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―朝/広間―
[アーベルの声がして顔を上げた。>>143
深緑は無表情に、皮肉気な言葉を放つ青年を見つめる。
ああ、でもこれではいけないか。
食って掛かるほうが、らしかったかもしれない]
外。
[間を置いて答えようとした所に、エルゼリートの声も増えた。>>149
途切れた間に、ナータの方が詳しい場所を答えていた。>>152
手伝うと言っても断られるのが普通かもしれない。
一言でも止められれば、ついていこうとはしなかった]
―朝/浴室―
ああ。このままじゃ良くないですね。
女の子達を怖がらせてしまう。
[ゲルダに風呂を勧められると、それにもまた静かに従った。>>141
匂いを消せるのも良いことだった。
湯は沸いていただろうか。けれど今度もまた使おうとはしない。
髪に残っていた血痕を流し、顔を洗い、腕を口を何度も擦る。
頭から水を被ると背中に鋭い痛みが走った。
斜めに走る剣傷は初めての時に受けたもの。
深くはないのに、髪から落ちる水が流れる毎にもピリピリとする]
クッ。
[両手で髪を前へと回す。今度は顔の上を幾筋も流れた。
その全てをタオルで拭って、血の匂いのする黒衣をまた纏った。
これも着替えなければと思いながら広間へ戻る。
ホットミルクが差し出されるなら、ありがとうと受け取る*はず*]
― 朝/自室 ―
[人々が階下に集まる気配を感じても、男はすぐには動かなかった。ゆっくりと、昨日汚した服を着替えて髭を剃る。顎の痣は青黒く変わっていたが、もう痛みはない]
蒼花とはえらい違いだな。
[鏡を覗いて、くす、と笑う。この痣も胸ポケットの赤い丸薬を飲めば跡形も無く消えるのだろうが、まだその時ではない、と知っていた。今はまだ、ここは「獣」のための舞台]
[階下に降りたのは最後に近かったか、クレメンスが犠牲になったことは、誰かが教えてくれたろう。男にとっては意外ではない事実。「獣」の最も傍にあった花が散るのは必然]
……外だな。
[話を聞き、建物を出ると、アーベルとエルザが遺体を運ぼうとしていた]
こりゃあ、早めに埋めたほうがいいな。
[二人に手を貸しながら、シーツに包まれていても、辺りに立ちこめるような血の匂いに、嘆息を漏らす。まともな葬儀などは望むべくもなかったから、近くに埋葬してしまうしかないだろう]
墓穴掘りの道具なんざ、あったかねえ。
[後で探してみるか、と、常の通りの口調で呟いた**]
―広間―
[浴室へと向かうライヒアルト>>164を何も言わず見送る。
朝、目覚めた時に彼は居なかった。
けれど彼は血肉を欲している風には見えなかった。
外でクレメンスを抱く彼は悲しんでいる風に見えて
弟の口から月のいとし子は他にも居るらしい事を聞いている。
誰が義兄を殺めたのか、知りたいと思うのに知るのが怖い。
一人きりである時間、ソファに身を沈め目を閉じた]
おにいさま。
いつでも話を聞いてくれるって言ったのに。
[朱花たる義兄。神のいとし子。
女は双花の片割れに支えられるばかりで支える事が出来なかった。
見出す者は双花を支えると伝承にあったのに――。
ごめんなさい、と声なく紡ぎ目許を拭う]
―広間―
[ゲルダが厨房から戻る頃にはライヒアルトも戻ってきていた。
慣れぬ血の匂いが彼から漂う。
義兄が自分の立場なら如何しただろう。
考えても答えなど見つからない。
伝承に詳しく義兄とも親しかったエーリッヒなら
義兄の考えがわかるだろうか。
ゲルダに礼を言いホットミルクのカップを受け取りつつ
エーリッヒの姿を探して菫を彷徨わせたが其処に姿は無く]
ゲルダさん。
[彼女を見上げ名を呼んで]
エーリッヒさん、は……?
[彼の名を紡げば昨夜の出来事を知ることが出来ただろうか]
─広間─
[ゲルダとは擦れ違うばかりで姿を見ることが出来ていない。
昨日は無事な姿>>153を見届けたはずだ。
オレはゲルダの姿が見えないのを気にしつつも、ナターリエ>>152とライヒアルト>>163の言葉を受けて、玄関外へと向かった]
─ →玄関外─
[外に出た先で見たのはクレメンスの無残な姿。
仰向けにされていたし、シーツに包み始めた頃だったから、背中の傷は見えなかった。
思わず左手を口元に当てる]
……っ。
クレメンス──…。
[昨日エーリッヒを運んだ時に見たのが最期になるだなんて…。
血の匂いにくらりとしながら、オレはアーベルへと視線を移す]
…ぁあ、運ぶ、んだよな?
[オレは確認をとるように問う。
その辺りかな、ヴィリーも来たのは。
オレは少し茫然としてたから、昨日のやり取り>>166を少し思い出した。
ダメだ、しっかりしないと]
…よし、いくか。
[顔つきもおかしくはないだろう。
いつも通り肌身離さずもつ持ち物を手に、部屋より出て広間へと向かった]
― →広間―
…埋めなきゃダメか?
埋めるなら、教会の傍の墓地にしたいんだけど…。
[そのまま保存、までは行かないけど、埋めるのはそっちにしたいとオレは思っていた。
だから、昨日のエーリッヒも部屋に運んだんだ。
……それをやるには今の状態を解決しなきゃいけないけど]
………スコップとかだったら、多分納屋にあると思う。
あそこ、荷物置き場みたいなもんだから。
[オレの意見は多分罷り通らないだろうから、オレはヴィリーの疑問>>168にぽつりと声を零した]
―広間―
[既に人がいた。広間にはライヒアルトやゲルダ、ナターリエがいたり、玄関のほうにはエルゼの姿が見えたりしたか。]
…また、何かあったんですね。
[ただ、広間の空気を感じて口にする。
それが誰かまでは知らないけれど]
―昨夜・広間―
左側の、奥から三つ目。
……ありがとう、ございます。
[求めた答えはエルゼから得られ、頭を下げ]
[ゲルダの言葉には素直に頷きを返した]
[濡らしたタオルで白猫の赤を落として]
一人で、大丈夫だよ。
[何処か遠慮がちな姉の声]
[対するエーファの言葉に迷いはなく、まるで逆転したかのようにも見えた]
─前日・二階個室─
でも、だからって…人が見て、誤解されたらどうするの。
アーベル、困るでしょう。
[しれと答えるアーベル>>119に、もう、と言いたげな顔で見上げ問いかけた。
使用人としての努めだからこそというのは解っている。
子供のようで恥ずかしいというのもあるけれど、感謝こそすれ責める筋合いなどはない。
けれど、人が見てどう思うか。彼に対してその意識が薄い自分でも、さすがにこれは察することが出来て。
咎めるではなく、心配して彼を見上げたがアーベルはどう反応したろうか。]
…うん。ありがとう、アーベル。
心配かけて、ごめんなさいね。
[頭を撫でられ、注意を残して部屋を出ていく彼を見送った後。
アーベルに言った通り、ベッドに横になろうとして、ふと荷に手を伸ばした。
そこから手に取ったのは、執事から持たされていた銀の短剣。
鞘に納まったままの其れを胸元に抱いて、瞳を閉じればそこから零れた雫が頬を伝った。]
………こんなもの、必要ないと、思っていたのに。
[どれだけ泣きそうになっても、人前で涙を見せるのを厭っていたから。
堪えていた涙を静かに零し、亡くなったエーリッヒと彼の祖父の死を悼んだ。
そして、ふと過ぎった考えを口に出す。]
…エーリッヒさんは、人狼だったの、かしら。
[エーリッヒが何者だったのか解らない。
死者を視る者も、生者を視る者も解らない。
ゲルダさんは、蒼花。ならば、朱花は誰。
…解らない。]
アーベルは…ゼルは、どうなの、かしら。
[ゲルダは自分を信じると言った。
けれど、彼らがもしも人狼だったとしたら…自分は彼女の信頼に応えられないだろう。
でも。もし、どちらかがそうであったとしたら。
自分はどちらを守ろうとするだろうか。二人とも、大切な人なのに。
そんな、答えの出せない問いを続ける内、何時の間にか眠りに落ちて。
外での出来事に、気付くことはなかった。]
ぁあ…
[エーリッヒが四回目は無理だといっていた。
教会の姉弟が特に憔悴していて、もう一つの人の集い。玄関のほうまで歩いていく。
なんとなく予想は出来ていた。]
─二階個室→広間─
ん…、あ、さ…?
[目覚めははっきりとしないもので。
泣きながら眠ったせいで頬は引き攣っていた。
緩く顔を擦り、ゆっくりと身体を起こしたもののそこから動くことが出来ずにいた。
昨日は、朝起きた時に自衛団長が殺されていて、エーリッヒもまた命を失った。
今日は、皆無事でいるのだろうか。
もしも、誰かがまた自衛団長のように殺されていたら…
それを確認するのが怖くて、外に出ようという気になれなかった。]
― →玄関外―
ヴィリーさんにエルゼさんに、アーベル…よぅ
[挨拶も軽く、玄関より右手にあるシーツに包まれたものへと視線を移した]
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