情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 7日目 エピローグ 終了 / 最新
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
疾風竜 ティル に 1人が投票した。
流水竜 ナターリエ に 3人が投票した。
雷撃竜 ミリィ に 4人が投票した。
影輝竜 ノーラ に 2人が投票した。
氷破竜 ブリジット に 1人が投票した。
翠樹竜 ベアトリーチェ に 1人が投票した。
雷撃竜 ミリィ は村人達の手により処刑された。
次の日の朝、焔竜 ダーヴィッド が無残な姿で発見された。
次の日の朝、疾風竜 ティル が無残な姿で発見された。
現在の生存者は、月闇竜 オトフリート、流水竜 ナターリエ、生命竜 クレメンス、大地竜 ザムエル、精神竜 アーベル、影輝竜 ノーラ、氷破竜 ブリジット、機鋼竜 エーリッヒ、翠樹竜 ベアトリーチェ の 9 名。
[影輝竜の心中と異なり、青年は疑うのではなく笑みを深める]
……なるほど、それはありえますね。
影輝と精神の力を私も感じ取りました。
ちょうど、その事について大地殿に窺おうと思っていた所です。
[窺うような素振りにも、青年はただ微笑むばかり]
……影輝と、精神の、ですか。
< 振り向かずに呟いた。俯いた頬に髪がかかり、陰を落とす。
変貌した欠片は大分散らされたか、潜む気配も今は感じられない >
ええ。ああ、でも。
辿るとなれば、貴方のほうが得手でしょうか。
< 其処で歩みを緩めて、振り仰ぐ >
―東殿/回廊―
[歩みを緩め振り仰ぐ影輝の竜へ、少し遅れて歩いていた青年はゆっくりと首を振った。
混沌の欠片の破片が青年に吸い寄せられるように近づいて漂う]
……いいえ、今は『混沌』の気配が強すぎて逆に辿りにくくなっています。
あなたの方が向いているでしょう。お願いします。
[頭を垂れる代わりのように青年は視線を伏せる]
―回廊―
[闇色の炎が、ダーヴィッドのところから、自分の方に近寄るのを見ていた。]
[くるくると、前に"視"たような様子で、それは踊り。
――火炎の竜が、何かに気付いたような顔をした。]
ダーヴィッド殿?
[身のうち、心に隠れていた"片割れ"の残滓は、その火を睨み。
そして首の飾りが、その闇を厭う]
[ふたつがあわさり、その炎をかき消さんと。
そして、その力を持つものを――一番手っ取り早い方法で、遠ざけようと。]
[力が、ふくれあがった。]
― 東殿・回廊 ―
< 一時、レンズ越しに精神の竜の瞳を映す。伏せられていると悟ったからこそではあるが、直ぐに僅か逸れた。
視界の端、つかず離れずの位置で黒の破片が宙を彷徨う >
近しいものであるが故、ということですか。
ならば、貴方は襲われないのかもしれませんね。
< 会話の遊びに軽く言ったのみの事 >
……欠片の残滓を辿れば、恐らくは。
< それは己が力の一部を吸ったものである為に。
前へと向き直り、黒布を引き寄せ、迷わぬ足取りで歩を進める。もういないのか、避けているのか、欠片が寄ることもない。次第に喧騒が近くなる >
─東殿・回廊─
[剣についての話をしているところで、二者から視線を感じる。事情を知るティルのものと、何か聞きたそうにしているミリィからのもの。己が持つ剣が持ち得る属性が増大した時、彼女はその場に居合わせた。おそらくは気配を感じ取っていたのだろう。小さく息を吐くと、何事か訊ねようとミリィへと視線を向け──]
──……っ!?
[ハッと息を飲む。ミリィの頭上に現れていたのは無限の鎖。それはすぐさま螺旋を描きミリィを包み込んで行き──消失。言葉を発す暇も、それを防ごうと手を出す暇もなく、ミリィの姿は掻き消えた]
何と……今度はミリィが…!
[しばし呆然とした後、他に変化は無いかと周囲を見回す]
[そして気付く、一つの力。それは昨日己に纏わりつき、霧散したそれと同じもの。見えぬそれに気付いた時には既に遅かった]
……っ、ティル!
[原理は分からぬが消えゆくティルと、白き小猿の姿。その力の渦から引き出そうと、己が左手を突き出す。昨日その力を弾いた剣の能力を頼ろうと。
しかしその腕はティルへと届くことは無く。また、剣は見えぬ力を弾くこともせず。ただ消えゆく様を見つめることしか出来なかった]
[己の時には声を出し、認めないといった剣の力は。
しっかりと火炎の竜を、抵抗もないのに絡めて、送った。]
[契約者たる彼女のいる場所へ]
[闇色の炎は、今はない。
首飾りからは、流水と天聖の気配――]
―――っ!!。
[不意に。
頭が痛み出した。
咄嗟に頭を抑えると、目の裏に浮かぶのは、闇に浮かぶ焔。
それが、一瞬激しく燃えさかったかと思うと、次の瞬間には光る水により燃え尽きた]
……焔が……消えた?
どうして……?
[頭の痛みは一瞬のみでなくなった。
それでも、ナターリエは呆然とした面持ちでその姿のまま固まった]
……どうして……私は此処にいるのに……「流水」の力が……。
―― 東殿・回廊 ――
[目の前で「それ」を見るのは初めてだった。唐突に現れる無限の鎖、そして消えて行く雷竜の姿、そして、続けて姿を消す風の竜…]
ミリィさん!ティルさんっ!?
[目の前で起こったことに、名を呼ぶことしか出来ずにいた、その間に、もう一つの消失…それは、離れた場所の、力を渡してあった機械竜から伝わる]
……ダーヴ?!…馬鹿なっ!
[逆流したエネルギーがメタルの腕を天青石の光に包む]
―東殿/回廊―
そういう事です。
……さぁ、それはどうでしょう。
それなら峡谷も安心なのですが。
[会話の遊びは真実の一端を突いていたが、青年は微笑むだけ。
欠片の残滓を辿る足取りを、じっと見つめていた]
―東殿・回廊焔側―
[ダーヴィットが消える。何が起こったかは――よくは分からない。
素早く、問うのは別な場所。
こちらではただ、驚いたような表情を浮かべたまま。]
―― 東殿・回廊 ――
……過負荷……防御機構作動…
[青く染まる顔から、声が零れる]
Shutdown!
[青の光が消えると同時に、ゆらりとその身体は床に崩れ落ちた**]
─東殿・回廊─
[目の前より失せし二竜の姿。その内の一竜は己が対。バランスは一気に崩れ、断続的に起きていた微震の影響が少しずつ表れてくる。当初より強さを増したそれは、この竜都をも少しずつ揺らし始めた]
くぅ……やってくれる。
ここまでされて居ると言うに、奴らの尻尾は未だ掴めぬとは…!
[悔しげに漏らされる声。己を律すべく、右手は額のバンダナへと]
─東殿・回廊─
エーリッヒ?
ダーヴィッドがどうか……。
[どうかしたのか、と訊ねようとした時]
エーリッヒ!
[倒れるエーリッヒの身体。咄嗟にそちらへと駆け、床とエーリッヒの身体の間に己が身体を滑り込ませる。辛うじて、エーリッヒの頭が床に当たることは阻止したが、己の腰を打った]
あいたたた…。
…何があったと言うのじゃ。
ナターリエとやら、起こすのを手伝って……ナターリエ?
[助けを求めナターリエへと視線を向けるが、当のナターリエは呆然とした様子で固まっている]
―東殿・回廊 焔側―
……一体、何……が。
[目の前で起こった出来事に、何も対処できずただ時が過ぎていく。
焔の竜は虚空にでも飲まれるかのように消え去り。
鈍い痛みが、頭を襲う。焔の竜が消えた影響だろうか。
月闇竜からは、本来感じるはずの無い流水と天聖の気配が感じられる。
一度だけ、小さく頭を振るう。翠樹の仔を、今一度しっかりと抱きかかえて。
ブリジットへと与えられたパズルのピース。
命竜が告げた探査の結果、そして目の前で出来た出来事]
クレメンスの言っていた通り、若焔が揺らされていて……
若焔が、剣を奪おうと――?
それで、剣の力で、……彼を、どうにかした?
[思ったままに、自分の情報をつなげて行く。
本人から、解答は帰ってくるだろうか。月闇竜を、じっと見る]
……っ!?
雷!風!
[焔の消失を感じたとほぼ同時に、一緒にいたはずの雷と風の気配が消えた。
霧に生じた雷の残滓も、凪いでいた風の残り香も、今は無い。
嵐は終わりを告げたのだ]
うぅぅぅぅぅぅぅ!!
[短い時間とは言え、楽しい時間をすごさせてくれた二人。それから、対の一が消えたことにより、抑えていたはずの力が暴走しそうになる]
あぁぁぁぁぁぁぁ!!
[必至に抑えようともがく。
水竜王から教わった水の輪を目の前で回そうとしたが、それは、徒労に終わった]
―回廊―
……え?
[ブリジットの言葉に、ネクタイの上から、首飾りをおさえる。
おさまれと願うも、それは叶わない。]
[ただ、話の内容からわかるのは。]
――ええ。
剣の力で、……剣が結界に送りました。
[水が。
堰き止められていた水が。
少しずつ溢れ始める。
最初は少しだけ足元を濡らす水が。
次には通路を覆うようにあふれ出す水が]
[―――外に降り続いている雨が、段々と強くなる]
[体から水が噴出す。
それは、小さな穴から、水を弾き飛ばすように。
すさまじい勢いで吹き飛んでは、壁に極少の穴を開けていった]
―東殿・回廊 焔側―
[ブリジットの言葉に一番耳を疑って吹きかけたのは、嘘を振りまいた張本人。
思わず片手で口元を塞ぐのは、ある種考え込んでいる様子に見えなくもないが。]
―東殿・回廊 焔側―
[剣を持っている、という月闇竜の言葉には、抱きかかえた翠樹の仔が
不思議そうな顔を浮かべているかもしれない。
ただ、ブリジットには仔の心境は分からずに]
……剣の力で、"揺らされたもの"に、対抗できたのね……
良かったと安心するべきか、もっと、早く対処して貰いたかったと言うべきか……
色々と、制約などが、あるのかも、しれないけれど……
[どこか苦しそうに告げる。
苦笑のような表情だが、いささかどこか、安心した様でもあり]
─東殿・回廊─
[倒れるエーリッヒを床に座るようにして支えた状態で、回廊奥から現れるノーラとアーベルの姿を見つける。何事か口にしようとして、それはナターリエの叫びに掻き消された]
ナタ───……いかん!
[名を呼ぼうとして、危険を察知した。ナターリエの身体から飛び出した水が目の前を横切り、傍の壁に小さな穴を開ける。咄嗟に砂の翼を広げ、壁を作り。エーリッヒを背負うと低空飛行状態のまま近くから離れた]
一体何が…。
そう言えば、ダーヴィッドがどうと、エーリッヒが言って居ったかの。
……よもや、あやつまで……!?
[そうであるとするならば、このナターリエの暴走っぷりも頷ける。剣の影響で増大した力に、更に対の一つが欠けたのだ。抑えきれなくなったのだろう]
―東殿・回廊 焔側―
……、クレメンス?
[考え込むようにしている命竜を見て、覗うように名を呼んだ。
吹きかけているとは露知らず、何か思うところがあったのだろうかと]
[波がうねる。
大波が逆巻く。
ナターリエは、半分暴走状態のまま、自らの形態を波へと変化させて移動。
移動する場所は、当然、流水の気を感じる方向へと]
[海原が荒れる。
激しい渦を巻いて、波が高く高く上がった]
[波は高速で移動。
通路いっぱいに残っている混沌のカケラを巻き込み、蹴散らしながら。
―――そうして、移動した先に見えるのは、月と氷。それから、生命の姿。
ナターリエは、波の移動を止め、天井近くで上半身だけを元の形態に戻して、叫ぶ]
誰が!誰が!誰が!誰が!誰が!誰が!誰が!誰が!誰が!誰が!誰が!誰が!誰が!誰が!誰が!誰が!誰が!誰が!誰が!誰が!誰が!誰が!誰が!誰が!誰が!誰が!誰が!誰が!誰が!誰が!誰が!誰が!誰が!誰が!誰が!
[言葉は言葉にならない。
意味の無い言葉をただ叫び続けるのみ]
え、ええ。
[どうしてそういう結論なのか。
と、いうのを、問い詰めたい。
が、問い詰められない。]
[はっと仔の視線に気付いて、]
ブリジット殿、すこし、良いですか?
[逃げた。]
ベアトリーチェ殿。
[名を呼んで、近付く。
そうして、そっと、囁いた。]
後で、ちゃんとお話しますね。
一緒に、王様を、お出ししましょう?
―東殿・回廊 焔側―
あ、いや。
[すぅと息を吸ってから手を放せば、辛うじて体裁だけは取り繕えた。
氷竜に覗き込まれたので、思わず頭を撫でておいた。ええ思わず。]
いや、こうも簡単に見つかるとは思ってなかったから、よ。
[何が、とは今は言わない。他の竜の気配が近づいてきているからだ。]
―東殿・回廊 焔側―
[とそこに現われたナターリエの様相に、若干の危機感を感じ半歩下がった。]
うぉぁ!?
な、何だぁ?どうしたナタ!?
[あまりの様子に、眉を潜め。]
―東殿・回廊 焔側―
[何故だろう。月闇竜と生命竜が自分を見る目がおかしい気がする。
もう一度、自分の情報を整理してみた。
うん、間違ってない、多分。きっと。恐らく。――多分。
ただ、そんな風に思うのも、脳の随分かなり隅っこの方でのこと。
今は大きな頭痛が大半を占めており、それを抑えるのが精一杯]
……、オトフリート?
[翠樹の仔へのひそひそ話や、ばれたら怒られる、という言葉には、
素直に頷くのみ。
命竜に撫でられれば、不可思議そうに睨みつけただろうか]
―東殿・回廊 焔側―
――ッ!?
[頭痛がさらに酷くなった時。回廊の奥から、通路いっぱいの荒波が押し寄せてきた。
幾分離れたところで波が止まると、はるか高みに見覚えのある上半身が出で生まれ]
流水のナターリエ……!?
[暴走しても見える、彼女の容貌。そして、声に、驚きを隠せない]
─東殿・回廊─
[目の前にあり得ぬ光景が広がる。高波が、頭を擡げていた。それはナターリエであったもの。波へと転じたナターリエは、通路いっぱいに身を広げながら何処かへと流れ行く。こちらへ来なかったのは僥倖であったろうか]
ぬぅ……あのまま放っておくわけにも行くまい。
が…まずはこ奴をどうにかせねば。
[背に抱えたエーリッヒに視線をやり、彼の個室へ向かおうとする。途中アーベル達に声をかけられたなら、後にしてくれんかの、と断りを入れて、低空飛行で回廊を進み始める]
─東殿・エーリッヒの部屋─
[ナターリエの怒号は止まらない]
「流水」が泣いている!
嘆き悲しんでいる!
聖なるものとして作られたものが、本来と逆の使われ方をして泣いている!
誰が!誰が!
そのようなことをした!
何故泣かせる!
何故悲しませる!
誰が!誰が!
流水を、眠らせていない!
[エーリッヒの部屋に着くと扉をあけ、ベッドへその身体を横たわらせる。顔は未だ青ざめていて昏睡しているらしく、目覚める気配は無かった]
一体何があったと言うのじゃ…。
流石に後で聞きださねばなるまい。
[孫のように接する存在。その彼が倒れしに心配しないはずもなく。倒れた時に感じた機構の力の増大と、あの光は一体何だったのだろうか。流石に聞かぬと言うわけには行かなくなって来た]
[エーリッヒの身体に毛布をかけてやっていると、開け放たれたままの扉から機械竜が入って来て、エーリッヒの傍へと降り立った]
お主は確か……エーリッヒが作りし機械竜じゃったか。
……後で様子を見に来る故、しばらくエーリッヒのことを頼むぞぃ。
[機械竜の頭を撫でるように触れ、傍を離れると部屋の外へと足を向けた]
さて…あやつはどこへ行ったやら。
[次に気になるのは、波となり駆けて行ったナターリエのこと]
[この場合どうすればいいのか。というか流水の様子が怖いのは、事前の印象がものをいっているという部分もある。]
ブリジット殿。
そこの変態のひとに此処を押し付けて、逃げませんか?
[腰が引け。]
――私は逃げます。
―東殿・回廊 焔側―
暴走している……、若焔が、結界に送られた所為……?
[頭痛の原因もこれか、と顰め面になりながら。
痛みで言葉の意味はあまり捉えることが出来ず、ただ睨むだけで]
―東殿・回廊 焔側―
お、おい?落ち着け、しっかりしろ!
[まるで錯乱しているようなナターリエに近づき。
ゆらと、周囲に集めるのは琥珀の光る粒子。
生命の一部を周囲に漂わせ、押さえ込み――というよりは、宥めにかかる。
ゆらり、ゆらり、粒子はナターリエを取り巻いてゆく。]
―東殿・回廊 焔側―
……反対する理由はありませんね。
[月闇の竜に、こくり頷きながら。
翠樹の仔を、しっかりと強く抱きしめて]
――戦略的撤退です。
いいですか、私は、こっちに逃げるので。
あっちに、お願いします。
[自分はナターリエに近付くけれど、と、部屋をさし。
ブリジットには、廊下の遠方を。]
それでは、お願いしますね。
後でまた。
[いうなり、部屋へと入り込む。
そのまま窓を開け――外へと、そして結界の中へ、余裕があれば回りこんで、逃亡**]
―東殿・回廊 焔側―
変態の人とか愛が足りないってオトたん。
…まぁいいわ。
任されるから行ってらっしゃいっと。
あんまし役に立たないかもしれないけどね!
[けらけら笑いながら、ナターリエの方を向いたまま、片手で3(4)竜にひらりひらり。]
―東殿・回廊 焔側―
ええ。オトフリートも、色々気をつけて。
まだ、揺らされているものも残っていそうですから。
[オトフリートの指示にこくりと頷き、命竜ほっぽっといて大逃亡。
廊下の遠方を目指し、小走りで掛けていった]
グルルルルルルル……!!
[強い唸り声と共に、ナターリエが三人の姿を順に眺める……ベアトリーチェは目に入っていないようだ。
流水の気配。
それは、いつもからかったりして、相手していたオトフリートから感じ取れた]
何故、貴様が「流水」の気配をさせている!
何故、今、貴様から感じる!
何も無かった!
貴様と触れおうたときには、何も感じなかった!
なのに、何故、今の貴様からそれを感じる!
答えよ!オトフリート!!
[言いつのっている途中、クレメンスから放たれた生命の粒子がナターリエを取り巻いてきたが]
しゃらくさい!!
[一喝して、今は退けた]
─東殿・回廊─
[ナターリエの姿を探し、先程向かった方角に見当をつけて歩き出す]
あの様子であれば、何事か痕跡が……と、水が増えてきたの。
おそらくは、この先か。
[ナターリエは水に乗り駆けて行っていた。なれば室内でありながら水の溜まっている方向に居るだろうと当たりをつけ、そちらへと向かって行く。近付くにつれて強まる流水の気配]
──……何?
[それに紛れ感じる、別の気配。左手首の腕輪が鈍く光った]
…何故じゃ、何故こちらにある…!
[感じるのは片割れの剣の共鳴。エルザと共に消えたはずの、剣の共鳴が何故か感じ取れた]
─東殿・回廊─
[結界内にあるはずの片割れの剣。その共鳴に踵を返す。もはやナターリエを追うどころではなかった]
[感じる共鳴を追い回廊内を彷徨う。しかしそれは途中で途切れ、追うことが出来なくなってしまう]
……これは、一体……。
[半ば呆然とした様子で立ち尽くす。右手で顎髭を撫で、今まで得たものを頭の中で整理する。この状況で考え得るはほぼ一つ]
…あやつらの手に渡った、か…。
[喧噪から離れた回廊の真ん中で、小さくぽつりと*呟いた*]
―東殿・回廊遠方―
はぁ、はぁ……。
[結構な距離を走り、既に命竜と水竜の姿は見えない。
頭痛に加えて急に走った所為か、息が上がっている。
翠樹の仔と、黄蛇が心配そうに声を掛けてきてくれただろうか]
少し、休めば……、大丈夫よ。
年は、取りたく……ない、ものね。
[困ったように苦笑する。
少しだけ壁にもたれかかるように、座り込んだ]
―東殿・回廊 焔が居た側―
[生命の粒子を向ければ、軽く引くナターリエに頭を掻く。
操る分の量では、今のナターリエには軽く足りないようで。
おまけに言っている内容は、今のブリジットにきかれなかっただろうかとはちらり。ナギににも。
このままで居られるのは、非常に拙い。情報もだが、状況的にも。見境無く辺りに牙をむきかねない。
正気を取り戻した時に、冷静に言葉を紡がれるのも問題だが…。
はぁと、溜息をつく。
本来であれば。あの二人の為に取っておきたかったが。]
…しゃーないか。
[手は頭から、首の後ろに。]
ナタあ!!
[名を呼びながら手を放し、首の後ろ―文字のような記号の刻印は、薄く光を放つ。]
極上の快楽をやるぜ。
極めきったお前さんには、ちっと物足りないかもしれんがな。
[へらと笑いながら、刻印の放つ光が濃くなるほど、周囲の琥珀色の粒子はその量を増やしていく。
クレメンス自体の身体もゆっくりと崩れ。これは灰銀色の粒子へと変わりはじめ。
二色の粒子は、互いに完全に混ざることなく、色を保ったまま交じり会い。増殖し。辺りに満ち溢れ。
ついには額に灰銀を残した、琥珀色の巨大な粒子の竜を形作った。]
[琥珀の竜は一度作りあげた形を崩し、ざわりとナターリエの周囲を取り囲む。
まるで水のように、空間いっぱいに質量をとり、天井まであったナターリエの身体の周りを取り囲み。
それは一斉に、怒れるナターリエをどぷんと飲み込んだ。]
逃げるか!オトフリート!!
[追いかけようと、波が移動を開始しようとして―――ピタリと止まる。
そばに感じていたはずの流水の気配が遠ざかった]
―――?
[あんなに近くにいたはずなのに、何故?
そんな一瞬の迷いにより、クレメンスの本性解放による一撃に反応することは出来なかった]
……な!?
[戸惑いの言葉と共に、ナターリエの体がクレメンスの体に飲み込まれる。
水が、生命の海へと沈み込んだ]
[ちなみに本来であれば外で、広範囲対象に使うもので。
質量が空間を上回り、周囲の隙間という隙間に琥珀色は流れ出す。
クレメンスらが居た場所中心の廊下という廊下に、琥珀の粒は満ち溢れ。
うっかり巻き込まれた者の傷や状態変化、失われた体力が、ある種の快楽と共に瞬時に回復されるだろう。
絶大なる癒し。
ナターリエを飲み込んだ後暫く、緩やかに琥珀はそこを漂っていたが。
数分程度の後、琥珀はゆっくり端から、溶けるようにきえていく。
琥珀が全てが消え去り、灰銀だけが残れば。
それは人の形を取り、うつ伏せに倒れている普段のナターリエの傍に立って。]
…はぁ。
[いたが溜息と共に壁に背を預けずるずると座り込んで。
大丈夫かと、口を開きかけたが声にはならず。
そのまま壁にそって横に*倒れた。*]
[生命の海に沈みこんで数分。
やがて、琥珀が全て溶けて消え去れば、ナターリエは全裸でうつぶせに倒れていた]
……んん……ん。
[妙に悩ましげな声を上げて、ナターリエが目を覚ます]
ここ……は?
……ってか、なんで裸なのかしらぁ?
[サービスカットです]
……ま。いいわぁ。
えーと、確か流水の気配を感じて……く!
[思考の海に溺れようとすると、ひどく頭が痛み、ナターリエは思わず、手で抑える]
……駄目ね。何も考えられそうに無いわぁ。
―――?
[ふらり立ち上がると、前方の壁にクレメンスが横になっているのが見えた]
……すごい所で寝ているわねぃ。
ま。生命のならおかしくもないか。
それに、人を心配しているような状態でもないしねぃ。
私も、自室に戻って、横になりましょうか……。
[ナターリエはあっさりとクレメンスを放置して、自室に戻り、頭痛を癒すために、丸まった状態でベッドに*倒れこんだ*]
―東殿・回廊遠方―
[座り込んだ状態で、暫く体力の回復を図っていた。
下ろしたベアトリーチェが、心配そうに背中などを撫でてくれると]
ありがとう。大分良くなったわ。
[何とか微笑み、そう告げる。
事実、先程と比べると頭痛が大分引いてきている。
先程遠くで大きな力の流れが感じられたが、それからだ]
クレメンスが、なにかしたのかしら……。
[そう呟いたところで、ゆっくりと立ち上がる]
[穏やかに首を振った。その後はナギへと向けて]
もう、大丈夫です。
ただ……少し状況が気になりますから、ちょっと戻ってみます。
もしかしたらまだ危険かもしれませんから、リーチェと一緒に……
[そこまで言ったところで、翠樹の仔が服の袖を、きゅっと掴んで来た]
―東殿・回廊遠方―
……私が守れば……ううん。
私とナギさんで、きちんと守ってあげれば、大丈夫ですかね。
[その言葉に、翠樹の仔は微笑んだだろうか。
抱えようとしたが、疲れているのを察したのか、手を繋いで歩き出す]
―東殿・回廊 焔が居た側―
流水の姿は無い、か……。
[そう呟いたところで、壁に沿って倒れている命竜の姿を見つけて]
――クレメンス!
[急いで駆け寄り、息があるか確かめた。
その間、心配そうな顔でベアトリーチェが命竜を覗き込んでいたが]
……息はあるけど、大分お疲れみたいね。
[安堵の溜息を零すと、さてどうしたものかしらと思案顔。そこで翠樹の仔が、
「おじちゃん、こんなところでねてたら、かぜひいちゃうよ?」
と心配げな声を発し、ブリジットを見上げている]
……運んであげよっか。
[どこか困ったように笑んで、呟く。こくり、素直に頷いたベアトリーチェは、
うんしょ、うんしょと首根っこを掴んで]
まあ、それで良しとしましょう。
[首が絞まらないように、両手で引きずっていく。
命竜の個室まで引っ張るのには、それなりに時間が掛かった]
……ふう。お疲れ様、リーチェ。
[命竜をベッドへとなんとか運び終え、今度は翠樹の仔の部屋へと向かう。
あんなことがあったばかりで心配だったということもあり、
今日もまた翠樹の仔が寝付くまで、ベッドの端にでも腰掛けているだろう。
もっとも、ブリジット自身、疲れと頭痛の所為でベアトリーチェよりも先に
ベッドへ倒れこんでしまうかもしれなかったが*]
― 回想/東殿・回廊 ―
< 響き渡る呻き、唸り。
感情の昂りは容易に知れる。
音を頼りに最後の一歩を踏み込み見つけたのは、噴き出す水から逃れる、機構の仔竜を背負った大地の老竜の姿 >
ザムエル殿、何が、
< 吐き出された疑問を含んだ声に、黒を見開く >
……ダーヴィッドが、じゃと?
< 名を聞き留め、視線を意識を失った仔竜に注ぐ。
彼に対応策があるならば火炎の竜を護るだろう。虚竜王の不機嫌か。
荒れ狂う海、糾弾の叫びと共に流れ行く波に、それ以上の思考は遮られた >
< 後に、と言う老竜の言葉に頷き、精神の竜には跡を追う事を告げ、流れの行き着く先を求める。
途中、散らされた影ならぬ影が消えゆくのを認め、痛みを覚える訳でもないのに無意識に腕を抑えた。
立ち止まりかけた瞬間、視界を覆う白き光――ならず、琥珀の粒子。影に紛れる間もなく、否、影すら包む奔流に流されかける。
それは、物理的にのみではない >
…、…………っ
< 息を呑む。影たる仔には憶えのない感覚。
事の所以と顛末を知る由もなく、還る琥珀に似た様相で、その場から*消えた* >
―回想―
[気を失う前、ナターリエの声は辛うじて聞こえた。
顔の位置が固定されていたので、足の先しかサービスされなかったのは置いておいて。
よく分からないが暴走は止まった。思考面に関しては不明瞭、といった見解ではあった。
それだけ確認してから、すぐに意識は闇の中。
次に目を覚ました時に変わっていた景色に、数度瞬く。]
―東殿・自室―
…誰か運んでくれたのか。有り難い。
誰なんだろうな。
とりあえずナタとオトは違うだろうが。
[残り気から探る、などという器用な事は難しかったので、真実は闇の中なのだがここ2つは確信した。
ごろり、上を向く。
解放の疲労感はまだ残ってはいる。あまり無茶な動きはできないだろうが。]
慌しかったが…結局、向こうにゃ焔と風がいったんだっけか。
[雷竜の事はまだ聞いていない。]
―東殿/回廊―
[青年は騒ぎにも黙して全てを見聞きし記憶へ刻んでいた。
流水の津波を見送り、後程と断りを入れ去る大地に視線を流し、影輝が追うと告げる言葉に頷く。
そうして皆がその場にいなくなってから、口元の笑みを深くした]
そう、若焔殿が。
――…賭けに勝ったな。
[青年が零した言葉の意味を知るものは少ない。
そして迷走する大地竜の気配に目を細めながら影輝の後を追い、生命の竜の琥珀の光に還るかの如き姿と倒れたニ竜を回廊の角から見て取った]
………。
[しばしの逡巡。だが、此方へと歩き出す流水の竜を避けるように*踵を返した*]
―東殿・食堂―
[中に入れば何人かの配膳係りが食事を作っていた。
ひらと片手を上げて、火にかけられている寸胴軍に近づく。]
えーと、どっちがカレーだっけ?一個もらってくな。
あ、これも。
[置いてあったリンゴを一つ手にし。
カレーをよそおうとした係りを制し、鍋の方に触れると、鍋ごとその場から*消えた。*]
―回想/東殿・回廊―
[窮地に救いが述べられたのは命竜殿の言葉。
仔は縋る様に顔を振り向けど、怯えの為か言通りに後ろへと下がる事が出来ぬようであった。
命竜殿が欠片に対し対抗する術を持ち合わせておらぬ事は承知済み故、仔を拾うには難しいかと私は思えども意外にも――…失礼、有り難き事に命竜殿は危険を冒して僅か離れた場所に居る仔を回収する。
慣れぬ人物故か仔は随分と驚いた様であったが、欠片の恐怖に勝るものは無い。
大人しく命竜殿の腕に抱かれたままであった。
案の定か対抗手段を持たぬ以上、偶然にも其処に居られたお疲れの様子である焔竜殿に…少々ご足労をお願いする事になってしまったが。]
[氷竜殿に手渡されるまで身動ぎすら少々怪しかったなれど、
むずがる様子も抵抗もせぬ。
ただやはり慣れぬ腕の為か僅かに硬直した様にも見えてはおった。
だからして氷竜殿に其の身を渡されると、幼子は一寸不思議とでも言うかの様に命竜殿へと視線を向けておったのは少々意外であった。
何を思ったかは私に判らぬ。仔は何を言うでも無かった故に。
時折頭を撫ぜられるのが安堵するか――はてまた嬉しいのやも知れぬ。
以降幼子は始終氷竜殿の首に手を回ししがみ付いたままであった。
氷竜殿には至極申し訳無い事に、彼の腕の中は半ば定位置に収まりつつある。
――しかし此れを父王が知れば、嫉妬に氷竜王殿に下手な八つ当たりが向けられるやも知れぬと危惧せずに居られぬのは私の気のせいであろうか。
…幸か不幸か向こうの声は今は届かぬ故――此方の現状も知らぬと思いたいが。]
[と焔竜殿の消失に驚く間も無く。氷竜殿の問いに、
仔は驚愕したか不思議と思うたか闇竜殿へと視線を真直ぐに向けた。
それも其の筈、捜すと言っていた目的の剣を既に闇竜殿が持っていた故に。
しかし闇竜殿から密やかに告げられる言の葉に其の色も直ぐに消え失せた。]
……!…うん!
[共に王をお出しするとの言葉に仔は嬉しげに口許を綻ばす。
捜していた剣を闇竜殿が既に持ち合わせて居た事は確かに幼子にも不思議であったようであるが、其れ以上に父王に会えるやも知れぬという期待は幼子の心を埋めた。やくそく、と真似る様に仔は口許へ指を添える。
後の事は仔の記憶に少々薄い。
幼子の事、多少の恐怖はあったに違いは無かろうが氷竜殿に抱かれていた事も安堵する要因で有ったし、何より父に会える事への歓喜は何より大きい様であった。]
[途中で命竜殿を個室へと送りはすれど、幼子が行った運搬はそれは酷いものであった。首根っこを引っ掴み運ぶ仔の頭の中に首が絞まるや窒息する等の配慮は恐らくではあるが、無い。
もし氷竜殿が居らねば、…命竜殿の無事は確証に厳しいものであっただろう。
――氷竜殿には既に何度感謝を重ねたか判らぬ。
後に氷竜殿と共に個室へと戻り休息を取る事となった。
この時私はまだ知らねども一寸前程から雷竜殿の消失により力の調整が利かぬ。
身体を休めようかと思う矢先、氷竜殿は早々に倒れこんでしまった。
ここ数日、申し訳無い事に仔を抱きかかえて事を過ごして居るからであろうか――にしてもやはり珍しき事。因は疲労のみで無いのかとも思うが、その理由は私にはまだ知る由も無かった。
仔はいつかの様に少々の時間を掛けて氷竜殿へと毛布を被せると、就寝の挨拶を交わし。
闇竜殿の言葉に、仔と私は聊か異なる感情を抱きながら眠りの底へ着くことになる。]
―回想終了―
―とある部屋→回廊―
[天気は今日も悪い。
その部屋を出た後、気配を探った。
今はこの首飾りは、沈黙している。]
[翠樹の仔へ、話にいかなければと。
そして、もうひとつ。
それは、決して心の奥から外へもらしはしない決意があった。]
――こちらですね。
[氷破の竜に願ったとおり、二人は一緒にいるようで。
仔にだけ話すことは可能だろうかと、困りながらもその部屋へ向かう。]
―東殿・個室―
[疲労の程は氷竜殿程では無く、また同じ翠樹の気を纏う者であれど仔は幼い故にか均衡の崩れし影響を私ほど受けた訳でなかったのか、仔の目覚めは私や彼の竜より早かった。
幼子は一度寝台から抜け降り私と氷竜殿がまだ眠りの底だと知るや、
静かにせねばならぬと考えたのか、部屋に備えてあった椅子の一つに腰掛けたまま常に握り締めたままの小袋の中を弄る。
一つ、何味か判らぬ真白の包み紙に首を左に傾ぎ、しかし口へと放り込む。
薄荷だったか、慣れぬ味に僅かに幼子の顔は苦悶に歪んだ。]
―回廊→氷破の部屋―
[決して気付かれぬようにと気配を殺し、その部屋にたどり着く。
こんこんこんと、手の甲で三度ノックした。]
[突如室内へと響いた音。
別の味を食しようと包を解いた小さな手がはたりと止まる。
一寸の逡巡の後、椅子から軽く飛び降りた仔はぱたりと素足で床を叩いて扉へと駆け寄った。
その跡に点々と残る緑達は今まで寄りも些か大きく成長し、しかし直ぐに枯れゆく。
――其れが、雷竜殿が消失した影響かは知らねども。]
……だぁれ?
[幼子は恐る恐るに僅か扉を隙間に開け回廊へと覗き込んだ。
相手の顔を知れば、すぐさま其の顔は綻びようか。]
おはようございます、ベアトリーチェ殿。
[小さく笑って、首を傾げる]
今日は、まだお休みですか?
[仔の腕を見て、そこに蛇がいないことに気付き、尋ねた。
声は小さい。]
ブリジット殿も。
――うん、おはよ。
[幼子は自らの小さな身体で抑える様に、先程よりも扉の隙間を押し開ける。
投げられた問いに一度瞬くと、何かを確認するかの如く一度己の腕へと視線を向け次に室内へと振り返る。――私と氷竜殿が未だ眠りの底に居るようだと確認しやれば、最後に闇竜殿へと視線を戻して仔は小さな頷きを返し肯定を示した。]
ナギも、ブリジットもまだ、ねてる。
…きのう、たくさんつかれちゃった? から、かも。
そうですか。
それじゃあ、寝かせておいてあげましょう。
ベアトリーチェ殿は、大丈夫なんですか?
[そっと仔の頭を撫でて]
剣の、お話。
それなら、ここでしてしまいましょうね。
[しぃ、と人差し指を、口にあてて。]
リーチェは、たくさんねたから、へいき!
[頭に触れる指が僅かくすぐったかったか、小さく笑いながら身を捩り。
そうしてから仔は自らの声が少々大きくなった事に気付いたか慌てて口を両の手で押さえる。氷竜殿を起こしはしないかと室内を再び振り返ったが、扉近辺からでは幼子の眼にはどうやら無事な様に見えたか安堵の息を零した。
確かに少なくとも先程より位置が動いたと云う訳では無い様に見えたが、
私も同様眠りの中故、実の所は判らぬ。]
おはなし。
ないしょ?
[闇竜殿の真似事の様に、仔も短な人差し指を口へと当てる。]
良い仔ですね
[くすくすと笑って、両手で口を押さえる様子をほほえましく見た。
それから、そっと膝を折り、目を合わせて。]
そう。お話、内緒ですよ。
ナギ殿にも、ブリジット殿にも。
できますか?
ブリジットにも、
…ナギにも?
[高さの近くなった闇竜殿の眼を真直ぐに捉えながら、仔はゆると首を傾ぐ。
氷竜殿であれば口を閉じれば幼子なりにも秘密裏に出来よう、しかし常日頃仕えている私にはどうか――仔は一寸困惑にも似た色を浮かべ考え込んだ。
しかし幾ら悟られる事が多いとは云え事を全て知られるとは在るまい。]
…わかった、だいじょうぶ。
リーチェ、いいこだから、できるよ。
良い仔ですね。
[仔の言葉を信じて、にこりと笑う。
もう一度、頭を撫でてから、ネクタイを外す。
そしてボタンを開き、そこにある首飾りを見せた。]
これも、剣です。
本当は、ザムエル殿のと、二つで、ひとつの剣。
半分だから、まだ、王様方は出せないのです。
ですが、もしかしたら。
……わたしが、その中に行ってしまうかもしれない。
その前に、あなたに、これを渡します。
[微笑んで。]
ぜったい、内緒ですよ?
…きれい、だね。
[闇竜へと見せられた首飾りを、幼子の双瞳は興味深げに真直ぐに捉えた。
剣の事と聞きして、何故首飾りなのかと幼子は思ったかも判らぬが、口を継いで出た言の葉は首飾りに対する素直な感想であった。
やはり幼子と云えども女児。装飾に興味を抱くのは不思議でないのやも知れぬ。]
――? 剣なの?
[闇竜殿の言葉に、仔は再び不思議そうに相手を見やった。
そうして今一度首飾りへと視線を向ける。幼子の眼にはやはり首飾りの様にしか映らぬのであろう。]
――ととさま、だせないの?
でも、おじいちゃん、剣もってないって、いってた。
…ノーラみたいなわっかも、わっかだから違うって。
…! やだ。
オトが中いっちゃったら、やだ。
[ふる、とむずがる様に仔は首を横へと振る。
しかし次の言葉には今度こそ確りとした驚愕の色を滲ませて瞬いた。
闇竜殿の言葉が判らなかった訳では在るまい。
しかし仔にとって驚くべき事に相違は無く。]
…あぶなくないの?
――さわっても、へいき?
[内緒との言葉には、小さく頷きながら。]
そのわっかと、この、かざり。
二つで、剣なのですよ。
すごい剣だから、形が変えられるそうです。
[微笑んで]
でも、老君。ザムエル殿は、二つが一緒になるのを、いやがるから、
どこかにやってしまおうと、しているんです。
だから、ザムエル殿は、教えてくれないんです。
私も、ベアトリーチェ殿と一緒にいたいです。
でも、これがあることに、気付かれてしまったから。
だから、ベアトリーチェ殿に渡すときは、
私が、持っていったように見せます。
[にこりと笑って]
触ってもだいじょうぶですよ。
でも、ぜったいみつからないように、こっそりね?
[首飾りを手に乗せて、触りますか?と。]
…すごいね。
――けんなのに、かたち、かわるんだ。
[闇竜の言葉に再び幼子の視線は首飾りへと注がれる。
やはりあの腕輪は剣に関与するものであったのだと幼子が安堵すると同時
続く言葉に、幼子は困惑を隠せぬようであった。]
…どうして?
おじいちゃんは、おうさま出したくないの?
[闇竜殿の説明は、幼子には不可解だとばかり困惑の色のまま首を傾ぐ。
仔は元を正せば父に会いたいだけではあったが、他の者にとっても王たる者達が居らぬ事は諸々に支障を来たすと云う事も重々に理解していた。
時折――例えば陽光の仔がそうで在ったように、中に居る王の一人の不機嫌に寄って誰かが中へと連れ込まれるとも聞及んでいた故、
尚更仔にとっては早く場から出さなければという思いもあったからであろうが。]
王様を出したくないのじゃなくて、本当の剣になったら、
とっても強いから、ザムエル殿には、使いこなせないんです。
[嘘ではない。
困ったように微笑んで。]
でも、誰かは、使いこなせるかもしれないでしょう?
挑戦しなくちゃ、出来ません。
今は、大人しい剣だけど、本当の剣になったら、とても意地悪なんです。
その挑戦が失敗したら、たいへんなことになっちゃうって、ザムエル殿は思っているんですよ。
――でも、早くしないと。
[眉を顰める。
ようやく、休ませたアーベルを思い返していたが、仔には伝わらないだろう。]
きづかれたら、だめなの?
中に、いれられちゃう? …だれに?
[笑みを向けられながらも告げられる言葉に、幼子は困惑のままも頷かざるを得ないようであった。
二対の剣が揃わねば、父に会う事が出来ぬと知ったばかりだと云うに、その一対が万が一中へと行ってしまえばそれすら叶わなくなってしまう。
幼子にとって、それは避けるべきでもあった。]
…こっそり。
[手に乗せられた首飾りをまじと見つめた後、恐る恐る指先にて触れる。
ひやりと硬質な冷たさはあるが、やはり見ただけでは剣とは思えぬ様であった。
不思議そうにじつと視線を注ぐ。]
……だから、あとで。
あなたに剣を渡します。
でも、お願いがあるんです。
それを。
[少し考えて]
ノーラ殿か、わたしの名前を、ちゃんと知っている人に、渡してください。
ベアトリーチェ殿が、もし怪我をしてしまったら、わたしはとても悲しいですから。
[首飾りに触れるベアトリーチェをそっと撫でて。]
わたしの、本当の名前を。
あなたにお教えします。
[微笑んで、その名を口にのぼらせた**]
…そっか。
そんなに、すごいけん、なんだね。
[それでは致し方ないやも知れぬ。
仔も始めは危ないと云われていた、地竜殿ですら使いこなせぬと謂うのなれば余程であろう。闇竜殿の困ったような笑みに幼子は同様の表情を浮かべる。]
……いじわるな、けんなの?
けんなのに、つかってもらうの、きらいなのかな。
はやくしないと、…たいへん?
[闇竜殿の言葉と表情にか、幼子が同じように眉を顰める。
その意図は掴めねども尋常で無い事だけは汲み取れたか。]
…うん、わかった。
[怪我をされては悲しいのだと聞いたのは、前は欠片に触れてしまった時か。
其れを思い出したのやも知れぬ、闇竜殿の願いとやらを聞きし幼子は素直に一つ頷くと
忘れぬようにか反芻するの様に一度口の中で繰り返す。
――今では随分と親しくなった影竜殿か、彼の竜の名を知っている者へと。
其処まで思考を巡らせ、仔ははたと思い当たったか一つ瞬いた。]
…オトの、なまえ?
[恐らくにも、皆知っているのでは無いかと驚いたように僅か首を傾いで
しかしその手に撫でられると、仔は闇竜殿を真直ぐに見つめた。
その様な意味では無いと、幼子の理解に到るのはこの後の言葉。]
――ほんとう、の。
[笑みと共に告げられる名を、仔は胸の内に秘め隠す。
それを告げるのは、氷竜殿にもましては常従う黄蛇にも許されておらぬのだと自らに言い*聞かせて*]
内緒ですよ
[幼き子は、真剣に聞いてくれている。
頭をなでて、それから首飾りを戻して、立ち上がった。]
さぁ、ナギ殿もブリジット殿も起きてきてしまいますよ?
戻って、笑ってあげて下さい。
また、後で会いましょうね。
[名残りおしげに、身を起こし。
手を振って、部屋をあとにした。
向かうは、*食堂*]
―東殿/回廊―
[外見は変わらないけれど十分な休息を経て、青年は回廊へと滑り出た。求めるものはただ一つ]
……後で、という事でしたが。
どこにいらっしゃるやら。
[大地の老竜を探し動き出す。そして影輝の姿も]
―食堂―
[スープをかき混ぜながら、老君を待つ。
首飾りに、彼の竜が気づかないわけがない。]
[ため息を吐いて、目を閉じた。]
[回廊に漂うスープの香りに、青年はふと足を止めた]
食事は必要不可欠ではないけれど…集まってくるかな。
[あてもなく動くよりもいいだろうと香りの先である食堂へ向かう]
風は止み、雷は止めども、水は波高くうねり続ける――…
それに――…属するがゆえに、危険。
[その呟きを耳にしたものは――モノは、居ただろうか。
青年は口元の笑みを深めて、食堂の扉を開けた]
―食堂―
[此方のあても外れたらしく、未だ目的の竜の姿は見られない様子だった。
台所の方からかかる声に眼鏡の奥の紫紺を向けて微笑む]
……いえ。
ですが、十分に満ちましたから。
[安らかな眠りで精神の竜は満ち足りていたから、そう告げて中へと入る]
あぁ、もしよろしければお茶をいただきたいかな。
[翠を見た視線は流れて、月闇の竜の手元へ留まる]
茉莉花茶で、よろしいでしょうか?
[微笑みのままに尋ね]
満ちていらっしゃるなら良かったです。
最近、いろいろありましたから……
[熱い湯を注ぎ、やがて香る茉莉花。]
きっと、もうすぐ終わりますよ
[カップを用意して、そっと机に。
食堂には、茶が香る。]
……えぇ、竜郷が壊れる前に決着をつけなくては。
[机に置かれたカップからは優しい花の香りが漂い、花茶を好む竜の眼差しには穏やな色が浮かぶ]
ありがとうございます。
――…美味しい。
[ゆっくりと一口飲んで、口元が綻んだ]
< 風、雷、炎。
三つの属が囚われ、水は一時抑えられたためか、雨は止み、風は弱まり、雷は遠い。しかし暗雲は絶たれた訳ではなく、竜都より広がりつつあるようだった。
気温は低く、他の者であれば凍えていたことだろう。しかし今はむしろ、受けた癒しの力の所為か、灯るいのちが熱くすらある。
胸に手を当て、慣れない波動に眉根を寄せた。
短く吐息が零れる >
本当に。
そんなことにはならないと思いますけれど。
[自分もまた席につき]
お口にあいましたようで、良かったです
[のどを潤わせ、ふわりと微笑んだ]
─東殿─
[剣の共鳴が途切れし後は、それを辿るにも辿れず回廊の真ん中で考え込んでいた。離れた場所での癒しの力には果たして気付けたかどうか。思案に没頭していたためにそちらに意識が向くことはまず無かっただろう。そうした状態のまま歩を進め始め、いつしか己が個室へと戻っていた。
その後、そのまま思案に没頭していたのか、今後に備えて休息をとったかは定かではない]
[しばしの時間の流れ。いつしか閉じられていた瞳が見開かれた]
……現れた。
[呟かれたそれはもちろん、剣の共鳴に対して。共鳴が断続的に起きている事象から考え得ることは一つ]
結界内を行き来出来る可能性、か。
他を押し込めることが出来るのならば、それが出来てもおかしくはない。
[己の中で点が線へと繋がる。何かを決意するように短く息を吐くと、椅子から立ち上がり個室の外へ。向かうは剣の共鳴の下]
―― 私室 ――
[唐突にぱちりと目を開ける。枕元に止まっていた機械竜が飛び降りて来ようとするのを、右手で制した]
…近付くな、ユル。
[ゆっくりと起き上がり、手袋に覆われた左手に目を落とす]
これ、が、剣の力…
[エネルギーの逆流を受けたメタルの腕は、ショート直前で全ての機能を落としたおかげで、自己修復により動きを取り戻している。しかし…]
確かに、危険だな。
[手袋を外し、指先を軽く握るように動かすと、酸に溶かされたかのように腐食した欠片が、ぼろぼろとシーツの上に零れ落ちた]
止めないと……誰が持っているにしても。
[手袋を戻し、立ち上がる]
[再びカップに口をつけていたから、返事の代わりに目で頷いて]
とても美味しいですよ。
それに…温かい。
[暗雲による気温の低下は、静かに建物の中にも伝わっていく。
カップを両手で包んだ青年は、余る指先を組む様にして遊ばせた]
大地殿はどちらにいらっしゃるのでしょう。
窺いたい事があるのですが。私も、影輝殿も。
― 東殿・回廊 ―
< 海に触れる前の記憶を遡り、大地の竜が仔竜を運んだ場所を思い起こしながら進む。
所々に空いた小さな穴、嵐の過ぎた痕に焔の軌跡、大小差はあれど惨劇としか言い様のない傷跡を残す宮殿。
天聖のものが見れば嘆きたくなるだろう。残された彼らは、それでも忠実に職務をこなしているようだった >
―― 私室 ――
[近付こうとする機械竜に、また右手を振る]
だめだ、お前は…
[機械竜は構わずその肩に止まった。青い瞳が明滅する。まだ焔の色のルビーを額に飾ったままのその頭を軽く撫でて苦笑]
ダーヴの気性まで移ったんじゃないか?お前の役目は子守りじゃないだろうに。
[言いながらも、無理に退けようとはせず、そのまま部屋を出た]
さて…どこから当たるかな…
[ゆっくりと歩き出す。手袋の下のメタルの腕は、今も少しずつ、腐食を進めている**]
アーベル殿のいれてくださったものの方が、美味しかったと思いますけれど。
[不思議そうに首を傾げ]
老君ですか?
そのうちお見えになるのでは……?
……まだ。
少し痛むかしらねぃ。
[ゆっくりと。
ナターリエが寝床から起き上がった]
でも、いつまでも寝ているわけにはいかないかな。
昨日のこと、布に水が染み込むが如く、少しずつ、思い出してきたからぁ。
[鋭い目で。
ナターリエが扉を開ける]
けど。『力ある剣』を所持しているもの。
私一人では、到底対処できない。
ならば、もう一つの『力ある剣』を所持している、大地の元へ。
[回廊に出て左右を見渡し、そして、ザムエルの姿を求めて歩き出した]
─東殿・回廊─
[本来の持ち主─仮契約ではあるが─であるエルザの下から離れた剣の共鳴は以前より弱く感じられ。それを漏らすことなく辿れるよう、右手で左手首の腕輪を握り、強く念ず。気配を辿る様相は彷徨っているようにも見えたか]
……問題は、誰が持って居るか、じゃな。
[片割れの剣を持ちし者。現状、その者が干渉されし者の可能性が高い。こちらの残る面々の誰が持ち得るのか。己の剣について探っていたものであれば一人心当たりがある。しかし奴が持っているとも限らない。剣の気配を辿りながら、誰が持ち得るのか考えながら、その足は回廊を進む]
……。
[いつものナターリエらしくもない、真剣な表情で回廊を歩く。
探知と言うほど正確な探知を出来るわけではないが、先日暴走した末に、通路いっぱいに水を撒き散らしたことが功を奏して、大地の居場所はなんとなく掴むことが出来た。
やがて―――]
―――大地の。
[ナターリエの目はザムエルの姿を捉えることになった]
[声をかけられ、ハッとした表情となる。声のする方を見れば己と同じように真剣な表情をしたナターリエの姿]
……如何した。
先日の暴走からは解き放たれたようじゃな。
[瞳を細めナターリエを見つめる。流水の気配はするが、天聖の気配はしない。剣の持ち主ではないことだけは理解した]
[ザムエルの言葉には、深々と頭を下げ]
はい。
お恥ずかしいところをお見せいたしました。
[そして、話の核心へと触れる]
……まずは単刀直入に切り出させていただきましょうか。
もう一つの『力ある剣』の所有者を、貴方は知っていますね?
それが、誰だったのかを、お聞かせいただきたい。
何故なら、私は、今『力ある剣』を持っているものに違和感を感じていますから。
[知っているかどうかは、半分賭けに近いものがあった。
それでも、ナターリエは、ザムエルは知っているという確信に近いものを感じている]
[頭を下げるナターリエには、いや、と短く返し。核心をついた言葉を聞くと僅か息を飲む。こやつも気付いているのか、と警戒の色を最初は浮かべたが、先日の剣についての知識、更には腕輪が持つ属が増大せし時を思い出す。目の前の人物ならば気付いてもおかしくはないやもしれぬ、そう思い短く息を吐いた。仔なれば言い包めも出来ようが、下手な嘘は逆に怪しまれることだろう。今剣を持つ者に対し違和感を感じると聞き、口を開くことを決意す]
……ああ、知って居る。
彼の剣、聖魔剣を所持していたのは……エルザじゃ。
エルザが無限の鎖に囚われし時、共にここから結界内へと移動しておるはずなのじゃが…。
[紡がれし言葉はナターリエに届くだけの小さなもの。それは他には隠すつもりで言ったのか、心労による疲れから小さくなっただけのことだったのか]
[ザムエルからの言葉を聴くと、ナターリエは小さく頷いた]
やはり……。
しかし、これで、線は繋がった。
『力ある剣』はオトフリートが所持しています。
陽光、天聖。……焔。
対の属性。『力ある剣』……焔が消えたことと、流水の悲しみ。
今までの異変は……オトフリートから紡がれているのは、ほぼ間違いなくなりました。
即ち。
『揺らされていたもの』は―――オトフリート。
[きっぱりとナターリエは断言した]
何じゃと…!?
[紡がれし名は己も交友のある者。何度となくその知を語り合いし者の名。驚きに瞳を丸くする]
オトフリートが揺らされし者…。
今、聖魔剣を持つはあやつか……。
[考え込むようにし、右手で顎髭を撫でる]
……あやつが揺らされて居ると言うのならば、抑えねばなるまい。
剣を渡したままには出来ぬ。
「揺らすもの」からの干渉、それを食い止めるが今の儂のなすべきこと。
…お主が暴走せしは、それらが重なりてのことじゃったか。
[断言するナターリエに迷い、偽りが見えず。その言葉は信ずるに値するものであった]
私には、何が彼の人を揺らされたのか、原因が何なのかは、さっぱり分かりません。
しかし、「揺らすもの」がこの世の破壊。そして、停滞を起こすというのならば、力づくでもとめなくてはいけませんわぁ。
……其の点で、貴方と意見を同じくできて、助かります。
強大な力を持つ貴方とねぃ。
ちなみに。
私が「揺らされていない」というのは、何やら焔が証明してくれたということをお忘れずに。
……暴走しましたが。
[最後の言葉は少しばかり冗談気味におほほと笑った]
目的が同じ者が居ると言うのは心強いの。
…強大な力と言うが、それは剣が持つ力。
しかして儂は仮契約の身。
使いこなすまでは至らんのじゃ…。
[それを告げる声は申し訳なさそうなものとなり]
うむ、お主が違うことは理解して居るよ。
他に揺らされて居らぬはブリジットじゃったな…。
あやつにも助力願いたいところなのじゃが。
[如何したものか、と思案。続く冗談めいた笑いにはどことなく苦笑を漏らした]
―食堂―
[やがて茉莉花茶を飲み終えて、カップを片付ける旨を伝える。
そうして台所に入り、片付ける。]
[――気付かれ、逃げる道だけは確保しておかねばなるまい。]
―― 東殿・廊下 ――
うーん、誰から当たろうか?ユル。
[ついてくるなと言ったことなどすっかり忘れた様子で、肩の機械竜に語りかける]
ブリジットさんとナターリエさんは、もうダーヴが調べただろ?ザムエルさんは、あの時傍に居たから、違う。
残ってるのは、アーベルさん、オトフリートさん、クレメンスさん…それとノーラさんに、ベアトリーチェ。
いくらなんでもベアトリーチェは無理があるよね。
ノーラさんは…
[影竜は、自分の力に気付いている可能性が高かった。だから、揺らされたものであれば、邪魔とみなして排除にかかるのが自然。現に力を持つ事を公言していた二人が結界へと送られたのだから]
[機械竜が焔竜が送られた現場を「見て」いれば話は早かったろう。しかし、覗き見禁止の命を忠実に守っていたために、感じたのは力の奔流のみ。剣の圧倒的な力に紛れて持ち主までは特定できなかった]
貴方が仮契約ならば、向こうも同条件か、それ以下。
つまり、それだけで剣の力は抑えることは出来ます。
剣の力さえ抑えることが出来るのならば、二人以上いれば抑えることは出来るでしょう。
問題は、オトフリートに仲間がいるならば、二人だと心もとない、ということでしょうかねぃ。
[ナターリエが困ったように眉根をかしげたが、続く言葉には]
ブリジット?
そう言えば、暴走中にオトフリートと出会いし時に、氷のも一緒におられたような気が……。
後、生命のとねぃ。
[昨日の出来事を思い返しながらナターリエが思案する]
……氷に助力を求めるのは、少しだけ危ないかも知れませんねぃ。
―――他には誰か、信頼できるものに心当たりはありませんか?
―― 東殿・廊下 ――
そうすると、三人のうちの誰か、か。
[うーんうーん、と悩み中。三人共、とかいう考えには至れないようで]
< 真実に近付く者に遭遇することはなく歩みを進める。
初めに此処を訪れた時より、しじまは染みるようになっていた。明かりは意味を為さない、見えない闇が迫り来るような感覚 >
……エーリッヒ殿?
< 廊下で悩む仔竜の姿を認め、彼ではない口調で名を呼んだ >
[悩みながら歩く先に、見知った気配]
あ…
[それが地竜と水竜の気配と知ると、慌てて廊下の端に張り付いて隠れる場所をきょろきょろ探す]
―個室―
[疲労から回復し漸くにして私が起きた頃、
仔は部屋に備え付けられた椅子に腰掛けゆうらりと足を揺らしていた。
机上に散らばった幾つかの包み紙を見るに、何時から起きていたかは判らぬが
それ以降ずうと飴玉を転がしていたと見える。]
……、おきた?
[口に何か、恐らく飴の一つだろうを含みながら、仔にしては些か抑えられた声。
成る程氷竜殿はまだ眠りの底故、起こすのは拙いと思ったか。
無言のままに頷きを返せば、そう、とだけ言葉が返る。
――少々、違和感を感じなくも無かったがその要因は私には知れぬ。]
剣の力の相殺か……確かに、それは出来るやもしれん。
そうなれば協力する人数は必要じゃな。
ダーヴィッドの調べによれば、結界に作用して居るのは少なくとも二人。
もう少し人数は欲しい。
[ナターリエの言葉に同意し頷く。しかし続く言葉には眉根を寄せることになろうか]
……ブリジットがオトフリートとクレメンスと共に居ったと?
クレメンスは、おそらくはオトフリートと同類……揺らされている可能性はあると思う。
事あるごとに儂の剣について探って来て居るからのぅ。
その探りの後に……儂は奴らの力を向けられておる。
儂が剣を持っていることはあちらには明白じゃ。
その二人と共に居ったとなると……懸念は拭えんな。
[おそらくナターリエの危惧と同じものを想像しているだろうか。他に居ないかと聞かれると]
信頼し、儂が剣を持つことを明かしたティルはやつらに封じられた。
他と言えば……そうじゃ、エーリッヒはどうじゃろうか?
ええっと…あ、そうだ。
オトフリートさんを見かけませんでしたか?
[誤摩化すように問いかけたのが、闇竜のことなのは、先に二人が一緒に居たのを見かけていたため]
「揺らされているもの」は二人、ねぃ。
[それに関しては初耳だった]
大地のが言うことが確かなら、闇と生命、ということかしらぁ。
だとすると、余計に氷は危険ねぃ。
下手をすると、その二人に協力している可能性まであるわぁ。
なら他は……。
[ゆるりと、今、この場に残っている属性を思い出す]
精神。影輝。翠樹。機鋼。
影は、昨日のカケラのことがあるので信用しきれない。
翠は、まだ子供。
後は、精神と、機鋼かしらねぃ。
……そうねぃ。大地のが言うとおり、昨日あの場に一緒にいたエーリッヒに協力してもらうほうがいいかしらぁ。
……いえ。
< 話題を逸らす問いかけに首を傾げかけたが、否定のため横に振る >
それより、身体は大丈夫ですか。
ダーヴが消えたとか……
敵わなかったんですか?
< 視線をずらし、肩の機械竜を見詰めた >
―― 廊下 ――
そうですか。
あー、うん、そうなんです。
[返された問いかけには苦笑する]
向こうの方が強くて……それに、初めて感じる力だったので、対処し切れませんでした。
[一旦、言葉を切って、影竜を見つめる。それは一つの賭けかもしれなかった]
ダーヴは「力ある剣」を持つ者に、結界に送られたみたいです。
可能性はある。
[挙げられる言葉に頷きを返し。翠樹の言葉に軽く眉を顰める]
…ベアトリーチェ殿は、仔とは言え、何かに突き動かされている節がある。
儂に、剣について訊ねて来たことがあった。
それが干渉されたが故のものなのか、誰かに嗾けられたものなのかまでは分からぬが。
ただ、「教えてもらった」と申しておった。
知らぬうちに協力させられている可能性は否めん。
[持ち得る情報をナターリエへと明け渡し。エーリッヒに協力を、と言う言葉に頷き返した]
善は急げじゃ。
エーリッヒを探すとしよう。
……「力ある剣」を?
なんで、剣がダーヴを。
< 繰り返し、視線を戻し機鋼の仔竜を見返す。
見開いた黒。沈黙を数秒、落とした >
あるいは、暴走している……?
なら、あの欠片の事も理由がつくかもしれないけど。
< 手を口許に沿え、半ば独り言な小さな声を漏らす >
……そう言えば、子供のほうが素直に聞く分、干渉される可能性は高いかもねぃ。
ごめん。ちょいと、思考外だったわぁ。
[何やら、意外に子供には甘いようで]
よし。
やるべきことは決まったのなら、行動へ移しましょうか。
幸い、床に水たまりがちょこちょこ出来ているので、私の役立たない探知でも、ある程度は誰がどこにいるのかの場所は分かるのよ。
……えーと。機鋼のは、と。
……?
[探知して。
ナターリエが後ろを振り返った]
仕方あるまいに、通常ならそう考えるも自然。
今が通常とはかけ離れた状態にあるだけじゃ。
[事実通常あり得る状態ではない。謝る様子には気にするなと告げて]
ほぅ、それはまた好都合じゃな。
無闇に探し回るより効率が良い。
[感嘆するような声を上げ、その探知の結果を待つ。その様子を眺めていると、ナターリエは後ろを振り向いた]
ぬ?
どうした?
[つられそちらへと視線を向ける]
……
[影竜の反応は、剣を持つ者とは思えなかった]
暴走、に近いかもしれません。悲しみ、怒り、それに近い感情のようなものを剣の力から感じました。逆流するほどの。
[その逆流が、逆しまの呪に近いものとなって、今己の左腕を腐らせているのだと、感じていた]
……。
[ナターリエが、口に人差し指を添えて―――何故か、妙に艶かしい―――ゆっくりと、エーリッヒのそばへと移動する。
……はたしてそこには、怪しいと思っていた人物ノーラと話しているエーリッヒの姿]
(……どう、とればいいのかしらぁ。
まずは、様子見ねぃ)
[ナターリエの仕草は枯れた老竜にはどう映ったであろうか。ひとまず声を出すなと言うその行動に口を噤み。こそりと覗き込めばそこにはエーリッヒとノーラの姿。
ナターリエが言わんとすることを察し、まずは様子をみることに]
それほど、厭うことがあったんでしょうか。
< 後ろから声をかけたのだから、此方を窺う気配は機鋼の仔竜より悟り易いか。しかしまるで気付いていない素振りで、言葉を続ける >
剣の一は影輝の属を持つ。
そして強き力ほど、揺らげば及ぼす影響も強い。
暴走の前兆が混沌のかけらを変貌させたのかもしれないですね。
この場の均衡は崩れている。
< 後の科白にも、無関係とは思えないというように微か首を振った >
[然程高くもない椅子から飛び降りた仔は、難無く着地を果した。
腰を屈め伸ばされた腕へ常の様に絡みつく。]
…ブリジット、つかれちゃったのかな。
[未だ眠ったままの氷竜殿の顔を覗きこんで、仔は私へと視線を向ける。
かも知れぬ、幼子を抱えたまま果てには昨夜の様子は均衡が失われし所為か
体力の消耗は著しいものに他ならなかったに相違なかろう。]
つかれたら、なんだっけ。
…おみず?
あと、ととさまは、ひなたぼっこでのんびりするといいよって。
[――それは少々翠樹故の影響もあるかも知れぬが。
尤も、雨は上がれども陽が差すには空は程遠い。]
―― 廊下 ――
そうでしょうか?
でも、あの時、ダーヴを送った剣には影輝の気配は無かった…
[感じたのは、天聖と流水、そして得体の知れぬ力。或いはそれが揺らすものの力の一部だったのか?]
或いは、対の剣が、揺らされた者に渡ったことで、もう一方の剣もバランスを崩している?
うっわあ…まじでやばそ…
[また怖い考えに至ってしまって、頭を抱える]
[ノーラの言葉に小さく、ザムエルにのみ届く言葉で囁く]
……なるほどねぃ。
昨日の影の如き、混沌のカケラは、貴方のほうの剣の力の暴走ということかしらぁ。
陽光が消え、月が揺らされていることにより、影がバランスを崩した末の結果、ということも考えられるのかしらねぃ。
ただ、私達が聞いているときにそのような話題になったのが出来すぎ、ということが少しだけ気にかかるかしらねぃ。
[少しだけ思案して、後のエーリッヒの言葉を聞けば]
ふむ。
機鋼のは冷静なようですねぃ。
それは、わからないけど。
実を言えば、影輝の気配は感じていました。
……ザムエルさんから。
確証がなく話す機会も逃していたから、手を出せずにいたけど。
どちらにしても暴走の危険性があるのなら、捨て置けません。
ひとまず話を聞いてみましょう。
< 悩むエーリッヒとは対照的に、顔を上げた >
…おみず、とりにいこっか。
リーチェも、のみたい。
[流石に陽に当たるのが難しいとは幼子も理解したか、
氷竜殿に掛けられた毛布を僅かに直し――否、不可抗力とは云え先程より少々落ちているやも知れぬが、幼子が気付いた様子は無い。
前回と同様、氷竜殿を起こさぬ様に忍び足で部屋を抜ける。
幼子の足跡が、前程より育つのは気のせいか。
結果的に萎れるのは同じであるが、些か奇妙に感じた。]
―個室→回廊―
え、ザムエルさんからって…
[その名が出るのは、意外ではないといえば無いのだが(何しろ剣の所持者候補は限られて来ている)影竜が上げた視線を追って、きょとん]
……いや、暴走と言う暴走はして居らぬ。
力が瞬時に増大した時はあったが、あの後直ぐに抑えておる。
別に要因があるはずじゃ。
促進した部分はあるやもしれぬが、な。
主要因ではないはずじゃ。
[ナターリエから囁かれる言葉に小声で異を唱える]
ノーラは、儂らが居ることに気付いて居るやもしれん。
何せ腕輪──剣があるからの…。
[こそりと、己が左手首に据えられた腕輪を右手で握った。エーリッヒの様子を見れば、状況はそれなりに理解していたようで]
言葉に揺らされはしておらぬな…。
……じゃが何じゃろうか、何かがおかしい……。
[それは近付いたがために気付いた異変。鋼に似た何かが、変化している気配]
あらぁ。
なんとなくは思ってましたが、やっぱりばれていましたかぁ。
[小さくため息。だが其の顔は笑みを浮かべている]
ばれてるなら、此処にいてもしょうがないわねぃ。
[ナターリエが二人の前に姿を現した]
ま。真打ではない私に用は無いのでしょうけども、在籍ぐらいは容赦してよねぃ。
[ナターリエに続き姿を現し]
……エーリッヒ、お主何か変調をきたしては居らんか?
[訊ぬは先に感じた異変について。変じた場所を探し視線を彷徨わせ、辿り着くはエーリッヒの左手]
計ったようなタイミングですわねぃ。
< 口調ばかりが流水の竜を真似、笑みを含んだようになる >
いえ、もし悪い想像が当たっているのなら、
人手は一つでも多いほうがいいのだから、
用がないなんてことはないわぁ?
―食堂―
[窓の一つの鍵をあける。]
[それから、少し開く。]
[ベアトリーチェの居場所を、必ずわかるようにしなければ。
雨の降った後でよかった――水の魔法が使える。]
[メタルの左腕は、大地の司る鉱物より鍛えられる、そのため地竜には変調を気付かれるかもしれないとは思っていた。だからこそ、逃げ出そうとしたわけだが]
いえ、その、別に、大したことはっ!
[ここで寝違えた、はもう無理ですよね、な感じで、じりじり後退]
―食堂―
[片付けると言う月闇の竜にカップを渡し、青年は暫く目を閉じて記憶の整理をしていた。
やがて窓の方へと歩み寄る月闇の姿をレンズ越しの紺碧が追う]
……そうですね。
[花茶を飲んだ身は温かいが、窓の隙間から入る空気は足元へ流れひやりとさせる]
………。
[窓の外に満ちるのは淡い闇か、薄い影か]
……逃げられぬよう、
きちんとしたところで話そうかの?
< 手出しはしないものの、立ち位置の関係で機鋼の仔竜を挟み込むようになり、退路を断つ位置に佇む >
大したことじゃろうが!
[逃げようとするエーリッヒの腕──左腕を掴み上げる。その掴んだ感触からして普段とは違うものと変貌していた]
──……ボロボロではないか。
何をしてこのようなことに…。
[己が左手でエーリッヒの左腕を持ち上げ、労わるように右手で擦る。そして感じる微かな剣の気配。訝しげに首を捻る]
…何ゆえ剣の気配が…。
ともかく、食い止めねば。
[構成する鉱物へと働きかけ、その崩れを抑えようと試みる。エーリッヒの腕を持ち上げる左腕から覗く黒き腕輪。それは何かを中和するが如く鈍く光った。どれ程効果があったかは定かではないが]
[幼子はぐるりと回廊を遠回りしながら、食堂へと向かう。
逆の方へと進めば遥かに食堂へと近い筈であるが、前回幼子が食堂へ到った道は確かに此れと同様。
はてまさかと思ったが幼子は食堂へと続く道程を知らぬのやも知れぬ。
帰路は心竜殿に部屋へと送って貰った筈であるが成る程、帰路を逆に辿るには風景が些か異なる。慣れぬ場所を幼子が歩くには、目指す場所が決まっている今冒険をするには不向きであるのやも知れぬ。
たっぷりと時間を掛けて、漸く幼子は食堂へと到る。
他の個室とは異質とも言えるその扉を押し開けて、仔はおずと顔を覗かせた。]
― →食堂―
[影の言葉に、ナターリエも微笑む]
まさしく。
人手は多ければ多いほどいいですぁ。
[そう言って、右手の人差し指を、左手の上でとんとんと叩き、思考を進める]
……そうねぃ。
貴方を疑っている点はただ一つ。それを私は解消してほしいところ。
先日の、「影」の如き、混沌のカケラの大量発生。
それについて、お話を、嘘偽り無く聞かせてほしいですわぁ。
[穏やかに。だが、限りなく鋭い視線でノーラを見つめる。
彼女が影のように相手の姿を映すように、ナターリエもまた、水鏡のように相手の姿を映し出す]
…つっ!
[メタルの腕にも神経は通っている。それは無機の生命と有機の生命を併せ持つ機鋼故の特性。痛みに顔を顰めながら、中和を働きかけるザムエルの行動に、目を見張った]
ザムエルさん…やっぱり、本当にあなたが…?
[対なる剣の力は、確かにいくらか浸食を食い止めた。が、元凶である剣の悲しみ、或いは怒りの深さ故か、完治には至らない]
―食堂―
[大きな音をたてたのを聞き、目を離す。]
[何かを言おうとし、それから扉の開く音にそちらをみた。]
ベアトリーチェ殿
[先も会った子に微笑みを]
―食堂―
ごちそうさまでした。
[ゆっくりと歩いて扉に手をかける頃、硝子の割れる音が響いた。
それとは別に感じた違和感は、大地竜の黒い腕輪だろう。青年の口元に笑みが浮かぶ]
おや、いらっしゃい。
[触れた扉は力を入れる前に薄く開き、覗いた仔竜に微笑みかける]
どうぞ、中に。
[そして入れ違うように廊下へと出た]
[ノーラと話しながらも、エーリッヒの言葉には困ったように笑み]
おバカさぁん。
何があったのかは知らないけれど、もし、大地のが貴方の敵になっているならば、貴方を癒すはず無いでしょう?
[そこまで言うと、―――くん。と鼻をひくつかせて]
流……水。
何故、貴方から流水の気配が?
…?
――オト!
[大きな音は幼子の耳にも届いたか、不思議そに一度周囲を見回し
しかし中に居た人物に仔の意識は即座に其方へと向けられた。
先日ほどの賑やかさは無いが、良く見れば心竜殿も中に見られる様子。
もう僅か扉を押し開け、幼子は顔を綻ばせる。]
…あのね、おみず。
のみにきたの。
……今更隠しておいても無駄じゃろう。
儂が剣を持つと言うことは既に連中には知れておる。
[中和を働き掛けながら小さく息を漏らす。ある程度食い止めると、己が左手を持ち上げ、黒き腕輪を示すように見せ]
この通りじゃ。
これが連中に奪われし聖魔剣が対、神斬剣よ。
「揺らすもの」の干渉を阻止し、この剣を護ることが今の儂の使命。
竜王様達より命じられたことじゃ。
[エーリッヒに告げる言葉はもちろんノーラにも届くことだろう。言葉を言い終えてから、ナターリエとノーラのやり取りを視界に収めた]
お水ですね?
わかりました。今淹れます。
座って待っていてください
[微笑んで、コップを取る。
アーベルが出て行くのも笑顔で見送った。]
嘘偽りなく、という言葉を貴方から聞くとはねぃ。
< 微かに笑みが浮かべられた。
己を偽りと称すものが、そのようなことを――と >
嘘と偽りで出来たものには困難な話ですわぁ。
暴走した影輝の力ゆえ、欠片はその形状を変貌させた。
私はそう見ていますけど?
< 朗々と語る翁の姿を視界の端に留めながら、言う >
―― 廊下 ――
俺は、誰も敵だとは思っていませんよ。
[水竜の言葉には、静かに答えた。が、流水の気配を嗅ぎ付けられると、また目が泳ぐ]
それはその…
[適当な言い訳を思いつく前に、地竜が示した腕輪に目が吸い寄せられる]
腕輪?そんな形に変化を?すごいなあ!
[きらきらきらきら]
あぁら。
私は「偽者」なのかも知れないけれど、嘘をついたことは一度も無くてよ?
[それこそ、本当か嘘か分からないことを、ナターリエは堂々と答えた]
ふぅん……。
つまり、貴方は先日の混沌のカケラには全く関与していない、とそういうことかしらぁ?
[表情にはおくびにも出さずに問いかけるが、やはり、影の奥を見通すのは難しい、とナターリエは感じた]
ん。
[闇竜殿の言葉にぱたりと椅子へと駆け寄る。
僅かな新緑を芽吹かせながら辿り着いた其の先、
仔は半ば攀じ登るようにして腰掛けた。]
ブリジットもね、疲れてるみたいだから。
あとで、おみずもってってあげるの。
[差し出されたグラスにありがと。と小さく言葉を紡ぐと仔は其れへと手を伸ばした。
掌に包んで、そうしてから闇竜殿へと視線をじと向ける。]
…まだオト、中 いかないよね?
[心配げに仔が呟く言の葉の意味は、私には判らぬが。]
―食堂前/回廊―
[闇色の毛を持つ馬が嘶くのをレンズ越しの紺碧は見つめ、馬が蹄を翻した瞬間、誘うように駆け出した]
――おいで。
[青年の混沌の気配に引かれたか、馬はその後を追う。目指すのは剣を持つ大地のいる方向]
それがよろしいでしょうね。
[微笑む。
それで少しはごまかせるだろうと、思ったのもある。]
ブリジット殿もお喜びになると思います。
――ええ。まだいきません。
大丈夫ですよ。
…暴走せしはお主の力ではあるまいな?
陽光が欠け、安定を欠いたのではないか?
剣の力は安定しておる。
仮とは言え契約せし儂がおるしの。
[ノーラの見解にはやはり異を唱える。あの時の力の増大は己を護るために働いたもの故に。
腕輪を見て目を輝かせるエーリッヒにはやや呆れの表情]
お主は…。
そのように感動して居る場合では無かろうが!
[こん、と拳でエーリッヒの額を小突いた]
[その直後、響く嘶き。何かの思惑を乗せたその気配はこちらへと近付いてくる。急速に。
ハッとして、そちらに視線を向けた]
…、…おうまさん?
[どうやら回廊から響く嘶きらしき音に、幼子は一度きょとりと瞬いた。
しかしその意識も、闇竜殿の笑みに意識が逸れる。
または殿の中に馬が居る事など無いと思ったからやも知れぬ。]
うん。
ブリジット、すごく、つかれてたみたいだったから。
…ほんとう?
[返る言葉に、幼子はほうと安堵の息を零す。
何処へ行くというのか――私にはやはり会話の流れを汲むことが出来ぬが
幼子には其の言葉で十分であったか、こくりと一口喉を潤す。]
―東殿/回廊―
[角を曲がると同時、集まる竜達の姿が見えた。躊躇いなくそちらに走り抜ける]
混沌の欠片が!
[するりと間を抜けた所で振り返り、指差すのは闇色の毛を持つ馬]
―― 回廊 ――
[地竜に、ごつんと拳を当てられて、額に左手を当てる]
てて…っ!
[駆けてくる闇の馬の気配に気付いたのは、その直後だった]
――おそいと。
…どうなるの?
[続くかの様に見えた闇竜の言葉に、仔はゆると視線を上げ。
しかし外へと向けられた視線に、同様に其方へと視線が流れる。]
[額に当てた左手が、ぼうと天青石の光を帯びる、呼応するように肩の機械竜が、カシャカシャと羽ばたきながら空中へと舞った]
本当ですよ。
約束をしたでしょう?
[にこりと笑って、水を飲む仔を見る。]
だから、今は、行ってきます。
ベアトリーチェ殿。ここで待っていてくれますか?
……ナギ殿。
[仔に問いかけ。
それからそっと蛇に呼びかける。来てもらえるかと、目で尋ね。]
……していないとは、言い切れませんわねぃ。
私とて、影輝に属するものですもの。
しかも今は、対の一を欠いている。
けれど、私のみであれほど影響が及ぼせると思わないわぁ。
< 眼差しは大地の老竜へと移ろい、細められる >
なれば、あの時感じた力の増幅は何ゆえに?
何から逃げておられたのかの。
< 答えの返るより前に、精神の竜の声が届く。視界には、闇色の馬 >
[視線の先、駆け込んでくるのは精神の竜]
アーベル殿!?
[間を抜けて行ったアーベルから視線を闇色の馬へと転じる]
ええい、またか!
[こちらへ直進してくる闇色馬に、苛つくように吐き捨て、相対すべく構えを取った]
[エーリッヒの言葉には素直に訂正した]
あぁら。それはごめんなさいねぃ。
そう思ってくださるのならばなにより。
[ごまかされた言葉に、問い詰めようとした直後、聞こえるのは馬の蹄の音]
……先手を打たれましたかねぃ。
[それが来る前にノーラの答えを聞けば]
ふむ。優等生な会話ですわねぃ。
ま。今は納得しておきますわぁ。
それどころの騒ぎじゃなくなりそうですしねぃ。
[そう言って、ナターリエは横へ移動して窓を開け放った]
―回廊―
すみません、私だけでは無理と。
[まるっきり荒事に向かない青年は、大地の老竜の言葉にすまなさそうな声を返す。
闇色の馬は大きく嘶き、流水の方へと棘の付いた蹄鉄を向けた]
平時なれば、調和を持たせることも出来るでしょうが。
今の私では闇に寄せられかねませんね。
< 羽織った黒のショールを掴み、一歩退く。眼差しは闇を捉えていた >
――うん。
…やくそく、した。
[幼子は小さく頷く。
この双方の間に何の取り決めが交わされたか私には判らぬが
幼子の様子を見るに、何やら意思は固いようであった。
これは私が問うた所で口を開きはせぬだろう。其れぐらいは私とて判る。]
…わかった。待ってる。
[手の平に包んだグラスに僅か力を込めたのが見て取れたが、
闇竜殿の言葉に仔は素直に頷いた。
私に向けられる視線には断る理由も無い。頭を一つ縦に振って肯定を返す。
するりと幼子の腕から其の身を解く。]
[窓を開け放ち、降りしきる雨を味方につけようと考えての行動だったが]
あ、あらぁ……?
もう、やんでましたの?
[全く意味が無かった。
装甲している間に、闇色の馬の蹄は、ナターリエへと飛び掛り―――]
もう!
貴方に使うほど、余裕は出来てないんですわよ!
[―――左手で、水の盾を生み出し、なんとかそれを防いだ]
[展開するは背の翼。砂が、周囲を舞い攻防の体勢を取る]
戦えぬならば下がるが良かろうて!
[向かい来る闇色の馬に対し、うねる砂を嗾ける。己が得意とするは捕縛術。跳ね上げる蹄鉄を抑え込もうと砂が馬の脚へと絡みつく]
干渉されし者より放たれた力を防いだ結果があの力の増大よ!
尤もあれは剣が自ら弾いたのじゃがな!
あの時誰がそれを行ったかは分からず、ましてや剣は隠す対象だった故に訊ねられるは拙いと思うたのじゃ!
[技を展開しつつもノーラの問いに声を張り上げる]
これ…ダーヴの時と同じ…?
[近付く馬から、僅かに、先に感じた得体の知れない力と同じものを感じる]
…っああっ!
[その力に反発するように、左腕が激痛に見舞われ、光を宿したまま、がくりと床に膝をつく]
ベアトリーチェ殿を、守っていらっしゃるのですよね?
――もしかしたら、少々危険なことがあるかもしれません。
その際は、お願いします。
[それだけ言って、ベアトリーチェに手を振って、窓へ手をかける。]
[鍵の閉めない窓。
――其処から身を乗り出して、外へ。そして、水の力を使う。]
[なるべく強い魔法を、編み上げる。]
[視線は闇色の馬に向けたまま、エーリッヒの悲鳴を聞く]
エーリッヒ!
どうしたんじゃ!!
[一瞬だけ、ちらりとエーリッヒを見やれば、膝をつく姿が見えるか]
[タイは食堂の中に置き去りに。
ボタンを開けて。]
―中庭―
[大きな水の魔法は、欠片に向かい飛んでゆく。
いくつかを破砕して、そして水の矢を窓へと飛ばす。
人の居る場所のあたりをつけて。]
はい。
[大地の竜の叫びに頷き、青年は後ろから皆を見る。
そして影輝へと叫ばれる言葉に納得したように頷いた]
剣……あぁ、やはり貴方が。
何故、とお聞きする時間はありませんね。
ナターリエさんっ!!
[床に倒れかけている状態で、ナターリエが闇の馬と対峙するのを見る]
だめだ、これ以上は…!
[震える左腕を上げる]
―――っ!?
[水の盾で防いだそれは、自分と同じ流水の属性を感じた。
それはエーリッヒから感じたものよりも更に直接的で]
『力ある剣』―――「聖魔剣」を持つものの仕業ですわねぃ!
やはり、お主か……オトフリート!
[推測は、完全に確信へと変わった]
――東殿・回廊の端―
[さっきまで何処で何をしていたのやら。
…ちょっと前までじつに大変な目にあっていたのだが。
まぁそんな気配は微塵も感じさせずに、唐突に現われたのは荒事事情の遥か後ろ。]
おおっと、何か丁度大変そうなのが。
がーんばーれよー。
[ものすごく他人事のように、隠れた場所から声だけかけた。]
[力を使い、翠の目は暗く闇を帯びる。
背をそり、羽根を生やす。]
[答えはしない。]
[ただ、微笑んで、呪文を唱える]
飛べ
[地面の石が、浮かび、窓へと飛んでゆく。
いつのまにか指先は噛み切られ、僅か赤い。]
理屈としては通っておるの。
< この場において、それ以上老竜に言及することは叶わない。
エーリッヒに視線を向けようとした刹那、再び硝子の割れる音。水の盾に防がれ、飛沫となって散り失せる >
――…、
< 闇に紛れ仄かな灯りの生む薄い影が蠢き、
靄の如くに猛る水竜――ナターリエに絡みつかんとする。
現状で闇と影の違いを察せるのは、対たるものか、影輝の力を宿した剣を持つもののみか >
―東殿/回廊―
[影輝の竜がショールを掴んで退くのを視界の端に、機鋼の仔竜の光る左ではなく右の腕を掴もうとした。
だがその前に光る腕が上がる]
――…!
[首筋までの侵食と幾何学模様に目を見張り、記憶に刻もうと伸ばした手が鈍る]
機鋼の!
話は後よ!
[エーリッヒから何事か叫ばれたが、ナターリエにそれに反応する余裕はない。
左手の盾で、相手の一撃をなんとか受け、右手に生み出すのは、丸ノコ]
……ダイヤモンドすら切ることの出来る水を、舐めてもらっては……。
[啖呵を切りながら、ダイヤモンドカッターの一撃を食らわそうとしたときに、窓の外から飛んでくるのは、多量の水の矢]
……くっ!
[瞬時にダイヤモンドカッターを解いて、そこに集まった水を、自分の周囲を包む泡の盾と変えて、それを防ぐ]
[呼応するような影に、羽根で闇を打つ。
闇は姿を変じ、蝙蝠に。]
[音を立てて、その窓めがけて飛んでゆくのを見る。]
こちらに、来たらどうですか――?
[口唇に笑みが浮かんだ。]
[ナターリエの前で、光は網のように展開して、攻撃の力が触れると、瞬時にその反属性、或いは等価の属性を造り出して中和していく]
オトフリート…さん、が?
[疑いの中にはあった人物、限界までの力を使い、焼き切れそうな意識の中で、その名を聞いた]
砂塵・蜘蛛網!
[馬の脚に絡みついた砂はすぐさま蜘蛛の巣のように広がり、その身体を覆おうと浸食を始める。絡みつけばその動きは鈍ることになろうか。
それを相手している間にも別方向から何やら攻撃が続いていて。それを防いでいたナターリエの言葉を聞く]
オトフリートじゃと!?
早く止めねば…!
[そう紡ぐ間にも続いて石がこちらへと飛んでくる]
ええい、次から次へt……。
[言いかけて、ハッとノーラへと視線を向けた]
止めよ、ノーラ殿!
[叶うなら、纏った砂がナターリエへと向かう影を抑えんとうねりを上げる]
だめ、だ、オトフリートさん。
[届くはずもない言葉を口に乗せる]
剣は、剣の力は、本当に、危険……
[うわごとのように、それは聞こえたか]
[泡の盾。左手に生んだ盾とは違い、全方向をカバーすることは出来るが、それに伴い、強度は弱い。
ましてや、「揺らすもの」の影響か『力ある剣』の影響か、力を強化したものの攻撃を受けきるには弱すぎた]
―――まずい、か!
[防いだと思った、次の瞬間には、その泡の盾を破り、ナターリエへと襲い掛かる水の矢。
致命傷だけは避けるように、自らの体を変容させようとしたとき―――光の幕がナターリエを包んだ]
……!?
[それは、攻撃の力が触れると、瞬時にその反属性、或いは等価の属性を造り出して中和していく]
この力……?
[動けない様子の機鋼の仔の前に出て、大地の竜の側に寄る]
お手伝いしましょう。
[青年の手が、添うように黒の腕輪へと伸びた。口元には笑み]
< 叫ばれる月闇の竜の名より、生命の竜の出現に与えられた癒しの力が疼くような感覚を覚え、其方に視線を走らせかけた。
されどそれより、うねる砂へと意識は奪われた >
……何を、
< 敢えて呟きを落とし、抑えかけられた影は方向を変え、砂の軌跡を辿る。
即ち、力を放った老竜自身、そして、その腕輪へと。
未だ揺らされしものとは言えず、己に親しい力を、剣は容易には跳ね除けられまいと。しかしほんの僅か闇に寄った力は、触れれば剣にとっては毒とも成り得るが >
[傍に進み出るアーベル。荒事は出来ぬはずでは…?]
…戦えぬなら下がって居れと、言うたはずじゃが?
[伸びる相手の手は左腕に。しかし手は印を結ぶべく忙しなく動く]
そろそろ
[呟いた言葉は、あちらには聞こえまい。]
良いですね。
[闇の羽根は空を打ち。
あふれた力は蝙蝠に転じ、そこらへんにあふれ返る混沌の欠片を掴む。]
[それは、当然のことながらそこの集団の方へと飛んだ。
混沌の欠片をぶつけるために。]
―東殿・翠樹の個室―
……ッ!?
[窓の割れるような音、そして様々な力の奔流に飛び起きて]
何が起きてるの……?
[翠樹の仔の姿も、黄蛇の姿も無く。
不安を抱えながら、身なりを整えることなく、部屋を飛び出していく]
[精神と影輝の属を持つ腕輪へと、精神の力を流し込む。
反発にしろ高めるにしろ、砂への集中を乱す為に]
…見ているだけでは何も成せませんから。
[影輝の影と精神の竜、二者の力は腕輪の力を抑えるか否か]
[戸惑った様子の、ナターリエの耳に届くのはオトフリートの声。
瞬時に、ナターリエがその方向へと向く]
オトフリート!
世界の停滞を止める為にも、お主を……止める!
[パン!と音を立てて、ナターリエが床を叩く―――否。それは床ではなく水溜り。
水を介して、力は外に広がる水溜りへと移動して、オトフリートの下にある水溜りから、巨大な槍を天空へと伸ばした]
―食堂―
[先ほど出た窓から中に入り、手早く首飾りを外した。]
約束です。
お願いしますね、ベアトリーチェ殿。
[そっと囁き、台所の水を使い、あたりに水の魔法の痕跡を。
仔が持つと気付かれぬよう、軽い仕掛け。]
[それから隣の部屋――先ほど馬が蹴り壊した窓のところへ行き、拾ったタイをしめなおした。
これで、見えない。]
[ナターリエへと向かう影を防ぐべく向かった砂を辿り、影が己へと向かってくる。向かう先は、腕輪]
ちぃ……ノーラ殿も、と言うことか!
[結ぶ印は防御壁を作り出し。周囲を取り巻く砂が迫る影を防ごうと間に滑り込む]
ノーラ殿……何ゆえあやつに加担する!
あれらに剣が渡るは世界が「揺らすもの」の干渉を受けると言うことじゃぞ!
『均衡』を司りしお主が何ゆえ…!
――東殿・騒動のはるか後方―
[なにやら髭の先が上を向いているのは何処でナニをやったせいか。
騒動を、声を、あらゆる所から聞き状況だけは事細かに把握する。
ふと扉が開いたので見てみれば、氷竜が出てきたので手招いた。]
氷竜殿。そっち危ないからこっちこっち。
[と。
タイをしめたその時。]
[下にあった水溜りが、槍へ変ずる]
――っ!
[思わず身を引いたけれど、それはしっかりと足を刺し天へと。
血が飛んだ。]
―東殿・騒動のはるか後方―
[今にも走り出しそうなポーズで、思わず一時停止するように]
クレメンス!
今、一体どうなって……
[小走りで命竜へと近寄って――髭の先が上を向いているのに気付いた]
止まるかどうか。
あなたがお試しになってみてください。
[口唇は弧を描くままに、彼女へと。
槍の貫通した右の足は、使えそうにない。]
[そして、そのまま目をアーベルの方へと向ける。
一瞬でもその目は、合っただろうか――]
[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [メモ/メモ履歴] / 発言欄へ
情報 プロローグ 1日目 2日目 3日目 4日目 5日目 6日目 7日目 エピローグ 終了 / 最新