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[賑やかに入ってきた人に気づけばきょとりと瞬き。]
あれ、カヤ。
あんたもご飯かー、まあそんな時間だしねえ。
[おいでおいでと手招いた。
近くに居るアーベルを同じテーブルに招くことはしないが幼馴染は招く。]
ん、おっちゃんに頼まれたから、テーブルクロスにどんな刺繍を刺すか考えてたとこ。
そいつぁどうも。
[腕組みをしたまま、何気なく相手の顔を見]
あぁ、一応神父の見習いやってる。
……つまり、色恋沙汰はご法度っつーわけだ。
[何となく危機を感じ取ったのか。
こんなときだけ都合よく肩書きを利用して、予防線を張った]
─宿屋・厨房─
[リッキーにも声をかけて三人分の飯の準備。マチブースとダールとアイランドークを二人分、ライスとスープとフライを一人分準備し、更におまけとしてヨーグルトの水分を切り蜂蜜を和えたデザートを用意する。量が量だけにしばしの時間を取られるか]
島の人間でもこうして食いに来てくれるのは嬉しいもんだな。
そう思わねぇか、リッキー?
[問いにリッキーも同意を示す。彼もやりがいのある仕事だと思っているようだ。本格的な料理はフーゴーが、デザートなどの簡単なものをリッキーが用意している様子をカウンターから垣間見ることが出来るだろうか]
―宿屋―
それなり、ね。
そりゃ失礼いたしましたっと。
[顰められる顔に唇の端だけで笑い、慇懃に頭を下げた。
最初に島に来た時喧嘩してからずっとこの調子。
他の子らとは平気だったのに、同い年の相手だけこうなってしまったのはどうしてか。もう本人にも分からない。
良く響く扉の音と声に振り向いて]
ああ、カヤちゃんか。
元気そうだね。
へえ、流石は親父さん。いいものは見逃さないね。
それでいいよ。楽しみだ。
[ゲルダに招かれないのは気にもせず。
そこから付かず離れずの席を確保して座った]
― 雑貨屋前 ―
アーベルさんが……。それは賑やかなことですね。
[クロエが愉しそうなのは、あからさまに見てとれて。
表情のあまり動かない、言葉足らずな男は、
クロエとアーベルが血縁であったことを覚えている旨や、
ゲルダとの毎度の喧嘩等を、その一言に全て注ぎこむ。]
人とは、知らぬところで、恨み辛みを買う動物ですから。
[そして揶揄う口調には、真面目に返す。
その言葉裏には、両親の死因が絡むが、
それもこの言葉だけでは窺いしれないだろうか。]
それで、あれは幾らだろうか……。
[嬉しそうな少女の応えを受けて、
母親の食事の支度をするクロエをあまり引きとめても……と、
学者は財布を取り出し、その口を開いた。]
[ゲルダに招かれて嬉しそうに席につく]
えへー。私、今日はがんばったからご褒美ってやつなの。
ねーの刺繍、綺麗だもんなぁ。できたら見せてね?約束!
[強引に小指をとって指切りをする、厨房から流れてくる匂いに鼻をぴくぴくさせながら、「それにしてもおなかすいた!」とテーブルに突っ伏した**]
―宿屋―
白々しい謝罪は口にするだけ無駄だと思うけど。
だいたいそういうアンタも、遊んでるだけじゃないの?
[慇懃な態度にカチンときたように、考えることもせずに嫌味な口調で言葉が出てくる。
一体いつからこうなったのかなんてもう覚えていないけれど、とにかく気に食わない、という態度を隠しもしない女だった。]
カヤもがんばったんだ、お疲れ様。
うん、いつでも見にきたらいいよ。
それにここにつけるんだから、いつでも見れるよ。
[強引な指きりに可笑しそうに笑った。
テーブルクロスを指し示しながらのんびりと飲み物を飲む。
近い席に座った男にちらりと視線を向け、吐息を零しただけで一応文句を言うのはやめておいた。]
おっちゃん、デザートあるならあたしも欲しいー
[リッキーとフーゴーの息のあったやり取りをカウンター越しに眺めながら、追加注文を投げておいた。]
─雑貨屋・前─
[短い言葉に、でしょ? と頷き。
真面目に返された言葉には、何かまずったかな、と瞬き一つ]
ああっと、ちょっと待ってね。
[財布を出したライヒアルトの問い。
少女がつついていた鈴を取り、いつも持ち歩いている道具袋の中から出したはさみで、ぱちり、と値札を切り離す]
ま、大した値のつくモンじゃないけどねぇ。
[告げた値段は、子供の小遣いで十分買える程度のもの]
…ちっ。
[ちいさいながら、野太い声での舌打ちだった。
それでも、ぽんと手をうって]
障害がおおい方が恋は燃えるものですし。
[さらっと、いってのけた]
あ、ねぇ神父さまぁ。
これからお時間はありますぅ?
あたくし、まだこの島には不案内で…。
[そそ、とからだを寄せて。
手をのばし、相手の腕をとって捕まえようとしている]
えへへ。
[ライヒアルトが代金を支払うよりも早くに、そのゴムひものついた鈴を腕に巻くと、楽しげにチリンチリンと鳴らした。
その近くでは、ぶち猫が音に合わせる様に身じろぎして、幾度か鈴の音を鳴らした]
君もいいの持ってるね。
でも、私の鈴は二つだ。どうだ悔しいか。ふふーん。
[その言葉に反応するかのように猫がにぁ〜おと一声鳴いた]
ふーんだ。上げないよー。これは私のものなんだから。
[そうやって猫と言い合う姿は、目に見える年齢よりも更に幼く見えた。
ぶち猫の心境としては、別にいらねえとでも言いたかったのかも知れないが]
─宿屋─
[ひょい、と一度カウンターから顔を覗かせ]
おー、んじゃあカヤに出すのと同じの持ってくか。
[追加注文をしてくるゲルダにそう返して。まだクロエが来ていないのを確認すると、リッキーと二人で一人分ずつの料理を運んで来る。リッキーはアーベルの所へ料理三種を運び、フーゴーはゲルダと一緒に座るカヤへ料理を運ぶ]
ほれ、お待ちどうさん。
今日のおまけはヤウルティ・メ・メリっつーデザートだ。
こっちはゲルダの分。
[ほれ起きた起きた、と突っ伏すカヤを起こし、その前に料理を並べる。ドリンクと同じヨーグルトを使ったものだが、蜂蜜が和えてある分また違った風味を醸し出すだろう]
[───……なんか]
[遠い昔にも、こんな風に]
[鈴の音を聞いたことが]
[あるような気がする]
[その時、そこにライヒアルトはいただろうか?]
[覚えてない……───]
― 雑貨屋前 ―
[告げられた値段に頷き、硬貨を数枚取り出す。
いつも値切らない代わりに、多くを渡すわけでもない。
けれど、今差し出したのは少しばかり多い額。]
……忙しい時間に邪魔したな。
後で、飲み物でも飲みかわせれば良い。
[暗に釣りはいらないと示して、視線を一度下に落とす。
ぶち猫を視界にとらえれば、少しばかり碧を優しくして]
では、リディさん、行きましょうか。
[ツィンに何やら自慢している少女に声をかけ、
くるりと踵を返したところで]
…――?
[2つの絡む金を見とめ、微かに首を傾げた。]
いや俺が困るんで。
[真顔で返した]
あー、すまんが。
今から帰って、ガキ共に飯作らんといけねぇんだ。
[言ってることは事実だが、何処か棒読みだった。
ついでにさりげなく相手の正面に回って、魔の手から逃げようとしている]
─雑貨屋・前─
[ぶち猫、自慢する少女に呆れたように尻尾をぱたり、と振ったとか]
はあい、毎度あり。
……ん、じゃあ、また後でねぇ。
[多目の額に一瞬顔を顰めるも、ここで引き止めても受け取る質ではない、とそれ以上は言わず。
ぶち猫は、穏やかな碧ににぃ、と一声鳴いた]
さて、んじゃ、やる事片すかね。
[思いはただの刹那。
次の瞬間には欠片も覚えていなかった。
ライヒアルトの言葉に振り向くと、大きく頷いた]
うん。じゃ、行こっか。
ありがと、ライヒアルト。
[礼を言いながらも、チリンチリンと嬉しそうに鈴を鳴らし続けた]
……とと。
学者先生じゃねぇか。
あと、昨日のも。
[正面に回ったところで、雑貨屋前の人影に気がつき、軽く手を挙げた。
半ば巻き込むつもりなのは否定しない]
もぉーう、つれないわねぇ。
[くちびるをとがらせて、頬をふくらませた。
さけられたのに気付かないわけでもなく。
ようやくあきらめたように、白手袋の手をひっこめた]
ねぇでもせめて、食事のおいしいお店くらい教えてくださらない?
こまっている人間を見捨てたりはしませんわよね。
ね、神父さまぁ?
[さきほど肩書きをたてに断られたしかえしか。
逆に、肩書きをたてに迫ってみた]
―宿屋―
[ゲルダの視線も薄笑いで受け流していたが。
続いた言葉に表情が消え、海に居る時のよな鋭い目つきになる]
遊んでたら、今ここに来てねぇよ。
[低い声は恫喝にも近く。けれどすぐに目を閉じて]
仕事で来てんだよ。
外れの別荘に確実に手紙を届けてくれってな。
何だか返事も届けてくれって追加依頼になっちまったけど。
[再び開いた時には、他と話すよりはぶっきらぼうであるが、普段の調子で続けた]
お、さんきゅ。
いい香り。美味そうだな。
[料理を持ってきてくれたリッキーにも笑いかける。
何か言いたげにも見える表情には笑ったまま首を振った]
─雑貨屋・奥─
[鈴の音を聞きつつ、ぱたぱたと急ぎ足に奥へ入る。
慌しい様子に、母はやや、怪訝そうな面持ちを見せた]
あんね、かあさん。
アーベルが来てるんよ。
こっちには後で顔出すって言ってたけど、久しぶりだし、ウチ、旦那のとこで一緒に夕飯食べてくる。
かあさんのご飯は、すぐに用意するから。
[早口に言いつつ、台所に立とうとすると、やんわりと押し止められた。
曰く、自分の食事くらいは用意できるから、たまにはゆっくりしなさい、と。
その言葉に、軽く、首を傾げて瞬き一つ]
えー、でも……。
[いいからいいから、と。結局、母の笑顔に押し切られるように台所を追い出された]
11人目、風来坊 ユリアン がやってきました。
―自衛団詰所―
やっぱりここはいいところだな。
風も海も。
あんた達の心も、ね。
[無表情に窓の外を仰いでいた視線を戻すと、
手元のカードを一枚置いてにやりと笑む]
はい、またまた俺の勝ちね。
[机の上に乗った硬貨を数枚手にすると
今日はとりあえずこれだけでいいわ、と立ち上がる]
― 広場 ―
[フーゴーの宿に向けて広場を横切ろうと、足を動かしながらも、
視線は広場の隅を碧は見据える。
片方の金は、先程も見かけた神父見習いで……。
もう片方の金、角度の所為で顔が見えないが、
その風貌になんとなく見覚えがあったが故に。]
…―――。
[他人の色恋に頓着する性質ではないのだが、
喉元に出かかった記憶のむず痒さ故に。
顔つき故にガン見といっていい視線を2つの金に。
そんな生物学者の後ろでは、リディの鈴がチリンチリンと鳴って、
存在を主張していた。]
ウェンデルさん、こんばんは。
[そして、視線と鈴の音の所為というわけではないようだが、
内一つの金から声掛けられれば、ゆるりと頭を下げた。]
─宿屋─
あー、おめぇら。
飯食う時くれぇそうかっかすんな。
んな気持ちで食っても飯が不味くなるだけだ。
[厨房から戻って来て尚言い合っているゲルダとアーベルに呆れたように声をかける。隠しもしない嘆息が漏れ出た。
カウンターへと戻ると厨房からカットフルーツを取り出して来て。止まり木で大人しくしていたヴェルトに餌を与え始めた]
んー……わかった。
店は閉めてくから、ちゃんと薬飲んで、ゆっくりしてね?
あんまり、遅くならないように戻るから。
[重ねるのは、出かける時の決まり文句。
自分が店に立つ、と宣言してからは、いつもこんな調子で。
そんな、いつもの言葉に返されるのは、待たせたら悪いでしょ、という言葉で]
じゃあ、行ってくるわ。
行くよ、ツィンっ!
[ぶち猫に声をかけ、外へと駆け出して]
あ……さっきのお客さん。
[目に入った金髪の姿。
ルーミィ、だっけ、とか呟きつつ、それでも立ち止まる事無く宿へと向かった]
─ →宿屋─
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