あたしが居たら安心って思って欲しい。
[髪を撫でられれば目を閉じて微笑む。]
あのね。あなたの鞄のロザリオ、あたしの。もし、あたしに万一の事があったら……。
[その先は口にしなかった。]
−屋上−
上と───横かな。
[ベアトリーチェに答える]
[回りを見渡すこと]
[叶わないけれど]
───複数、か。
[わからない]
[流石に機械の飛ばし方なんて]
気づけば、いいけどね。
[風が強くて、目を細める]
[シャッターを、また何度か切った]
[扉は開かないという]
───じゃあ、無用の長物?
[ダーヴィッドの言葉に首を傾げた]
[廊下の突き当たり]
[何があるのだろうか]
[不意に少女が女の名前を呼んだ]
ノーラ───?
[軽く首を捻った]
[誰のことだったか]
[さっぱりおぼえていない]
―三階/休憩室―
[左手からそっと。
本来より少しゆっくりとしたテンポで弾き始めるのは、子守唄。
瑠璃を半ば伏せたまま、白鍵と黒鍵の上で両手を踊らせる。
新しく爪の端が欠けても、痛みを感じていないかのように。
ゆるやかに、ゆったりと、旋律は流れる]
あー。ありがと、ございます。
[飲み物を受け取る。甘い。礼を言って、破顔した。
相手がむせると、慌てて、わたわたして、空いた手でそっと背中をさする。むせた息に、笑い声が混じってほっと安堵した]
……しぐなすさ、は強いですね。
そおいう考え方は、好きです。そんけい、します。
[しっかりと現状を見据えて、前を見る言葉。
目を細めた。
口に出すことはしないが、彼女の弟は、確かに彼女に似ていると思う。くっと、喉に、息がつまりそうだ]
……………。
[飲み物を、一口。無言で飲む。
しばらく何かをいいかけようと、何度か口を開きかけ]
……1つ、すごい、へな事、聞いてもいいですか。
イレーネはどうするです?
しばらくここでピアノ弾いてます、か?
もしそれなら僕はここで警備員しますです。
[壁に寄りかかりながら尋ねた]
───。
[後ろから人の声]
[エーリッヒと赤い服]
[ベアトリーチェの手がほどけていった]
[ハインリヒとブリジッド]
[急に人の数が増えたな]
[嘆息]
[先程までつながっていた手を]
[握って、開いて]
[シャッターを切った]
―3階―
[蛇がいないか最新の注意を払いながら、そろそろと階段を上りきって周囲を見回せばピアノの音が聞こえ顔を向ける。
赤いスカートをふわりと揺らしながら静かに休憩室へと足を運ぶ。]
[答えは言葉ではなく音色で返ってきた]
うう、む、これはいい音色で、す。
[子守唄という曲調のせいか、一気に眠気が増してくる。
しかし、警備を申し出た手前寝てはカッコがつかないと頬をつねって耐えた]
[ライヒアルトが入って行った研究室を横目に、カツカツと靴音を鳴らし小さく部屋を回る。]
──自分一人の働きで、問題が解決するならラクだ。
[現実はまったくそうではない。肩を竦める。
おそらくヘリポートに辿り着いた何人かは、こちらに向かって来るだろうと考えた。
鍵が閉ざされたヘリ、何も無い物置、厳重に封鎖された扉。
そのメンツにブリジットが居るのかは分からないが、
ブリジットと言葉を交わした時>>830、
「エルーラー議員の、…ご子息」と言われ。
令嬢の言葉で、年長者の壁に阻まれて思うように動く事が出来なかった、石化病に感染する以前の自分を思い出したのだった。二世議員は多いのだが、それでもエールラーの、父親の築いた地位と力は。
財閥が関わっていたと言うプロジェクトの話が、聞けるならば、聞きたくはあったが。それが現在に繋がる話題なのか、自分自身の達成出来なかった業への執着、時間が経過した今必要な事か分からず。
その時は、微かに腕が震えるのを感じながら、話題をハインリヒに向けて止めたのだった。]
>>854
なるほど、ごもっともです。
[視界のことを言われ諭されると、素直に頷いた。]
にしてもテニスですか。
[想像してみる。
何かちょっと不思議だった。]
いや、悪くはない感じかもしれません。
[お世辞ではなかったが、自分でも頭をひねる物言いだった。]
……いや、アーチェリーやフェンシングよりはテニスのほうが、
親しみが湧きますよ。
[これはいい言い方な気がした。
ピアノと謎生物の話になると、黙りこみ、
ただ、イレーネの音を聴いている。]
痛く、ないの?
[問う声色は疑いを深めたように。そっぽを向いたのには気づかない。
手が強く握られると、その後の言葉に抗議するようにその手を振った]
クッションにされたら、つぶれてしまうのよ。
[上がる階段は、さっきよりも様子が違っていて、屋上へと続くものより歩きやすく感じた]
まぁ、ね。
[第一発見者]
[ハインリヒの言葉]
[あたらずとも遠からずなので頷きかけ]
───?
[獣の咆哮]
[状況にはある意味似つかわしく]
[それが現実なのだとしたら違和感]
あえて?
[ダーヴィッドの推論]
[確認するように]
[ぽつり]
[一同を見回す]
[ハインリヒとブリジット]
[ノーラとベアトリーチェ、エーリッヒ]
[ダーヴィッド]
─三階・研究室─
……見た目は全く似てない。が、行動が似ている。
それだけに、あのバカと同じように勝手に消えられたくはない。
……代わりじゃないから……尚更。
[同じような言葉を告げた後、腕から飛びだした幼馴染は、そらへ消えた。
蘇る記憶、振り払うよに、首を数度振って]
……できれば。
そう、なってほしくは、ないんだけどな。
[途切れた言葉には小さく呟いて。額に、掠めるよな口付けを落とす]
……さて。
あんまりのんびりとして、様子を見に来られるのもなんだし。
そろそろ、真面目に調べ物、するか。
[離す事にためらいがないとは言わないけれど。
時間には、あらゆる意味で限りがあるから、現実──先に放り出していったファイルに、ちら、と天鵞絨を向けた]
[ダーヴィッド]
[ハインリヒ]
[遠くなっていく背中]
───そりゃ、構わないけど。
[でも、どこへ]
[おそらく獣の咆哮の先へ]
[消えてゆく]
やれ、やれ。
[肩をすくめるしかできなかった]
[騎士]
[ちらりとエーリッヒのほうを見る]
[何かを迷うようなブリジット]
[まだ動けるという少女の声]
───いきたいなら、行くべきだ。
[ノーラとは違った]
[ブリジットに先を促す声]
[彼女の選択肢は───]
―3階―
[やさしげなピアノの音が聞こえる。]
……ピアノ?
どうして、こんなところに……。
[怪訝そうに呟いた。
音のするほう、いばらに服の端がかからぬよう
気を使いながら、歩を進めた。
ざわつく。
ブリジットと通じる白いいばらの花は、
去りし場所からは落ちて
進む場所へと咲く。
――研究施設。
古びた城に不釣合いな近代施設。睨むように見た。
ざわつく気配が増えた気がして、
自分の二の腕を抱えるようにすると、力を篭めた。]
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