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−→樹の傍−
[アマンダはユリアンの言葉に、また瞬く。
優しい言葉とか、態度とか、そういった色々変わっているものに。
精霊であると、対であると、知られたからだろうかと、声を出して*訊ねはしなかったけれど*]
[コエでは伝えきれない気持ちを、
頭を撫でる手にぎゅっと込めて]
全くだ。とても心配したよ。
元気になったなら、さあ帰ろう?……ん?
[...は未だに気を感じることはできないけど。
草木を揺らすざわめきが風によるものではないのは明白。
――それはとても清らかで、この森には異質な感覚]
[やがて一本の樹の前で立ち止まりますと、それを見上げます。手を持上げると、淡く光る小鳥が宙を舞って枝まで飛んでゆき、たわわに実る果物を突きます。重力に引かれたそれは、ベアトリーチェの手の中に落ちてきました。
一口齧ると、新鮮な味よりも、翠樹と大地の力が強く感じられました。]
本当に、ごめんなさい。
[ユリアンの気持ちは伝わってきて、じんわりとした優しさに、
少し嬉しくなる。
しかし気づいたらしい風の子に、
心配させぬように微笑んで]
うん、帰ろうか。
大丈夫だよ
[何が、とは言わずに。]
[回復したように見えるティルから「大丈夫」と言われ、微かな不安と違和感はどこかに消え去り]
はやく帰ろうぜ。お腹すいたー
飯飯。ハーヴェイさんのごー飯ー!
ほら、また迷子にならないように。
しっかり捕まっておけ。
[すっかり日常モードの...はティルに向かって右手を*差し出した*]
[手を差し出されて、左の手をどうするか、と悩む。
なぜならそこには先ほど森に貰った、果実の類が握られていたから。
少し悩んで、先にそれを渡す。]
そうだね、かれはきっと待っていてくれるだろうね。
だから、これを先にもっていってくれないかな?
[軽く首を傾げて、ことさらなんでもない、普通の様子で。
違和感など思い出させないように。]
僕は森にお礼しないと。
この子たちにも、心配かけたし、ね?
[すっかり静まり返った墓地。
陽が暮れてから此処を訪れる人間は居ない。]
[街には、この墓地に夜な夜な”何か”が現れるという噂が在ったが、その噂の元がナターリエであった事をミハエルは知らない。]
[静寂のなかで、己の感覚が徐々に精密になってゆく。
ちからの感じられる場所。
遺跡へと、向かう。]
[すっかりと食べ終えて、口もとをごしごしと拭きます。そばに力が集まっているのは感じていましたが、今はまだ“その時”ではないから、ベアトリーチェは自分から動くことはありませんでした。いいえ、単に今は逢いたくなかったのかもしれません。]
……大丈夫だよ、フィロメーラ。
[そう云ったのは、肩に舞い降りた小鳥に対してでしょうか。]
―遺跡―
[遺跡へたどり着いたミハエルが見たのは、時を巻き戻したかのような姿の柱。以前に見たときは、ひび割れ、欠けてなかば砂へ還りかけていた筈だが。]
[そこへ在ったのは、力の残響と、その行使の跡のみ]
[亀裂の無い柱を、憎々しげに見つめる]
[ぴたりと手を当て、]
[だが首を振って]
[なんだか少し疑いの眼差しになったかもしれない風の子に、はやくしないとわるくなっちゃうから、なんて尤もらしく言いながら、
苗床は、ゆっくりと、そちらへ向かう。
聖なる子の力の方へと]
そうか、もうそんな時間なんだね
[こんばんは、と言い直して]
うん、まあおはようかもしれないけれど。
……君にとってはこんばんは、だよね。多分。
うん、そうだね。
[小さく肯いてから、首をかたむけます。]
きっとティルも、ユリアンから聞いているよね。
[なにを、とは云いませんでしたけれど。]
「彼女を護るために。」
[その声は、ベアトリーチェの口から紡がれたものではありませんでした。ティルの方をじっと見つめる、小鳥から。それは声ではなくて、思念のようなものでしたけれど、まるでほんとうの小夜啼鳥のように澄んだ声に聞えたでしょう。]
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