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─翌朝─
[昨夜は食事の後、残った者といくつか話をして。疲れたからと洗い物は他の人に頼んで直ぐに部屋へと戻った。その眠りはとても深いものだったが、翌日目を覚ましたのはいつものように早い時間。眠れたよなそうじゃないよな、不思議な状態だった]
……ぅー、お風呂沸かしてすっきりしよう。
[何だかすっきりしないためにそう思い立ち。薪を用意しようと外に出る準備をして玄関まで向かった時だった。一番鶏の鳴き声とは程遠い、情けないとも言えるような、悲鳴]
───え、なに。
今のってダーヴさんの声……ジジ、イ?
[団長、とはっきり聞こえた。胸騒ぎを覚えて慌てて玄関の扉を開け、声のした方へと駆ける]
─ →納屋傍─
[駆け付けた納屋の傍、そこで先に見つけたのはダーヴィッドの姿。仰向けに倒れた姿に駆け寄る]
ダーヴさん!?
ねぇ、大丈夫!?
[何があったの、と身体を揺するが目を覚ましただろうか。息は確認出来て、気絶するだけと知ると少し安堵した。ぺちぺちと何度か頬を叩いた後、ふと、叫ばれた言葉を思い出す]
そうだ、ジジイは───。
[どうしたのかと、ダーヴィッドから視線を上げる。そうして、その先に見えたものに絶句した]
─────………!
お、じい、ちゃん───。
[凄惨な状況に、ジジイと呼ぶ前の呼び名が口から漏れる。ダーヴィッドの傍でへたりと座り込んだまま、状況が飲み込め無いと言うよに呆然と*していた*]
―回想 広間―
えー。のんびりしてたーい
[少しは自分でも動けというエルザに垂れながら抗議の声をあげたけれども]
まぁ…しばらくここに拘束されるみたいだしたまには仕方ないか…
[諦めたようにのんびりと起き上がりローザに続いて台所へと向かう。無駄なことばかりしてるわりにこういうときは指示もなくテキパキ動く。最もそれを聞かれればだらだらすると逆に疲れるとかいうだろうけど]
うん。もうちょっとしたら俺、死んじゃう。七回ぐらい死んじゃう。
だからねだっても仕方ないんだよ。
[なんで七回かとかはきにしない。手伝いながらも、いい匂いだなぁ。などと思っている]
…む?エリ兄食わないの?大丈夫?
[ようやっと終えたところで、エルザと話していたエーリッヒとに注目した。
なんでもないというように笑みを浮かべていたが、フォルカーの後に戻ってきたイレーネを見て、仲直りをしたのだろう。よかったよかったとのんびり思いつつ、食べた
食べた。食べた。食べた…何気に食べ過ぎたのは心配されたとおりだったのかもしれない。
満腹になるとご機嫌に二階へと去っていった]
―回想終了―
─広間/夜─
[暖炉横で猫を構いつつ物思いに耽っていれば、戻ってきたフォルカーが猫に声をかけ>>97]
やあ、お帰りなさい。
[にこり、と笑って声をかける。
猫は気にしない気にしない、と言わんばかりになぁう、と鳴いて、少年の足にすり寄った。
頑張ったね、と言いたいようだが、それは果たして伝わるか]
[やや遅れてイレーネが戻り、エーリッヒが広間を離れる。
暖炉側から立ち上がったのは、その少し後]
では、俺も一足先に休ませていただきますか。
ごちそうさまでした、美味しかったですよ。
[作り手たちに笑顔でこう言って、広間を後にする。
猫も、エルザに向けて礼を言うように一鳴きしてからそれに続いた]
―翌朝 自室―
……なんだ?
[朝もはよからの目覚めのきっかけはしんとした冷たい冬の空気ではなく。盛大な悲鳴。
だらけている普段の姿とは似つかわしくない動きで、がばっと起き上がり、一階へと降り玄関へと外に出て、悲鳴の元を探して]
─ →納屋傍─
イレーネ。ダーヴ?どうし…
[いいかけたところで、濃い鉄の匂いに顔を顰め、その匂いの元を見てしまう]
ぁ……ぇ……?
[倒れているダーヴも蹲ってるイレーネも心配する余裕もなく。呆然と言葉にならない声を呟く]
─二階・個室─
[部屋に戻った後はまた、昼間も出していたノートに何か書きつけ。
素焼きの皿の状態を確かめてから、眠りに就く。
目を覚ましたのは、夜明け前。まだ、静寂が集会場を包む頃。
真っ先に確かめたのは、素焼きの皿──だったのだが]
……っ!
[皿に零しておいた真紅。
それは、今は真珠を思わせる真白に色を違え。
それは──その事自体は、自分としては何よりも安堵できる結果ではある、けれど]
……『力』が、動いている。つまり、それ、は。
…………『いる』と。いう事か……!
[もう一つの『事実』は喜ばしいとは言えず。
ぎ、ときつく唇をかみ締めた]
爺さん…?
[なのだろうか?こんな傷跡もっていたか?いや、こんなに血がでていていいのか?飛び散っている鮮血。その身に被っている傷跡。]
あ…れ?
[しらない。けれどなんでか知っている。こんな光景。知らないのに知っているのがおかしくて、こんなに血を出して大丈夫なのか?と、考えるだに無駄なことが脳裏に浮かぶ。
頭が痛い]
……今のは……まさか!
[響いたのが誰の声か、そして、呼ばれていたのが誰か。
それを覚ると、部屋を飛び出す。猫もそれに続いた。
早朝の空気の中を走るのは辛くはあったが、今は堪えて、声の聞こえてきた方へと向かい]
─ →納屋傍─
……っ!
[倒れたダーヴィッド、座り込むイレーネ、呆然としたユリアン。
そして、真紅に染まる自衛団長。
目に入るそれらに、翠が険しさを帯びる]
なんて事に……。
って、ユリくん!
しっかりしてください!
[ここで更に気絶者が増えるのはまずい、と。肩に手をかけて、揺さぶってみた]
ぅ…うぅっ
[気づいたら足元がふらつき、このままだと倒れそうであったが、直前に気づけたので足を動かしバランスをとる。気持ち悪くて吐き出しそうなのを、胸と口を押さえて無理矢理押さえつける]
ぁ…ぁあ、オト兄…来たのか。ってかちょっと揺らさないで、吐きそう
[いつもよりは明らかに弱弱しく言う]
っと、ああ、すみません。
[弱々しく言われ、肩から手を離す。
猫は座り込むイレーネに擦り寄り、案ずるようになぁ、と鳴いた]
それにしても……。
[言いながら、視線は団長へ]
一番、嫌な形で。
『いる』事が立証されてしまったよう……です、ね。
……ぅ…ふぅ…いや、いいけど…やべ、わけわかんね。
[息を整えてからオトフリートに答える。
昔から暮らしており、しっかりと知り合い。
それを失った悲しさもあるけれど、それよりも死にかたが衝撃的だった]
一番嫌な形って…?ぁあ
[変な光景は浮かぶは頭が痛いはとあるのに、いいたいことが理解できた。こんなときだけ回転する頭が憎らしい]
……この状況で、落ち着いていられる方が、どうかしてますよ……。
[自身とて、動揺はしている。
それを表に出さないのは、冷静さを失してはならない、という自制心故の事]
……ええ。
新たな犠牲者、という形での、立証。
こうなると……状況は、ありがたくない方向に流れていくでしょうし、ね。
[言いつつ、ちらりと視線を向ける。
騒ぎに気づいた自衛団員たちが集まってきているのが見えた]
だね…ぁあ…爺さんよ。せめてイレーネの花嫁姿でもみてから天寿全うってことでいきやがれ
[口調は悪くも、悲しみを帯びた声を吐き出す。]
どう調べてたのかわからないのに、期待なんてできないよね。最悪の光景しか浮かばない。
[自衛団員は横目にして直視はせずに]
どうし…ようもないね。
ダーヴ起きろ
[聞こうと思ってやめる。そしてショックを受けているイレーネにどう言葉をかけていいかわからず、ダーヴを起こそうと声をかける]
……まったくですよ。
[ユリアンが団長に向ける言葉に同意のため息を零し]
ええ……仮に、ギュンターさんの方で調べがついていたとしても、この様子では団に伝わっているとは思えませんから。
[団長の様子に広がる動揺。
向けられる畏怖の視線。
ひとまず、抑えなければならないか、と。
そんな思考が過ぎり]
……ユリくん、ダーヴくんはすぐには起きそうにないですし。
それよりは彼女を、中へ。
広間で、温かくしてあげた方がいい。
ユエも連れてってやってくれると助かります。
[一応、視界は遮るような立ち位置を取ってはいるが。
イレーネを長くここに居させるのはよくないのは明らかだった]
…そうみたいだね。オト兄は冗談言わないし?
[少しだけいつもの調子を取り戻しつつ、自衛団員たちの様子をみて、オトフリートの言うとおりだと確信して]
そだな。ダーヴは頑丈だし
イレーネ、いくぞ。ユエもおいで
[意識はあるのか、無意識か。立たせてひっぱるように、無理なら背負ってイレーネを広間へとつれていこうとして立ち止まり]
…ところで…一人で大丈夫?
[それは自衛団員相手のことについて聞く]
こんな時は、気の利いた冗談の一つも言えるようにしたいんですが。
[中々ねぇ、と苦笑する。
ユリアンに呼ばれた猫はなぁう、と鳴いた]
……ん、ああ。大丈夫ですよ。
俺が荒事苦手なのはあちらもご存知でしょうし……それに。
[す、と。
翠に宿る、険しい色]
……この状況で暴走する事を団長が望まないことくらい、ちゃあんとわかってらっしゃると思いますから?
[そのいろと共に団員に向けるのは、言葉による牽制]
気の利いた冗談なんてオト兄の口から出た日には槍が降ってもっと悲惨なことになるからやめて
[なんだかそれはそれで失礼な気もすることをきっぱりといって]
うん。じゃあ頼らせてもらう。
あんま外いて倒れられたらヘル姉に俺が三枚どころかみじん切りにもされかねないから程ほどにね
[とこうしていつものように喋ることでどうにか落ち着こうと試みつつ、牽制の言葉を投げているオトフリートを残して、イレーネとユエとともに集会所へと入っていく]
……それは、どういう意味ですか。
[槍が降る、と言われれば、さすがにむっとしたような面持ちになり]
ええ、では、そちらはよろしく。
……それはもれなく、俺自身も刻まれそうですし、気をつけますよ。
[程ほどに、との言葉に、妙に真剣な口調で返して。
ユリアンたちが中へ戻るのを見届けた後、団員たちに向き直った]
[広間に向かう途中すれ違う人間に聞かれれば
見ないほうがいい。とはいいつつも、何があったのかは知らせるべきと。自衛団長が殺されたこと。傷跡などから亡くなった元鉱山夫と同じ…だと思うと。最後は元鉱山夫から仮定のようにいいつつも、ほぼ確信をもって伝えて、広間へと]
―広間―
[暖炉から近い椅子に無理矢理といっていいぐらいかの強引さだって必要なら披露して座らせて]
…冗談じゃなくて本気だったとはなぁ…ってことは対抗する力を持つものも…?
[独り言のように呟きながら暖炉に火をつける
その心中では、遺体を感じたときにみた違和感はなんだったのだろうと思いながらも顔には出さない]
イレーネ。なんていえばいいかわからんが、無理せず悲しいときには泣けばいいから…でも無茶しても誰も喜ばないからな。
[慰めになるのかも自分でわからない言葉を口にするが、自分が言って効果があるかわからず、イレーネの膝の上にユエを乗っけて、自分もいつもの椅子の上に座り、もしも広間に先にきたものがあれば、そのもの達にも同じように*説明しただろう*]
さて、と。
恐らく、そちらが聞きたい事と、こちらが聞きたい事は、同じだと思われるんですが。
第一発見者らしきダーヴくんがこの状態なので、俺たちとしては、どう説明したらいいのか皆目検討もつかないんですよね。
検死などは、そちらの方が本職でしょうし、お任せする事になりますが……。
[淡々とした口調で、ここまで告げ。それから]
……俺たちの処遇がどうなるのか、それは早めにお聞かせいただきたいところですね。
あなたたちの『現場判断』ではなく。
『正式な見解』として。
[『正式な見解』も、自分たちにとって芳しくないのは予想できるが、感情に任せて全員処刑、などと言い出されてはかなわない。
だからこそ、常には見せない冷徹さを込めて言い放つ。
普段穏やかな天文学者の様子に、幾人かは気圧されたり、困惑したりしたようだが。
とりあえず、処遇は村の上層部と相談する、という言葉を引き出す事には成功した]
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