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さすがに……っ!
[これは避けるか、と、飛び退くエルザを上目遣いに見る。
ずど、と鉄槌が地面に減り込み、軽く両足が浮き上がった。
重心を戻し掛けた所に、相手の一閃が放たれる]
くっ……
[前髪を掠めるように通り抜けていく切っ先。
斬る意志があったなら、それは両眼に届いていただろう]
ならっ……
[鉄槌を持ち上げる勢いのまま、たたたとバックステップし]
――こうだ!!
[そのまま今度は、何もない地面へ槌を叩きつける。
ぼこぼこと膝の高さ程もある棘が地面から飛び出した。
その列はエルザの足元を掬うべく、一直線に伸びていく]
[すでに鞘に収められた魔剣の柄から右手は離さず。
視線はロミを捕らえたままに、距離を置き地面に叩きつけられる鉄槌。]
異能……ですか……
[呟き注意深く観察するように、一直線に地面から突き出される棘がこちらに向かってきて、
横に飛んで避けようとサイドステップ]
土、岩を……、
従える魔法の一種?あるいは超能力の一種の……
[呟く声はロミの能力に関する分析と推測の一部]
─中央エリア・高層ビル─
[しばらくは風に当たるように屋上の縁へと腰かけていたが、不意に組んでいた脚を戻し]
もうどこかで始まっているのかしら。
全てを見なければいけない訳ではないけれど……。
興味はありますわよねぇ。
[けれどそこを探し当てるまでには至らないと、自分でも解っている。今から中央ビルへと戻ったところで、間に合わないのは目に見えて居た]
後でゆっくり観戦するのが良いかしらね。
役目も終えましたし、一度戻ろうかしら。
[宙に投げ出していた脚は屋上へと戻され、出入り口へと向かう。来る時は影を渡って来たのだが、同様の方法で戻るほどの余力は無かった]
―中央エリア・都市部―
えぇ。
せやなかったら来ませんでしたやろな。
つーことは、あんさんもですか。
[首を傾ぐ男を見つめ]
これはご丁寧に。
けど『挨拶』の割には、怖い目ぇしてはりますなぁ。
[流す視線は片方の眼に]
─中央エリア・都市部─
おーおー、これは開幕に間に合ったかしら。
[二人が対峙する場を高みの見物が出来るビルの上。
そこで、十字架に肘掛ける格好で眼下を見下ろす。]
さぁて、舞台の始まりだ。楽しませてくださいねぇ。
[ニヤニヤとした笑いを浮かべてそう呟くと、眼下の闘いに意識を向けた。]
─中央エリア・都市部─
ああ、招待状いただいたクチ。
……片翼の鴉に何をさせたいのかは、知らんけどね。
[どこまでも軽い口調で言いながら、軽く肩を竦める。
怖い目、という言葉と共に向けられる視線。
縦瞳孔の瞳が、きょとり、と動いた]
あっれ、そんなつもりはないんだけど。
……ま、ここで『挨拶』となったら、次にやるのは決まってるようなもんだし。
となれば、それなりに……ねぇ。
[くすり、笑う。
浮かんでいるのは、本当に愉しげな笑み]
……余裕、だか。
[真正面からの攻撃はサイドステップで容易く避けられた。
どうやら相手は、何事か呟いているらしい。
敵を目の前にして別の事を考えていられるのか]
まあいいだ……
(まだそっちが仕掛けてこないなら……)
[エルザが回避したのと同方向へ回り込み、もう一度鉄槌を地面に叩き付ける。
痕跡がエルザを挟んだX型となるように――
そう、咄嗟に回避したならその形になるように、エルザの体の中心からやや外側にずらして攻撃を打ち込んだ]
(上手く行けば……横にも後ろにも、簡単には回避出来なくなるだ!)
[そして棘の列と並走するように、自身もまた駆け出していた]
―中央エリア・都市部―
そりゃぁ、あんさん強そうやからやないの。
[相変わらずのんびりとした口振りは本意か否か]
それはそれは。
急に襲わんといてくれて感謝しますわ。
ほんで。
『次』って言うなら、『今』は見逃してくれるんやろか。
[蒼は上目遣いに、冗談めいた言葉を掛ける]
―北部―
次に予測されるのは……
[きっとこちらの動きを制限するように、と続く言葉は心の中の呟き。
回り込みながら再度地面に叩きつけられる鉄槌。
迫りくる棘と、並走するようにロミがこちらに向かってくる。]
正面から、真っ向勝負、そういうのも好きですよ。
[棘を避ける位置に動き、浅い呼吸をひとつ、ロミを見据えて。
いつでも魔剣を抜けるように構える]
─中央エリア・都市部─
さぁて、どうなんだろね。
[強そう、という評に返すのは、冗談めかした言葉。
実際の所、招待状を出された理由に思い当たる節はあまりないのだが]
単独ならまだしも、お供連れ奇襲するのは簡単じゃないからねぇ。
それに、今回は『仕事』目的な訳でなし。
そんなにせっつく必要もないだろーから。
[言いながら、がじ、という感じで頭を掻く]
……ま、見逃すのがどっちか、ってのは置いといて。
今は、そういう気分でもないんでね。
後ほど改めて、お付き合いいただけますかねぇ?
[上目遣いの問いに返すのは、それだけを聞いたなら、戦いへの誘いとは取り難い言葉。
左は愉しげな、右は鋭い光を宿した常磐緑が、じ、と蒼を見返す]
―北部―
真っ向勝負……
[魔剣を構える姿を捉え、ふ、と笑みを浮かべる]
残念だけんども……
[鉄槌を振り上げながら、意識は魔剣――ではない方向に向いていた。
それは、エルザの足元。
斬撃を行うならば、必ず踏み込む動きがあるはず]
(そこを、陥没させる事が出来れば――!)
[――その時、少女の意識に、相手の異能の事はなかった。
故に、最後はどちらが早く『それ』に気付けるかの勝負]
――『落ちろ』!!
―北部―
なるほど……
[振り下ろされる鉄鎚の軌道から、狙いは自分の足元なのが見て取れる。
避けるか、そのままいくか、わずかの間に出す結論
浅く踏み込み、叩きつけられる鉄鎚、足元の先が陥没して。
バランスを崩しそうになりながら、浅い呼気とともに引き抜き、放つ斬撃]
―中央エリア・都市部―
まぁ、大抵なら白雪は気ぃつきますからねぇ。
[先程のことは口にはしない。
相手の『仕事』についても、わざわざ突つくことはなく]
あらぁ、奇遇どすなぁ。
うちもあんまりそんな気分やなかったん。
[首を傾げる]
せやねぇ。
考えときますわ。
[扇子の裏、即答はしない。
同じ色の蒼は如何な感情を浮かべるか、そこに恐れがないのだけは確か]
─中央エリア・都市部─
鋭そうだもんねぇ、見るからに。
[言いながら、視線は白虎に。
不自然に植えつけられた縦瞳孔の瞳は、その目には如何様に映るのか]
……やる気だったら、こんなのんびり会話してるわけ、ないわな。
もう、色々と動き出してるらしいんだし。
[言いつつ、思い返すのは先の奇襲。
その意図は知れぬものの、真なる『始まり』を告げたのは、間違いなくあの一撃だった]
……いいお返事を、期待しときましょうかねぇ。
[即答のない事を、特に気にした風もなく。
返す言葉はあくまでも軽い。
常磐緑の異眸は、愉しさと険しさを左右に宿して細められていたが]
(読まれた――!)
[悔やんでいる暇はなかった。
相手の白刃が腕に迫っているのに気付き、地に着いた槌を軸に思いっ切り体を刃の反対へ傾ける]
ぐううぅ……
[狙いは僅かに逸れたか、相手の刃は腕の寸前を通り過ぎる。
ここで反撃に移らなければ――
傾いた方向の足を外側に出して思いっ切り踏ん張り、体勢を立て直そうとする]
うううぅぅぅん……
[そして地についた鉄槌を横薙ぎに、エルザの体へ向けて。
持ち上げた地面を第三の腕として、全力で斜め上方向への力を籠める]
んあぁぁあああっ……!
[次の瞬間、溜めに溜められた力が爆発した。
大人一人ほどの重量を持つ鉄塊が、高速回転しエルザに迫る]
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