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─朝/宿屋・クロエの部屋の前─
[目覚めたのは甲高く鳴く鳥の声を聞いてのこと。
嫌な予感がしてパペットをベッドの上に置いたまま部屋を出た]
[開け放たれた扉。
その先に先客が居り、一番に信じている者が泣いていた]
クロエ…?
今度は、クロエが…。
[死せる者から見出す者が襲われた。
人狼を探す手段が一つ喪われたと、胸中で思う。
悼むように瞳を閉じ、アーベルにゲルダを頼まれると頷きを返した]
ゲルダ、一旦部屋を出よう。
手も洗って、着替えなきゃ。
[その言葉に応じる声はあったか。
長く時間がかかってもゲルダの傍に居続け、クロエの部屋から連れ出した]
─宿屋・食堂─
[その後、ゲルダを食堂へと連れ出し、席へと着かせる。
彼女は俯いたまま何も喋らずに居た。
ベッティが居たならミルクティーか何か飲み物を頼み、ゲルダの前へと置く]
───ゲルダ?
[どのくらいの時が経った時だろうか。
不意にゲルダが口を開く。
伝えたい事、それが何を意味するか容易に知れて。
名を呼んだものの、それ以上は口を挟まず言葉を待った。
明かすべきだとゲルダが判断したのだろうと、そう考えて]
[ゲルダの持つ刻印は知っていたために驚くような反応は無く。
それを他の者にどう捉えられたかは定かではない。
ゲルダの刻印は見ずに、他の者の反応を見ていた]
ゲルダ、待って。
[部屋に戻ると言うゲルダを階段辺りで呼び止める。
傍に寄って、こそりと囁いた]
僕も一緒に居て良い?
徴を明かした以上、いつ襲われるとも限らない。
[も、と付けたのは、ゲルダが人狼と話をしたがったため。
彼女の意図を知り、けれど心配だからとそんな言葉を紡ぐ。
許可を得られたならゲルダの後を着いて行き、断られたなら心配げにその背中を見送った*ことだろう*]
―宿屋・厨房→―
[頭を撫でられる感触に、少しだけ安堵の様子を見せただろうか、
厨房に行ってから道中、そういえばアーベルがしゃべらず何かを考えていたことを思い出す]
そういえば、アーベルは私…見てるんかな…?
[ふと、ゼルギウスのことで話していた二人の会話を思い出し、
一人そうつぶやいてから、がしがしと頭をかいて]
それなら、とっとと明かしてたか。
[水を飲み少し落ち着いて、去り際の幼馴染の言葉を思い出し、自分も自衛団員に言いにいってみるかと、
多分向かったのはゲルダ達と違う時に、結局は門前払いされる結果になった]
―宿屋・自室―
[それから、その日は自室に戻り、日記を書いて]
今日も誰か死ぬんかな……
[誰かが、誰が、誰に…そんなことを考えながらふと自分で日記に書いた事を思い、
そしてベッドの上で一人震えていた。
いつしか眠りに落ちて、次に目を覚ますのは朝のこと]
―個室―
[夢も見ず落ちた眠りの目覚めは最悪だった。
ぞわとした、内を探られるような感覚に思わず体を抱く。
それが何なのかは――すぐに思い至ったのは、昨日の彼の言葉を思い出したから。]
……リヒト。
[まだ横になったまま、今は二人きりになってしまった赤い世界でその名を呼んだ。]
私もアルに視られたみたい。
[多分、と付け加えながら。
一度台所へ行き、冷たい水を汲んで戻ってきてから、暫し意識を赤へと向けた。
まだ誰もいない静かな廊下に血の匂いをかぎとったが、ユリアンの時のように、様子を伺うことはしなかった。
何が起きているか、十分知っていたし、餓えは満たされていたため血の匂いに酔う事もなかった故に]
―宿屋・自室→食堂―
[朝、いつの間にか寝てしまっていたのかと、飛び起きるように、
その日は珍しく、起きる時間が遅かっただろうか、食堂につくとすでに皆がいて]
遅くなってすまん、おはよ。
[クロエの死を聞かされるのはそこでか]
クロっちも……か……
ゲルダが悪いわけじゃ、ないからよ。
[ショックな様子のゲルダに、そう言葉をかけて、拒まれないならそっとその頭を撫でるだろうか。
それからミハエルに飲み物を頼まれて]
あ、ああ、そうだな、気が利かなくて、すまない。
[立ち上がり、用意したミルクティーはゲルダとミハエルの前に、
他に望むものがいるならばそちらにも差し出した]
―宿屋・食堂―
[それから程なくして、ゲルダから聖痕のことを明かされて]
ギュンターと同じやつ……?
そっか、ゲルルンは人間でいいんだな?
[周りのみんなの反応や言葉からもそれでいいのだろうと知ることができるか、
謝る様子には自分は首を横に振り]
これで、幼馴染全員、人狼じゃなかったって、知ることはできたしな。
[けどそれはゲルダも同じように、他の幼馴染と同じように死ぬかもしれないということで]
二人とも、人間なんだって、自衛団員のやつもわかってても…なのか……。
[クロエの死体の一件を思い出しながら、そう呟いた。
死体をそのままにできないというのはわからなくもなかったが、納得はできなかった]
―宿屋・食堂―
[アーベルはライヒアルトを呼びに、ミハエルは自室へと向かおうとするゲルダを追って、
イレーネの姿はどこにあっただろうか。
行きたい、どうにかしたいと願いながら、自分は結局どっちについていくこともできなかった。
ゲルダについていくことができなかったのはあることが思い浮かんでしまったため]
自覚がない…自分がってことも……あるかも…しんねぇのかな……
[無意識に呟いた言葉、誰かに聞かれたかもしれない。
ここにあるのは自分の知らないこと、わからないこと、ただそればかりで、
自分が何か置き去りになっているような、そんな感覚から生まれただけの妄想だったのかもしれない。
でも、そのことに疑問をもつ要素も、今の状況ではなかった。
一人食堂に残る結果になったかもしれない**]
[ミハエルに気遣われると、娘は有難うと感謝しきりで。身の上を心配して呉れる様には曖昧な返事を返す。>>88]
あ、ミハエル君御免ね、ちょっと独りで考えたい事があって
―――…纏まったら直ぐ戻るのだよ
[やんわりと断りを入れて独りで階上へ向かう。別れ際に少年の肩をぽふと叩いて、大丈夫だからと付け加えた。]
― →自室 ―
…ゼルギウスさんが亡くなってしまったから、
もう確かめることは、出来ないかな…
[彼の真偽を問う事はもう出来ず。そも、彼が此処に来るずっと前から妻の正体を知っていた可能性も否定できないのだが>>2:126>>57]
アーベル君に聞いても…はぐらかされちゃう気がするな
……昨日、一体二人で何話してたのだろう
…ライヒ君なら教えて呉れるかな
[ゼルギウスが彼を白だと云うのをミハエルから聞いた事を思い出し、思い立つとベットから降りて階下へと先ずはライヒアルトを探しに行こうと。]
― →宿/食堂 ―
[階下へ向かうべく娘は階段を降りようとして。
下に居るものはその足取りが危ない物に見えただろうか。
――日々重ねられた心労が祟ってか、脚を下ろそうとした途端。]
……え、っ、あ、
―――きゃあああああああっ!?
[娘は派手な音を立てて階下まで転げ落ちて。腰や脚を強く打ったのか痛みに耐えきれず、苦痛を貌に強く滲ませて。如何することも出来ずに蹲り、もし音に駆けつけて呉れた人の中にライヒアルトの姿が有るならば、申し訳なさそうな表情を向けていた*]
―朝―
[目が覚めたのは常よりほんの少しだけ遅い時間。
自分とアーベル、そしてイレーネとゼルギウス。
アーベルが村を出る前の、ある日の夢を見た。
懐かしくて、そしてピースが欠けたその喪失感に
朝が来るのだと知りつつも中々目を起きられなかった。
両親の居ない寂しさを埋めて呉れた彼らとの時間。
――当人がそれを自覚しているかはさておき、
ライヒアルトにとって其れはかけがえのないものだった]
――…ン、ぁ。
[夢が終わる。
深緑が天井を仰ぎぼんやりとした声を漏らした]
―朝―
[聞こえた同胞の聲>>91に柳眉を寄せる。
懐かしくも優しい夢の名残は一気に消え失せた。
一人きりの個室で深く息を吐く]
――…グラォシルヴ
[光の名を持つ漆黒の獣の化身は同胞の名を呼ぶ。
彼の伴侶が呼んでいた愛称で呼ばぬのは
彼と自分の立場を明確にわける為でもあったが――]
お前さんもあの気配、感じたか。
あいつ、誘いの手を拒絶しやがったが……
簡単には諦めねぇよ。
別の手を使うまでだ。
[内容を告げぬまま紡ぐ聲は何時もどおりにも聞こえよう。
けれど、誰にも見えぬリヒトの貌には苦いものが浮かんでいた]
―朝―
[部屋を出るとクロエの死を知り嘆くゲルダの声が聞こえた。
仮令疑われていようとも――
アーベルがその事実を告げているかも知れぬとも
自分には偽り続ける道しか残っていない。
昨夜逝った仲間の代わりに、守らなくてはいけない者がいた。
クロエの部屋の入り口で立ち止まる。
誰も見ていなくとも、青年の表情は驚愕の態]
――…っ、今度は、クロエかよ。
[小さく紡ぎ瞑目する。
銀色に輝く十字架を握り締め青年はクロエに向けて聖句を綴る。
やがて自衛団が彼女を連れていった。
嘆き取り縋るゲルダを連れ出すミハエルに
気付かれずとも小さく頭を下げる]
―宿屋・食堂―
[ミハエルに顔を覗き込まれれば、それまでそばにいたことすら気づかなかったのか、
それだけぼーっと、まとまらない考え事をしていたらしく]
おわっ、なんだミハエルか…。
[一度驚いてから]
乙女の悩みってやつだよ。
[心配かけないようにと、笑いかけてみせるだろうか、その話題もゲルダの悲鳴ですぐにうやむやになるだろうか]
ゲルダっ!
[ミハエルよりやや遅れたのは椅子に座っていたからで、途方にくれるミハエルの背を一度ぽんと軽くたたいた後、ライヒアルトがその場にいなかったなら、ミハエルに呼んでくるように頼むだろうか]
ゲルダ?どっか痛めてないか?立てるか?私の声は聞こえるか?
[自分はゲルダの様子を確認するように、そう心配する声を*かけた*]
[それはゲルダの宣言がある前の話。
アーベルの存在に気付いた深緑が一度瞬かれる。
やはり彼だけは殺したくないと思ってしまう。
その、思いに気付けば微かに柳眉を寄せた]
――…話があるのはこっちも同じだ。
[短く声を返して蒼鷹を連れる幼馴染を見送る。
人目を避けるなら、共に行くのは拙いだろう。
昨日の一件で青年はそれを学んでいた。
タイミングをはかり、人の目を誤魔化して
青年は幼馴染の居る厩舎へと向かう。
――人ならざる獣に彼の匂いを辿るのは簡単な事だった]
―厩舎―
[厩舎に行けばアーベルに歩み寄る。殺気などありはしない。
幼馴染を殺す心算など今は無いのだから。
人の気配が他にないことを確認してから口を開いた。
潜められた声は微かに低くある]
話、だったな。こっちからさせてもらうぜ。
お前は全て知ったんだよな。
[同胞に聞かされて知った事があるからそう切り出し]
――…裏切りたくない、ってお前さんは言ったな。
なら、裏切りたくない奴が殺されても良いのか?
俺ともう一人を同時には殺せまい。
靡かねぇなら、お前さんの裏切りたくない奴、殺すぜ。
アーベル、お前は喰らわれず、残るだろうよ。
[身重の彼女が狩れる相手は限られていよう。
それに漆黒にもまた幼馴染を狩る気などもうないのだから**]
―厩舎―
アーベル。
――…誰か一人、お前の手で人間を殺せ。
[誰が人狼で誰が人間か。
理解できているだろう幼馴染にそう囁く。
ライヒアルトの眸には真剣な色が滲んでいる。
勝負事になど関心の無かった男が一世一代の勝負を仕掛けた**]
―宿屋 個室―
なにを……
[するの?と。
その鬣の如く灰銀の名を持つ女狼が問いかけるが、同胞は明確に答えを返さなかっただろう。
名を略されずに呼ばれる事は慣れていたが、彼にどんな意図があったにせよ、それが無意識に同胞との間に一定の距離を作っていた事に、自身は気付いていない。
変わらないコエに、ただ一言「気をつけて」と囁いて。]
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