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犯人を見つけた、と大騒ぎしなかっただけで十分予想外ですとも。
[水球に顔を突っ込んだイヴァンに、やった、と思い。
けれど、さらに力を篭められ、火炎の属性と共にじゅ、と水が蒸発するような音が聞こえた。
手首についた痕は痣と火傷と両方で、その痛みに顔を顰めながらも水球を操る力は止めず]
――…っぁ……
[苦痛のうめきを小さくもらし、どちらかが耐え切れなくなるまで、やめることはなく。
急激に力が弱まった隙にイヴァンから離れると同時に、水球も霧散した]
――そう簡単に、つかまっては面白くないでしょう……っ
[隙をついて窓の外へと飛び出して。
そのまま落下するか――というときに懐から薔薇色の杖を使って己の力の底上げ。
そして空気中の水分を集めて作ったクッションで無事に着地をしたあと。
――傷を癒すために泉のほうへと、逃げた**]
―昨晩―
[食堂通り越して厨房に来たあたいは、エーリッヒとかと食い物探して食べたのさ。料理は出来ねーけど生のままでも食えるもんはまだまだあるしな。
そんなわけでエーリッヒと、後から誰か来たならそいつらとも分けて、腹が膨れたら部屋に戻ったんだ。
部屋に戻ったあたいは、ベッドの上で腕組んで考えたのさ。]
しっかしどーにか戻るの止めらんないかな…寝たらいちいち戻るとか、めんどくさ…
はっ、そうだ!
寝なきゃいいんだ!
[やっぱあたまいいなあたい!
そんなわけで寝ずに一晩ごろごろしてたのさ。
リッキー達無事かなーとか。あでもハノスケも一緒なら大丈夫かなーとか。
あたいはハノスケが女とかリッキーが苦手だっての知らなかったから(気絶してたしな)、3人いればモン爺だし大丈夫か、ってちょっと安心したんだ。今考えるとハノスケにゃ大変だったのかも。]
……ぐー…
[しかしあたいは明け方近くにとつじょひらいした睡魔って名前の魔物には勝てなかったんだぜ…。]
―自室―
[眠んのが遅くて浅かったせいで、察しがいいあたいは部屋ん中の些細な異変に気付いて起こされたのさ。]
………!?
[黒い影があたいを包もうとしてんのを、内側から見……ってやべー!こいつぁやべー!何か怖っ!
あたいは寒気がするのと血が沸騰しそうになるのが同時にきたのさ。簡単に言うならぞわぞわ、って感じだ。鳥肌立ったぜ。
目は閉じらんなかった。おかげで何が起こったかは見るハメになんだけど…。
捕まる、って感覚の後に別の感じが出てきて、どっちも消えちまった。
あたいは暫く呆然とベッドの上にいたのさ。エーリッヒが来るまでな。]
エーリ、っ…
鍵、あいて
[ごんごん音がしたから、中入ろうとしてんのかなっておもったあたいはそう言った。きちんと言えないのは流石にごうたんなあたいでもびびってたからさ。
ってか震えてら。これはぞくにいうむしゃぶるいってやつだな!
エーリッヒは一人で入ってこれたかな。誰かに開けてもらったかもしんね。
とにかく入ってきたら、あたいはエーリッヒに抱きついたのさ。]
[……ん?あ、そっか、さっきの感じは。]
エーリッヒが、助けてくれた、の?
[うんって言われたら、あたいはエーリッヒに思いっきりぎゅーして背中を撫でるんだ。ありがとう、ってちゃんと言って。
後から誰か来たかな?
来たんなら回れ右したかったんだけど、ちょっと立てねぇ…。
仕方なくあたいは自分がベッティだって事はばらしたのさ。
女王の娘だって事は言わなかったけど、エーリッヒがひょっとしたら何かいったかもしんね。
聞こえたら、今度は目と目の間摘まんで縦皺の刑だけどな。助けてくれてもそのへんはお約束なんだぜ!
ちょっと落ち着いてきたら、あたいは騎士のおっさんからもらった腕輪がバラバラになってんのに気づいたのさ。
最初は守ってくれたから千切れたのか?と思ったけど、あたいを守ったのはエーリッヒの感じがしたから違うよなぁ。
巻き込まれてこうなったのか?
それとも、腕輪が何かしたのか…?]
それとも、古い物(ぼろいの)、くれた?
[誰かに言ったわけじゃねぇけど、あたいは呟いて、壊れちまった『自由』を見ていたんだ。**]
─館内二階・ベッティの部屋─
[扉を頭でごんごんしてたら、鍵が空いてると言うような声が聞こえて。
犬の姿じゃ開けられなかったため、一旦人の姿へと。
金の髪に暗緑色の瞳をした青年に変わると、ベッティの部屋の扉を開けた]
ベッティ! だいじょーぶ!?
[開けた瞬間、誰?って顔をされたかもしれない。
だから、またぽんっと犬型に戻ってベッティの傍へと駆け寄った。
傍によるとベッティが抱き付いて来る。
もふもふでベッティを受け止めると、くぅん、と鳴きながら顔を擦り寄せた]
良かったぁ、無事だったみたいだねぇ…。
うん、ベッティのところに力送っておいたのー。
そしたら、パンッ!って力が弾けるのを感じたのー。
だからびっくりして見に来たんだぁ。
[そうベッティに答えたら、思い切りぎゅーっとされて背を撫でられ。
礼を言われると、へら、と柔らかい笑みの気配を向けた。
他の者達が現れたなら何が合ったかの説明をして。
余計な事を言いそうになるとしっかりベッティに縦皺の刑に処されたり。
ふと、ベッティが何かに気を取られているのに気付くと]
ベッティどうしたのー?
[何かの残骸を見詰めているベッティに首を傾げて*訊ねた*]
―二階・ゲルダの部屋―
[何かを叩くような音、ちょうど扉を叩くような、
珍しくゲルダよりも起きるのは早かったかもしれない]
ん〜…?
[ゲルダの手は握ったままで、軽く上体を伸ばして16%程の覚醒をしていた]
―二階・ゲルダの部屋→ベッティの部屋―
[ゲルダの頬をそっと撫でて]
ちょっと、行ってくるの〜…
ゲルは〜、休んでてなの〜……
[ゲルダにその言葉は届いてたかどうか、ふらふらっとそのまま廊下に出ると]
ん〜〜……
[なにやら声のするほうにいくと、そこにはエーリとベッティに似た何かを感じる人がいて]
どうしたの〜…?
エリと〜……
[こてんと首をかしげた]
―東の泉―
[慌てて逃げてきたのはいいけれど、放置していて大丈夫だろうかと、ふと考えたりしつつ。
まあ、なるようになる、と僅かにため息をついて、泉の傍らで息をついた]
――……つぅ……
[一息つけば左手の痛みが増して、眉を寄せながら傷を見やる。
大きな手で絞められた痕と火炎の属性に負けた火傷が見えて。
深い吐息をこぼした]
逃げれたのは幸運でしたねえ……
[ほんとうに、と呟きながら泉に左手を浸からせる。
水の力を借りて癒しを使うけれど、痣は消えても火傷までは治せなかった]
さすが火炎……
[厄介そうに呟き、さてこれからどうするかと暫し泉の傍らで考え込んだ]
――ゼルギウスの部屋――
[遠くで、音が聞こえた、気がした。
ずる、と少し動き 呻き声]
ぅ…――…
[意識は随分と浮上してきている]
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