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─厨房─
[先程イヴァンが焼いて寄こした芋が乗った皿]
[そのままにしていたそれを手にし、潰してマッシュポテトにする]
[塩コショウで味を整え、ジャーマンポテト風に仕上げ]
[トレイにそれらの皿と紅茶を淹れたポット、それにカップを二つ乗せる]
……起きぬけにジャーマンポテトは重いかな。
[もう少し軽いものを、とパンやトマト、ハムなどを引っ張り出してサンドイッチを作り始めた]
[出来あがったものをトレイに乗せ]
[誰ともすれ違わずに厨房を出る]
─ベアトリーチェの部屋─
[再びベアトリーチェの部屋へと戻って来ると持ってきたトレイをテーブルに置き]
[良く眠っているのを確認すると、再び部屋を出た]
…マテウス。
[広間を離れた彼を見つけたのはいつ頃だったか]
[先程居なかった時の話を聞きたくて、マテウスの姿を探していた]
時間取らせて済まない、教えてもらえるか?
それと、もう一つ聞きたいことが。
イヴァンが、人狼を見つけられると名乗り出た時のこと。
何か知ってることがあったら教えてくれ。
[自分はあの時イヴァンの結果だけを聞いた]
[その前に何か言って居なかったかと]
[心当たりが無いかマテウスに*訊ねた*]
[ふと、目を開く。]
[『仲間』の気配だ。殺気を纏った。]
…ああ、イヴァンを始末するのね。わかった、お願い。
[すー、と再び目を閉じようとしたところで、いきなりそれを見開く。]
できない…?結界?
[歯噛みする。あの恐ろしい男に、手出しできない。『仲間』も同様にいらだっているのが伝わってくる。]
「守り手」がいるのね…それを先にみつけなきゃならない。
[『仲間』もついに諦めたらしい。部屋を去る気配が伝わってくる。]
…そう。なんとか、気の狂った男の戯言ってこと…に…しなきゃ…。
[すー、と今度こそ再びの眠りについた。]
[ふと、隣を見る。]
[ゼルギウスさんが、椅子に座ったまま船を漕いでいる。]
[ほんとうにずっと隣にいてくれたのだろう。]
[わたしはそーっと身を起こすと、俯きがちになっている彼の顔に、自分のそれを寄せる。]
…。
[少しの間その顔を見つめて。]
[ぱっと離れると、寝台に身を横たえて丸くなる。]
[わたしは自分の心臓が早鐘を打つのを感じる。]
[頬が熱い。でも、これはいつもの衝動じゃない。]
[これは何?]
[自分が今、何をしようとしていたのかを思い]
[わたしはさらに真っ赤になって、布団の中で*悶えた*。]
─二階・自室─
[不意に呼び込まれた目覚め。
時間の感覚は、曖昧]
……ーリィ……レィ……。
[途切れがちに紡ぐのは、既にない者の名]
……あれ……俺……?
[それから、自分がどこにいるのかを把握して、ぼんやりとした声を上げる。
暖かい空間。
どうやってここに移動したのか、その記憶は欠落していたけれど]
[口々に自分を非難する者たちに、個別に反論する気も失せる。何となく、そんな気はしていた。だけどこれほどまでとは]
なるほど。こうやってみんな滅びていくのか。
[「人狼に殺されて村が滅びるんじゃない。人狼に翻弄され、疑い合って自ら滅びていくのさ」
大昔、笑顔でそういっていたのは、他ならぬ、先ほど自分を非難した人物の一人]
そいつを無条件に信じる前に、少し考えてみればいいさ。
自分が人狼ならどんな姿をとる?どんな振る舞いをする?
疑うことに罪悪感を持つような姿になって、人に好かれるように振る舞う。あたりまえのことじゃないか。
火事場泥棒みたいなまね、か。だってしょうがないじゃないか。俺は人狼を探し出して追いつめるためにここにいるんだから。
― 昨日:集会所一階・水場 ―
[涙が零れることはなかった。
水にもう朱は混じらず、指先から落ちていく滴は透明。
心がどうであろうと、身体は疲労と空腹を告げる。
人狼も、そうなのだろうかと。
ちらりと思考が過った]
[少しふらつく足取りで厨房へと向かう。
料理をした気配はあったが、今は気配は広間にあるようだった。出来上がった食事には手をつけず、見つけたブロードや果物をトレイに乗せて、階上へ向かった]
……家主殿……か?
[意識が落ちる間際の呼びかけを思い出す。
というより、他に自分をわざわざ運びそうな相手の予測がつかない、とも言うのだが。
他者の信から遠い位置にいる事は、自身がもっともよく知るが故に]
……いらん手間を、取らせたか。
[嘆息して、しばし、目を閉じる]
それに、しても……。
何か、騒がしかったようだが……何があった?
[己が力を用いる事に集中していた意識は、その時起きていた事へと意識を向けさせてはおらず。
故に、未だ少女への告発の一幕は知らぬまま]
話……聞きにいかんとな……それに。
[手間を取らせた事に一言言わねばならぬから、と。
そんな事を思いつつ。
それでも、意識はもう少しの間、*夢現を彷徨うか*]
[その間にも、子供は後を付いてくる。
寄り添う影の如く。
部屋の前まで辿り着くと、振り返った]
………。
[音を発するまでは、暫しの間。
乾いた唇が、幾度か空気を掻いた]
…貴方は、何ですか。
[愚にもつかぬ問い。
すぐに視線を逸らし、中に入る。
子供に入り込む隙を与えず、閉ざした]
[祈りを捧げ、食物を齧り、飲料を流し込み、形式的に行う食事には、味も温かみもない。
空になった食器を戻しに行く気は起きず、トレイは卓上に残して、寝台に寝転がった。
着替えるのも、億劫だ]
[そう言えば、万年筆を置いて来たと思い出す。
もう、本来の用途には使えないだろう。
大切なものだった気がするのに。
あの時は、武器としてしか、扱っていなかった]
[後で、取りに行こう。
そうは思ったが身体は動かず、*やがて意識は闇の中*]
偽物が信頼されてしまったら。
そういう恐怖を感じずに自分が隠れているうちに食われることも考えずに。
探し出す者、だったらそこまで身勝手なことはできないよ。
探し出す者を騙る、なんて生き延びたい者のすることじゃないんじゃないかな。
みんなが納得するような人物を人狼だと告発して本物らしく振る舞っても、次第に嘘がばれて、怒り狂った奴らに八つ裂きにされるのが落ちだ。
一旦俺は、眠るよ。
[*二階個室へ*]
―二階自室―
[翌日。幼なじみが襲われた事で、彼が人狼でないことは核心できた。人狼が人狼を襲う可能性は、イウァンがベアトリーチェの対立上ないだろう。
分かっている事は沢山ある。だが。]
……言えば納得するような話、ならいいんだが。
[問題はその為の証拠が何も無い事だった。
おそらく皆、特にイウァンを疑っている者らは、簡単には信じないだろう。
苛立ちが募る。]
はがいい、ものだな。
[それでも何も出来ないより、ずっとましだったが。]
[『決して秘密を漏らすな。』
『獣の牙をあなどるな。』
『忘れるな―――』
祖父の声が脳裏に蘇る。
だが事が収まるなら、頑なに守ってきた事を、漏洩することも辞さない覚悟だった。]
そうすれば、あの子が、人狼が死ねば…
[終わると、はたと言いかけ脳裏に浮かぶ疑問。]
…終わる、のか?
そういうば、人狼の数は…
[一人なのかと。そんなことも、そういえばしらない。]
…ライヒアルトにでも聞いてみようか。
[以前はどうだったのかと。
寝台を降り、木箱を服の中にしまい部屋を出た。
そうして広間へと向かう。**]
-回想・広間-
[広間をあとにする少しまえのことイヴァンに]
イヴァンが人狼をさがしおいつめるためにいるなら、信用されるようにすることも俺は重要だとおもうがな。
今は俺たちを追い詰めてるようにも見える。
[肩を叩いて笑いかけ]
もう少し考えて行動してほしい、言いたいことはわかるだろう?
さっきは悪かったな、俺ももっと冷静でいるべきだった。
[イヴァンの反応はどうであったか…]
-回想・廊下-
[考え事をしながら、廊下を歩いてる。]
エーリッヒはあの時、ためらった?
ライヒアルトは慎重に選んで考え?それならあの時説明がなかったのも…
[思考の途中、ゼルギウスに会い]
ベアトリーチェの容態はどうだ?
[簡単な説明を返される]
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