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―二階・廊下―
[悲鳴の起きた場所から、墓守の使う部屋までは距離がある。
その為墓守がそれを目にしたのは、既に幾人かがその場所を訪れ、或いは立ち去った後だった]
フェイバーさん、ですか。
[青年の縋る亡骸を見て、確認するように呟く。
彼等が此処まで親しくなった経緯を墓守は知らない。
けれど仕事の為に彼を引き剥がすようなことは無く、少し離れた場所から、少年と話す様を見た。
少し前に来ていたらしい令嬢が二人に近付くのもまた、視界の端に収める]
─自室前廊下─
だって、前も……!
[トビーの言葉を否定する材料は持ち合わせていない。
けれどそう思ってしまう状況が揃っている。
泣きながら言い返そうとして、言葉に詰まった。
その間にトビーの手がグラスへと伸び、ラッセルの手から抜き取ってしまった]
うっ……ぅぅ……。
[空になった手で目元を拭う。
何度拭っても涙は止まらなかった]
―二階廊下―
何が有りましたの。
[錆の匂いが強くなり息を飲む。
下唇を軽く噛み締めて足は止めずに進む]
フェイバー様が亡くなられたのですね。
[近づけば会話の内容も届いて来る。
確認する様に部屋を覗き込もうとした]
―ラッセルの部屋の前の廊下―
[ラッセルに言っていたら、ドアの音でようやく気付く。
声の方を見る。
昨夜もなんだか、へんな目で見られた気がする。]
おはよう、ヘンリエッタさん。
ここは危なくないよ。たぶん。
[ギルバートの死体のそばだというのに、大丈夫だよと言う。
その先に、黒い影があって、そちらにはまた片手を振る。]
―廊下―
怖い?どうした、大丈夫だよ。今は俺がいるから。
一人じゃないから、大丈夫。
[そう子供をあやすように背を撫で、シャーロットをなだめた。
そうして少しした後。]
……向こうで何があったか見てきたかい?
[そう遠まわしに、怯える原因だろう事を尋ねた。]
─2階・廊下─
[部屋を出て最初に感じたのは、昨夜も間近に接したにおい。
眉をひそめ、周囲を見回したなら、その源には容易に気づける]
あれは……ギルバート殿?
[小さく呟く。
亡骸の側には、青年と少年。そして、近づく少女の姿を認め。
歩き出そうとした時、ふと、もうひとつの気配に気づく]
……墓守殿。
―二階廊下―
お早う御座います。
[トビーに危なくないと言われ頷き足を進めた。
露になった光景からは即座に顔を背けてしまう。
近くに居るトビーを見て。
ラッセルを見ると動きが止まった]
………。
[凝視する様に見詰める]
[ハーヴェイから宥めるように背中をなでられる。
一人じゃない、しかもハーヴェイが一緒。もうそれだけで安心ができる。]
…あり…がと…
[小さな声を返しハーヴェイを見上げる。まだ少し硬さは残るがおびえてる様子はだいぶ消えた]
…(ふるふる
[見てないと。首を振って答える。そこに一人で行くのは怖くてとても無理だったから。]
―ラッセルの部屋の前―
一度でも、二度でも、三度でも、四度でも、何度あっても偶然だよ。
そういう風に、誰かがしてるのだったら、別だけどね。
ラッセルさんが信じたら、信じた人を殺す、とか。
して、楽しい人いるのかなぁ。
[首を傾げて。
コップを取った手は、体の前。ちゃんと握っている。
泣いているのをみて、拒絶されないなら手を、涙をぬぐうように伸ばそうとするけれど。]
水、もっともってくるね。
でも、その前におりてきてくれたらいいなぁ。って思うよ。
ずっと座ってると歩けなくなっちゃうから。
ええと、広間?に行ってるね。
[涙に触れるにしても一瞬だ。
そのままくるりと向きをかえて、広間の方に*降りていく*]
―二階廊下―
[視線がこちらに向いた者には、静かに深く頭を下げる]
人狼ですか。
[そう尋ねたのは片手を上げた少年にか、涙する青年にか。
漏れ聞こえる会話の内容に口は挟まないものの、時折目を細めていた]
御早うございます。
[背後からの女の声にも、常と変わらぬ表情で、常通りの挨拶を返す]
─自室前廊下─
[ヘンリエッタに気付くのはかなり遅れた。
トビーが声をかけたことで傍まで来ていることを知る。
声をかけることなぞあるはずもなかったが]
……そんなの、僕には分からない……。
[自分の信じる者を殺して楽しい人が居るのか。
そう疑問を口にするトビーには一言だけ紡いだ。
その後はただ嗚咽ばかりが口を出て、涙を拭って行くトビーの手を拒絶することも出来なかった。
広間へと降りて行く背中すら見ることが出来ない]
─2階・廊下─
[常と変わらぬ、墓守の挨拶。
苦笑がこぼれた]
おはよう。
……本当に、あなたは、こんな時でも変わらないのね。
[返す言葉にこもるのは、呆れかそれとも感心か。
それから、碧の瞳は倒れたギルバートへと]
……アーヴ殿と同じ……かしら、ね。
―廊下―
そうか……シャロ、俺は向こうに行こうと思う。
部屋に戻っているかい?それとも、俺と一緒に行くか?
[そう怯える娘に告げた。
私的には向かいたいという思いはあれど、彼女に無理をさせる事はしたくない。
ゆっくりと、考える時間を与えるように彼女に告げた。]
―廊下―
[問いかけるハーヴェイの姿、少しだけ考えてこくりと頷く]
いく……
[ハーヴェイは向こうに行きたがってたし、一人になるのもいやだったから一緒についていくことにした。]
―二階廊下―
[何かを確かめ様とラッセルに手を伸ばす]
何を視たの。
黒い星を持つ人。
[呟きは小さくて何処まで届くだろうか]
―二階廊下―
御客人に失礼なことはできませんから。
[返した言葉は恐らく、踊り子の意図したものとはずれている。
その視線に従い、墓守もまた雑貨屋の遺体に目を遣った。
その横を少年が通り過ぎて行った]
人為には見えませんね。
―廊下→ラッセルの部屋の前―
ん、わかった。
俺の手を離さないようにな。
[そう言い、彼女の手を握り声のする方へと向かう。
握った手から震えは伝わってくる。彼女の心を支えられるよう、強く手を握り返した。
シャーロットにあわせ、比較的ゆっくりとした速さでラッセルの部屋の前までたどり着いた。
そこからヘンリエッタの呟きは、耳に入るには小さすぎただろうか。]
─自室前廊下─
[服の袖で何度も眼元を拭う。
トビーが去った後に残ったのはヘンリエッタ。
静かに問われる声に、視線を上げた]
……くろい、ほし?
[訊ね返すも、手が伸びて来るのに気付けば、触られまいと逃げようとする]
─2階・廊下─
……真面目ねぇ。
[返された言葉。
こちらの意図とはずれた返答だったが、逆に、らしいと思えた]
あれが、人にできるとしたら、よほどよね。
[人為ではない、という評にひとつ頷く。
ヘンリエッタがラッセルに手を伸ばしたのはその直後か。
微かに捉えた呟きに、女は眉を寄せる]
……黒い星?
―二階廊下―
[手から逃げられれば諦めた様に引いた。
一歩二歩と暗い瞳で青年を見据えたまま後退る]
そう、黒い星。
信じてはいけないのね。
[懐に手を入れる。
部屋に置かれていた銀の短剣を取り出した。
アーヴァインの家の紋が入っている品だ]
信じられませんわ!
[短く叫ぶ。其の唇が僅かに弧を描いているのは正面からで無ければ分かり難いだろう]
[ハーヴェイに手を握ってもらいながら後についていく。
ヘンリエッタの呟きはもちろん聞こえていないが部屋の前につき…、
ハーヴェイの手を握る手の力が強くなる]
……
[ハーヴェイの背に隠れるようにしてそちらの方をなるべく見ないようにした。]
―二階廊下―
よく言われます。
[評に返すのはやはり常の態]
[その後の言葉には頷きながら、令嬢が青年に向け手を伸ばす様に眉を寄せた。
微かに聞こえ、踊り子の繰り返した言葉の意味は知らない。
だがその先にいる青年の様子が気に掛かり、そちらに向けて一歩踏み出す]
─自室前廊下─
……僕は、もう誰も信じちゃいけない。
そんなの、分かってる……。
[視線が落ちた。
けれど目の前で何かが動くのを感じ、再び視線を上げる。
そこには短剣を取り出したヘンリエッタの姿]
っ、やめ──っ!!
[何をしようとしているのか直ぐに判った。
弧を描く唇、自分を殺そうとしているのが良く分かる表情。
咄嗟の防衛本能が身体を動かす。
ラッセルの両手が、ヘンリエッタを突き飛ばそうと動いた]
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