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冒険家 ナサニエル に 1人が投票した
お尋ね者 クインジー に 2人が投票した
学生 ラッセル に 3人が投票した
流れ者 ギルバート に 1人が投票した
学生 ラッセル は村人の手により処刑された……
次の日の朝、のんだくれ ケネス が無残な姿で発見された。
現在の生存者は、村長の娘 シャーロット、冒険家 ナサニエル、お尋ね者 クインジー、見習い看護婦 ニーナ、流れ者 ギルバートの5名。
[男の耳は少年の最期の言葉を聞き取った。]
[向けられた眼差し]
[揺れる瞳も目にした。]
[だが男には、その真意を理解することは、遂に出来なかった。*]
―2階―
……何にせよ、「赤い海」とやらは御免だ。
仮にそいつで死んだら、神の国に行けないことは確実な気がしてね。
悪いけれど、俺は「君たちが望むもの」で包まれた世界を、拒否させてもらう。
さあ――……
[構えていたナイフの鞘を抜き、その切先を「獣」に向けようとした瞬間――…]
ネズミっ!!!
やめろっ!飛び出して来るんじゃない!
お前が近づいたら、告発したお前の命が………っ!
[床に下ろされた赤毛の獣は、銀色に閃くナイフの輝きに何を見たか――ギルバートが叫んだ次の瞬間、ケネスのナイフがラッセルの身体に深く刺さり――]
……ちっ!!
[彼の周囲は、獣の血に染まった。]
[赤毛の獣は、ゆっくりと崩れ落ちる。
彼の側には、虚空に浮かぶ闇のような色をたたえた、彼の同族――「獣」の男の姿があった。]
……お兄さん。
ネズミに手を出すことなかれ、だよ。
君の行ったことを考えれば、君の同族が殺されることもまた道理。獣と人間――永遠に交わることの無い平行線で、またひとつの殺戮が行われただけだ。
[ナイフの先を、ナサニエルの方に向けた。]
[シャーロットの足が止まるのを見て、階段へ足をふみだしかける]
[だが、目はラッセルへと進むケネスを追った]
[否、ラッセルの手が燭台にのびるのを、見た]
――っ、ラッセル!
[制止の声で、止まるはずもない]
[男は揺れる炎が、台が、バランスを崩すのをみる]
[まさか外で、同じ動作をしようとしている人がいるとは、男は思わない]
[揺れる燭台はなんとか落ち着くかもしれないが、階下で止まったシャーロットは体を打っているのだ]
[緋がふわりと舞い、紅が溢れ、朱はゆらぐ]
[黒紅に三つのあかが入り込み、頭の奥がひどく痛むが、――今は死なせたくないという気持ちが先行した]
[実際にはそれは僅か数秒であったろう、]
[本当にその一瞬は、流れる時間(とき)がまるで粘性のある液体に変わったかのように]
[ゆっくりと流れ]
[男の遮る腕をすり抜けて、銀の刃が少年の胸に吸い込まれてゆくのを]
[ただ茫然と眺めることしか出来なかった。]
クインジー!来るんじゃない!!
貴方は生き延びるべきだ!
ここに来れば死ぬぞ!!
獣はもう1人居る!逃げろッ!!
[刹那、ラッセルが揺らした燭台に、視線が向かう。
燭台に手を伸ばし、その動きを止めようとした。]
血も御免だが、火事も勘弁だ……!
[床に崩折れた年若の同族の傍らに男は立ち尽くす。]
[男の意識は、
空白に支配されている。]
[それを現実に引き戻したのは、間近のギルバートの声であったか――]
[少女は立ち止まったその場から、ただ成り行きを見つめることしか出来なかった]
[不精髭の男の刃が赤の少年を貫く。階上で緋色が広がった。そして少女の滅紫の右目は更なる緋色を捉える]
……紅い華!
[終焉の使者であると示す、紅い華が赤の少年の骸で咲いていた]
[けれど既に終焉の使者の正体が割れた今、この力も大した意味を持たず。死の確実性を理解するだけのものとなっていた]
[気付けば近くにはクインジーの姿。赤の少年の死を感じ取り、どこか複雑そうな表情でクインジーの顔を見上げる]
[片手にナイフ、片手に燭台。
壁に片手を預け、爪先立ちという姿勢で、ナサニエルの身体の揺らめきを見つめる。]
……何だ。何が可笑しい……?
[揺れる炎のお陰で、直近の人間二人の意識は逸れているのだ、]
[震えて歪んだ唇を、裂けんばかりに嘲りの嗤いに開いた男が]
[目の前のケネスに切り裂く風のようなその腕を振るうのは造作もないこと。]
[獣化はしていない]
[唯の人の爪でも、振るう速度が並みのものでないのなら、それは鋭利な剃刀と同じ。]
[正確に頚動脈を抉り裂かれたケネスの頸から、噴水のように鮮血が噴き出した。]
[来るなと言われたからいかなかったわけではない]
[ケネスが倒れるのも見たと思ったが、さだかではない]
[シャーロットが叫ぶ言葉に、小さく息をついた]
なんだ?
[見た先の目は、色を変えている]
[複雑そうな表情に、男は少し口元をゆるめた]
……望んだことだ
気を抜くな
[かまいたちの如く宙を裂いた一撃を受け、ケネスの頸は赤い柱から放たれた無数の赤で染められてゆく。]
やめろ!やめろ……!
ネズミを殺すなと言っただろう……ッ!
[炎を壁に固定し、足を地に着け、目の前に居る「獣」の男を睨み付けた。]
[望んだこと。クインジーはそう告げる]
…うん。
分かってる。
[護りたいと思っていた少年が散ったから。クインジーこそ心中は複雑なんじゃないかと思った。けれど彼は冷静に状況を見ている。自分も気を抜いてはいけないと、気を取り直し視線を階上へと向けた]
──……。
[直後に広がる光景。無精髭の男が緋色に染まる。身構えるかのようにして、右手をケープの中へと滑り込ませた]
[意識はしっかりと階上をとらえている]
[誰を喪っても、手にかけても、男には動揺のひとつも浮かばない]
[声がふるえることも、ない]
――ギルバート、離れろ!
手負いを相手にするな!
イカれた顔をしている。
君は、まさに『魔王』だ。
人間が造り出す、化粧だけの『魔王』なんて、雑魚に見えるよ……
[溜息をつき、紅く染まった獣に、憂いの視線を送る。]
――…そうだね。
君達は選択を間違えた。
もしラッセルが、クインジーに泣きつけば、俺はクインジーと決闘する羽目になっていたかもしれない……
そう、ラッセル君は生き延びることができたんだ。
お兄さんが名乗り出ることも無かったろう……
――自ら破滅を望まなければ、ね。
せめて、
せめて、おまえたちを、同じところに送り込まねば、
俺がこの場所に居る意味が無い。
[最後は、歪んだ笑いの、声が震えた。]
駄目そうだ、クインジー。
彼に背中を向けても、彼の包囲網を擦り抜けようとしても、多分俺はデッド・エンド。間抜けすぎるオチだ。
――戦うしか無いみたいだね。
[身体の痛みを抑えるかのように深呼吸]
……クインジー、忘れたの?
終焉の使者を殺さなきゃ、終わりが来てしまうのよ。
相手にしないと言う選択肢は、無いわ。
[瞳はオッドアイから滅紫の瞳のみへと変じる。ケープに滑らせた右手はナイフの柄を掴み、直ぐに抜き放てる体勢へと]
――そうか
[声は届いていたから、男は低く答えた]
[それから、緊張をはらむシャーロットへ目をやる]
シャーロット、動けるか?
[――こつ。]
ああ。
使者は、死んだかしら。
[緊迫した場には、きっと場違いな声だったでしょう。
左手には灯。
階段の下から見上げると、赤い色が見えました。]
――、ニーナか
[左の手を滑らせた時、うしろにいたニーナへ、男は目をやった]
[軽い警戒が浮かぶのは、声音のせいか]
あぁ
一人死んだ
――ハ。笑わせる。
その男は、
[と、ギルバートを注視しつつも、隻眼の男に一瞬視線を向け、]
本気で護る気などなかった。
守る気ならば、捨てられた筈だ。
望みを叶えるなど……奇麗事に過ぎない。
[ギラ、と憎悪の燃える音。]
さて……本当に「護る気が無かった」のかどうか。それは御本人に伺うしかありますまい。
クインジーは――極めて不穏な空気を発していたよ。
本当は彼が、獣か――或いは獣の遣いで、俺達を滅ぼす気なのではと疑っていたよ。
本当さ――…
[ニーナの声に僅かばかりそちらへと意識を向ける。悟りきったような、驚きを含まない声。むしろ知って居たかのような口調に警戒心は募る]
…随分と落ち着いているのね。
[階上と挟まれるような形。緊張が走る]
お前は、ラッセルのそばにいたんじゃなかったのか?
あいつはお前に何を言った?
――お前のそれは、玩具に対する執着と何が違う?
[声のした方向、赤い色へ顔を向けました。
視界の隅には、少女の青い色。
わたしは眼を細めます。
それらの色の境目が、よく見えなかったものですから。]
そう。
それは、――残念。
[薄ら笑っていたようにも、見えたかも知れません。]
――…そうか。
[ナサニエルの言葉に、小さく呟く。]
君の感慨は、聞いたよ。
でもね――…
その為に俺が死ぬのは、俺にとっては極めて理不尽なのだよ……
――気に入らない。
気に入らないよ……。
[ニーナの表情と言葉に軽く眉根が寄る]
残念、そう思うんだ。
じゃあ貴女は終焉を望む者と言うことなのね。
邪魔はさせないわよ。
私はここで死ぬつもりはない──。
[そう呟き、滅紫を階上に居るナサニエルへと向ける]
どうでも良いと言うのなら、くだらない御託は止めたらどう?
無駄以外のなにものでも無いわ。
貴方を殺し終焉を食い止めるか、私達を殺し終焉を齎すか。
それだけの話でしょう?
[滅紫の双眸が細められ、ナサニエルを睨みつけた]
[ニーナの声に警戒を持つが、男の視線は上へ]
[ただ一度シャーロットに目を向け、ニーナを見た]
[体は戦場に出るように、*静かにたかぶっていた*]
もう1人は、残っているの。
[声は途切れ途切れ、わたしの耳にも届きました。
姿はもう、見えませんけれど。]
――まあ、
それも、時間の問題かしら。
本当に、残念ね。
クインジー。
俺はあれが、フィンが、生きていてくれるだけで良かった。
俺を売ろうと裏切ろうと、どうでも良かった。
俺の命など、要らなかった。
[だから、もういいのだ――と声にならぬ呟きを]
ねえ、お兄さん。
君はひとつ勘違いをしているよ。
……殺戮を始めたのは、君だ。
全ての災厄は、君達から始まったのだよ。
君が居なければ、俺達は「殺し合う」必要など無い。
違うかい?
[ギルバートの口元に、薄い笑みが浮かぶ。]
……君が「神の視点」でその話をするのは、お門違いというものさ。
さてね。
[笑いを収め、姿勢を落とし]
[軽い前傾姿勢で、攻撃の構えを取る。]
[未だ夜は来ず、獣化はない]
「俺と殺し合え」と言った心算だったが。
だが、どっちみち同じだろう。
おまえたちを鏖(みなごろし)にすれば、この世界は閉じて終焉を迎える。
俺が死ねばおまえたちの悪夢は終わる。
簡単なゲームだ。
――いや。
此処から出て、記憶を取り戻した時、
おまえたちの悪夢ははじまる、のかもな?
[ギルバートの腐り落ちた左目を見詰め、嘲弄するように]
[男は*呵呵大笑した。*]
邪魔――?
本気で言っているのかしら。
[首を傾けて、青い色を見ました。
わたしの眼には、形は捉えられません。
作られる表情も、その心臓のある場所も。]
…終焉の使者なんて言うから、期待したけれど。
もう、どうでもいいわ。
[ただ一つ、手許の灯は、ゆらゆらと頼りなげに揺れていました。]
君と俺との違いを教えてあげるよ、お兄さん。
俺は、人殺しをした後に、そんな風に笑うことは、無いよ……
何故だろうね。人なんて殺したことは無いのにね。
でも、それだけは確実に分かる。
君のように、血に染まるとを悦びと変えることは――…ありえない。
たとえ、俺の中で悪夢が始まろうともね。
[血塗れになった男に、再びナイフの先を*向けた*]
終焉なんて望まないもの。
貴女が終焉を望むと言うのなら、それは阻止させてもらうわ。
終焉の使者を殺し──え?
[どうでも良い、と彼女は言った。階上へと向けていた滅紫をニーナへと戻す]
…何を考えているの?
[虚無感すら感じるような物言いに、更なる警戒心が募った]
そう。
世界はこんなにも、醜いのに。
[表情は見えません。
わたしの嫌いなこの世界を、それを望む者など、見たくはないから。
そして、疑問にも答えません。
今はまだ。]
…まだ、元気はあるようだから。
少しは期待してもいいのかしらね。
[眼を背けた先は、階上。
笑う男の形が、ちらと見えた気がしました。]
醜い?
綺麗なものばかりを望むなら、夢にでも逃げ込んでなさい。
綺麗なものも、醜いものも、全てあるから世界なのよ。
貴女が何を嫌悪してるのかは知らないけれど。
望むことが違うのは間違いないようね。
期待なんて、打ち砕いてあげるわ。
[問いに答えぬニーナ。答えを得られぬならば聞く意味も無いと滅紫は再び階上へと向かう。いつでも動ける体勢。けれどタイミングを図り、未だ動くことは無い]
…違うわね。
醜いものと、綺麗ごと。
この世界にはそれだけ。
[今度こそ、口許で笑みを作りました。
青い少女がそれを見たか――そもそもこの声を聞いたかさえ分かりませんが、それもどうだっていいことです。]
やれるなら、やってみなさいな。
[眼は階上に向けたまま、動く気配のない少女にもう一言。]
そうだね。俺は人間さ。
――…だからどうした?
[――ゆらり。
獣の動きを、緩やかな動作で避けようと動く。]
そして、君は獣――…
[振り下ろされた鉤爪が、肩に触れる。
ほんの少し触れただけにも関わらず、コートは爪の軌道に沿って裂け、肩口からは血が滲む。]
でもね、違いは「種族」の問題じゃない――…
[姿勢を正し、フェッテの要領で、ナサニエルの脇腹目掛けて回し蹴りを放った。]
[放たれた回し蹴りを、咄嗟に肘を曲げた腕でブロックするが、]
く、
[踊り手の鍛えられた脚力は伊達ではない。]
[回転の乗った、鋭く重い一撃が、受け止めた腕を痺れさせた。]
[振り上げた足を下ろし、ナイフを振りかざす。]
俺達「所詮人間」と、君達「人狼」の違い……
それはね。
自分の血を隠れ蓑にして、泣き寝入りするか否かの違いさ……
君達がどんな不幸な半生を送ってきたか、俺は知らない。
けれどね……如何にも自分が不幸だという顔をして、自分が生きやすくなるように「周りを説得する」ことすらせず――人間を逆恨みして、人間よりかずっと凶暴な牙と爪を無暗に振りかざしているのが、俺は我慢ならないんだよ!!
[翳したナイフを、ナサニエルの肩目掛けて一気に振り下ろした。]
逃げてるだけじゃ、何も変わらないのよ。
[ニーナの笑みは見ない。視線は階上に向けたまま、それだけを紡いだ]
[階上では二人の男性が切り交わしていた。もしギルバートが押し負けるようなことがあれば、すぐさま駈け上がれるよう足に力を込める]
[痺れた腕では、振り下ろされるナイフを払い切れない]
[だから、]
[間合いが充分でないのを承知で、ギルバートに向かって膝蹴りを放った。]
[身体に捻りが加わったお陰で、刺さる軌跡がずれ、腕が大きく裂ける。]
[ナサニエルの言葉>>44が、届く]
[男は左手を右腕に触れさせる]
[金属の音がして、黒を破いて銀があらわれる]
それはお前の望みだろう
ラッセルの――お前にとっては"フィン"か?
あいつの望みは、何だったんだ
[問いかけではない]
[続く言葉の波にそれは沈む]
[それは、男が考えることでも、他の誰が考えることでもない]
[ナサニエルが考えれば良いことだと、男は思っているのだから、答えは望まなかった]
[血が壁や床に飛び散り、奇妙な紋様を描く]
ハ、ハ!
知った風な口を叩くな!
[憤りではない、]
俺たちとおまえらは決して相容れない、
共に在ることもあり得ない、
殺し合いに理屈を捏ねるな!
[ナイフが皮膚を裂き、肉を削いでゆく。ギルバートはそれを、右の掌から肩の筋肉に掛けて、電気のようにビリビリと走る感覚として知覚した。]
[彼の視界に、スローモーションで血飛沫が舞う。
ナイフが「当たった」場所は、狙った場所とは違う、ナサニエルの腕。それでも当たらないよりはマシと判断した彼は――]
………ぐっ………はァ
[真正面から腹に膝蹴りを食らい、胃から逆流してきた液体を撒き散らして、その場に崩れた。]
[ギルバートが崩折れた]
[タン、と床を蹴る。軽やかに、滑らかな軌跡を描き階段を駆け上がり、ナサニエルへと肉薄し]
そうね、殺し合いに理屈なんて要らない。
やるかやられるか、それだけ!
[体勢を低く、滑るように移動し。狙うは膝蹴りのために持ち上げられた足の腱。ケープの中から己が牙を抜き放った]
[引き裂かれた腕はだらりと垂れている。]
[その指先からは絶え間なく血が滴り]
[異様な光を放つ双眸は青玉の色、]
[日の沈む前は回復の速度も常より遅く、苦痛も和らぐことなく、]
[蒼白の顔に玉のような汗が浮かんだ。]
甘えるな
[男の声はただただ告げる]
終焉を望むのは勝手だが、自分の選ぶものを他のせいにするな
世界が悪い、他人が悪い
お前はその中で何をした?
……うるせえ。
黙れ、クソボケが。
[崩れ落ちた場所から、よろよろという動きで、ナサニエルの真下の位置を避けようと移動する。]
何が「終焉」だ。
てめぇは、カッコつけて御託並べて、現実から逃げてるだけじゃねぇか……!
そんなにあいつが大事なら、鍵付き冷蔵庫にでも放り込んでりゃ良かったんだよ。外に出すからロクなことにならねぇんだよ……
寝言垂れるのも大概にしろ……ヘタレ種族が。
[たとえギルバートを目の前にしていても]
[階段を駆け上がる娘の気配に気付かぬ筈もなく]
ッ――ちょろちょろするな!
[上げた足をそのまま娘へと蹴り下ろした。]
ふ。
[そんなことかと、口角を釣り上げます。]
そう簡単に世界は変わらないわ。
失くしたものも戻って来ない。
――だったら、初めからやり直すほうが早いでしょう?
[反撃が来るのは覚悟の上。今の自分の避けるほどの俊敏さは無い。だから]
他人に任せて結果を待つほど、私は大人しくないのよ!
[蹴り下ろされる足に対し左腕を掲げる。体勢が低いのはそのまま膝をつき、蹴りを受け切るため]
……っ!
[重力をも伴った蹴りは重く、かなりの衝撃を伴う。けれどその威力を受けながらも、右手に握った牙で相手の脹脛付近を思い切り切り払った]
最初から決め付けて何が出来る
喪ったものがかえらないことくらい――誰だってわかっている
誰だって、経験する
それが生きているということだろう
最初からやり直しても、お前がそのままなら何一つ変わらないぞ
[よろりと立ち上がり、再びナイフを力強く握り締める。]
お嬢さん……危ないよ。
なんて、聞く耳は持って無さそうだけれどね。
[シャーロットに気を取られている隙を狙い、ナサニエルに向かってナイフを振るった。]
[手応えはあった。鮮血が飛び散り、少女を紅く染める]
[けれど少女も無傷では無く、左腕への衝撃は骨を伝い肩や足にも影響を及ぼしていた。掲げていた左腕が力無く垂れ落ちる]
…悔しいけど、私が動けるのはここまで、かしらね。
[呟き、ギルバートが再びナサニエルに向かう様子に邪魔にならぬよう隅へと転がるように移動する]
ああ、――そう。
期待するだけ損ってことね。
[静かに息を吐きました。]
…知った風な口を。
[赤の男にはそれだけ返し、視線が逸れたらしいことを悟り、後ろに下がります。
手許には灯。
そうして背のついた壁、その傍らにも、明々と燃える灯がもう一つ。]
[もはや全身は返り血以外の己が血によっても赤く濡れていた。]
[だが、まだ立っている。]
[荒く肩で息をしながらも、高揚した精神は倒れることを許さない。]
[背後でギルバートが立ち上がるのを感じた。]
[振り返り、今度こそ男を切り裂こうと真横に腕を振るう]
[ことは、出来なかった。]
[背に開いた大きな傷]
[振り返ろうとする動きのままに、]
[男は、蹌踉き、倒れた。]
[溢れた血が男の身体の下の床に血溜まりを作った。]
本当。
獣なんかに、頼らなくても。
最初っから、こうしておけばよかったんだわ。
[壁から灯を毟り取って、
その2つを、地面に叩き付けました。]
[壁際、顔にかかった紅を服の袖で拭いながら、ギルバートの振るう刃を滅紫が追う]
[ナサニエルの反撃は形を成さず、ギルバートの刃は彼の背中を切り裂いた]
[倒れ行く青の青年。滅紫の両目に、夢幻の赤い華が咲き始めていた]
[背後で炎が倒されるのに気付かず、男は階段を上る]
[そして、倒れたナサニエルを見た]
――ラッセルは、お前に生きていてほしいと願っただろうにな
[それだけを呟き、上ってきた階段を見る]
[乾いた絨毯に、朱が広がってゆく――]
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