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─村の通り─
[呟いた直後、ベッティの声に右手を顔から外して視線を向けた]
やぁベッティ。
……うん、ちょっとね。
[ベッティに向けるのは悲しげな笑み。一拍置いてから口を開いた]
──ゲルダが、消えた。
ユリアンが言うには、刈られたと。
―自宅―
あ…ゼル。
[部屋から出ると、ゼルが頼んでいた麻酔の瓶を持って待っていて。
タオルを手渡しながら、ごめんね。と謝った。]
迷惑ばっかりかけちゃった。
みっともないとこも見せちゃったし…
でも、わがまま聞いてくれて、ありがとね。
[そう言って、申し訳なさそうに微笑んで。
それじゃ帰る、といおうとしたところで彼の表情に変化があって。
どうしたの、と問おうとしてはっと思い当たって。
なんでもないと首を振られれば、…そう。と頷いた。]
─道具屋─
おかえり。
…というのも何か違うな。
[瞑っていた紅瞳を開いて顔を上げる]
[いつもと態度も変わらないよう冗談めかしてミハエルに微笑んだ]
[できたはずだ]
[弓を片手に立ち上がった]
イレーネ。
[妹も呼ぶ]
―自宅―
ああ。
[受け取ったタオルを片手に、送り出す言葉は短かったけれど、彼女が見えなくなるまで見送って]
『死神』。
[扉を閉めてから、その名を口にした。
遠く、空に上がって行くように視えたものがそれだと、判ったのは本能的なもの。
それがパン屋のある方角だったということまでは分からなかったが]
……アレが視えた、ってことは……
[ユリアンか、『もう1人』か。
そこに思い至ればきつく眉を寄せて、そのまま暫く玄関に佇んでいた]
─村の通り─
!?
[エーリッヒの口から告げられたのは、ゲルダの消失。
驚愕の表情を浮かべるも、すぐに目を伏せ、]
…………そう、なんだ。
おねえちゃん、『死神』に、刈られちゃったんだね。
[ぎりりと歯を噛み締め、悲しげに呟いた。]
―自宅―
[時間が経ち。
表で小さな声がしたような気がして、顔を上げた。
再び扉を開けて]
……何だ。
珍しいじゃねぇか。
[ユーディットの姿が見えれば、やや瞬いた]
―自宅―
[やろうとすれば整理は早かった。
普段のものぐさがばれてしまう感じである。]
よし。
『死神』が来ても安心だ。
[古い本・新しい本と並べていけば、わかりやすくなった筈。
これだけやれば平気だろうと満足げに頷いてから、とりあえず渡した本の原本を持った。]
いつも来てもらってばかりだし、持っていくのもありかなぁ。
[少し悩んだ後、まだ食べ終わっていない蒸しパンを咥えつつ、古い本を大切にしまった袋を持って外に出るのだった。]
―キノコ畑―
[そうした方が、きっとゲルダも喜ぶと、エーリッヒには言い残して、
自宅の方に戻るとキノコ畑の手入れを始めた。
いつもと変わりの無い行動]
これはまだ、早いか。
[収穫できるものは籠に入れて、新作のキノコ「美人髪」を栽培する場所を一角につくりはじめた]
いろいろ、残しておくか。
[後悔の無い様に、言ってる自分が、そうしていれば世話無いなと、突っ込むのは自分自身で]
─村の通り─
いずれ誰かが、とは思っていたけど。
いざその時となるとやっぱり……。
[苦しいとも悲しいとも言葉は続かなかったが、落ち込む雰囲気は伝わるだろう。目を伏せるベッティに気付くと、落ち着かせようとその頭に手が伸びる]
『刻』はおそらくまだ続く。
───ベッティも、悔いの無いように。
[誰かが消えるにしても、当人が消えるにしても。やり残したことが無いようにと、言葉で背を押そうと]
─ゼルの家→村の通り─
うん、それじゃ。
…ゼルもたまには、わがまま言っていいんだよ?
[見送られ、帰ろうとした所で一旦振り返り悪戯っぽく笑って。
お願いついでに、泣いちゃったの内緒にしてね。と小さな声でささやいた。
それで本当に帰ろうとした時、なんだか入りづらそうにしているユーディの姿が見えて。
ギュン爺の家でみた時のぎこちない歩き方を思い出して、苦笑しながら手を振って、言葉はないままに早く手当てしてもらってね、と伝え今度こそ自分の家へと戻っていった]
─ →道具屋─
─道具屋─
[出迎えの言葉にきょと。と翠が瞬いて、]
考えごとかね?
[瞑っていた目が開くに尋ね]
…。ふふ。
うん。ただいまなのだよ。
[冗談めかせた笑みに応えるように、
違う、と言われた挨拶に、応じる言葉を返した。]
─ゼルギウス宅・前─
……ふにっ!?
[物陰から出たり入ったり、傍目見事な挙動不審状態でどうしようかどうしようか、とぐるぐるしていた所に視線を向けられ、ひっくり返った声が上がった]
え、ええと。
や、やほー?
[とりあえずちたちた、手を振った]
―→村の通り―
[お行儀悪くもパンをちまちま齧りつつ。
のんびり歩いてゆくと、見知ったひとたちの話している姿。]
……(食べている)
[声をかけようにもまだ食べ途中。
まあいいやとばかりに気付いたかの確認もしないまま、ひらひらと手を振って、ゲルダのパン屋の方へと向かう。]
─道具屋─
…よし。
ただいまー、遅くなってごめん。
レナ、ミハエル、もう準備済んじゃった?
[店の前で立ち止まり、深呼吸してから中に入った。
中に居る二人に、待たせて申し訳なかったという気持ちは本当なのでそう言いながらごめんね、と苦笑して。
話しながら、自分の準備をすすめようと投げ矢の一式を棚から出し、ゼルからもらった薬をそれに塗りつける。
数本あれば充分だろうと、残りは万一誰かが使ったりせぬように厳重な棚にしまいこんだ。]
─道具屋─
[レナーテが入り口に向けて掛ける声に振り返り]
イレーナ。
[道具屋の主人の姿が見えれば、ととっ、と小走りに歩きより手を広げて出迎えた。]
薬はもらえてきたのかね?
[イレーナが作業をすすめる様子も、怒られなければ、大きな猫目でちょこまかと覗き込む。]
うん。ボクの方なら大体は。
何か持って行くものがあれば手伝うのだよ。
[消毒薬と、手ごろなナイフ。ポシェットをぽむと叩いて答える。出発できる。と、レナーテも頷くだろうか。]
─道具屋─
さて、あぁそうだ、これどうしよう…
[未完成のランタンの包みは、邪魔になるほどの大きさではないから持っていこうかどうしようか悩んで。]
ちょっとごめんね、すぐ戻るから。
[自室のキャビネットの中にしまっておくことにした。
胸元に手を当てて、少し目を閉じて祈るような仕草をしてから、またミハエルたちのところへと戻っていった。]
─村の通り─
[目を伏せていると、ぽふりと頭に載せられる手。
一瞬びくりと反応すると目線を上げ、エーリッヒの顔を見やる。
涙はない。ただ…………悲しみと不安の色は如何しても滲み出ていただろう。]
まだ……………まだ、誰かが刈られるんだね。
…………うん。
[「後悔のないように」という言葉には、目線を落とし短く肯定の返事を返した。]
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