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[エーリッヒとユーディットの二人はどうしてるだろう?診療所で会うことは会ったがろくに会話もせず仕舞いだった]
…もう戻ってる頃かねえ?
[ブラブラとエーリッヒの家に向かっていると、丁度家から出てくるユーディットの姿が見えた]
よぉ。もう戻ってたんだな。
[軽く手を挙げて挨拶をする]
[どこに行こう。どうしよう。
何もアイデアはない。
玄関に鍵をかけ、家を出て暫く行ったところで、向こうから人影が来るのが見えた。]
ああ……、ハインリッヒさん。
[挨拶されればぺこりとお辞儀をして返し。]
どうしましたか。お散歩……ですか。
[笑ってみせるが、まだその表情はいつも通りには戻れていない。]
-工房-
[気がついたら疲れのためか、眠ってしまっていた。
目を覚ますと隣にはユリアンが同じように眠っていて。
一晩中見てくれた事を申し訳なく思いながら、腕を潜って体を起こした。
崩れた服を調え、脇に置いておいた薬瓶を胸にしまうと、顔を洗いに水場へと向かった。
顔色は少し、悪い。]
お散歩ってほど暢気な状況でもねーけどな。
まあ…実際んとこは散歩してるだけなんだけどよ。
[そう言って苦笑い。ユーディットの表情がやや硬い事に気がついて]
そっちはあんまり元気がねーみたいだな。
いつも坊ちゃんを怒鳴り散らしてる元気は何処いったんだ?
[ん?と顔を覗き込みニカと笑ってみせる]
そういえば、そうですね。
いえ、でも……よく、わからないです。
[暢気な状況、という言葉に、ゆっくり首を横に振る。]
もしかしたら、もう終わったのかもしれませんし。
自衛団の人は、相変わらず……警戒はしてるみたいですけど。
[視線が遠くなる。
その先には、こちらを観察するように見ている自衛団員が一人。
ふっと目をハインリヒに戻した。]
ええ、まぁ、あんまり元気がある、とは言えませんね。
殺された人のことを……考えると。
[少し俯く。]
まぁ…な。
[殺された人という言葉に少しだけ表情を曇らせて]
どーなんだろうな。
人狼は結局…先生さんだったわけだろう?
ならもう騒ぎは終わったんだと思うんだがな。
自警団の連中も他に仕事はねーのかね。
給料くれるんなら俺が変わってやりてえよ。
[後半はわざと聞こえよがしに大声でいい、舌をぺろりと出す]
元気でねえ時はな。『空元気』ってのを出すんだよ。
[そういってユーディットの頭をポフポフと撫でる。その手は少しだけ震えてはいたが]
[顔を洗ってから、暫くユリアンが起きるのを待っていたがその気配は見えず。仕方なく手紙を書いた。
文字はあまり上手くないが、
『外に出てきます
エーリッヒさんが『視れた』よ』
と書かれたそれをユリアンの目に付く所に置いて、外へと向かう。
それだけ書いて、その場を離れれば察してくれるだろうと思いながら。]
…まだ、終わりじゃない。
[ぽつりと呟く。
良くない顔色のまま、向かう先は宿の方。
そこに皆あつまってればいいなと、限りなく薄い期待をしながら。]
[俯いた顔を上げる。]
人狼が一匹だけなら、お仕舞いでしょうね。これで。
でも、一応、他にも居る可能性はありますから。
[考えるのはイレーネのこと。
彼女が真に力を使う者ならば良い。
けれど、もし人狼の声が聞こえる人間だったなら。
もし、オトフリートの仲間だったなら。
まだ、オトフリートに仲間がいるのなら。]
[舌を出すハインリヒの様子には、自然な笑みが零れた。]
空元気ですか。
そうか……。病は気から、ってやつですか? ちょっと違うかな。
[頭を撫でる手の震えには、気付いたものの、黙っておく。
この人も辛いんだ。と、それだけはわかった。]
ハインリヒさん、そういえば昨日はティルと一緒だったみたいですけど……あの子は?
―朝―
[目を開ければ、どこかわからない場所]
ここはどこだろ…
[眠い目を擦りながら、あたりを見回してみる。見慣れないベッド。テーブルの上におかれた果物と飲み物。
段々と意識が覚醒する。それと共に思い出す、昨日の出来事]
…オト先生…
[獣の毛に覆われた姿。それは間違いなく狼の証]
そっそ。塞ぎこんでたら身体の方もやられちまう。
だから、元気だしてりゃいーんだよ。うん。
[ティルの事を尋ねられれば]
ああ、ティルなら宿の部屋でまだ寝てるんじゃねーかな。寝顔みる限りは少し落ち着いてるみてえだが。
一応…宿の台所から果物と飲み物はもっていってやってるから起きたら適当に食うんじゃねえかな。
あ、金は…ちゃんと払っておいた。うん。
[人狼がまだ居るかもしれない可能性については]
どーだろな。イレーネが見分ける力持ってるんだろ?ならまだ居るならあいつが見つけてくれるかもな…。まあ、もういねえと信じたいが。
あ、そだ。お前さん手が空いてるなら、ティルに飯でも作って…いやなんでもねえ。
先生が…狼…
[信じられない、信じたくないけれど。見てしまったものは、真実。
重い心と身体を引きずるようにベッドから降りれば、テーブルの上の手紙に気がつく]
おっちゃん…
[何も食べたくはないけれど、ハインリヒの気持ちを無駄にはできなくて。ジュースに口をつけた]
-宿-
[自衛団の影が何人か見えたが、宿に入る事自体は問題がないようだった。
主の居ない宿はさながら檻の代わりなんだろうかと、ふと思いながら。
ぎぃと、扉の音を立てて入るが、すぐ中に人の気配は無かった。]
…誰も、居ない?
[ふらりと、中へと入る。
少しだけ、ユリアンとくれば良かったと思ったが後の祭り。
ことりと、何処かから音が聞こえたので、慎重にそちらの方へと向かっていく。
音は、二階の部屋の中からしたようだった。]
んー、……そういうものかも、しれませんね。
よし、じゃあ私元気になります!
……なる、努力はしてみます。
[小さく笑う。]
イレーネさんが、本当に力の持ち主だったら良いんですけど。
[その呟きもまた、小さく]
ああ、宿に泊まってるんですか。でも、その方がいいのかもしれませんね。あの子、家に居ても一人みたいだったし……。
ん、……あんまりショックが大きくないといいんですけど。
[ふ、っと息をついた。
提案には瞬きして。]
ご飯ですか? いえ、それは全然構いませんけど。
そういえば私、あの子に食事に招待するって言ったっきりでしたね。
[数日前、ティルと交わした約束を思い返す。]
[1杯のジュースすら碌に飲みきれずに、半分口にしてテーブルに置いた。
そこへ、こんこんとドアを叩く音がする]
だあれ?おっちゃん?
[部屋の主が戻ってきたのかと思い、入り口の方を向く]
[夏の鋭い日差しが瞼を刺す。
眩しげに眉根を寄せ、陽の光を遮るように手を空中に彷徨わせる。
眠りから目を覚まし、傍らに視線をやると、傍で眠っていたはずのイレーネの姿が無い]
……イレーネ……?
[寝ぼけたような掠れた声で名を呼ぶも、返事はなく。
緩やかに身体を起こし、寝乱れた服を直した。
視線を巡らすと、眠る前には無かった紙切れが一枚置かれているのが目に入り。
手元に引き寄せ、内容に目を通す]
……エーリッヒを、視た……?
え…待てよ、それって……。
[寝起きだった頭がフル回転する。
イレーネの視る力が消えていない。
そこから引き起こされる結論は唯一つ。
慌ててイレーネを追いかけようと思ったが、どこに向かったかまでは書いておらず。
とにかく工房を出て歩き回ることにした]
ん?イレーネが嘘ついてるかもって事か?
そりゃあ、その可能性が無いともいいきれねーけど何のメリットがあるんだ?それ。
[暫く俯いて考え込んだが、続くティルへの食事の事を聞いて慌てたように]
あ、いやいや。ヒマならってんで言ってみただけだ。今はまだ忙しいだろ、色々と。うん。
食事に招待うんぬんは騒ぎが終わってからでもいいじゃねーか。な。
[と、慌てたように取り繕い]
ま、少し元気が出たみたいで良かったぜ。
まだたりねーようならおっさんが分けてやってもいいけどな?
[と、ユーディットの腰の辺りに手を伸ばして軽く撫でた]
ティル?
[中の小さな気配からおそらくと予想はしていたが、声で確認が取れたのでそっと中へと入る。テーブルの手紙には気がついた。]
おはよう。ハインリヒさん、居ないんだ。
…具合、どう?
[昨日憔悴しきっていた少年に、心配そうにそう尋ねる。]
─自室─
[ぱたむ、と音を立てて伝承の書物を閉じる。
緑の瞳には、微か、険しい色彩。
書物はテーブルの上に投げ出し、開け放った窓の窓枠に寄りかかるように腰を下ろした]
……まだ、終わったようには思えん……な、やはり。
終わったんだとしたら……。
[呟きつつ、軽く撫でるのは左腕、傷と痣のある辺り。
そこは、微かな熱を帯びて]
終わっていないなら、俺のやるべき事は決まってるようなもんだが……さて。
問題は……。
[未だ人狼が残るとして、それが誰か、という事。
見極めるものは既になく。
もう一人の力の真偽は読めぬまま。
どうやって捜したものか、と、零れるのは騒動が始まってから数える事も面倒になってきた、ため息]
イレーネ…姉ちゃん…
[自分の名を呼ぶ声に軽く返事を返せば、見慣れた女性が入ってくるのが見えた]
うん。おっちゃん、出かけたみたい…
[大丈夫かと聞かれれば]
うん…多分、大丈夫。姉ちゃんも無理してない?
[言葉とは裏腹に、弱弱しい声で返事をする]
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