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"あのひと いく みた。"
[老婆の問いにはそうとだけ、答える。
「あのひと」のところで、自警団長が被っていた鉄兜を身振りで示し、「いく」のところで、窓の外の島の方角を指差した。
幽霊という概念が理解出来ているかは定かではない。]
私は、キャロルさんもギルバートさんも人間だと思います。
[二人会話し合っている内容が耳に入り、机の一点を見つめて、彼はぽつりと呟いた。]
─二階へ向かう階段─
[ギルバートに、]
一昨日、呑みに行った父親を迎えに出掛けた時、森であなたに背格好の似た人を見た様な気がする。
人狼を探しに──来た…人なの?
…復讐?
[台所から出て会議室へ]
[窓辺まで行き、窓硝子へ手を付けて完全に暗い、外を見る。窓が少し曇る。
窓に、こちらを振り返るキャロルの姿が映る]
…吃驚します。
誰も居ないと思うところに誰か…というか、幽霊が居たり。
死んだ人は死んだ人なんです。私たちとは違う種類の…ものだから怖いです。
[シャーロットを背に預かって、キャロルと一緒に二階へ向かう]
オレからも、あんたの素性は分からない。でも、この子を心配するあんたは優しい女なんだって思うよ、キャロル。
えーっと、母性本能って奴なのかな?
[キャロルがどこか身構えている。疑われているのか、と少し寂しくなって肩をすくめた]
─会議室─
分かりません。
けれど話をしたり、聞いていると、何だかそう思えたのです。
[特にキャロルさんは──と、机の一点を見つめながら、つけくわえた。]
森をうろついてたのは、間違いなくオレだな。でも、人狼を探すつもりじゃなかったよ。
復讐なんて…。
[クラークの最期を思い出す。少しうつむいた]
人狼に出会ったのは想定外だったけど。
復讐、か。そうだな。叶うものなら。
[カミーラに、異国の言語で話しかけ続ける]
“理解した。
あなたには、彼が人であったかそうでないものであったかは分かるだろうか”
[うーん、とシャーロットが苦しげに身じろぎする]
うるさくしちゃ悪いな。
オレはこの子連れてベッドに寝かしておく。キャロル、あとで寝巻に着替えさせてやってくれ。
じゃ、みんな*おやすみ*
[老婆の言葉にしばし考えて、]
"あのひと しろ みえた …きば つめ しっぽ ない"
[たどたどしくもなんとか伝えようとしている。]
死んだ人は死んだ人…か。
そうね、グレンが戻ってくる事は無いもの。
[ギルバートに、]
…優しい女になりたいわ。
でも、怖いの。それに…あたし、明日シャーロットが殺される事を…考えてる。優しくなんて無い。
あたしの父親は今、ブタ小屋にぶち込まれちまってる様な酷い年寄りだけど、人狼事件の被害者で生き残りだったのかもしれない。
何が言いたいか分からなくなって来たわ。
これから、あたし達、人狼と出会うことになる。
[ギルバートの言葉に、]
奥の作業部屋に寝間着が無いかあたしは探してくるわね。…おやすみなさい。
[おもいだしたように、はっと。]
"きこえた"
[その後、]
嫌だ!助けてくれ!!死にたくねぇっ!!
[そこだけはっきりと、この国の言葉で。
男性の彼の言うようなイントネーションで。]
─会議室─
復讐。
[そう言ったあとでまた軽く就寝の挨拶をしてシャーロットを運んで行ったギルバートの言葉を繰り返してみる]
キャロルさんの事はよく分からない…。ギルバートさんは少し、そう、きっと人間なんじゃないかと…思うけど。
デボラさんの言うことは実は、私はよく分からない。それでもシャーロットは狼だってデボラさんは言った。
シャーロットを………るの?
[キャロルが階上へ上がって行くのを見てからまた硝子に向かう]
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