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……って、今度はなんだよ?
[どうにか鞄を掴んだ直後、耳に届いたのは何かが倒れる音。
次いで響く、金属音。
霞みの落ち着いた天鵞絨を向ければ、映るのは倒れたユリアン]
……無事か。
[口をついたのは、そんな言葉だった]
― 2F廊下 ―
……兄さん?
[廊下を出て悲鳴のあっただろう場所を見やると、
一番最初に視界に入ったのは、見事な金髪。
一瞬、自分の兄の姿がそこに重なる。]
な、わけない。
……でも、あの人、あんなに動いて大丈夫なのか?
[脳裏に走った記憶は、眠る前、
此処の医師である父から聞かされた情報。]
……とも、言ってる場合じゃないか。
[見たこともない蛇がそこにいた。
毒があったら拙い――医者の卵が一番に思うのはそこ。
治療血清がここにあるとは限らないのだから。
自分はどう動くのが正しいのか、思っていれば、
ユリアンが地面に激しく接吻するのが見えた。]
[目の前にぱらぱらと蛇の体液が散る……。]
………議員?
[議員の手が見えて、反射的に斧を引っ込めた。
そして、目の前の光景に信じられないような顔をした。]
貴方は無茶だ……。
[蛇の口を射抜いた矢……
その牙がもう少しで、その指にかかろうとしていた。]
………。
[ノーラの声が聞こえると、ほっとしたように]
蛇の声だったから、蛇だと思う。
ナターリエさんもそう言ってたし。
ノーラさんも、怖いの?
[扉を押し開こうとする姿は見えずとも、何をしようとしてるのかは察しが付いた]
扉を開けるのね? 風が、流れてるみたいだから、きっと開くわ。
手を離してくださいッ!
[しかし、矢の刺さった蛇の目にまだ光を感じると、そう指示をする。
そして、手から矢が離れれば、床に落ちた蛇の頭に斧を刃を叩き込んだ。]
・・・・・・・・・ッ
[骨が砕ける嫌な音と、蛇の血がそこに散乱しただろう。]
―― 2F 廊下 ――
ええ、と。
[どたん、ばたん、どんがらがっしゃん]
[廊下は、そりゃもう大騒動だった。
たくさんの人が、それぞれ動いて、格闘して。
かと思えば、視界のそこここで鈍い刃がきらめく。
そのいくつかは、テレビでしか見たことがないもので]
………なんですか、これ。
[一気に入ってきた情報に、目を丸くしてしばらく立ちすくむ]
[扉を開けるのを手伝おうと、二人の方へと歩いていく]
私も、押すわ。
少しでも、手伝いたいから。
[手を伸ばし、扉を探す。いばらが指に当たって、痛みが走った]
…苦手ね。
蛇は。
[怖いのと言われれば弱めの声で返す。
石像があるから気を付けて、とベアトリーチェに告げた。]
ブリジット。
息を合わせましょう。
[ぐ、と肩を押して更に壁を動かす。
断ち切れていない茨がその肩に刺激を与えた。]
…っ
[それでも仄かな風は確かに感じられて]
−安置室−
[ヘルムートとベアトリーチェを見送り]
[男の足は安置室へ]
[充電はとっくに終わっている電池]
[過充電もいいところだ]
[電池を入れてメモリを確認]
[電源を入れて設定を決める]
[ファインダーをのぞく]
[ためしにシャッターを切る]
[かしゃり。それは懐かしい音]
[画面を確認して]
───大丈夫そうだ。
[微かな安堵]
[それを手に歩きまわってみることにした]
[現状を記録し]
[変化があったならこれで比較できるだろう]
うわ、格好いい。
[蛇に対峙する長髪金髪の青年と赤毛の青年。イレーネに駆け寄るハインリヒを評して言い。
ライヒアルトを振り返り、動かないからには動けない理由があるのだろうと心配して見た。
と、武器を持って倒れた後のユリアンが見えた。]
あ、踏んだ人。
[安置室内]
[大広間]
[ロッカールーム]
[医務室まできて]
[シャッターの回数などとっくに忘れたころ]
───?
[上から聞こえてくる騒ぎ]
[ちらりと寝台に横たわる老いた男を見たあと]
[ゆっくりゆっくり階段を上がっていく]
[時折、シャッターを切ることは忘れない]
[文字通り記録行為]
−→2F廊下−
……それ、どういう覚え方だ。
[踏んだ人、という声>>927が聞こえて思わず呟いた。
どうにか、突っ込みをできるレベルまでは精神的にも回復してきたらしい]
……蛇、は。
片付いた、か……?
[次いで零れた呟きは、確かめるような響きを帯びていた]
― 2F廊下 ―
[おそらく自分の仕事は、各自の怪我の有無だろう。
蛇が、戦闘部隊によって退治されたのを認めれば、
ユリアンに近づきながら、声を上げる。]
ユリアンさん以外の方で、怪我された方いますか?
[ユリアンに近づきながら、
一瞬兄に見間違えた議員に視線を向ける。]
あと、鎮痛剤受け取ってない方が居られたら、
おっしゃってくださいね。
石化病用なので、怪我に利くかは分かりませんが。
[遠まわしに、議員の腹にある傷を心配した。]
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