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それは……俺だって、そうだった……。
[そう思えたのは、二人だけで。
だからこそ。
病状が悪化するたび、その姿を見せたくなくて、村を離れた。
心配させたくもされたくもなくて]
…………馬鹿野郎が。
お前だって……消えるつもりだろ……ルーツィアと同じに。
いや……あの時は。
俺が、手を離した。
聖痕に負けて。
……雪の中に、置き去りにしたんだ。
[側に居ると誓ったのに、と。小さく呟いて]
[答えはない。でも、それは答えとして十分で]
……ああ。
だから、俺は、これに従う事を拒んで、抗っている。
これは……大切なものすら、手にかけられる……呪い、だから。
あなたにもイレーネにも…出会わなければ良かった
[小さく口唇からこぼれる]
そうすればあなたを苦しめることも
イレーネを殺してしまうこともなかったのに
[そして]
[ほほえんで]
…[手をのばす]
[その口元のあかを拭う]
殺されていればよかった
[でもとつぶやき]
あなたたちとあえて、しあわせだと思うんですよ
あなたが苦しんでいるのに
[触れられた瞬間、蒼の花が激しい痛みを伝える。
拒めと。殺せと。意識に囁く声。
それに、黙れ、といわんばかりに。
蒼の花に、爪を立てる]
お前……ほんとに、馬鹿野郎だなっ……。
[かすれた、声。振り絞るように]
……俺は……かわりたくないから、逆らってるだけだ……。
別に、誰かの……お前のせいだなんて、これっぽっちも……。
[苦痛なのだろうと思う]
[それでも]
馬鹿ですよ、私は。
ずっと、もう、ずっと前から
[微笑みは絶えず]
[抱きしめる][そっと]
ああ……まったく、どうしようもねぇよな。
[俺もだけどな、と呟いて。
抱きしめられて驚くものの。
逆らう余力もなく。
そのままで]
[ぽふ、ぽふ、と背中をなでて]
[微笑を刻んだまま]
馬鹿ですみません。
[小さく笑って]
あなたは……
[言いかけて]
[口ごもった][目を伏せる]
[一つ、頷く]
……終りにしたい。
誰かに、罪悪感を与えたり、自己嫌悪に陥ったり……もう、繰り返したくない……。
[だから、と。そこで言葉は途切れるものの。
言わずとも、意味は届くだろうから、と]
[片腕をそっとはずして、][頬に触れさせる]
私は、あなたには、生きていてほしい
それでも……
[言葉を、飲んで]
あなたが、死にたいなら。
あなたが、死ぬなら。
ほかの誰にも、あなた自身にも、
あなたを殺させたくない……
[微笑む]
[いつもなら怒鳴りつけそうな状況。
それでも、そういう意識は働かなくて。
蒼の花が伝える激痛に、感覚が麻痺しているのか。
他に理由があるのかは、定かではないけれど。
ぼんやりとした意識が、状況を容認している事だけは、明確だった]
あまい
[そっと][口唇に上らせて]
[月はまだないけれど]
[微笑んで]
[再び、腕を回して]
[体を抱えあげる]
[そしてベッドに、その体を寝かせて]
[自分が移動したのを感じて。ああ、窓辺に座り込んでたんだっけ、とふと思い出す。
身体を浮かす熱は、蒼の花のもたらすものかそれとも、と。
ぼんやりとした思考を巡らせつつ。
じっと、見つめて]
[じっと見つめられれば苦笑して]
[その口唇を][今度は][重ねる]
少し、外に、いってきますね
後で、戻ってきます
[小さくささやいて、*部屋を出る*]
―→自室―
[特に逆らう事もなく、そのまま受け入れて。
囁かれた言葉に、小さく、ああ、と頷く]
……。
[何か、言いかけたけれど、言葉にはならず。
ただぼんやりと、*出て行く背を見送った*]
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