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―中央エリア・ビル屋上―
[虎は跳躍を試みるも、少しばかり遅かった。
針の雨に打たれ、同じ高さに到達する前に地面に逆戻る]
っ、
[娘はやむを得ず傘を広げ、或いは虎の身のこなしにより避けるを試みるも、全てを避け切れる筈も無く。
虎の白が紅に染まりゆく]
く、えげつな――
[思わず洩らすその耳に、羽ばたきと別の何かが届く。
唇を噛み、広げたままの傘を振るうが]
[またしても、相手の所業が速かった]
――どうするもこうするも。
[は、と息を吐く。
未だ微かに唸る虎に、けれど機敏に動く程の力はなく]
こんなとこで、無駄に命を散らす気はあらしまへんなぁ。
[傘を手から落とす。
命が掛かっているにしては、相変わらずのんびりした所作であったが]
[決着をつけるべく一気に距離を詰めるヴィリーにふむと呟くと、]
向こうさんも決着をつけたいようだし……
『アエーシュマ』──シューティングモードΣ
[その言葉と同時、十字架は更なる変貌を遂げる。
放熱板として大きく展開したセイル。ぐばりと開いた銃口。
それはもはや十字架というより、金色の竜の顎。]
[駆け寄りつつ前方に炎の呪を紡ぎ放つヴィリーをにやりと見据えると]
アンチ・テトラ・グラマトン。
さあ、あなたにコレをかわせるかしらぁ!?
[そう言うと、カードを一枚抜いてスロットに挿入、スライド。]
「ファイナルアタックライド デデデデデデデデストローイ!!」
[きぃんきぃんと銃口にエネルギが収束する。]
さあ、堕としてあげる!!
─中央エリア・ビル屋上─
……お褒めに預かり光栄至極。
なんて、ね?
[微かに捉えた『えげつな』という評に対し、零れたのは冗談めかした笑み]
そうしてもらえると、ありがたいかなぁ。
『仕事』以外で、レディを傷つけるのは、やっぱり気が引けますんで。
……苦手なりに、口説いてみたいタイプだしー?
[軽い言葉はどこまで本意か。傘が落とされたなら針を引き、後ろへと飛びずさる]
ま、それはそれとして。
お相手感謝、と。
[くるり、と右手の漆黒の針を回した後。
どこか大げさに、一礼して見せた]
―中央エリア通路―
そうですね。
そろそろ気合を入れないと叱られもしますから。
[穏やかな笑みが誘うような嘲笑うようなものに変化する。
喧嘩を買うという言葉に軽く頷いた]
では、そのように。
[走り出すロミの後を追って一歩、二歩。
一度振り返り肩越しに決着が着こうとしている炎と光の交差を確認してから、同じく西へと向けて*走り始めた*]
─外・廃墟中央付近─
[近づいて行く最中、十字が姿を変えまるで竜のようなものになったのを見て眉をひそめる。]
どういう仕組みだ…まぁ、落とせば同じ、かっ。
焔の御志よ、災いを灰塵と化せ!!
[放った呪文は火炎の球を成し、カルメンの顔面目掛けて放たれる。
が―――ぞくりと背筋に嫌なものが走る。どこかで警鐘が鳴っていた。]
『!?旦那炎が!』
[前方から放った炎を食いつぶすような一撃が、煌きと同時にこちらへと向かってきた。]
白き御手よ、清冽なる棺に封じ
滄溟たる波濤、戦渦となりて厄を呑み込め!!
[咄嗟に防御の二つの呪文を放つ。片方は風を起こし、片方が空間を裂く。
放たれた竜の咆哮を、少しでも逸らさんと――――]
─中央エリア・別ビル屋上─
[対戦を見詰めていた鶸色がゆるりと瞬く]
……彼の勝ちのようですわね。
[首を傾いだことでイヤリングが澄んだ音色を奏でる]
あちらもそろそろ終わる頃ですかしらねぇ。
[呟いた直後に再びチリンとイヤリングが鳴る。僅かに、口許が笑みを形作った]
―中央エリア・ビル屋上―
やれ、口が上手いおひとで。
[首筋に突き付けられた針が離れる。
ゆっくりと虎の背から降りて、凭れるように座り込んだ。
それ以上動く気はないようで、鴉を見上げ]
えぇ。
こちらこそ、おおきに。
[向けた笑みの種は以前と少しも*変わらなかった*]
─中央・廃墟─
あはっ、それは企業秘密だぁね。
[眉を顰めるヴィリーに楽しげにそう答える。
そして、ヴィリーの呪文が形を成し顔面に迫り来る火球。
──それを迎えたのは、悪魔の微笑みだった。]
……残念。あと数歩足りなかったねぇ。
[その言葉と同時、顎に収束していた光が放たれる。
光の奔流は、火球はもちろん、ヴィリーの咄嗟の呪文により起こされた風や裂かれた空間をもがりがりと削り潰さん勢いで襲い掛かる。]
―中央エリア・ビル屋上―
[口が上手い、という評に返すのは、愉しげな笑み。
それから、鴉はぐるり、と周囲を見回す。
『龍眼』が、きょとり、と動いた]
……他も、動き回ってる……か。
[小さな声で呟いて。
対峙の場となったビルとは違うビルの屋上で、こちらを見やる姿を捉えたなら。
常磐緑は僅か、険しさを宿して*細められ*]
─外・廃墟中央付近─
どんだけ化けモンな威力だっ…
『あーあ、こりゃ先手とって速攻が良かったかもネ。』
今更っ…!
[言いながら、再び呪文は紡がれる。
言葉にならない、音の羅列のようなものは、歌のように高く低く紡がれてゆく。
その間、腹や足のあたりが、がりと裂かれ食われるような感覚に襲われた。]
――――――――――!
[パンっ!と弾くような音がすると同時に、竜の一撃は掻き消された。
同時にその中心で、傷だらけの主が膝を付く。髪は肩まで伸び、身体はほんの僅かに縮み丸くなっていた。]
『あーあ、今の消すので全部使っちまったかー。ま、しょがないネ。うん。』
[おしゃべりな剣は、いつのまにか元の姿にもどり主の傍らに付き立てられていた。]
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