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─宿屋外─
[ヴィリーに聞いた情報を頼りにメッセージのある場所を探す。とは言え直ぐに鉄錆の匂いが鼻につき、匂いの強い方へと足を向けることで見つけることが出来た。その先には先客が一人]
………ん?
おぅ、ルーミィも来てたのか。
……酷ぇ光景だな。
[いつもと異なる姿に直ぐには名前が出て来ず、顔を見たことでようやくヘルムートと気付く。声をかけてから赤い溜まりと二つの文章を見つけた]
……挑発のつもりか。
[文章を見て眉根を寄せながら、ち、と短く舌打ちをする]
―宿屋外・路地―
おじさま。
[名前を呼ぶ声に、瞳を瞬かせ]
[そして漸く、顔を見られていた事に気付く]
[向き直る動作は、何処かぎこちないもの]
そう、ね。
挑発で無いのなら、どんな意図が有るのかしら……。
[短い舌打ちに、僅かの間眼を伏せて]
おじさまは、此処に居たのが誰かは……?
[知っているのだろうかと首を傾げて、フーゴーを見つめた]
─宿屋外─
[ぎこちない動きに僅か怪訝そうにするが、現場のことを考えれば当たり前かとも思い直す]
さて、仲間を失って尚こんなものが書けるっつー自信の現れなのかもな。
[声は低く、文字を見つめる瞳は険しい。誰が、と聞かれると視線をヘルムートへと向けて]
……ゲルダだ。
ヴィリーが、見つけた。
[押し殺したような声で紡いだ]
─回想
[椅子に座らされたまま茹で上がっていたが、突如激しい物音と共にアーベルがライヒアルトに組かかかるのが見え。完全に止めるタイミングを見失いただただ見る事しかできず。やがて、動きが止まり。そして流れ出る赤]
やだ…待ってよ。ねえ。どして?
もしかして…アーベルが狼なの?
[思い出されるのはユリアンが人間なのが濃厚という事実。しかし、その後耳に入るのは]
先生さんが…狼なの?
[そこに見える表情は生きている時のそれと変わりがなく。だからこそ、辺りに溢れる赤色と鉄と生臭さが混じった臭いに吐き気がこみ上げて。口を押さえて自分の部屋へとかけこんだ。誰かに大丈夫か?と声をかけられたかもしれないが「大丈夫だから!」と吐き出しそうになるのを堪えてそれだけ告げた]
─回想─
……伯母さん……みたい、に?
[問いの答え。一つ、瞬いた。
語られる言葉を聞いて、軽く目を伏せる]
っとに、もう。
ウチは、ウチだよ。それ以外の誰でもない。
それに……夢にすがりつくほど、弱くもないつもり。
[やや間を置いて、紡いだのは、こんな言葉]
……あんまり嬉しくない経緯だけど、心配されてた、ってこと……か、な。
ホントに、ウチの周りは過保護しかいないんだから。
[冗談めかした口調で言う、けれど。
声は少し、震えていたかも知れない。
震えの元となる感情は、正方向のものだけれど]
……うん、ホントに、ばか、だよ。
でも……。
[言葉が途切れる。少しの沈黙を経て]
最後まで、諦めない、なら。
ウチも、頑張る。
……信じてる、から。
[紡いだ言葉は小さいけれど、確たる意思の響きを帯びていた]
……休め、って言われても。
だあーめ、見張ってる、って言ったんだから!
[休め、という言葉にはこんな反発をして。
それでも、常よりも落ちた集中力は意識を長く保たせず。
寝たふりを見抜けぬままに、意識を手放し、そして]
─宿屋・翌朝─
……ん。
[目覚めを呼び込んだのは、囁くよな『声』。
笑うような、哂うよな]
……っ……また?
今度は、誰?
[零れ落ちるのは、泣きそうな呟き。
すぐ近く、では、ない。けれど。
言いようもなく、嫌な予感がしていた]
―宿屋外・路地―
おじさまだったら、そう思うのね。
それなら、狼は自信家ってことなのかしら?
[顎に手を当て、考え込む姿勢だけ見れば]
[普段の女らしさからは、酷く遠い]
ゲルダちゃんを。ヴィリーさんが。
[小声で反芻し、眼を瞑る]
二人の様子、聞いてみても良いかしら?
第一発見者だからって、必ずしも疑うのは良く無いと解るけれど……、占いだけに頼らずに狼を探すには必要でしょう?
おじさまと、クーちゃんは違う。
リアちゃんは、狼じゃないって、言われてた。
ベルちゃんは、狼のアル先輩を刺した。
[ぽんぽんと、これまでの状況を口にする]
あたくしは、あたくしの可能性を考えない。
[そう前提して]
ヴィリーさんか、カヤちゃんか、神父さま。
ベルちゃんの可能性も、あるけれど…。
[凡そ其の三人の中から、考えているとは言外に]
─宿屋外─
ハッタリかも知れねぇがな。
あっちは自分らが何人居るのかが分かってるが、俺らにはそれすら分かってねぇ。
残りが一匹なのかそれ以上なのか……そこらを分からせねぇものなのかも知れん。
どの道、憶測の域から出ねぇ話だがよ。
[ヘルムートの口調はそのままでありながら仕草はドレスを着て居た時からかけ離れて見え。それに違和を覚えるのは仕方の無いことなのだろうか。続いて訊ねられると、少しだけ沈黙してから「…そうだな」と返し、口を開く]
ヴィリーは、人狼を許さねぇってよ。
ダーヴィッドを連行した自衛団も、ライヒアルトを手に掛けたアーベルも許せないが、言い分は解る、と。
だがゲルダを殺した人狼は……。
[そこまで言って、一度言葉を途切れさせた。ヴィリーの怒りは言葉では表し切れないと言うように]
……ゲルダの状態は詳しくは分からねぇ。
ただ、顔は綺麗なもんだった。
身体は上着で包まれてたが……この状態なら、おそらく酷い傷跡が残ってるんじゃねぇかと思う。
[言葉を途切れさせた後に一息つけてから、ゲルダのこともヘルムートに伝えた]
―回想―
普通に生活ができなくなる程じゃない。
けど…親父のことが年々忘れられなくなっていて。時々酷く取り乱すようになっちまった。
…本人が島に来なくなったのも、そのせいなんだ。
[言えずに隠していた事実を告げる]
ごめんな。
心配はしてたよ、いつでもずっと。
…大切だったからな。
[クロエの頬に手を伸ばす。横になった位置からは、頭より近い]
ありがとう。
…はいはい、分かった分かった。
少し休むよ。
[口を噤み瞼を閉じて、クロエの呼吸音を確かめていた。
そして、朝を迎えて]
おめぇからすればその三人だろうな。
俺からすりゃおめぇも入っちまうが。
[疑っていると言葉に含める。実際はヴィリーは除外され、確かな身の証明が為されていない者達が対象となるのだが]
おめぇが一番に疑ってるのは、誰だ?
[そう言う奴が居るのかと、ヘルムートに訊ねた]
―宿屋―
起きた……起こされたのか?
[タロットケース片手に、机の近くからクロエに声をかけた。
泣きそうな呟きに、問いを変える]
─宿屋─
[問いかけに、振り返る。
黒の瞳に浮かぶのは、不安の翳り]
うん……また、きこえる……。
[死者が出た、という、端的な事実。
未だ終わらぬ事の示唆]
……確かめ、行かない、と。
[と、ここまで言って。
それから、あ、と短く声を上げる]
起きて、大丈夫、なの?
―宿屋外・路地―
[フーゴーの推測には、口の中でなるほどと呟く]
――……人狼を、許さない、か。
そう、よね。
ヴィリーさんを信じるのなら。
[ヴィリーとゲルダ、其々の様相に頷きを返し]
ええ、あたくしが入るのは、当然だと思っているわ。
[僅かなりの微苦笑にはソツが無い]
あたくしが、選ぶのなら…。
―宿屋―
…そうか。まだ終わってなかったか。
[ケースを腰のポーチへと仕舞う。
クロエの傍まで歩くと、しっかりと肩に手を置いて]
分かった、俺も行く。
ああ。万全とは言えないけど、大丈夫だ。
[まだ怪しいところもあったが、そう頷いた]
狼に味方する人間が居るって話、有るでしょう?
その人間に庇われたようにも見えたから。
[単純な見方をするならだけれど、と、また苦笑を]
ただ、こういう挑発をしそうな子には見えないから…。
[また少し、考え込む姿勢を見せて]
そう思うと、神父さまが似合いそうでもあるのよね。
[もう一つの名前をも口に出した]
─宿屋外─
……ほぅ。
ユリアンが人間と見た奴を疑わしいと取るか。
てこたぁ、ユリアンは偽物と見てるってことか?
[自然に向けらた微苦笑を見やりながら、逡巡の後に紡がれた名前に瞳を細める]
[酒場に足を踏み入れれば、既に何人か顔があって。
かといって挨拶をするわけでもなく、いつも通り水を求めた。]
ああ、飲むほうじゃなくて、まずそっち。
[そう言ってグラスワインで水を受け取り。
3度目のそれをこなす]
[指をならす動作なく彩られたのは青。
真珠の色が白だったのは、誰かに見て取れたのだろうか]
[無言のままそれを確かめれば、真珠を掬って木箱へと。
ため息の後、礼を述べてグラスをカウンターの奥へと差し出した]
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