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まぁそうなんだけど。
だったら何故?っていうのもあるからねー。
辻褄合わせるなら、向こうで何かあって、西行院さんが涼ちゃんを処すべき者として殺そうとして、逆に涼ちゃんに殺された…かしら。
[もっとも、何があったのかは分からない。見ていなかったことを想像するのは、思った以上に難しい。]
ああなるほど、『誘われる者』って、別に誰でもなれるわけじゃないのね。
呪いの類なら強制的に…とか思ったんだけど。
[同調したり取り憑かれたり、そういうものだろうかと納得しながら。]
[史人に続いて、涼の祖母の家だろうと思われる家に向かう。
雨足はまだ強く、これなら外にある屍の血は流れきってしまうだろうかとか、そんな余計な事を考えながら。
ようやくついたブルーベリーのある家。
中に入れば、晴美と涼の祖母と思われる女性の遺体が見つかったろうか。
晴美は史人と孝博に任せ、自身は老女の方へ。
表情は険しい。
うつ伏せだった死体を仰向けにすると、微かに息を呑む。]
…この人も、おなかの辺りが何もない。
[呟き、千切れそうな遺体を無理やり抱え上げ、台所から居間の方へと移し、横たえらせて毛布をかけておいた。]
[ふと気づく。聡の姿が見当たらない。]
…さっちゃん?あれ、何処言ったんだろ。
[知らない?と誰かに尋ねても、おそらく良い返事は返って来ないだろう。
しぶしぶついてきたから、途中でさぼり宜しく抜け出して旅籠に戻ったのだろうかなどと*考える。*]
生きてる人探すなら、俺も行く。
それに…、まだ外の状態もいまいち分かってないしな。
[緩く頭を振り、立ち上がる。
殺さないと、などの言葉はできる限り聞かないふりを]
眠ってる人たちを、よろしく頼む。
[誰に向けてか、そう言って他の数人とともに旅籠を出る]
[道中、生存者に出会うことはなく、ただ時折強く香る鉄の匂いに、眉を寄せた。
夏の雨の香りに似て、けれど、もっと異質な。
ついた先の家に入れば、さらにその香りは強まって、思わず口元を押さえた]
…酷い、な。
[そう呟く事が精一杯で。
晴美の遺体の傍に落ちていた包丁の、濡れた鈍い輝き]
他の人たちより、身体は傷ついてない、な。
[何の慰めにもならないだろう言葉をぽつりと漏らし、見知らぬ自分が何かをするよりは、と二人に任せる]
[小百合と共に、老女の方へ向かい。
小百合が老女を運ぶ間に毛布を持ってきて、手渡す。
それを、もう一枚、今度は史人たちの方へと。
別の場所から聞こえた小百合の言葉に首を傾げ]
聡が、どうか…そう言えばいないな。
しょうがない。探しにいくか。
俺と小百合でこのあたりを探すから、史人と孝博は旅籠までの道を頼む。
サボって戻ってるだけなら、教えに来てくれ。
[それで良いか尋ねるように、皆を*見回した*]
[目を覚ませば榛名によりかかる形で、あわてて体をおこす]
ごめん、榛名。
[だいぶ疲れはとれたらしく]
でもありがとう、おかげでだいぶ楽になったよ。
[笑いかけて、榛名の服に自分の服の汚れがうつってしまったのに気づけば、再び謝り]
着替えもってこないと、このままでいるのも…。
一旦家に戻ってとってくる。大丈夫、すぐに戻るから。
[安心させるように心配そうにした他の人に笑いかけて、そのまま一度自宅へと*向かった。*]
じゃぁそっちお願い。
ついでに他の生存者も探してみるわ。
大丈夫よ、二人なんだし。
[尚何か言われればそう二人に笑って答え、裕樹と近くを探す。
さっちゃんと声をかけながら探すも返事は無く。
帰ってくるのは酷い雨音ばかりで。
涼の家の周囲をぐるりと回ってみたが、聡も、他の生存者の姿もなかった。]
ねぇ裕樹…こういう場合、生存者ってやっぱり家の中でじっとしてるわよね?
本格的に探すとしたら、一軒一軒チャイム鳴らしてまわるしかないかしら。
[尤も、余所者の自分たちの声に応えてくれるかは怪しいが。]
[暫く声をかけたり探し続けたり。
雨の中動き回ったが、聡はおろか、生存者の姿も見なかった。]
…さっちゃん、やっぱり旅籠かしら。
この辺には居ない―
[みたい、と言いかけてふと、少し離れた板壁の上から見える、人の頭に気づいた。
髪の色は探していた人を連想させるもので。]
あれ?さっちゃんかしら。
さっちゃん、ほら何してるの、行くわよ。
[声をかけながら近づいて。
角を曲がり顔を覗こうとして。]
[上半身が板壁に縫い止められていた。
下半身が道端に転がっているた。
雨が綺麗に血を洗い流してくれていたおかげで、内臓のいくつかが丁寧に垂れ下がり。
*まるで標本のように。*]
ハイ。
[裕樹や小百合は老女を弔うと言う。
短く返事をして、もう何度目かの遺体を見下ろした。]
・・・晴ちぃ。
[他と比べて身体の損傷は少ないのに、その名で呼んでも、彼が怒り出すことはなく。
そう言えば、それがどうして嫌なのかを聞いたことは無かったし、機会はもう訪れない。
それ以上何も言うことはなく、王の傍に跪いて、目を伏せさせた。]
[それから史人に手伝って貰い、老女と同じように居間まで運ぶ。
この雨では流石に屋敷までは運べまい。]
・・どーも。
[タオルを手に現われた裕樹に頭を下げ、受け取る。]
聡クン?
いえ、オレは・・・こッちを見てて。
[小百合からの問いには首を振って、]
あァ、・・・分かったッス。
お気をつけて。
[頷き、その家を後にした。
帰る道程で彼と出くわすことはなく、やがて旅籠に残っている者には事情を話した後、疲れに負けて*部屋に引っ込むか。*]
[起きた琉璃に微笑を向ける。疲れが取れたような姿に安堵の息を漏らした。服に付いた汚れを指摘されると]
あ…でも、このくらい、なら…。
気にしない、で。
…え。
取りに、行くの…?
一人で、大丈、夫…?
[一緒に、と言いかけたがそれは琉璃に制されて。確かに何かあった時に対処出来る自信は無い。仕方なく、そのまま琉璃を見送ることとなった]
気をつけて、ね…。
[旅籠を出る背中を心配げに見つめ、ぽつりと漏らした]
流石に…この雨音じゃ聞こえないか。
おーい、さっちゃん、さっちゃん、さっちゃーん!
と、この呼び方なら、怒りながら出て来るかと思ったんだが。
[傘をくるりと回し、頭上を見上げる。
酷くなる雨風に、逆の手で髪を押さえた。
空模様と同じように、重い溜息]
…さっきの家、チャイムらしきものなかったぞ。
多分、ノックと呼ぶ声のみだとしたら…出て来てもらえない気がするな。
まあ、今は…聡が見つかればそれでよしとしないか?
[会話しながらの捜索の途中。
小百合の言葉が途切れ、視線が動く。
それにつられて視線を流せば、]
…ん?ああ、それっぽいな。
傘も差さずに…あれは、風邪を引くんじゃないか?
[ぱしゃり、踏み出す足は雨に濡れて重いけれど。
気にすることもなく、小百合と共に角を曲がり]
[薄暗い路地。
だからと言って、眼を凝らさなければ良かった]
……聡?
[認識した瞬間に、胃から酸いものが込み上げる。
口を押さえ、眼を伏せた。
落ちた傘が小さな音を立てたけれど、意識に触れる事はなく。
板壁に手を付き、身体を支えた]
嘘…、なんで、こいつまで。こんな、まだ…だって、ガキで。
しかも村と全然関係ないはずだろ。
それなのに、なんで…っ。
―回想―
[利吉を運んで旅籠に戻ると、利吉の安否と、晴美と涼のことを説明し、利吉を毛布にくるませて長椅子に寝させ、己も濡れた身体を拭き取り、適当な椅子に腰掛けた
孝博の父親のことを静かに聞きながら、それに意識をおけなかった。
嫌な予感。否、確信めいたものが我が身を襲って]
晴美様…
[小さな小さな呟きは誰にも届かなかっただろうか。
その直後、戻ってきた涼の姿を聞いて、聞くまでもなくわかって]
晴美様は…違います。解ります
[皆が晴美についていう中それだけぽつり呟き
玲の説明を聞く。伝承のことは知っているが、それは既にどちらでもいい。
逃げることもできず助けも呼べないなら…その際にやることというのは既に頭にあったから。だから涼の行動も虚実は別にしても、咎めることもできず、むしろ悔いるべきは、あの時二人にしていったことだろうか]
[浅い呼吸と共に声を吐き出して]
……違う、今は……、そうじゃない。
このままじゃ、聡が風邪を引く。まだ、さっきの家の方が近いか。
だから…運ぶ、けど…小百合はどうする。
[眼に入った雨を拭い、小百合を振り返る。
答えがどうあろうとも、まずは聡を板壁に縫いとめているものを引き抜いて、上半身を落とさないように抱える。
雨に晒された身体は酷く、冷えていた]
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