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[ぼんやりとした様子で答えるイレーネはここを見てはいなくて]
イレーネさん?
兄様、が…?
何か、思い出したの?
[問いながら]
[それが何も今でなくても、と思う]
イレーネさん?
[蹲る彼女を支え、目で探す]
[ブリジットは今ここにいない]
しっかりして、ね?大丈夫だから。
[何も出来ない自分を、今ほど恨めしく思った事はなかった]
[呆然としている青い髪の少年に、飛び掛ろうとする獣の姿。
咄嗟に銃口を向け、引き金を引いた。
彼を掠めてしまうかもしれないが、獣を貫く音高い銃声。]
・・・・・・あ、
[男性の力に少女が抗える筈もない。ましてや今は、探している筈の1人の声も認識できない程。
ぐるりと視界が変わる。白い地面から黒い夜空へ。
窓枠に踏みとどまれる程の力はあるか否か。]
[視線を巡らせても、痛みに意識をとられて、霞んだ視界に惑わされて、現実はわからなかった。
しっかりしないといけないと、思うのに。
近くにあるのに、遠い。
名を呼ぶ声が聞こえたはずなのに、すぐには気づけなかった]
……だけどっ……聞かないと。
俺しか、聞けないからって……。
約束、したからっ……。
[投げかけられる声。
立たされても、尚、抗って。
それは、両親を失ってから、無理に大人びた態度を取ろうとしてきた反動なのか。
物言いは、年齢よりもどこか幼げに]
[突然立ち上がったエーリッヒを何事かと見やる]
[同様に立ち上がって扉の前へと移動するハインリヒに目を向ける]
相変わらず、気配を感じさせませんわね。
[何かつぶやきながら扉に向かうイレーネの姿を見ていた]
何かが起こっているというのかしら?
[広間で一人暢気に言葉を吐いた]
[自衛団長の言葉が頭の隅を掠める]
兄様、は。姉様だけ、を、食べて。
そのまま、殺され、て…。
[それは反射のように。
意識をしないまま、蹲った体勢からシスターに答える]
私は一緒に行かれなくて。
母様も、戻ってこなくて。
それから…それから……。
[その先の記憶は繋がらない。
そこで一度、全ての記憶は封じられたのだから]
でも、でもアマンダさん。
怪我…だれか、生きてる人が、いるかもしれない…!
[アマンダの優しい声に、泣きそうな声で。]
[助けたい、助けたいと訴える。][だが咄嗟の事で、大袋すら手元には無い。][辛うじて小さな傷薬は持ち合わせてはいたが。]
[男は揺れた少女の細身を抱きとめるようにして、室内へと引き戻す]
落ち着け、な?あぶねーから。
[そのまま小さな子供を宥めるように、軽く背を叩く]
[外から聞こえてきた音にびくっと身を震わせる]
銃声?
そんな…外で何が……?
[満ちた月、朱の花を持つ少女、そして、この場所]
………やはり、そうなのですか?
[過去の伝承との一致は]
[これから始まることへの扉が開かれた証]
[ぐらりと濃い血の匂いと、そして白を侵食していく赤に、体が傾いた。
だが背中に衝撃が走り、それで自分が木の幹のおかげで倒れずに済んだ事に気付いた。
周りではマテウスやアマンダが何か口にしている。
アーベルとブリジットが何かを懇願するような表情をしている。
その情景をぼんやりと眺めながら、...はギュンターの側に腰をおろし、見た目は冷静に脈を取り、瞳孔の開き具合を確認していく]
[窓から外を眺める]
[空には月が浮かんでいる]
綺麗なお月様ですこと。
[扉から外へ向かうミハエルやブリジットの背中を眺め]
みなさん、どこに向かうのかしら。
[空いたカレーのお皿を片付けている]
(ぽとん)
[ぽたり、掻いてはがれた爪から、血が落ちた。
おびただしい血の海の中で、
それは本当にささいな赤い一点だったけれど]
しっかりなさい。
アーベル。死ぬわよ。あなた。このまま。
あたしはあなたに死んで欲しくないわ。
[声だけはやさしくしようと、ただそれだけ勤めて。
振り返る。誰か助けられるかと叫ぶ薬師に、首を振った。]
今できることは、ここにいる全員すべて同じ。
戻るだけよ。
[気配が一つ。アーベルに向けて飛びかかろうとする狼
木箱から大振りの巨大な剣を抜き向けたところで、銃声が一つ響く
見れば、エーリッヒが銃を向けた姿が見え、思わずニヤリと笑みを向け
我侭をいうアーベルにいって聞かないアーベルを無言で殴り倒すと]
目が覚めたか。そんな寝言は寝てからいうことだな
お前がここに留まれば他の奴らとて帰らんだろう。お前一人の我侭でみなが危険になるんだぞ
わかったらさっさと動け
[張り上げこそしないものの凄みを帯びた声で告げた]
[開いた窓の外、獣の咆哮に混じって遠く響いた銃声を男は聞いた]
帰ってくるから、必ず。
[少女に言い聞かせる声は変わらない]
無理に思いだす必要はないの。
思いださなくていいのよ、イレーネさん。
[宥めるように声を掛ける。
触れれば怯えさせるようでそれは出来ず]
今は、考えなくていいから、ね?
[それで不安を拭えるとは思っていないけれども]
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