情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
[主ら二人の方を向いていたが、暫くの間何も始まらないことに微か安堵し、そして酷く緊張していた。
表の名を呼ばれたのはそんな時で。
ぴくりと、そちらの方をゆっくりと向く。]
ティル。
[少年に向けた表情は――透明な微笑み。
娼婦として、狂える者として、内の全てを覆い隠す為に身に付けた穏やかな笑みを向けた。その場からは動けなかったが。]
[左手を顔に影を作るように翳す。
開かれた指の間からは紅き光が覗いている]
知り合いなぞ、知るものか。
お前らは、俺の居場所を奪おうとした。
この村で、何もしていない俺達の居場所を奪おうとした!
異形であるからと、ただそれだけの理由で!
ここが封鎖される前、この村で原因不明の死体が転がったか!?
異形の爪痕が残されたりしたか!?
…俺はただ、静かにこの村で過ごして居たかった。
オパールの加工を学び、それを生業として過ごして居たかった。
それを壊したのは、お前ら人間だ!
[左手に隠れる紺色の髪が、端から白銀へと変わっていく。
口元は尖り、瞳は吊り上がり。
ぱさりと落ちたバンダナの下からは獣の耳が顔を覗かせた]
だから。
俺は貴様らを喰らう。
安寧を奪った貴様らに、全てに対し、復讐してやる…!
[白銀は髪に留まらず、顔や腕、ついには全身を覆い。
翳していた左手を外すと、そこに居たのは白銀の半人半獣の姿]
[自分の名前を呼ぶ声に、そちらを向いて、軽く手を上げて挨拶をする。
近づいて見えたイレーネの様子は、表情も、声も、いつもと変わらない穏やかさ。
けれど、何か不安がよぎる……イレーネが狂える人とは知らないが、ユリアンとは仲がよかったと知っていたから。
できるだけ、普段と変わらない表情を作り、近づいていく。わずかながら、緊張していた面持ちが現れていたかもしれない]
[咆哮を聞き目を閉じる。どこか別な世界を感じ取るように。
目の前の出来事から意識を離す事はしなかったが、傍に近づいてきたティルには少しだけ気を向けた。]
こんばんは。
危ないのに、こんな所まで来て。
[語る言葉は穏やかで。いつものそれと変わりが無い。]
ティルは私が怖くないの?
私はユリアンに、人狼様に仕える僕なのに。
[緊張しながらも近づく意識に、そう問いかける。]
[述べられる言葉。
それを、緑の瞳は静かに、受け止めて]
……それが、どうしたって?
だから、自分は悪くない、正しいと。
そう、言いたい訳か? ……は。
[口元、掠める笑みはどこか冷たく]
馬鹿ばかしい。
いくら理屈をごねても、正義なんてもんはどこにもない。
お前たちにも、俺たちにも。
死にたくないものは、生きるための術を講じる。
互いにそれをやった結果がこれ……それだけだ。
……俺は。
お前らの、悲劇の主人公ごっこに付き合う気はねぇ!
[鋭い、宣言。
直後に翳される、左手の銀の短剣。
瞳に、表情にあるのは、成すべき事を成さんとする覚悟のみ。
情に流される事なく、毅然として。
流血に終わりを告げるために]
Die Flamme, die ich Leben und Feuer hole.
Ich helfe ihm und wohne in mir!
[唱えられる言葉に応じて立ち上る、焔の気。
それを纏い、白銀の姿へと踏み込む。
同時に、その勢いを乗せた突きを繰り出して]
[完全なる転変。
それにより理性は吹き飛ぶはずだった。
しかし何故か、目の前の男が言う言葉が耳へと入ってくる]
常ニ 迫害 ヲ 受ケテ キタ 我ラ ノ 気持チ ナゾ 貴様ニハ 判ル マイ!
安寧 ヲ 願ッテモ ソレヲ 許サレヌ 我ラ ノ 気持チ ナゾ!
[僅かに残る理性が、獣の口から言葉を紡ぐ。
突き出された銀を避けようと、体勢を低くし、向かい来る相手の顔目掛け、下から爪を繰り出した。
避けようとした銀はその肩口を切り裂くように掠め、白銀が紅に染まる。
隻眼であるために遠近感が狂った]
[咆哮に続いては、エーリッヒの叫ぶ声。
2人の会話は遠くてはっきりとは聞こえないけど。とても悲しい音に聞こえた。
そちらの様子から目はそむけずに、イレーネの声を聞く。
『人狼様』『僕』
その言葉を聴けば、寝物語に聞いた話を思い出す。狼の話にはしばしば現れる、狼に仕える狂い人がいることを]
…そっか…
[大きく息を吐いて、少しだけイレーネの方を向いた。続いてきた問いには]
怖くないかっていわれたら、嘘になるかもしれないけどさ…
[申し訳なさそうに頭をかいて、言葉を続ける]
でも、イレーネ姉ちゃんは、イレーネ姉ちゃんだろ。
あそこにいる狼だって、ユリアン兄ちゃんだし。オト先生だって…
[再び、丘の方を向く]
狂い人だから怖い、とは思わないよ。
[主の声に微か驚く。完全に変転してしまえば理性は消えてしまうとそう教えてくれたのに。
何故喋れるのか――その原因に気づいてギクリと身を強張らせた。
そうだ原因は―――自分だ。
僅か別な所にいる意識に気を向ける。]
[ふ、と目の前から姿が消え、手には浅い手応えが伝わる。
避けられた、と認識した直後に、下から繰り出された爪が迫る。
態勢は崩れていたが、軌道の僅かなブレもあってか爪は頬を裂くに留まり。
舌打ちと共に、後ろへと飛びずさる]
……ああ、わからんね。
護る力があるが故に。
誰かが死ぬ度、責められ続け、終いには異端と貶められる。
そんな、俺たち一族の苦労を、お前らが理解できんのと、同じようにな!
[異端なるもの。最初はその意は自身も知らず。
思わぬ形で目の当たりにして以来、決めていた。
何も愛すまい、何も懐に入れまい、と。
情に囚われる事なきように]
[切り裂かれた肩口から銀の毒が回る。
くらりと視界が揺れたが、ふるりと頭を振り吹き飛ばす]
何ヲ 言ッテモ 平行線。
ヤハリ 貴様ラトハ 相容レン ナ!
[飛び退る相手を追撃するかのように、低い体勢のまま地を蹴り。
風の如き速さで肉薄す。
懐に飛び込んだと思い、爪を心臓目掛け振り抜く。
その距離は、ほんの少しだけ、足りない]
そう。それは、間違ってないと思うよ。人間なら。
[怖いけど、怖くないと、そう言いながら頭を書き、普段とあまり変わらない表情を見せる少年ティルに微笑む。
向ける笑みは相変わらず透明に澄んだそれだったが。]
…私、ね。
ずっと待ってたの。人狼様を。
父さんは私を慈しんでくれたけど、代わりに母さんからは憎まれた。父さんの愛を独り占めしたからって。
…当然だよね。父さんは血を継ぐ者を求めて、母さんを愛してはいなかった。
でも父さんは私を愛してたわけじゃない。
父さんが心から、愛していたのは人狼様だけ。
[今なら分かる、父もその人生の全てを、まだ見ぬ敬愛する人に捧げたのだ。]
私達の一族は、血を持ってその力を為す。
人狼様の為に、血を、力を、受け継ぐ者を作らなきゃいけない。
だから父さんは母さんを利用した。
そして私が生まれて、10になるまでにその口伝の全てを伝えて死んでいった。
[何故、ティルに自分の全てを語るのかは、分からない。
ただ伝えておきたかった。目の前の主が、相対する人に思いのたけを叫ぶのと同じように。]
後に残った私は、母さんに売られた。
村の人からは疎まれた。
だからずっと、待ってたの。
全てを捧げると、そう伝えられていた人狼様を。
[目の前の人と、そして失った人。
どちらも敬愛した。出会えたことは幸運だった。
でも。]
ねぇ、ティル。
私達は、人と違う人は、幸せにはなれないのかな?
こんなに普通に話せるのに。
みんな、私を憎むの。ユリアンを嫌うの。
狼だから、親が居ないから、娼館に売られたから、ただ普通の人と違うってだけで。
私達は、ただ静かに暮らしてたかっただけなのに…。
[まだ幼い少年に、問いかける言葉ではないかもしれない。
答えは、期待してはいなかった。
それでも、口にした。]
[白銀が疾風の如き速度で迫るは、着地の直後。
未だ態勢は不安定であり、距離を更に開ける事も、防御の姿勢を取る事も難しく。
が、予想に反して相手の踏み込みは甘く、爪は左の胸元を浅く切り裂くに留まった]
(……なんだ?)
[その動きに違和感を感じつつ、しかし、距離を詰めているタイミングは逃せない、と。
裂かれた衝撃に引いた足を基点に、身体を屈める]
相容れる要素がどこにあると……。
特に、俺とお前は、完全に反側面だろうがっ!
[言葉と共に、繰り出すのは下段から切り上げる一撃]
チィ…!
[腕を振り抜くタイミングは合っていたはず。
それなのに爪は生命の源を抉ることはなく、掠るのみに留まる]
(距離感が、掴めん…!)
[細められる紅き瞳、そこには苛立ちが色濃く現れていた]
…相容レタイトモ 思ウ モノカ!
貴様ラ ハ 我ラガ 餌ニ 過ギン!
[切り上げられる腕を狙い、爪を振り下ろそうとして]
……!!
[ぐらりと視界が揺らいだ。
身体全体に銀の毒が回る。
振り上げた腕はそのまま己の頭を支え、足元はたたらを踏む。
一瞬、白銀の動きが止まった]
―――エウリノ!
[動きを止めた主の名を、叫んだ。
ティルに向けた意識は離れ、主の元へと走り出す。
邪魔になるからと離れていた。
ここから向こうまでの距離が、やけに遠い。]
[ただ、静かにイレーネの話を聞く。
それは、自分にとってはわからない話だから。聞くしかできなかったから。
何か言葉を発しようとしたときに、イレーネが目の前から走り出していく]
姉ちゃん!
[とっさに追いかけた]
[今まで見てきた、惨劇の痕が頭をよぎる。
血まみれのギュンター。女将と一緒に殺されたノーラ。先生と一緒に死んでいたアーベル。ユリアンに挑み殺されたユーディット。
みんな、大事な人たちだった。
そして次に浮かぶのは。
父親が死んだ時に、ずっと慰めてくれた先生の姿。
工房で必死に石を加工するユリアンの姿]
俺は、姉ちゃんも、ユリアン兄ちゃんも、先生も。
どうしても、嫌いになれないんだから!
[最後に浮かぶは、宿の二階で終わらせようと言って笑ったイレーネの微笑み]
終わらせなきゃ。悲しいことは終わらせて、幸せにならなきゃ!
[何を言っているか、自分でもわからないけど。
叫びながら、イレーネを捕まえようとする]
[唐突に、止まる、動き。
その理由は、大体察しがついた。
聖別されし銀の力は狼には毒となる、と。
伝えられてきた伝承によるもの。
ほんの一瞬、誘いかとも思ったが、しかし、つけた刃の勢いは止まらず。
振り切った刃は白銀の胴体を捉え、左の肩へと抜ける紅の一筋を描き出す]
……餌になる気は、ない!
そして、これ以上は誰も喰わせねぇよ!
[言葉と共に、振り切った刃を戻し。
軽く、後ろに引いて、突きの一撃を繰り出す。
勢いをつけた突きとするには、引き戻しの距離はやや、不足しているが、構う事はなく]
[視界の揺れを振り切り、意識を目の前の男に戻した時には、銀が己が身体の上を走っていた]
グ、ガアッ…!
[身体を走る鋭い痛み。
切り上げの勢いもあって後ろへと一歩よろめいた。
ここで倒れなかったのは、もはや、執念]
キ サマ ァ!
楽 ニハ 死ナセン ゾ!!
[叫び、突き出される銀に真っ向から立ち向かう。
既に己の死期は悟っていた。
ならばせめてこの男だけでも道連れにしようと、鋭い牙を剥き出しにし。
その顎門を大きく開く。
相手の突き出しと己の踏み込みの勢いで、銀は違うことなく左胸へと突き刺さり。
それと同時に開かれた顎門は男の肩口へと襲い掛かった]
[ティルの声は聞こえない。もう主の姿しか見えていない。
ティルの腕はすり抜けた。敬愛する以上に愛する主の所に真っ直ぐ走る。
意識はすぐ傍にいてくれるのに。
伸ばした手が届かない、前に躍り出る事すら出来ない。
もうすぐ…もうすぐなのに。
だから間近で愛した人が、刺され再び守護者に襲い掛かるその様子がゆっくりと、見れた。
同時に毒が、心臓に深く刺さってゆく様も。]
……なにっ!?
[弾かれる可能性も掠めた突きが伝えて来たのは、深く、他者の身体に食い込む手応え。
相手が避けなかったのだ、と。
それに気づくのが、少し、遅れた。
そして、それに思考を奪われた隙をつくよに迫る、顎。
それを避ける暇はなく──]
……ぐっ!
[伝わる衝撃。
次いで、熱さが伝わる]
てめぇ……上等、だっ……!
[激しい痛みを感じつつ、しかし、手の力は抜きはせず。
歯を食いしばりつつ、ぎり、と短剣の刃を回した]
ガアアアアアアアアアアッ!!
[捻られる刃に咆哮とも悲鳴ともつかぬ叫びが上がる。
叫びのために肩口から浮く牙。
全身に回る銀の毒も相まって、顎門は緩み、身体は後ろへと倒れ行く。
最期の足掻きと、横薙ぎに揮われた爪は、果たして相手へと届いたか]
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 エピローグ 終了 / 最新