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イレーネ。
久しぶり!
避けられていたことも、話せないこともあったから、もしかしたら、ずっと、貴方に嫌われていると思ってたこともあったんだ。
だけど。
それでも、私はイレーネが好き。大好き!
嫌ってくれてもいいから、私がイレーネが好きなのだけは許してね!
さあ―――踊ろう!
なるほど。
彼も変わりますか。
[クス、と笑って。踊る途中でコクリと頷き]
まあ、あの時はまだ。
痛みは癒してもらいましたから。勇気を分けてもらうのと一緒に。
[誰に、とは言わない。
だが愛しいものに向ける視線でミリィを見て]
ハインリヒ、お気をつけて。
[派手な音に視線を転じると軽く笑った。
流れてくる風琴の音色。空と虹が良く似合う旋律]
…ああ。
[戻ってくると言うイレーネの言葉に頷いて。
ミリィの下へ駆け出す様子を見つめる。
腕に抱いた我が子は既に寝息を立てていて。
己にかかる重みに小さな笑みが浮かんだ。
少しだけ、ミリィ達の居る場所との距離を縮めると、輪の外からその様子を眺めた]
[ユーディっトに転んだところを見られた為か。バツが悪そうに腰をパムパムと叩きながら立ち上がり]
っせーな。
床掃除でもしてるように見えるかよ。
休憩ってやつだよ。休憩。
[と誤魔化してはみたが、ある意味ちっとも誤魔化せておらず]
…空に浮かぶように…ねえ?
俺はネバーランドには永住する趣味はねーんだよ。
大人も子供も関係ねーって言うけどな。
俺は今の俺が好きなんだよ。それなりにな。
[とミリィに向かってニカと笑った]
そんなところで休憩って。
ハインリヒさんって、変な人。
[ふとミリィの足元を見遣って、彼女が宙に浮いていることに気付き、目を丸くしたが。ああでもここは多分、何だって有り得るんだ。そう納得した。]
[ミリィの歌声にあわせ、ハーモニカの音色が響いてくる。
ふ、っとそちらに目を遣った。]
……エーリッヒ様!!
[ミリィの手を離して、転がるようにエーリッヒの元へ駆けていく。]
―――うん。
ハインリヒさん。
私も、今の貴方が大好きだよ。
もし、先生に出会わなかったら、ハインリヒさんに惚れちゃってたかも。
[フフッと笑いながら、風に抱かれて踊り続ける。
ふと、ハインリヒの後ろを見ると、その母親が元気に手拍子をしている姿が見えた]
おばさーん!
いつも可愛がってくれて、ありがとねー!
[ユーディットは、ぱたぱたぱた、と駆けてきて――
ばっとエーリッヒに飛びついた。]
すみません! ごめんなさい!
勝手なことして、エーリッヒ様のこと一人置いてきてしまって!!
大丈夫ですか、今は――
ちゃんとお食事も睡眠も休憩もとってらっしゃいますか?
[眉を寄せて心配そうに尋ねる。]
[ハインリヒのぼやきにも笑い]
ああ、君も。随分と立派になって。
[途中でティルもやってくる。
少年から青年への階段を昇るその子の頭を、だが前と変わらぬように何度か撫でて]
ほら、エルザもこちらを見ていますよ。
いってらっしゃい。
[ポン、とその背を押した。
そして視線を外に向け、眠る子を抱く青年を見つけた。
静かに頭を下げる]
っと!
[飛びつかれて一瞬戸惑うものの、直後の問いに、掠めるのは苦笑]
謝らなくていいよ、ユーディが悪い訳じゃないんだし。
ちゃんと食べてるし、寝てもいるから、大丈夫。
仕事も、ちゃんと続けてるしね。
だから、心配いらない。
[問いに答える声は、穏やかなもの]
ミリィ。
[走って近づいて。]
…違うよ、嫌ってなんかない。
好きだよミリィ、私の大事な、…友達。
[親友と、言っていいのかは迷った。だから友達だとだけ伝えた。]
ミリィの絵、綺麗だった。
怖いくらいに綺麗だったよ。
…踊り、うんと、今はちょっと大変、だから。
[歪な両足は上手く動いてはくれない。]
[突然のミリィの言葉に一瞬固まった後、顔をほんのりと赤くして]
…ばっ。ったく、いきなり何いいんだすんだか。
たらればのお気持ちだけはありがたく受け取っておくからよ。
先生さんとチークでも踊ってろっての。
[続くミリィの言葉の先に視線を送り息をゆっくりと吸い込んで]
はは。お袋。無茶すんなっての…。
来てるんなら一言くらい声かけろよな!
[壊れるものに触るようにゆっくりと母親の手をとって。顔を伏せたまま続けてそっと抱きしめた]
いえ、私が至らなかったので。
[飛びついた身体をエーリッヒから離して、少し俯く。
が、エーリッヒの返答にぱっと頭を上げた。]
本当ですか? 本当ですね? 嘘は嫌ですよ?
……良かった。
それじゃ、……安心することにします。
[穏やかな声に、微笑みを返した。]
っ…ぁ。
[ミリィのすぐ近く、離れていく人が見えた。]
あ、あ。
ロスト様あっ!!
[もう一人の敬愛する主の名前を、叫んで呼んだ。
ああ生きてる、違う生きてないけど、違う、また会えた――。
少しだけ俯いて、口元に手を当て嗚咽を殺した。]
私も好き!
大事な、ただ一人の親友!
[イレーネの言葉にまっすぐな瞳で返した]
えへへ。ありがとう。
みんな仲良く―――うん。願い、叶ったよ!
大丈夫。イレーネ。
貴方の足が痛いなら、空を飛べばいいんだよ!
此処では、なんだって叶うから!
ほら―――。
[ミリィが空を指差す]
天も祝ってくれてる。
この村のように綺麗な―――虹だよ!
[空を覆うかのような、巨大で荘厳な虹が、天空にかかっているのが見えた]
もう、言わない。
[俯きながらの言葉には、静かにこう返し]
ああ、大丈夫、嘘は言ってないから。
ん……安心してもらえて、良かった。
俺の生活気にして彷徨われたりしたら、さすがに辛いからね。
[返された笑みに対するのは、冗談めかした言葉。
それでも、そこに込められた想いには、偽りはなく]
[楽しそうに会話する村人達。
己は然程に交流もなく、また今回のことで話すことも無いと思い近付くことは無かった。
我が子をあやしながら眺めていると、不意に技師と視線が合った。
一瞬の戸惑い。
彼を襲ったのは己であるために。
睨まれるかと思ったが、向けられたのはどこか優しげな笑み。
己が子を抱いていることに対してなのか、それとも他に何か理由があるのか。
向けられたものに戸惑いを覚えたまま、それでも技師に対し深く頭を下げた。
それに乗せたのは今まで技術を教えてくれたことに対する感謝]
/*
ええと、落としそこなうと悲惨なので、一足早い挨拶を先に。
今回もまた拙い企画にご参加くださり、皆様本当にありがとうございました。
不備も多く、色々問題となる部分もありましたが。
それでもこの村をやることができて良かったです。
赤で一緒に悩み、動くのを手伝ってくれたエウリノ、ゲイト。
全ての原動力となってくれたミリィ。
大舞台に付き合ってくれたアーベル。
縁故を繋いでくれたティル、ハインリヒ。
引っ掻きまわしにもめげずにいてくれたブリジット。
上手に動きをつくってくれたユーディット、ノーラ。
最後をしっかりと支えてくれたエーリッヒ。
共に物語を紡いでくれた全員に。
そしてこの物語を見てくださった全ての方々に。
心からの感謝を。
ありがとうございました。
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