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大丈夫じゃない気がする。
けど、下には瑞穂ちゃんがいるから。
[伽矢を気遣ってくれる黒江さんに、そう答える。
あの子はきっと、私より瑞穂ちゃんに心を許しているのだろう。
]
千恵ちゃん、綺麗な絵本ねぇ。
[姪に微笑む。
そしてそのまま、雪夜君に視線を移す]
貴方。 桜花って子の事、何かご存知なの?
良かったら教えて貰えないかしら。気になっちゃって。
[自分のことを呼ぶ声が聞こえる、間違うはずもない幼馴染の声]
大丈夫、ちょっと足場踏み外しただけだから。
[足はさほど痛めていないらしい。
転んだりするのに慣れているのか不思議と昔からあまり大きな怪我をしたことはなかった。]
伽矢くん、早かったね。ご飯は?
[こちらに寄ってくる伽矢の姿が見えるとそう声をかけた]
取り敢えず出るか。
……よし、財布もノートもある。
[転がっていた自分の鞄を探り、大事なものがあることを確認する。
それから残されていたメモの端に『さんきゅ』と短い礼と、棒人間のイラストを書き添えた。
置かれていた合鍵を掴んで、部屋の外へ]
[百華に本を褒められて、嬉しそうに笑って。
百華が雪夜に桜花の事を聞いているのを見て、きょとり。
黒江の方に近づいて、くいくい袖をひっぱった。]
くろえおねえちゃは、しってる?おうかのこと。
[とりあえず、聞いてみた。]
まあ、気にしない気にしない。
[突込みにはそう返したが、隣で投げかけられる言葉には、苦笑で返した]
さすがにね。
今日2度目だから。
それに、精神的にも消耗したし。
うん。ありがと。でも、大丈夫だよ。ひふみんの家ぐらいまでは持つから。
ああ。もう無理だからおんぶしていってとか言えば良かったかな?
そのほうが女の子らしいのかも知れないけど、結構長い間一人で暮らしていたから、無駄に根性はあるんだよね。
……ちょっと残念?
[悪戯っぽく笑って、隣の札斗をを見つめた]
―稲田家―
ご馳走様でした。
年の近い方が話しやすいってこともあるかもしれませんね。
[食事を終えて百華に頭を下げ、曖昧に頷いた]
桜花。桜の童女。
桜が咲くと現れて、桜が散ると姿を消す。
ただそこで起きる事を見届ける。そんな存在。
[千恵に袖を引かれて、うん、と頷き答えた。
少女の抱く絵本に視線が向く]
絵本の中みたいだけど、現実のお話。
千恵ちゃんも見たんだよね、桜花の姿。
[実の所、瑤子はまだ見ていない]
[立ち上がりながら伽矢の返答に]
ごめん、もうちょっとさっぱりしたものがよかったかな…。
[伽矢が見てきたものを詳しくは知らない、けれどもあまりいい光景は見てないのだろう。
声の調子は自然と落ちる。]
気がきかなくて、ごめんね。
いや、普通にするだろ。
[なんて更に突っ込みつつ。
苦笑ともになされた説明に、やっぱりか、と呟く]
……精神的に、追い詰められると。
『司』でも、魔に引き寄せられる、なんて事もあるらしいぞ。
だから、適当に吐き出せよ。
[ぼそり、と言って。
悪戯っぽい笑みには、瞬きひとつ]
……残念というかなんというか。
まあ、おぶってくれ、とせがまれたら、それはそれで天変地異か、と驚いたかも知れん。
[それから、返す言葉は冗談めかしたもの]
[もう一度、手で口元を覆ってから顔を上げる]
いや……お前は知らなかったんだから、仕方ない。
後で、サラダだけもらう。
それで、話って?
[謝る幼馴染に緩く首を横に振って否定。
もう一つの方は後で、と告げてから呼ばれた理由を訊ねた]
[メモにあった通りに鍵を掛けて、階段を降りる。
鞄を抱え、一応警戒するように辺りを見回しながら路上に降りた]
……あー。
漫才してーな。
[場違いに聞こえるかも知れない言葉]
……また、できるかな。
[ぼそりと呟いた。
憑魔が消えた場所を、知らずに踏んで歩いて行く]
うん、わかった。
[答える幼馴染に頷いてから話を促されると]
伽矢くん、さっき静音さんから聞いた話覚えてる?
『憑魔』と『司』の話。
[不意に立ち止まる]
……声?
[進行方向から微かに聞こえてきた声。
その片方が先程世話になった礼斗のものだとすぐには判断できず。
姿が見える前に、咄嗟に近くの物陰に身を寄せ、様子を伺う]
― 稲田家 ―
歳が近い方が、か。そんな時代もあったかも。
[黒江さんに気さくな笑みを向ける。
食事の礼は瑞穂ちゃんにと伝え、階下を視線で指した。
黒江さんと雪夜君が、それぞれ『桜花』について語りだす。
私は耳を傾けていたのだけれど、聞けば聞くほど疑問は湧くばかり]
雪夜君はさっき、いっぺんぶん殴ってみたい、
なんて言ってたのが気になっちゃって。
見届けて、どうするのかしら。 それに、憑魔って。司って。
憑魔はさっき瑞穂ちゃんから聞いた。人を襲うって。
司ってなぁに?
……貴方達、詳しいのね……
[少し怯えた様な顔で、その場の面々の顔に視線を巡らせた]
―稲田家―
見てるだけ……?
うんと、それじゃ、おうかがおうちに帰れなくしたんじゃないんだ。
[黒江の話を、自分で分かりやすく噛み砕きながら。]
うん……おうちに帰れないって、なんかへん。
みたよ、おうか!ちえより小さい子だった。
[多分傍から見たら五十歩百歩。]
七五三できた時みたいな、ピンクの服きてたよ。おびに鈴がついてたの。
[そう見たままを黒江に話す。近くに居た百華や雪夜にも聞こえていたか。]
そこらへんは、普段相対していたモノでも同じだから、肝に銘じておくよ。
ぐっすり寝れば、大体治るとは思うけどね。
[昔からストレス解消法は寝ることだったようである]
それでもきついときは、ひふみんか、せったん辺りにでも吐き出すようにするよ。うん。
[続く言葉に冗談で返されると、驚いたように瞬き一つ]
……いやはや。ひふみんが冗談言うとは、このほうが天変地異起きそうだよ。こりゃビックリ。
───あ。着いたね。
[家人の了承も得ずに、扉をとっとと開けようとしたが、鍵がかかっていた]
ひふみん。開かない。開けて。
細かいところまでは覚えてない。
そう言うのが居るってのは、覚えてる。
[あの時は従妹のことばかり頭にあった。
聞かされても、碌に頭に入っていない]
…それに関係すること、か?
うん。
[伽矢に頷き自分の胸に手を当てながら]
なんか胸の中ではじめざわめくものがあったの。
今は静音さんの話を聞いて、はっきりとわかる。
私もその『司』なんだって。
静音さんみたいに死んだ人とかは見れないけど。
あの時、千恵ちゃんを守らなきゃって思ったら力がわいてきたの、多分そういう力なんだと思う。
[歩き慣れた帰途。途中、伺う気配があったような気はしたものの、それと確かめる余裕は色々な意味でなかった]
……まあ、寝て治るんなら、いいけど。
[ちょっと単純じゃないか、と突っ込みつつ]
あー、そうしとけ。
色々ときついってのは、聞いてるから。
[誰に、というのは今は言わずに。
勝手に扉を開けようとして挫折する様子に、あのな、と呆れた声をあげ]
……戸締りしてから出てるに決まってるだろうが。
[呆れたように言いつつ、ポケットから出した鍵を使って開ける。中に、人の気配は、ない]
……史さん、は。帰ったのか。
[まさか、先の気配とは思いも寄らず。零すのは、呑気な呟き]
……瑞穂が、まもる、司?
[翠の瞳が軽く見開いただろうか。
巫女が、自分が司だと言っていたのは覚えている。
霊が視えるとも言っていた。
それと別の力を持つ司が、幼馴染]
…もしかして、あの時息切れしなかったのも…?
―稲田家―
はい、瑞穂さんにも後で。
[百華に階下を示されて頷く]
うん、桜花じゃないみたいだよ。
そっか、千恵ちゃんより小さいんだ。
小袖の童女。確かに桜花だね。…ああ、鈴の音。
[先に千恵の返事に相槌を打って]
見届けてどうするのかまでは知りません。
『司』は、『憑魔』を喰らって清めるもの。
色々と知っていた人から、さっき話を聞きました。
……あ。
[百華に淡々と答えながら。最後に軽く口元を押さえた]
[千恵ちゃんが少しずつ話すのを、うんうんと頷きながら聞く]
ああ、やっぱりあの子が『桜花』なのね。
何か歌って、そのあと桜の中に消えちゃったの。
なんだっけ……きみゃくがどうのって。
[そして、肩をすくめる雪夜君にすまなそうな顔を向け、
ゆっくりと話しかける]
……そうよね。 ごめんなさい、ね。
綾野さんって、さっき千恵ちゃんがいってたあやねぇの事かしら。
[考えていると頭がぐるぐるしてくる。
ご馳走様をすると、皆が食べ終わった様なら食器を片付けていく。
動いていれば、頭がすっきりする気がした]
[伽矢の質問にはっきりと頷く]
うん、私は『司』わかるの。覚えてるわけでも知らされたわけでもないけどわかるの。
静音さん言ってた身体能力があがったりするって。
息切れしなかったのもそういうことなんだと思う。
ひょーま?つかさ?
[雪夜の声も聞こえた。
初めて聞く言葉に目を瞬かせる。]
うんと………ひょーまとつかさが、おうちに帰れなくしてるの?
[雪夜から聞いた限りでは、どっちも悪いもののように思えた。
どんな悪いものなんだろうと、ぷぅとした顔になる。
黒江が言った、『つかさは、ひょーまをくらってきよめる』という意味はいまいちぴんときていない。
うさぎは、じっと窓の方をみていた。]
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