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墓守 ユージーン に 1人が投票した
青年 ラッセル に 4人が投票した
養女 シャーロット に 2人が投票した
お嬢様 ヘンリエッタ に 1人が投票した
青年 ラッセル は村人の手により処刑された……
次の日の朝、孤児 トビー が無残な姿で発見された。
現在の生存者は、墓守 ユージーン、踊り子 キャロル、養女 シャーロット、お嬢様 ヘンリエッタ、旅人 ハーヴェイ、武芸者 マンジローの6名。
―廊下―
[振り下ろされた銀の短剣はラッセルがこちらにナイフを届かせるのよりも早く、ラッセルの胸に突き入れられた。
力をこめて全力で突き入れ短剣は深くラッセルの体内に埋め込まれていく。その命を奪うのには十分だっただろう。]
……っ!
[ラッセルのナイフが狙いをそれてなのか、それともその目が涙にぬれてるためか。
自分の左腕に刺さりするどい痛みを腕に感じた。]
……
[自分の下にしかれたラッセルは口から血を吐きだし、こちらに刺したナイフを持つ手も緩みやがて床に落ちる。
絶命したラッセルから噴出した血を浴び、ラッセルから出た赤は床に広がっていく。
赤い花が開くように。]
[短剣を突き刺したままふらりと立ち上がる。
周りはどんな視線を自分に向けただろうか。]
はぁ…はぁ……
[息は荒く視線を落とすさき事切れたラッセルの姿。
自分が殺めたこの屋敷の同居人。少なくとも数年間はともにこの屋敷で過ごした。
自分の手を見るとラッセルの血にぬれて真っ赤に染まっていた。]
………
[声がでない、体が震える。自分の身をぎゅっとその腕で抱く]
あ…嗚呼。
[キャロルにしがみ付いて震える]
逃がしてくれたのに。
母さま。
[縋り付いた侭トビーの言葉に激しく首を振った。
自分の生み出した状況の推移も見ようとしなかった]
―ラッセルの部屋の前―
[シャーロットが手をすり抜けラッセルを殺す様を、見ているしか出来なかった。熱くなっていた頭は、震える彼女を見て急速に冷えてゆく。
吐き出す息は、ため息にもならない。]
シャロ…。
[シャーロットに近づき、震えを止めるように抱き寄せた。血に濡れるのは構わなかった。]
……あなた、一体……。
[何を、どこまで知っているのか。
続く言葉は、今は飲み込んだ。
赤と蒼の交差。
赤は紅に濡れて倒れたまま、蒼は同じ色に染まりつつ立ち上がる。
それを視界の隅に収めつつ、女は自身に縋りつく少女をそう、とかき抱く]
……大丈夫。大丈夫ですから、エッタ様。
[何がどう、とは言わずに、ただ、そう繰り返す。
その様子を、少年は怪訝な面持ちで見つめるか]
―二階廊下―
[目の前で起きた凄惨な殺し合い。ギルバートが横たわる側で、今度はラッセルが朱に染まっている]
シャーロット殿・・・お主・・・。
[殺し殺されたのは、かたや大人しい青年、かたや普通の少女。
狂っている。全てが]
―二階廊下―
[耳に別の情報が入って来る。
困惑もあり、護るべき者達から一瞬、意識が逸れる。
はたと気がついて目を戻した時には、事は既に結末を迎えていた]
クラフ様、
[地に伏した青年の名を呟く]
[ハーヴェイに抱き寄せられて。
視線はそちらに見上げる。震えはとまったかもしれない。]
……
[返す言葉はない。自分の左腕にはラッセルが刺したナイフが刺さったままに。
痛みも感じていたかもしれないが今はそれに思うことはない。
ハーヴェイの腕の傷が見えてそこに手を伸ばしかけて、
血塗れた自分の手に気づきその手を下ろす。
ハーヴェイにもう大丈夫だからというように軽く手で押し離れた。]
……
[床に仰向けに倒れたまま死んでいるラッセルに視線がいく。
膝をついてその亡骸をそっと抱いて、その名前を呟いたユージーンに視線を向けた]
…………
[ユージーンを見たまま口元が動く、しかたがなかったよねと声には出ず。
左腕はナイフが刺さったまま血が流れ出し、ラッセルのそれと混じっていく。]
……っ
[その痛みを思い出し意識すれば苦痛に顔がゆがむ。ナイフを抜こうとそのナイフに手を添えた。]
[何よりシャーロットが生きていた事に心から安堵していた。
ラッセルの様には、ちらと目を向けたが。今は何を言う事も出来ない。
彼女が腕の傷に手を伸ばそうとして、刺さったままのナイフに気づく。]
…とにかく、傷の手当てをしないと。
[シャーロットもだが、自分も右腕に怪我を負ったままだ。服の下、指先からは血が流れ落ちている。]
ジーン、医療道具がある場所を教えてくれないか。
場所だけ教えてくれれば、手当ては自分で何とか出来る。
[おそらくラッセルの事を気にかけているだろう、墓守にそう言った。]
ラッセル殿・・・
[床に伏す青年と血まみれの少女を交互に見やる。この二人は同じ屋敷の同居人だったはず。だが自分がここに来た時、彼らはお互い刃物を手に憎しみを飛ばしあっていた。やり切れぬ思いで視線を逸らす。その先にはトビーとヘンリエッタ達の姿が見えた。]
・・・童っぱ、お主もここにいたでござるか。
[そう言って、彼のもとへと歩み寄る。様子がおかしいのに気付いたのはそのときだった。]
[殺されるわけではないのにと言うトビーの言葉は信じられなかった。其れは言葉の取り方の違いでもあり育った環境の信条の違いでも在った。
殺されると思い殺されなくても捕まりたくないと思った]
大丈夫。ええ。
ありがとうキャロルさん。
[そう言えたのは全てが終わって更に少し時間が経ってからだった。
少年は其れをどう見て居たのだろう。呆れて居ただろうか。何時かの様に自分とは違うものとして受け止めるだけだっただろうか]
[ラッセルの亡骸は自分の膝に横たえて、自分にささったナイフに手を添えたところでマンジローから自分の名前を呼ばれる]
……
[視線はそちらを向く。
悲しむでもなく、怯えるでもなく、痛みにわずかに顔はしかめていたかもしれない。
目元からはかすかに涙がこぼれていたかもしれない。]
マンジロウ…。
[全てが終わった後、遅れてきた来訪者に視線を向ける。だがどう説明すればいいのか。
そもそもの切欠は何だったか。
ヘンリエッタと、ラッセルが狼を言い当てて…それからヘンリエッタはラッセルに飛び掛り、ラッセルはそれを跳ね除け、シャーロットに襲い掛かって、それを庇ったが今度はシャーロットがラッセルに向かって…。
思考を纏めていたが、腕の痛みに眉が寄った。]
悪い、手当てを先にしたいから、状況は他の奴に聞いてくれ。
[短くそれだけ告げた。]
[やって来たマンジローには、軽く、視線を向ける。
彼が声をかけるトビーには、やや、睨むよな一瞥が向いた。
それでも、少年の態度は変わらぬか。
それが彼の幼いなりの人生観、価値観に基づくものであるのは理解しているが、今は感情での容認には至らない]
……よかった。
[それから、ヘンリエッタの返事にほっと安堵の息を漏らす]
……とりあえず、ここは殿方にお任せしましょう。
先に打った部分が痣になっているかも知れませんし、見ておいた方がいいでしょうから。
[できうる限りやわらかい笑みと共に、こんな言葉を投げかけた**]
[トビーの元に歩み寄ろうとして、ふとシャーロットと目が合う。だが彼女の瞳からは感情を読み取る事はできなかった。彼女を長く見ている事は耐えられず、すぐに視線を逸らす。
もしかしたら、その瞳にはかすかに涙が溢れていたかもしれない。だが、一種運の事ではそれを確認することはできなかった。]
我の事は構わぬよ、ハーヴェイ殿。
シャーロット殿を見てあげると良い。
[自分に気付いて話し掛けたハーヴェイにはそれだけ答えて、自分はトビーのほうと歩み寄った]
―二階廊下―
[青年の遺体を抱く少女が、こちらを見ていた。
唇が動くのが見えた。
沈黙の後、一度首を振り、顔を上げる。
真実が何れかは墓守には未だ分からないが、今は先にすべき仕事があった]
シャーロット様。
[名前を呼び、その傍で片膝をつく]
クラフ様を頂いても宜しいですか。
[彼の慕っていた雑貨屋も、未だ後ろに横たわったまま。
両腕を伸ばしながら、少女に尋ねた]
道具なら、使用人の部屋に。
[姿勢は変えないまま目を僅かに上げて、傍に立つ青年を見た。
常のような、静かな低音が問いに答える]
[マンジローがすぐに視線をそらし、自分の視線もユージーンの方に戻った。
ユージーンが首を振る様子に自分は何も返せず。]
……(こくり
[ユージーンの言葉にナイフから一度手を離し、
立ち上がり少し距離を置いた。ユージーンの邪魔にならないように。]
私は捕まりたくありません。
殺されない保証等無いではありませんか。
[深呼吸をしてトビーに言う]
貴方も信じられません。
星は見ておりませんが信じる事等出来ません。
近付かないで。
[正面から言えば彼は近付かないだろう。
マンジローと会話を始める様なら此方からも視線を切る]
キャロルさん。
此処から逃げる時も一緒に来て下さいませんか。お願い。
[手を握り懇願した]
はい。
[答えは如何だったか。
穏やかに提案されれば頷いて立ち上がる。
歩けない様な事は無かった]
失礼致します。
[トビーに向けなければマンジローにも向けられなかったかもしれない。ユージーンと視線が合えばその前に向けられた声を思い出して怯えを掠めさせたかもしれない。
何処か逃げる様にして其の場を*立ち去った*]
すまないな。
[そうマンジローに告げてから、ユージーンの言葉が届くと、ありがとうと返した。]
任せっきりですまない。
…行こうシャロ。
[考える事はいくらでもある。
だが今は彼女の怪我のない方の肩を抱き、使用人の部屋へと急ぎ向かっていった。]
ありがとうございます。
[離れる養女に頭を下げる。
その腕に刺さるナイフに触れようとしないのは、治癒の為の扱いを知らぬ故]
シャーロット様をお願いします。
レイさん。
[代わりに少女が慕う青年にそう言って、墓守は未だ温もりの残る死者を抱き上げる]
[ようやく周囲の様子に気づく余裕もできて、
ヘンリエッタ達とトビーが何かただならない雰囲気だったかもしれない。
何があったのか正確なことは知らない、けれどもヘンリエッタに害をなす存在だとは思った。
トビーの元にマンジローがよっていく。]
……(こくり
[ユージーンの礼の言葉には小さく頷く。
ハーヴェイに促されれば頷いて返し、素直にそのまま使用人の部屋へと連れて行かれる。]
―ラッセルの部屋の前→使用人の部屋―
[かけられた声に、少し遅れてああと頷いて返すのは、その名が普段呼びなれていないものだからか。
使用人の部屋に入ると、まずはシャーロットの肩口をきつく縛り、血の流れをおそめてから傷周りを消毒しナイフを抜いた。
かなり強引な手当てだったが、躊躇する事はない。
それから布を当て血止めをしてから、上を包帯でややきつめに巻いていき。
シャーロットの治療を終えた後、ほっとしたしたように]
………銀でなくて良かった。
[そう微笑みながら、*呟いた。*]
[実のところ、青年に触れるのはこれが初めてだった。
触れるのを厭うという話は使用人伝に聞かされていた為、自ら触れようとすることはなかったし、そもそも触れる理由も無かった]
[使用人の部屋へ去る二人を、何処か怯えたように視線を外す令嬢を静かな目で見送った後、墓守は開け放たれたままの扉の中に入って行った]
[トビーとともにキャロルとヘンリエッタが立ち去っていくのを眺め、軽く頭を下げる。去り際にトビーに向けられた、ヘンリエッタの言葉とキャロルの鋭い視線に、見送った後嘆息まじりに小さな声で話し掛ける]
童っぱ・・・。お主、彼女達に言ったでござるな、あの事を・・・
[それに対する返答は、いつもと同じく軽い調子であったろうか。これでおそらくトビーの依頼人から狙われる理由が増えたかとも考える。
だが、もとよりそれは覚悟の上だ。]
まぁ、過ぎた事を今更どうこう言ってもどうしようもあるまい。それに、どの道遠くに逃げるのであろう?
安心しろ。我が責任もって、必ず我の国まで送ってやろう。
[安心させるように力強く笑いかける。その言葉に、彼も笑みを返しただろうか]
―使用人の部屋―
[ハーヴェイの治療を受けながら消毒液にはわずかに顔をしかめて、
ナイフを抜かれるときには]
……んっ…
[痛みに微かな声を漏らす。
傷口を布でおさえられて血がある程度とまったところでその上に包帯を巻かれる。
少したった後に肩をきつく縛った布を解かれて]
…うん……(こくり
[ハーヴェイの銀じゃなくてという呟きには微かな声と頷きで答える。
微笑みかけられると、自分も微笑みを返す。]
……
[今度は自分がハーヴェイの右腕の傷の手当てをした。布を押し当ててぎゅっと止血をし包帯を巻く。
手当てが終わった後ハーヴェイに*微笑みかけた*]
―青年の部屋―
[先ずは青年を横たえ、廊下にあった雑貨屋の遺体を運び、その隣に並べた。
前の二人の時もそうしたようにシーツを剥がし、けれどすぐに被せることはしない]
申し訳ありません。
[謝罪に応えは無い。
頭を垂れ、暫くは動かなかった]
護るべきは、貴方だったかも知れないのに。
[意識が逸れた刹那、少年が告げた言葉は耳に残っている。
かの令嬢が、あの場で「笑って」いたと]
後程、訪ねてみましょうか。
[ゆっくりと頭を上げ、低音は呟く。
もう一度小さく頭を下げた後、並べた二人に一枚のシーツを被せる。
青年のいる左側が、長く放置されていた雑貨屋の方よりも早く染まって行く。
それを暫し眺めた後、深く礼をして、部屋の扉を*閉めた*]
―二階廊下―
[ユージーンはラッセルの亡骸を抱えて出て行き、ハーヴェイとシャーロットも手当のために下へと降りていった。トビーも皆がいなくなればまた広間へと戻っていくだろう]
・・・我も、部屋へ戻るといたそう。
[ただ1人その場に残されれば、忘れていた疲労感がたちどころに襲ってきた。もはや考える事も億劫になり、疲れた体を引きずるように自分の客室へと戻る。
ベッドに倒れこめば、泥のように*眠り込む事だろう*]
─2階・廊下─
[一緒に、という言葉。
女はひとつ瞬いた後、ゆる、と首を傾げ]
ええ。
エッタ様をお一人で放り出すような事はしませんわ。
[少年の言葉。
『連れ戻しに来る』。
それが望まれぬ事と感じたから、そうならぬよに、と。
それは、今の女にとってはごく自然な発想]
では、参りましょう?
墓守殿、申し訳ないけど、後はお願いするわ。
[去り際、墓守にはこんな言葉をかけ。
ひとまず、向かったのは自分の客間。
そこで、ヘンリエッタの背に打ち身の痕がないかを確かめたり、少女の気を紛らわせるために他愛ない物語を聞かせたりしている内に、大分時は過ぎていた]
……お茶をお持ちしましょうか。
あと、何か食べるものを。
あんな事の後で食欲はないかも知れませんけれど……何か、食べておきませんと。
[手伝う、といわれたなら、お疲れでしょうから、とやんわり遮って。
ひとり、部屋を出る。
廊下には、死者の姿も生者の姿もない。
静まり返った館内を、女はゆっくりと歩く]
さて……どこにいるかしら。
いつも通りなら、広間だろうけれど。
[小さく呟く。
ひとりで出てきたのは、少年に会うつもりだったから。
時間を置いたのは、自身の気を静め、冷静さを保つため。
少年が発した言葉。
その意を問わねばならない、という思いからの事だった]
[ヘンリエッタの抱える事情については、深くは知らぬ。
流浪の舞手が踏み込むべき領域ではない、と一線を引いていたが故に。
けれど]
……さすがに、この状況では、そうもいえないものね。
[少年が何をどこまで知っているのか。
それを、問いただしておきたかった。
彼は、何も知らぬと言っていたけれど。
追う者がいるというなら、その情報は得ておきたい。
話を聞き、その上で少年が己が目的を阻む要因となりうるならば取り除く事も視野に入れて]
……もっとも。あまり、手荒な事はしたくないのよねぇ。
[経験がないわけじゃないけれど、と。
そんな呟きは、ここ数日で何度も接したもの──血のにおいに遮られる]
……また……誰か?
[掠れた声で呟く。
狼は、まだいるというのか。
そんな疑問を抱えつつ、においを追う。
やがて、目に入ったのは僅かに開いた玄関の扉。
そちらに近づくにつれ、においは強くなるようだった]
─館外・玄関前─
[僅かに開いた隙間を押し開き、外へ出る。
湿った風が吹きぬけ、金の髪を揺らした。
身に纏った紅の紗が翻る──その色の向こうに見えた、それよりももっと深い、紅]
……っ!
[玄関の、すぐ横。
倒れ伏した少年の身体を中心に開く、色鮮やかな、大輪の花]
……何故?
[口をついたのは、短い言葉。
少年の、痩せ細った身体には、はっきりそれとわかる獣の爪痕]
まだ、いるという事、ね……。
[低い呟きが口をつく。
女はしばし少年の亡骸を見つめ、やがて、ひとつ、息を吐く]
ねぇ。
あなたは、何を知っていたの?
……あの時、何を「見てた」と言うの?
[ヘンリエッタが笑っている、と。
少年の発したその言葉は、捉えてはいた。
けれど、それが何を意味するのかは女にはわからない。
否、わかりたくもない]
このままには、しておけないわね。
皆に知らせて……中に、入れてあげないと。
ここは……寒いもの、ね。
[呟くように言って、立ち上がる。
一際強く吹き抜けた風が、金と紅を大きく揺らした**]
―使用人の部屋→厨房―
[自分の治療は自分では難しいので。
シャーロットに包帯を巻いてもらい血止めをした後、脱いでいた上着を着た。
少し落ち着いたところで部屋を出ようと立ちあがり、扉を開けようとして手を止めた。]
そうだ…腕の怪我はすぐ治るだろうけど、なるべく暫くの間、使い辛いように振舞うんだよ。
もし使った後は痛むようにするのを忘れないように。
[そう言い聞かせるように助言して、扉をあけた。
そうして一旦、水を求めて厨房へと向かう。
シャーロットは共に来たか、それとも途中で分かれたか。
左手で水を飲みながら、残った者の事を考えていた。]
(霊能者と占い師は死んだ。守護者は…分からない、元々いないのかもしれない。
居たとしても、もう遅い。)
……さぁ、次はどうする?
[誰に言うともなく、ぽつと小さく*呟いた。*]
―使用人の部屋→広間―
[いくらかの時間がたった後、ハーヴェイとそこで別れた。
別れ際にかけられる言葉には頷いて、微笑みかけた。]
……(こくり
[廊下を歩きながらあたりは人の気配も少なくなったせいか静かだった。
向かう先はまず広間、そこにトビーは一人でいた。]
……
[どうしたの、シャーロットさん。血に汚れたままだよと彼は笑いかけるのだろうか?
そちらによっていききゅっと抱きしめた。トビーの反応はどうだっただろうか?]
―広間→館外・玄関前―
……とびーが…いけないんだよ……
[小さく呟く声はきっと彼の耳に届いて、それは微かな声だったためか恐怖をあおるかもしれない。
彼の小さい体を抱き上げて口をふさいであたりに注意をしながら広間を後にし、玄関を出て外に。
ここで見つかったら元も子もないから。あたり人の気配を感じないの確認してから玄関の外に。
抵抗をしようともがくトビーをこのまま崖の下に放り投げればその行方もわからなくなるのだろうけど。
そんな考えも浮かんだけど、左腕の治療されたところを何度も叩かれる。痛みとともにもうここで殺してしまおうと思って……]
―館外・玄関前→浴場―
[屋敷の中に戻ると物影に隠れてキャロルが外に出て行くのを見送る。
キャロルの姿が見えなくなったのを確認してから見つからないように注意深くそこから離れた。]
……
[ラッセルとトビーの返り血でだいぶ血塗れていたので浴場に向かった。
トビーの抵抗のためか傷口はまだ開いたままなのでそこに注意をしながら血を落とすだけにして、ハーヴェイの忠告を思い出す。
ちょうどいいのかもしれないとそっと包帯の巻かれた左腕を*撫でる。*]
―二階廊下―
嬉しい。
[望む言葉を貰えて微笑む。
此の状況下で笑みが出る事は異常を感じさせるだろうか。最前に指摘されても其処まで考えが至らない。
本心からの想いは自然と顔に出てしまう]
ジーンさん。
お願い致します。
[キャロルが頼むのを聞けば視線は合わせず頭を下げた。
キャロルの部屋に入ると思い出した様に身体の痛みを感じ始める。青黒い内出血の痕が大きく背に残されても居た。
特に頑強でも何でも無いのだから当然の事だった]
―キャロルの部屋―
[痛みや不安を紛らわせようとする様に踊り子は物語る。
他愛無くとも其の話は緊張を解し落ち着きを取り戻すのに十分過ぎる程だった]
ええ。食べる物は余り欲しく在りませんけれど。
それならお手伝いを。
[答えながらの提案は何方も穏やかに拒絶された。
此方を気遣っての事とも判るから強くは言えず大人しく其の場で待つ事にした]
キャロルさんと一緒に私も旅をする。
何て素敵かしら。
ありがとう。
[続く名前は空気を震わせず囁き落とされた]
私は幸せ。
あの御本や母さまと違って一緒に居られるのだもの。
[一人きりの部屋に響く小さな笑い声。
其処に宿る物を人間は「狂気」と呼ぶのだろう]
私本当に気付いて居りませんでしたの。
教えて下さった事には感謝致します。
あの人達はきっと私と母さまの事を知っている。
だから捕まえに来たのでしょう。お父様も知っていらっしゃるのかも。
だから母さまは逃げる様にと教えて下さったのでしょう。
感謝は致しますけれど貴方は邪魔でしたの。
[死者は天に昇るもの。
其方に語り掛ける様に窓越しの空を見上げた]
貴方達がいけないのです。
「私達」の邪魔をしようとするのですから。
[歪んだ月が唇に浮かぶ]
本当の価値を知っているのは人間では無いのですから。
[キャロルが知らせに来るのは如何程後の事になるだろうか。
聞いた最初は驚きを示し後は仮面の様な無表情を*作った*]
―客室―
[どのくらい眠り込んでいたのだろうか?
目が覚めたときは日は既に高く、少し寝すぎた所為か少し頭痛もする。軽く頭を振りながら、ゆっくりとベッドから下りた]
少し寝過ぎたか・・・。
そうだ、皆はどうしておるだろう?
[今日は何もない事を祈るような気持ちで、部屋を出て階下へと下りる。その思いは、すぐに無残にも打ち砕かれた]
―客室→1階玄関―
[階下に下りると、すぐに新しい血の気配に気付く。既にこの屋敷全体に血の匂いが立ち込めているも同然であったが、新たに感じたそれは今までは違う場所のようであった。]
・・・っ!
童っぱ!!
[玄関の傍らに白いシーツが敷かれ、そこに横たわっているのは紛れも無いあの少年であった。
その無残な傷跡は、それが間違いなく人狼の手によるものである事を雄弁に物語っていた。]
何と言うことだ・・・!
ギルバート殿やラッセル殿に続いて、お主まで・・・!!
必ず我の国まで連れてゆくと約束したのに・・・。
すまぬ・・・!
[トビーの亡骸の傍に屈み、その冷たくなった手を握る。その口から出るのは謝罪と後悔の言葉。その目からは、大粒の涙がこぼれだしていた]
―玄関―
[どれくらいの間そうしていただろうか。
もはや言葉は意味を持たない嗚咽となり果て、誰かが来たとしても見向きもしなかった。
ややあって、ひとしきり泣いた後ようやくトビーの手を離し、腰から脇差を抜く。彼の髪を、なるべく血に汚れていない所を選んで、一房切り取って紙に包んだ]
童っぱ、不甲斐ない我を赦せ・・・。
せめて遺髪だけは、我の国まで持って帰るゆえ。
[紙包みを懐に大事にしまい、トビーの手をそっと体の上で組ませた。]
―館内―
[トビーの傍を離れた後、井戸で軽く顔を洗い、他の者達を探しに館内をさ迷い歩く]
ギルバート殿、ラッセル殿、そして・・・童っぱ。
あの日書庫にいなかった者は、もはや我だけと言う事か。次は我の番かも知れぬな・・・。
[これは果たして偶然だろうか?セシリアが死んだ日のことを思い出す。一度は収まった疑念が、再び頭をもたげ始めた。]
しかし、これでようやく人狼が誰なのか、分かりかけてきたでござるよ、童っぱ・・・。
[そう、小さく呟く。誰にも聞こえぬように。
トビーが死んで得をするのは、彼女以外にはいない。]
味方が、必要でござるな・・・。
[間違いなく、キャロルは邪魔立てするだろう。他の者も事情を知らねば止めに来るのは必定だった。
では・・・闇討ちか?
否、それこそ相手のもっとも得意とする領分ではないか。同じ土俵に立てば、こちらが負けるのもまた必定。]
せめて、ギルバート殿が生きておれば・・・。
[2番目に死んだ、気のいい青年の事を考えて溜息をつく。
キャロルは論外だろう。シャーロットも話すら聞いてもらえないかもしれないし、頼めるような相手ではない。
残るはユージーンかハーヴェイだろうか。
だが、ユージーンはあの書庫の一件以来、どうにもどす黒いわだかまりのようなものが自身の心から消えることはなかった。]
ユージーン殿には話しにくいでござるな・・・。
ここはハーヴェイ殿に尋ねてみることにいたそう。
―厨房→外―
[厨房で一息ついてから、足は外へと向けられる。
トビーの亡骸はもうそこにはなく、赤い彩りが残されるのみ。
館の周囲に咲く白い花が、獣が手掛けた人の赤に染められていた。
可憐な白き花を染めるは、人か獣か――
ふとそんなことを考えながら、暫くその場に留まった。
雨はすでにやみ、地は少しずつ*乾いついた。*]
―自室―
[着ていた衣服は血が乾いていたので一旦それを着て自室へと戻った。
着替えを済ませると部屋に置かれたぬいぐるみに視線をやる。
窓の傍にはひつじさんのぬいぐるみとうしさんのぬいぐるみ、ねずみさんのぬいぐるみをつかむと窓の傍に置いた。
ねずみさん今日はひつじさんとうしさんに用があるみたいなの。
羊、牛、鼠、3匹は狼のお腹の中。
机の上のりすさんのぬいぐみのとなりにねこさんのぬいぐるみを置く。ねこさんはりすさんと仲間だったみたい。
栗鼠と猫は刺された。
ベッドの傍にはとりさんのぬいぐるみとうさぎさんのぬいぐるみ。とりさんとうさぎさんは今日も仲良し、仲良しなのはうれしいこと。
いぬさんのぬいぐるみとくまさんのぬいぐるみ。いぬさんはくまさんが大好き、大好きなのはたのしいこと。
ぶたさんのぬいぐるみとうまさんのぬいぐるみ。ぶたさん、うまさんはどうしてるのかな?
熊と兎は犬の仲間、鳥は兎の仲間、豚と馬は敵かな味方かな?]
……
[ぬいぐるみの配置を終えユージーンに一度会って話すべきだろうか、自分の敵になるか味方になるか。
確かめる必要もあるかもしれないそう考えたりしながら、いまはまだ自室の中に*いる*]
─館内─
[トビーの亡骸を見つけた後。
すぐには戻る気になれず、しばし、館内を歩いていた。
思い返すのは、ここを訪れてからの事。
馴染みのものとの変わらぬやり取り。
初めて会う来訪者との語らい。
思わぬ場所で再会した少女。
穏やかだった空気は紅によって断ち切られ。
そして、紅は塗り重ねられ]
……それでも、私は生きてる。
生きられているのか、生かされているのか。
[それはわからない。
何が正しくて何が誤りなのか。
それもわからない──否]
考えても、仕方ない、わねぇ。
[零れ落ちたのは、小さな呟き]
[やや乱れ、顔にかかる髪を後ろへ払う。
銀色の輪がシャラ、と音を立てた]
……決めたからには、やり通しましょう。
正しいの正しくないの、なんてものは、二の次でいい。
[願いに応えたときに見た笑み。
他者にどう見えたかは知らぬけれど、それは、女にとってはまもるべきものと見えたから]
……徒花は、徒花なりに。
やる事やるだけだわ。
[呟き、薄く、笑む。
艶やかな笑み。
それは名乗る名に、毒持つ花のそれに相応しくもあるか]
そうなると、問題になりそうなのは、あの二人、か……。
[今朝の状況から、そして、昨夜聞いた話から。
障害となりうる者は絞り込める。
もっとも、少女に害なすというのであれば、何者も敵と見なせるのだが]
……は。
あの子の事を、怒れやしないわねぇ。
[掠める苦笑、思い起こすのは、殺せば見分けられると言ってのけた少女。
障害は、取り除いてしまえばいい。
そう考える自分と、あの時のセシリアと。
何が違うというのか。
そんな事を考えながら、二階の客間へと足を向ける。
余り長く、ひとりにしておいては、と。
そう、思いながら]
─2階・客間─
[部屋の前まで戻った所で、ふと、手ぶらで戻ってきた事に気づく。
少年の亡骸を見つけた事で、多少、動転していたか]
……ま、仕方ないか。
それに、引きこもっていると、逆に不利かもしれないし。
[そんな呟きと共に、ひとつ、息を吐いて。
それから、ドアを開ける]
戻りました。
遅くなって、申し訳ありません。
[ドアを開けたなら、表情は、常と余り変わらぬものへと変わる。
それは半ば、無意識の変化]
―キャロルの部屋―
[一人で在る事が不安になり始め部屋の中を右往左往して居た。
扉が開いたのは如何しようかと近づいた時だった]
お帰りなさい!
[普段と変わらぬ様な表情に安堵の笑みを浮かべて迎える。
お茶の用意が無い事に気付いたのは一拍遅れてからだった]
…あの。
何か有りましたでしょうか。
[安堵は一転し再び不安の色を帯びた顔でキャロルを見上げた]
―自室→廊下―
[机の中から銀製のナイフを取り出す。なにかあったときはこれであいつを刺すんだと言っていたとうさんの、アーヴァインの姿を思い出す。
人狼には銀が効くんだと、二人からはよく教わっていた。本当かどうか自分は知らない、試す気もなかった。]
とうさんは……わたしを…ひとにしたかった…?
[小さく呟く疑問の声に応えるべきものはもう死んでいる。
いくらかの時がたち、ふところにナイフをしまうとまずは一度ユージーンにあって話すべきか、それとも…考えながらとりあえずは自室を出ることに。]
……
[廊下は静かなまま、遠くで微かにドアの音がしていたかもしれないが。
ユージーンの姿を探しながらうろつく、先に他の人物に会うかもしれないが。]
─2階・客間─
[不安げな問いかけに、やや、眉が下がる]
……ええ。
また、狼の爪に裂かれた者が。
あの子が……トビーが、人狼の手にかかったようですわ。
[問いへの答えは、ごく静かに]
まだ、ここを出るのは難しいようです。
狼が残っている間は、助けを呼ぶこともできぬでしょうし……。
―玄関―
[墓守の元に知らせはあったか如何か。
何れにせよ、其処に事実はあった]
トビー様ですか。
[少年の亡骸を見下ろす。
誰の所業か墓守は知らないが、短い髪の一部は更に短く刈られていた]
未だ居るということですね。
[短い黙祷の後、敷かれていたシーツの端を持ち上げて、小柄な身体を隠す。
今までのように何処かに運ぶことはしなかった]
―広間―
[広間には自分ただ一人。あれだけ賑やかだったこの場所が、今はこんなにも暗く静かだ。
だが、それも今日終わる。今日こそあの人狼めの息の根を止め、トビーや他の者達の仇を討とう]
見ていて欲しゅうござるよ、皆の衆・・・
[腰の刀から覆いを取り去り、いつでも抜けるようにする。さすがにこの国では、なるべく人前では抜かないようにしていたのだが、今はもうそんなことを言ってる場合ではない。
奴は今自分の部屋にいるだろうか?それともキャロルの部屋に?]
[やがて踵を返し、遺体に背を向ける。
この場に足を運んでから、然程時間は経っていない]
あの方は、どの部屋をお使いでしたかね。
[微かな声で独りごちながら、階段のある方へ向かった]
―二階客室―
狼の爪にあの子が。
[其れは既に知る事実の確認。何より望んだのは自分。
驚いたのは半分演技で半分はキャロルが彼女と遭遇したかもしれなかったという事実に気付いたからだった]
そうですか。
助けを呼ぶのでは無く此方から出る方法は無いのかしら。
彼の言っていた人達が来る前に逃げてしまいたい。
[実際は其れも問題無いだろうと思って居た。
微笑みたくなるのを押さえようと努めて表情を消した]
─2階・客間─
……ええ。
[ひとつ、頷く。
ヘンリエッタの驚き、その理由までには思い至らず]
ここから出るのは、難しいかも知れません。
崖を下りる道も、あるかどうか。
[消える表情。
それは、女の目には、見えぬ恐怖によるものと映る]
追手……ですか。
それに関する情報を少しでも得たかったのですけれど……。
相手がわかれば、対策の立てようもあったのですが。
[情報源となり得る少年はもういない、と。
零れたのは、嘆息]
[廊下を歩いていると階段を上ってくるユージーンの姿が見えたかもしれない上りきるのを待ち]
……(ぺこり
[小さな会釈]
ゆーじーん…いた……
[小さな声で呟くその声は近づかない距離ではきこえたかどうか]
―二階・廊下―
[階段を上がりきった時、墓守は養女の姿を目にした]
御早うございます。
[微かな声は聞こえたか否か、触れることはない。
常通りの礼をし顔を上げると、僅かにずれた髪の隙間から、左の目が一瞬覗いた。
馴染みの少女を見つめるそれは、右と同じ静かな色]
シャーロット様。
―広間→二階―
奴がどちらの部屋にいるにせよ、両方当たってみればよかろう。
ただ、問題は・・・十中八九キャロルが傍にいることでござろうな。
出来れば余計な犠牲は出したくはないが・・・
[説得はするつもりだが、彼女がこちらの言葉に耳を傾けるとも思えなかった。そんなことを考えながら広間を後にした]
―二階・廊下―
[わずかに覗いた左目に一瞬気がいく。
すぐに視線はユージーンの方を見るように、名前を呼ばれて]
……おはなし……あった…
[小さく呟く声、口の動きだけでも伝わるかもしれないが。
僅かばかり警戒の色を示しながらユージーンの方を見て微かに首をかしげ]
ユージーンは……てき…みかた…?
[かける言葉の意味はどうとられただろうか?]
―二階客室―
難しいですか。
如何しても吊り橋が直るまで待つしか無いのかしら。
[其の時はまた頼らなければいけない。
其の分はもっと此処で役に立たなければいけない]
捕まった時に私も少しだけ話をしました。
母さまと同じ力を持っているだろうと言われて。
[其れは他者に内緒で意思を交す事が出来る力。
人ではなく狼と共鳴する力]
でも絶対に内緒だと言われたから黙って居りました。
母さまも此の人達の事に気付いたから逃げろと言われたのだと思って必死に逃げました。
この力を邪魔と思う人達。其れだけは分かります。
此処で起きた事を知れば其れこそ殺されてしまう…。
[人狼と闘う者達。
此後も彼らを厄介事に巻き込むかも知れないと思い俯いた]
[ユージーンに問いかけ、かしげた首はそのままにユージーンの方を見ている。
その後ろからマンジローが階段を上ってくる姿が見える]
……
[視線はユージーンの後ろの人物に一瞬動きユージーンの方にまた戻る。]
−外−
[崖を覗くと、苔に覆われた石肌はだいぶ乾いてきているようだった。
これなら降りれるか…もう少し待つべきかは悩ましいところだった。
そうしてもう一度崖を調べなおした後、館の方へと戻っていった。]
─2階・客室─
……ええ、恐らくは。
[もっとも、村の者がこちらを救いに来るかはわからないのだが、それは言わずに]
お母様と、同じ、力……。
[少女の持つ、真なる力は知らぬから。
それは、他者を視る力と女の中で位置づけられる。
軋みを訴える一部分は、押さえ込まれていた]
……そうなのですか。
それが、何者であるにせよ。
エッタ様を殺させるような事はしませんわ。
[死なせたくはない。それは真意。
状況や真理を越えた、個の想い。
それが他者から見て歪んでいたとしても、女には意味を成さぬこと]
―二階・廊下―
何でしょう。
[常と変わらない態で、話を促す。
背後の気配に視線を逸らす事も無い。
問いを発する養女を右目が、否、既に髪に隠れた左目も共に見ていた]
それは貴女次第です。
[澱みない低音の返答は、すぐには是も否も返さなかった。
かつて書庫にて少女を殺めた銀の刃は、今も身の内にある]
―二階階段付近―
[階段を昇った先にはユージーンとシャーロットが居た。何やら話をしているようだ。
隣を通り抜ける時に軽く頭を下げつつ、さりげなく尋ねる]
おや、こちらに居られたのか。
ところでお二方、ヘンリエッタ殿を見なかったかな?
―館内→―
[広間に向かおうとして、先に広間から出てくる者の後姿を見止め、獣のごとく気配を殺す。
ユージーンやマンジローなら気づくかもしれない故、変に勘ぐられないよう振り返り注視すればすぐに見つけられる位置にはいたが。
前から感じる声と気配に耳を傾けた。]
―二階客室―
[キャロルの懸念には逆に気付く事が出来ない。
出来たとしても問題無いと判断したかもしれない。
爪と牙を持つ二人が居れば大丈夫だろうと]
ありがとう。
キャロルさんは私の味方。信じられて良かった。
私もキャロルさんの事を守りますわ。
[自然と笑顔が零れる。
本心からの言葉で在る事も変わりが無いから歯車は未だ正される機会を得ないまま歪む]
そう。キャロルさんにお伝えする事が在りました。
もう一人信じて良い人が居たと。
―広間(少し前)―
[刀に手をかけ、いつでも抜けるようにしながら、広間を出て階段を昇っていく。
普段ならば見逃すはずのない気配も、今のマンジローには感じられなかった。
彼の感覚の全ては、二階のある一室にのみ、向けられていたから。
ハーヴェイの気配には気付くことなく、彼は階段の上へと消えた。]
―二階・廊下―
いいえ。
[上がって来た男に一礼をし、質問には首を振る]
ぼくも話があったのですが。
[続く言葉は過去形だった。
その頃には既に、視線は養女の方に戻っている]
―二階階段付近―
話・・・でござるか。
[ユージーンが彼女に何の話があったのか、疑問がよぎった。しかし、そのときには、すでに墓守の視線はシャーロットの方へと移っていた。
シャーロットは何か知っているであろうか。
同じように、シャーロットの方を見る]
―二階階段付近―
[マンジローの問いかけの言葉にユージーンとマンジローの姿を交互に見てから]
……(ふるふる
[首を横に振って答える知らないと。
その後ろにハーヴェイの姿がひっそりと近づいていることには気づかない振りをして。
視線はユージーンに戻し再度わずかに首をかしげる仕草。
マンジローに注意の意識を若干に払っていることに二人は気づくだろうか?]
─2階・客室─
ええ、私は、エッタ様の味方ですわ。
……何があっても、それは変わりません。
[あなたが、何者であっても。
その部分は、声にはならない。
向けられる笑みと言葉を受け止め、歯車は軋んで回る]
……シャーロット嬢、ですか。
[白の星、と告げられた名に、ひとつ瞬く。
過ぎるのは、今朝の様子。
黒い星、「おおかみ」、白い星。
耳にした言葉の内、女が真実と見なすのは]
……わかりました。
ならば、ハーヴ殿も信頼してよいのかしら。
ハーヴ殿は、シャーロット嬢を裏切る事はないでしょうから。
[シャーロットも知らないと言う。どうやら、部屋に引きこもって出てきていないのだろう。それならばそれで好都合だ。探してまわる手間が省ける]
さようでござったか。
それではこれにて。
あぁ、そうそう。
ユージーン殿、ヘンリエッタと言う娘、
どうにも油断できぬようでござるぞ
[去り際にそれだけ告げると、二人の前を去り客室に向かう。]
―二階廊下―
[背後に或るもう一つ気配には気がついていないのか。
視線が動くことはない]
ぼくが此処に来た時、御主人は言われました。
『大切な者を護れ』と。
[それは墓に眠る二人の事、それだけを差すのでは無い]
そうして『仇為す者を赦すな』とも。
[十年来の「約束」を復唱する。
二つの目は変わらず静かだった]
貴女はどちらですか。
シャーロット様。
―二階客室前―
[居るとすれば、おそらく二人一緒だろう。ヘンリエッタの部屋はノックに何も反応がなかった。キャロルの部屋へと行き静かにノックする]
キャロル殿、居られるかな?
[逆に問われるユージーンの声にはこくりと頷き]
…………………
[私は悪いことしてないよと口だけの動き。声は出ないマンジローが傍にいたから。
それはある意味本心からのものだった。]
……
[かけられたマンジローの言葉になぜこの人はヘンリエッタを怪しいというのだろうかといった感じで首をかしげる。
自分を人狼だと言ったラッセルを人狼だといったヘンリエッタを信じることは別段他の人にもおかしくは見えないはずだろう]
─2階・客間─
[扉を叩く音と、呼びかける声。
碧は静けさを帯び、ゆっくりとそちらを振り返る。
答えるか否かの逡巡。
だが、ここで黙り込んでいるのは得策ではない、と。
そう、判断した女はひとつ、息を吐く]
……何か、御用かしら?
[呼びかけに返す声は、平静さを保ったもの]
―二階・客室―
[少女が本当に占い師で在ったならば立て続けに視る事は叶わなかったはずだ。少なくとも出来る例は彼も知らなかった。
けれど大丈夫だろうと背を押してくれた。だから味方を味方だと告げて更なる絆を引き寄せた。
歪みを孕んだ侭。歯車は軋んで廻る]
はい。そう思います。
ハーヴ様は何時でもシャーロット様の味方ですもの。
[部屋の外から近寄る者が在る事に「少女自身」は気付けない]
『いまそっちにいこうとしてる、気をつけてね』
[前後して響くノックの音。
最前の声は扉の外からでも聞こえただろうか。
与えられていた牙は今手の内に無い。
キャロルが答えるのを緊張して聞きながら扉に向かい身構えた]
─2階・客間─
[占い師、霊能者、そして守護者と呼ばれるものたち。
女はそれについては深くは知らぬ。
だからこそ、疑う事無く、その『事実』を受け入れた]
……ええ、そうですわね。
[扉に意識を向かわせつつ、ひとつ、頷いた
歯車の軋みがまたひとつ、増える。
少女がはきといいきれるほどに二人について知っている事は、違和感となってもいいはずなのに。
疑う事を否定した女は、そこから目を逸らしていた]
―客室前廊下―
[シャーロットの疑問の眼差しには気付かず、そのまま二人の前を通り過ぎる]
そこにヘンリエッタ殿が居るであろう。
少し、話がしたい。
[キャロルから返ってきた言葉には、口調は冷たく静かだが、有無を言わせぬ声で告げる。]
─2階・客間─
……女の子とのお話を望まれるにしては、怖いお声ですこと。
[冷たい口調に返すのは、からかうよな言葉]
ダメだ、と言っても、聞く気はないのではなくて?
……覚悟がおありなら、入っていらっしゃいな。
[何の覚悟、かは言葉にはせず。
静かな口調でこう返す。
口元に浮かぶのは、艶やかな笑み]
[男には言葉を返さず、小さく頷くに止めた]
悪いこととは何でしょうね。
[唇を動かした養女に問い掛けるでもなく、独りごちるように言い]
貴女は、人狼ではないのですか。
[改めて見据えるようなこともなく、静かな目のまま。
常と全く同じ声で、さらりと告げた]
―客室前廊下→キャロルの客間―
[からかうような言葉には、ただ無言を持って応えるのみ。招き入れられれば、一礼をして中へと入る。我知らず腰に当てた手に力が入ってゆくのを感じた]
しからば、御免。
[部屋の中。空気がやけに重く感じる。
目の前の少女は、果たして人か魔か。
しばしの沈黙の後、意を決したように口を開く]
ヘンリエッタ殿。
童っぱを殺したのは、お主でござるな?
─2階・客間─
[入ってきたマンジローの様子。
女の目が険しさを帯びる。
後ろに回された手が、紅の飾り帯へと伸びる。
正確には、そこに隠された二本の刃へと]
……女の部屋に入るには、物々しいご様子です事。
[それでも、軽口は止めることなく。
沈黙を経た問いかけに、表情は険しさを帯びた]
―客室―
[緊張して入ってくるマンジローを見詰める。
何を言われるのだろうかと身構える]
…はっ。
いいえ。私は殺しておりません。
[最初に詰めていた息が零れた。
首を左右に振りながら否定した]
あの後は此方の部屋でキャロルさんと一緒に居りましたもの。
[ユージーンの問いかけには答えるよりも早くハーヴェイから彼に問いかける声。
ハーヴェイに視線を向けてユージーンに視線を戻す。]
………
[返答次第では…、考えることに少しだけさびしい気持ちも沸いたけども。それは微かに表情にでていたかもしれない。
ふと思い出す、ユージーンに注意していたため意識しなかったが、
マンジローは腰に下げた刀に手をかけてはいなかったかと。よくは見ていなかったため見間違いだったかもしれない。
その状態がどうだったかまでは自分にはよくわからないことだがそれが武器だといことだけは理解できた。]
………
[目の前のユージーンのことと、ヘンリエッタ達の元に行ってるであろうマンジローのことどちらを優先すべきかわずかに考える。]
はい。
と言ったら、如何しますか。
[不意に背後に現れたような気配にも、振り返りはしない。
動じた様子も見せない。
揺らがない低音は応えた。
真実そうだったかは兎も角、初めから其処に居ることを知っていたかの如くに]
[選んだのはユージーンへの返答、ハーヴェイの様子にも動じた様子もない。]
わたしは…できれば……ゆーじーんを…殺したくないよ…?
[いつもより少し長く小さい声で返した言葉は、
今この場の応答では自分が人狼であることをさすことになったかもしれない。]
……
[じっとユージーンを見る目は警戒の色に]
そうか。
―――――残念だ。
[そう告げるとすでに獣の腕と化した手で、ユージーン目掛けて下段から上に斬りかかった。
瞳は黄金の輝きを放ち、口元には三日月の笑みをうかべ、端からは鋭い牙が覗いていた。
隠そうともしなかった殺気に、墓守はどう対応するだろうか。]
―キャロルの客間―
[口調とは裏腹に、険しい瞳を向けてくるキャロルにも警戒は崩さず、彼の双眸はただヘンリエッタのみを見据えていた]
どうかな。
それに・・・人狼は一人とは限らぬ。
我は童っぱより聞かされておったのだ。
そなたの事を。
そして、お主の昨夜のあの狼狽振り。
その直後に・・・童っぱは殺された。人狼に
─2階・客間─
……仰っている事、わからなくもないけれど。
[マンジローの言葉に、上げるのは低い声。
立ち位置は自然、ヘンリエッタを庇うよに]
あの子が人狼に殺されたからと言って、それがすぐにエッタ様と結びつくとは限らないのではなくて?
人狼が何を考えているかなど、わからないのだから。
……それに、自らを追うもの、それに関わるものの言葉に動じないというのもどうかしているわ。
―客室―
聞いて居らした。
私を追い掛けて来たと云う事をですか。
[宿るのは警戒心。
キャロルの言葉に勇気付けられ凛とした声を上げる]
ですが今お答え致しましたわ。
私は殺しておりません。
人狼でも在りません。
其れでもまだ私を…如何する御心算ですか。
そうですね。
ぼくも殺される気はありません。
[養女の言葉に、僅かに目が細まる]
皆様の墓を守らねばなりませんし。
どなたも、やってはくださらないでしょうから。
[墓守は言った。
直後。
背後で振るわれた獣の腕は、墓守が前方に飛び出した事によりその背を掠めるに止まるか。
微かな痛みは気にも止めず、その勢いのまま養女に向かって行った。
右手には銀刃が握られる]
―キャロルの客間―
[チャキッっという高い音と共に刀を抜く。この国の剣とはかなり変わって見えるが、それが武器である事は容易に想像がつくだろう]
お主が殺したのだ、童っぱを。
[庇うように前に出たキャロルを威嚇するように睨む]
童っぱはこうも言っておったよ。
「殺したくも殺せぬから隠す」とな。
我の国でも、高貴な家に不吉な忌子が生まれた時には、殺すことはせずに「座敷牢」と言うものに隠しておくのだという。
高貴な家に生まれた狼の血をひく忌子。
それがお主の正体だ!!
[そう言うと、刀を大上段に構え、二人に対して肉迫する。キャロルには「寄らば斬るぞ」と言う視線を向けた]
ざんねん……。
[ユージーンの答えに、わずかに残念そうな表情。
けれどもそれはすぐに向けられた敵意へと返す敵意と重なり消えて
ハーヴェイの攻撃をかわしこちらに向かうユージーンの姿。]
………
[右手に握られた銀刃に注意をしながら、もう獣の本性を隠しはしない]
ころすね…ゆーじーん……。
[小さい声で短く告げながら右手を切り裂こうと右腕を振るう。
その右腕には獣のもの、鋭い爪が空を裂く]
インサニア!ジーンを殺せ!
[掠めた爪から獲物は僅かにすり抜ける。
共に在った者へと、情を残さないよう、支配するように、彼女の真名を呼び指示した。
彼女へ支配は届くだろうか。
それともやはり、情を残すであろうか。
ただ一つだけ解るのは、人狼が人に負けることはないだろうと、そんな事だけだった。]
─2階・客間─
……だから、そこからどうして人狼に直結するのかしらね。
[大上段の構え。
女に動揺はない。
紗が翻り、両の手に細身の刃が一振りずつ握られる]
……エッタ様に、手出しはさせない。
毒花の名、伊達や酔狂では名乗っていなくてよ!
嘘は言っておりませんわ。
「私は」人狼では在りませんっ!
[与えられていた牙は無い。
危ないと思ったら呼んでと言われた。
今のマンジローはキャロルにも容赦はしないだろう。
殺されたくない。自分も彼女も。
だから大変だと思っても二人を呼んだ]
分かったわ…!
[駆け付けられなくても。
如何すれば良いのかは教えて貰えた。
一度転がり刃を避ける。
キャロルが間に入ってくれる間に体勢を立て直して。
そして]
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