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…って大婆、ちょっと考えすぎ!
もう日が傾いてきてるんだけど。そろそろ部屋に戻んないと風邪引くよ。
[ちょっと寝てるんじゃないかこの婆とか思いながら、老婆の肩をがくがく揺さぶる。遠慮はない。
考え事をしている時の老婆はこれくらいしないと、死んだように反応が無いからだ。
しばらく揺さぶっていたら、ぱちりと老婆の目が開いて、いい笑顔でこちらを見つめ返してきた。
ちょっぴり嫌な予感。
こういう笑顔の後は、たいてい何かしらの反撃がくるもので。
少し、警戒して身構える。
だがその予感に反して、かけられた言葉は思いがけないものだった。]
[ちゃんと兄の傍らに居る少女の言葉も聞いていれば誤解などしようもなかったのだろうに。内容からも話し方からも。
外の人、と思って無意識にその言葉を聞き流していた。
この辺は兄譲りでもあるのかもしれない]
[ぱたって手を止めた。だってこっちに向かった声だし。]
おにーさま?
え、まさか。
ふーみんせんせーの、妹?
わー…!びっくり!おじょうさまだー!
[お兄様なんて呼ぶの、お嬢様としか考えられない!だから箱入り娘に違いない!]
……ちょいと失礼するよ。
[二人のそばから離れて、奥のソファーを陣取る。
右手は相変わらず、無精ヒゲを撫でている]
(―――野郎め。
よりにもよって、これか。
俺も覚えてない記憶を穿り出すつもりか。
親切心のつもりだろうが……闇の蓋を開けるものに、希望は見つかりゃしねえのによ)
甘い。
生徒に正しい知識を身に着けさせんのが、俺の仕事だ。
[180オーバーの視点から見下ろしつつ、かなり無茶な事を言っているが、気にしない。
否、気にする余裕がどこかに消えたかも知れず]
……おにいさま、って……。
[そんな呼び方をする者はいないはず、と思いつつ]
……玲?
どーした、なんか悪いものでも食ったか?
[声の主に向けたのは、惚けきった、しかし、どことなく戦慄した、問いかけ]
[おじょうさま、と呼ばれて目をパチクリ。
なんだか予想と大分違う…?]
あ、の。ええと…。
[そして見知らぬ人相手にはどうしても小さくなる性格で]
…ようこそ、いらっしゃいませ。
何も無い小さな村でありますけれど。
[必死に思い出したのは、綾野が昔、客人に対して使っていた言葉。ペコリ、と涼に向かって頭を下げた]
そーゆーコト。
丁度、今年だって聞いたモンですから。
[謝罪にはひらひらと手を振った。]
いやァ、都会の空気に疲れちゃいまして。
やっぱり田舎が一番・・・
・・ッと、どーかしました?
[途中で口篭ったのに気づいたか、はたと首を傾げた。]
[138センチのちっちゃな背じゃ、どー考えたってまともに睨みつけられやしないんだって。すっごい悔しい。]
ってことはふーみんせんせーはお坊ちゃま。
うっわぁ、にあわなーい。でもこれぜったい、売れる…
[ボソボソ。ケータイに保存しとかなきゃ。]
…べ、つ、に?
[兄に向けてはスタッカートの効いた言葉を返す。
かなり温度が違うのは、まぁ色々と仕方が無いのだろう]
3年ぶりのおかえりなさい、でしょう。
間違っていて?
[惚けた声に、後で見てろ、とか思ったとか思わないとか。
緊張の反作用、ある意味酷い八つ当たりのようなもの]
うん、今年。
今年から、綾野が祭りを取り仕切るんだって。
[「綾野、覚えてる?」と問いかけながら]
都会は、疲れるんだ…。
やっぱり、私は行けないね…。
[視線を落とし、小さく息を吐いた。憧れはしても、決して踏み出せない場所。少し想いをはせていると、訊ねかけられ]
あ、ううん。
何でも、無いよ。
[隠すように、ふるりと首を横に振った]
あ、はいよっと・・・
[ソファに腰掛ける利吉を怪訝そうに見たが、丁度帰ってきたコダマに視線を移して。]
・・・・あァ。
そんな、拗ねんでもイイのに。
[何を誤解したのか独りで頷いた。
コダマは榛名に撫でられ、ごろごろとご機嫌。]
し、ごと?
[利吉の答えにまた首を傾げる]
探偵の、仕事…。
探し人、とか?
[こんな小さな集落で事件などとは繋がらないらしく、唯一思い当たったことを口にする]
11人目、歌姫 琉璃 がやってきました。
[村の中でも知らない人がいない大きめのモダン調の屋敷、
その部屋の一室ファンシーなグッズやぬいぐるみの並べられ、レースのふりふりのついたベッドからその部屋の主の趣味が伺える。
メイド服を着た使用人が一人部屋のドアをノックし一礼をしながら入ってくる]
「瑠璃様、取材の方が…」
いつもみたいに断っておいて。
僕やだよ、わざわざさらし者になるのわかってるし。
「わかりました、ではいつものように断っておきます。」
[生徒の悪巧み?なんて気づく余地なし。
現状は、目の前の問題をどう片すかが重要で]
いや、別にって、おま。
[かり、と頭を掻きつつ、思わず突っ込む。
正直、様にならない事この上ないのだが]
……っとに……ま、三年ぶり、は間違いないけどな。
ただいま、と。
ああ、土産、傷まねーよーに、特急で持ってきたぜ。
生おじょーさまって初めてみた。
[ぽちぽち。そーしん…できませんっと。保存保存。電源ぷちっ]
えーと。
せんせー、おかーさんのおかーさんとこ、いってきまーす!
いもーとさんも、また後でねー!
[後でいっぱい話聞いて、いっぱい情報うってやろっと!]
「―――桜の枝が欲しいねぇ。
それも綺麗に花開いた見頃の桜の枝が。」
[唐突にかけられた言葉に、目を瞬かせる。その意図は、小百合にはまだ全く読めない。]
桜…?どうしたの突然。
「…いいから。
小百合、桜の枝を採ってきて頂戴。
そうそう、……村の桜がそろそろ見頃だったかしら。
あの桜が見たいわ。
あの村の桜は特別だからねぇ…。」
[初めて聞く村の名前に微かに首を傾げたが。
七日生の『曖昧なお願い』を聞かされるのはもう慣れたもので。
軽く息をついて、はいはいと手をひらと振り応えた。]
「『はい』は、一回で宜しい。」
[ぺしりと裏脛を叩かれた。]
と、ああ。
[涼の言葉に、生返事をしつつ。
ふと、ある事に気づく]
……場所、わかってんのか……?
[まあ、聞き歩けばすぐにたどり着くとは思うけど、と。
元気のいい姿を見送りつつ、また、頭を掻いた]
はい、おかえりなさい。
わぁ、ホントに買ってきてくれたの!?
今夜はお茶会ができるわ♪
[語尾が弾み、冷たい空気も吹き飛んで素が現れる。
まぁ付け焼刃なぞそんなものである]
綾姉や榛姉も呼んで…っと、ええと、そちらの方、は…?
[そこまで言ってから涼をちゃんと見ようとする。
…思った以上に小さい。170を僅かに超えた視点から見下ろした]
ま。
適材適所っつーけど。
[胸ポケットからくしゃくしゃのタバコを取り出して、火をつける]
俺は、手を伸ばしてくる奴の手は掴んでやるがね。
それ以上は何もしないし、手を伸ばさない奴までは知らん。
自分で伸ばす気持ちがあれば、それだけで、その先が開ける奴も多いしね。
綾野・・・へェ、おねーサンが。
もうそんな年っスか。
[勿論、と頷き、感心したように続けた。]
んン。空気も良くないし、ねェ。
毎日きちきち動かないと怒られっし、榛名サンにゃ合わない・・・
あァ、でも観光ぐらいなら何とかなるんじゃないスかね?
[肩を落とす様子に慌てたように付け足した。
何でもないと言われてしまえば、それ以上言及はしない。]
企業秘密…。
そっ、か。
探されてるのが分かったら、逃げちゃうかもしれないもんね。
利吉さんの実力、知らないからどう言うのが得手とか分からないけど。
目的あって来たって言うのは理解。
[うん、と一つ頷いて。それ以上は聞かないつもりらしい]
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