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―回想・広間―
[広間に戻り紅茶を配り終り、ハーヴェイの傍で紅茶を飲んでいるとハーヴェイとマンジローが会話をしていた。
マンジローがハーヴェイの説明に納得がいかないというように怒っている。]
……(びくっ
[紅茶のカップを渡してるところで落としそうになり、そっちの方を見る。
ハーヴェイのことが心配だったから、不安を紛らわすようにきゅっとその服をつまんだ。
マンジローとのことがあるからかハーヴェイからの反応はなかったがこちらの思いは伝わっているだろう]
……(こくり
[キャロルがハーヴェイに助け舟を出し、自分も頷いて同意の意を示した。]
―回想・広間―
[トビーが目を覚ましたらしく、かけられた声に視線はそちらに向く。キャロルはヘンリエッタをつれて広間を出て行った。
説明を聞いた後のトビーの反応は、その子らしいものだった。
言いたいことがわからないわけではないのだが、他の皆が埋葬をという言葉の方に同意するように頷く。]
……
[ハーヴェイに紅茶のおかわりを淹れて、マンジローが広間をでていくのを見送る。
ハーヴェイが先に一人で部屋に戻ると告げる。
一人で大丈夫かと聞かれたので、やや考えた後に小さく頷いた。]
…(こくり
[不安などもあったが心配をかけたくない思いもあったから。
ハーヴェイを見送ってから自分も広間を一旦出てすぐに戻りトビーに毛布を手渡し、ぺこりと頭を下げると自分も広間を後にした。]
―昨晩・外―
[水を含んだ草は、踏めば小さな音を立てた。
時には花をも踏みわけ、向かうのは黒い墓標。
書かれた文字は消えていたが、その下に眠るものの事は聞いていた。
アーヴァインの妻子と会った事は1,2度と少ない。
シャーロットを預けてから暫くして、彼女らは死んだ。
原因は分からない。
病気だとも、殺されたとも噂では聞いたが。
唯一知りうるだろうアーヴァインは口を閉ざした。
アーヴァインが殺したと言う輩もいたなと。
思い出すと眉根が寄った。
殆ど尋ねた事のない、この墓の前に立ち、軽く目を伏せる。
祈りではない。それは感傷に近いなにかだった。
その後で、その奥にある石の前にも向かうと、こちらには先ほどより長く立ち目を伏せた。]
―回想・自室―
[部屋に戻るとりすさんの人形が床に転がってた。
ぶたさん置くときにちょっと寄せすぎちゃったみたい。りすさんは机の上に避難しちゃった。
ベッドの傍にはくまさん、ひつじさん、いぬさん、とりさん、うまさんにねずみさん。
皆でお話してるよ。うしさんとねこさんは二人でお話中。]
……
[ねこさんの人形をじっと見てから、ベッドにもぐった。]
―昨晩・外→キャロルの部屋の前―
[それから帰り道に、周囲に咲き誇る白い花を2.3摘んでから館内へと戻り、約束通りキャロルの部屋の前まで向かった。
少し遅かったが、もう眠ってしまっているだろうか。
軽く扉を叩き、彼女から声がかかるのを待った。]
―館内―
[皆が寝静まったころ、獣の本性を隠した者は目を覚ます。]
……
[ゆっくりと立ち上がり、身軽に動くためにカーディガンは羽織らない。
注意深く感覚を研ぎ澄ませてあたりを探り誰もいないことを確認しながら自室を出た。向かうのはラッセルの部屋。]
…
[程なくして部屋を出る時にも注意深く、部屋から出るときには仲間の姿も一緒だったかもしれない。
誰にも気づかれてないのを確認してから仲間の姿も一緒ならばそれぞれに別れて自分は自室に戻った。]
―自室―
[惨劇の夜が明けて誰かの悲鳴で目を覚ました、]
…!
[あたりを見回し、うしさんの人形が床に転がっている。
それを拾い、ねこさんの人形に視線を向ける。
うしさんはねこさんともう一緒にいられないんだって。
だから牛さんの人形は窓の傍、ひつじさんの隣に置いていた]
―自室→廊下―
[微かに震える体、部屋からでるのはどうしようかためらう気持ちが沸く。]
……
[できれば早くハーヴェイの傍にいて安心もしたかった。
カーディガンを羽織ると部屋をでることにした。
いくらかおびえた様子で廊下を歩く姿は誰かに*みつかるだろうか?*]
─2階・客間/昨夜─
[ヘンリエッタを休ませた後、自分の客間へ戻るものの眠る気にはなれず。
窓辺に佇み、晴れない空を見上げてたところに、扉を叩く音]
……開いてますわ。
[返す言葉は短い。来訪者の宛は、ひとつしかなかったから。
仮に異なっていたとしても、そしてそのものが害意を持っていたとしても、ただでやられるつもりはなかった]
ごめんなさいね、ハーヴ殿もお疲れでしょうに。
[軽く頭を下げながら言って。
彼の手にした花には、不思議そうな瞬きひとつ。
常ならば、誰へ贈るつもり? などとからかうところだが、やはり、そんな気分にはなれなかった]
……手短に、済ませますわね。
実は、エッタ様の事なのだけれど。
[紡がれた名に、相手は如何様な反応を返すか。
いずれにせよ、その様子を注視しつつ、女は厨房での出来事を語り始める]
……と、いう訳で。
エッタ様にも、何かしらの力があるらしいの。
先の、セシリア嬢の事もあるし……余り公にするのもどうかと思うのだけれど。
誰にも知らせぬままに、というわけにもいかないし……。
恐らく、この事態に対して一番詳しいのはあなただろうから伝えておくわ。
[は、とひとつ息を吐いて話を結ぶ。
他者に話すこと、それ自体は賭け。
今はこれが最善手と定めた女が切ったカードは、果たしてどう出るか**]
─自室前廊下─
[最初に駆けつけたのはマンジローだった。
泣いている場合ではないと言われても、大きく首を横に振るだけ。
ギルバートから離れようとはしない。
彼が立ち去った後も、駆けつける者は居ただろうか。
声をかけられれば顔を上げるも、今まで以上に他者を拒絶する様子を見せるだろう]
信じたら、死んじゃう……信じたら、死んじゃう……信じたら……。
[他者を見る眼は怯えの色。
自分が視て信じてしまったら、その度に喪ってしまうのではと考えてしまう。
視てはいけない、触れてはいけない。
けれどそれでは「おおかみ」を見つけられない、終わらせることが出来ない。
矛盾した意識がラッセルを苛む]
…僕は……どうすれば……。
―昨晩・キャロルの部屋―
[返事が返ると、静かに扉を開けて中へと入った。
名を呼ばれ労われると、なにと一つ首をふる。]
まったく疲れていない、とは言い難いけど。
なに、他の連中よりは比較的ましなほうだと思うよ。
[そうキャロルに返しながら。
視線が手にした白い花へと向いたなら、ああと呟き近づいて、彼女の手を取りその平の上にそっと置いた。]
深夜に夾竹桃の君の部屋を来訪するには、白い花束でも用意しないと失礼かと思ってね。
束にするには、可憐で手折るに忍びなかったから数は少ないけれど。
[やや芝居がかった笑みをうかべて彼女を見た。
気を和らげようとしていると受け取るか、不謹慎だと思うかは本人しだいだ。
反応には悪いといった言葉か笑みかを返すと、空いていた椅子を借り、そこに座って切り出された話をじっと聞いていた。
流石に聞いた内容故に先ほどの軽い雰囲気は消え、口元に手を当てて難しく考え込んだ。]
[土に埋める。
埋められるのは嫌だなぁ、と、ちょっと呟いた。
広間で寝ているとまた毛布をかけてもらえた。
起きたのは悲鳴のちょっと前で、家の中をうろついてみる。
探検するのは嫌いじゃない。
家というのは狭いみたいで広いって知った。
広間に戻って、毛布をぎゅうっとまたかぶってみた。
あったかい。
二階にはのぼろうとして、死の匂いがしたから行かなかった。
あの匂いがあるときは、近づいたら死んでしまう。
何人もそうだった。
――悲鳴が聞こえたのは、その後。]
ラッセルさんだ。
それじゃあ、ギルバートさんが死んじゃったのかなぁ?
いっぱい食べるし、力持ちみたいだったのに。
―広間―
[マンジローが広間に来たら、顔をだす。
他の人も、広間にいたかもしれない。]
おはよう、シラヌイさん。
ラッセルさん、だいじょうぶ?
あんなに叫んだら、喉いたくなっちゃうよ。
[姿の見えない悲鳴を上げた人の心配を。
心配というより、単に、尋ねただけなのかもしれないというくらいには、声はいつもどおりだったけど。]
それとも、壊れちゃった?
でも、ラッセルさんが殺したんじゃないだろうし、ラッセルさんが生きてるなら、行ってもだいじょうぶかなぁ?
お水、持っていくね。
シラヌイさんも、すこし、お休みしたほうがいいよ。
動いてばっかりだと、疲れちゃって、動けなくなって、死んじゃうよ。
[それはやだよ、と、口を尖らせた。お水はどこだか、さっき探検したから知っている。でも水の汲み方がわからなくなって、結局マンジローを頼ることになったかもしれない。]
―昨晩・キャロルの部屋―
…そうか、エッタ嬢も。
[呟いた後で、何を話せばよいのやら。また暫し黙って考え込んでから。]
能力自体の事をいえば、ありえる話だと思う。
キャロル嬢は、能力者というものについて何処まで知っている?
俺が調べた限りだと、大まかに存在する能力は3種。
俺達を見極める、占い師と称される者。
霊魂を色分ける、霊能者と称される者。
狼の牙を退ける、守護者と称される者。
[他にも、互いを人と認識しあう者など色々な総称を持つ者らはいたが、その出現は極稀だったので今は言わずにおいておく。]
話を聞く限りだと、エッタ嬢は占い師に該当するんだろうな。
[そこまで言った後で、静かに、だが深く息を吐いた。もう一人、占い師と思われる者を知っていたが故に。
ちらとキャロルを見て、様々な可能性を考えた。ここで言うべきか否か、言ってしまえば以後どうなるか。
沈黙にそろそろ向こうが不信気な眼差しを向けはじめた頃、少し息をついて、手を組みなおしてから口を開いた。]
―広間→ラッセルの部屋の前―
[水をグラスに入れて、持っていく。
持つのはちょっと力の入れ方がわからなかったけれど、なんとかなった。
すとんと抜けてしまいそうでこわい。多分落ちたらいたい。
廊下は赤い色。
赤い髪のラッセルと、本当は違う色だったはずのギルバート。
死んだ、つまりトビーの常識の中では「要らなくなった」「ゴミになった」姿に、もちろんかける言葉はない。
トビーがついたときには、他の誰かがいっていてもおかしくない時間。
それでも、ラッセルの方に寄っていき、グラスを差し出す。]
喉、平気?
はい、お水。壊れちゃってないなら、飲まないと、あとで喉いたいよ。
―書庫―
[掴み掛かられても抵抗らしい抵抗はしなかった。
握った銀刃は手から離れず、反って力が篭る]
危険でしたから。
[端的な言葉と静かな目は、異国の男の激昂を煽るか。
それでも周囲からの制止のお蔭で、大事には到らない。
一度書庫を離れた男は、少女の遺体にシーツを掛ける。
墓守は当然の様にそれを抱えて、書庫を後にした]
―二階・客室―
[空いた部屋に遺体を置いた。
シーツには既に血が染み込んでいた]
貴女は何者だったのですか。
[変化は力に呑まれた所以か、それとも人狼に成り代わられたか。
死した少女が何と答えるのか、墓守が知る由はない。
言葉は独り言となる]
少しばかり、早まったかも知れませんね。
[可能性を潰したことへの悔いはあっても、罪悪感は無い。
踊り子の言った通り、自らの務めに従っただけのこと。
ただこめかみに少し手を触れてから、主の時と同じように深く一礼をして、部屋を出る]
―広間―
[再び汚れてしまった手を浴室にて洗い流し、赤い凶器も元の銀に戻る。
人の集まる広間に足を向けたのは、大方の話が終わった頃だった。
異国の男からの謝罪には首を振る。
人気が少なくなった頃、茶ではなく水を口にしてから、墓守も広間から*姿を消した*]
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