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―自宅―
[父も母も揃って自宅にいました。
2人にも話は伝わっていたみたいです。宿屋に泊まることを告げた時も、強く反対はされませんでした]
……。大丈夫。
僕は、2人の子供だから……きっと、すぐに終わって、帰って来れるよ。
[待たせている少女の為に、泊まりの準備はできる限り急いで済ませました。
最後にもう一度2人と抱擁を交わして、僕らは宿屋に帰ります。
繋ぎ直した手には、さっきよりも強い力が籠っていました]
―宿屋―
……。あ、待って。
[宿屋に着いて、女将さんに泊まる事を告げて。
それから与えられた部屋に向かおうとしましたが、ふと思い出したことがあって、僕は一人食堂に向かいます。
そこに戻ってきた時には、宿を一度出た時のまま置き去りにしていた手提げ袋と一緒でした]
……少し、あげるよ。
疲れた時には、甘いものがいいんだって。
[キャンディやチョコレートやマカロンや、手提げ袋から一掴み分のお菓子たちを取り出して、いつかのように差し出します。
強く断られない限りは彼女の手に握らせて、それから改めて部屋に向かったのでした**]
[朝、目覚めが常より早かったのは夢のせい。
それは子供の頃の夢だった。
外は危ないのだと言われ広場で遊ぶことさえ
滅多な事では許して貰えなかった。
それで納得するほど出来た子供ではなかったから
こっそりと家を抜け出して同じ年頃の子と遊んだ。
後で親に知られて叱られたりもしたがそれに懲りる事はない。
外に居る時はのびのびと自由に振舞っていたし
家の事情を口にするのは避け表に出さぬようにしていた。
窮屈さを感じながらもその中で楽しみを見つけた。
今となっては遠い過去の記憶。
如何してそんな夢をみたのか当人にも知れない。
ぼんやりとした視線が虚空を彷徨う]
[机の上に広げたままになっているスケッチブック。
其処に描かれていたのは集められた者の中で
一番幼い者の姿だが、其れを誰かに見せる心算はない。
眠る前に描いた絵を蒼い双眸が暫く映していたが
小さく息を吐き出して、身支度を整えに奥へ向かう]
き、気を付、ツケ、てて、
[ライヒアルトが背を向けるのに、言葉をかけて。
エーリッヒが差し出してくれた布を受け取り、
ふる、と頭を横に振った]
ち、ち違ウの。
ま、ま呪(まじな)イ…
あ、ノ。
え、エーリッヒ…
か、髪をい一本、く、くクレな、い?
[辿々しい言葉は、昨日よりもひどく聞き取り辛い]
―玉泉へと続く道―
あああ集めなきゃあの人……
集めなきゃ あの人の
こんなに散らかして ああ… あああ……
[集めれば死体が蘇るはずもなし。
ただ集めなければと狂ったように、腕を内臓を地に膝ついたまま掻き集めて血みどろの山が出来上がる。
ライヒアルトがやって来たのはそんな頃だろう。]
─ →玉泉への道 ─
ああ、わかった。
……大丈夫だよ、多分。
[後で詳しく、というエーリッヒの言葉>>104には、頷いて。
ゲルダから、案ずる言葉>>106が届いたなら、僅かに苦笑した。
それから、俄かにざわめき増した空気の中を、再び泉へ続く道へと進む]
……なあ。俺ら、これからどうなる?
[横を進む副長へ向けて短く問う。
答えはすぐには返らず、ただ、後で知らせる、との言葉だけが寄越された]
(……あんまり、いい状況じゃない、な、これ)
[そんな予感を抱えながら道を行けば。
先に後にしてきた、あかの染める場にたどり着く。
──状況の凄惨さに、同行してきた団員たちがざわめいた]
[こくり。
頷いて、布を開いてみせる。
ロミの描かれた糸の中、前髪あたりに他の糸と違う色を
指さして、首を傾けて長身を見上げた]
…こ、こう、や、やって、つ、使うノ。
こ、こレで、わ、分かルのは、
か、彼女は、の、呪わレテな、無い、てコト
[固い声は、それでも安堵の色も滲ませる]
だ、だだか、ら
か、彼女、ガ 、え、選ばレタり、しテモ、
ぜ、絶対、こ、殺さナイ、で。
そうす、スルな、ナラ、わ、私を先二殺しテモ、いい。
[続けた言葉は、詰所に残る自衛団員へと向けて。
だが、彼らにそんな事を了承することがあるわけ無く。
否定の言葉に、無表情の口元を横に引き絞った]
―宿屋―
[翌朝。
僕が泊まっていた部屋から食堂へ降りたのは、村に悲鳴が響き渡ってから暫く後の事でした]
……女将さん、さっきの、聞いた?
[料理の支度をしていた女将さんに尋ねます。
彼女も気にはしていたみたいですが、何があったのかまでは未だ分からないようでした]
……。僕、ちょっと、見てくるね。
[ひとまず朝ご飯を頂いてから、僕は宿屋の外へと飛び出しました]
─ →玉泉への道 ─
……。えっと。
[勢い良く飛び出したはいいものの、少し行ったところで僕の足は止まりました。
部屋の中で聞いた悲鳴の発生源が分からないからです。
何か手掛かりがないかと辺りを見渡して、遠くの方に目立つ一団>>110を見つけました]
……あれって、確か……ライヒさん、だよね。
[一団を率いるのは団長さんでなく、何故か細工師の彼でした。
少しだけ迷った後で、後を追いかけてみることにしました]
─ 玉泉への道 ─
[人の声や足音が、耳を通って流れて行くも、ただただ座ったままでいて。
ようやく顔を上げたのは、団員か誰かに名を呼ばれたか肩を叩かれるかしてからだった。]
……ぁぁ……。
[何処か呆けたように、ライヒアルトと副団長を見上げて。
また視線は夫だった物へと戻っていった。]
[エーリッヒの言葉に、ゆっくりと頷く。
隻暗緑と、髪に隠れた右目の位置を、両目で真っ直ぐ見て。]
…し、証明、す、する手は、な、無イケど
ひ、ヒトリ、ずつ、み、見ティく、術、
も、持っテ、 る
[ゆっくり告げて、差し出す手は千切られた髪を強請る]
ヒトリ、ずつ、だ、かラ、
…つ、次に、誰見えルか、ま、迷け、とど…
[必要なものは髪一本。
自衛団員はベアトリーチェの話しを聞いた者なのか、
そんなタイミング良く何人も現れるものかと
胡散臭いものを見る目でゲルダを見ていた]
─ 玉泉への道 ─
[後ろを着いて来る気配>>115には、どうやら誰も気づかぬようで。
もし気づいていたら、押し止めようとしたのだろうけれど、それは叶わぬまま]
……えっ、と。
[どう声を掛けようか、逡巡していたら副長がヨハナの肩に手を触れ、名を呼んだ。
こちらを見上げた後、亡骸へと視線を向ける様子>>116に、眉を寄せて]
ヨハナさん。
……ここにいると、身体、冷えるから。
もどろ?
[そう、と呼びかける。
副長は団員たちの動揺わ鎮めつつ、亡骸を収容するようにと指示を出していた]
―回想―
…そうですか。
[爆発物は使っていない>>37、と聞けば、安堵の笑みを浮かべ。
銀貨も、対価として受け取って。]
あぁ、はい、分かりました。
[踏み台、と言われて、ある所から持ってきて。
ベアトリーチェの容姿などは、そういう人もいるよね、で済ませていた。]
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