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神父見習い ウェンデル に 1人が投票した。
作家 ヘルムート に 1人が投票した。
船大工見習い カヤ に 5人が投票した。
風来坊 ユリアン に 1人が投票した。
船大工見習い カヤ は村人達の手により処刑された。
次の日の朝、風来坊 ユリアン が無残な姿で発見された。
現在の生存者は、雑貨屋 クロエ、宿屋主人 フーゴー、神父見習い ウェンデル、作家 ヘルムート、細工職人 ヴィリー、測量士 アーベル の 6 名。
[ユリアンの真意は知れぬまま、決断の時を迎える。皆の意見を纏めると、自分のも含め一番希望が出たのはカヤ。アーベルが調べられるのであればそれに越したことは無かったが、彼はウェンデルを調べると宣言もしている]
……仕方ねぇな。
[そう呟き、フーゴーは壁に飾ってある武器のレプリカの中から、出来るだけ銀の装飾が多いものを選ぶ。人狼であったとして、致死に足るものかは分からなかったが、何も無いよりはマシと考えて。
それを手に酒場の隅で大人しくしていたカヤへと近付いて行く]
……未来ある若者の芽を摘むのは本意じゃねぇが。
これも皆のためだ。
すまねぇカヤ。
恨み辛みは向こうに逝った時に聞くぜ。
[告げた時、カヤはどんな表情をして居ただろうか。目の前にしながらフーゴーの記憶には残っていない。抵抗し、逃げようとするカヤの背中を追い、足払いをかけ。倒れたところをすかさず押さえつけ、背中から心臓目掛け─── 一突き]
[押さえつけたカヤの動きが止まるのを感じると、押さえつけていた手を離し。見開いたままのカヤの眼を閉じさせた。そうして、しばらくはカヤを見つめたまましゃがみ込んで居る]
[フーゴーが決断を下す。
眉間に皺を寄せたままクロエの肩を抱き寄せた。どちらの結果が出るとしても、その衝撃の大きさは相当なはずだ。
ユリアンから外した視線はカヤとフーゴーに据えて。
じっと見つめた]
[決まった事が辛くない、とは言えない。
けれど、それを覆せるものは自分の手の中にはなくて。
抱き寄せてくれる腕の温もりに、微か、安堵を感じながら。
囁く『声』に、一度目を閉じて、開く。
揺らぎ、みえたいろは──ましろ]
……カヤ……。
[ごめんね、という言葉は、言っていいのかどうかわからなくて、口の中に消える]
……しろ……だ、ね。
[代わりに、口をついたのは。
今にも泣きそうな声の呟き。
ぶち猫が、にぃ……、と寂しげに鳴いた]
[酒場にやってきて、最初にみたものは。
フーゴーが、カヤを突いた姿。
それを、目を逸らすことなく、見つめ。
カヤが動かなくなったのを見て、アーベルに支えられるクロエに視線を向けた。]
カヤちゃんだと抵抗しそうだもの。
先に拘束させてもらうわね。
[その動きは、普段と異なる素早さで]
[ユリアンの両腕を捉える]
[カヤの命がフーゴーによって奪われるまで]
[見せ付けるかのように、その拘束は緩めない]
[凡その視線はその二人に集まっているだろう]
[その中で、男は]
[唯、ユリアンの表情を見つめ]
[薄く、けれど、はっきりとした笑みを浮かべていた]
嗚呼、愉しい――……。
[クロエの言葉を]
[カヤのその結果を聞いたのなら]
[耐え切れぬという勢いでの哄笑]
[其れと共に、ユリアンの背中から、紅の飛沫が散った]
……そうか……しろ、だったか……。
[クロエの呟きを聞いて、小さく反芻する。すまねぇ、ともう一度謝ってからその場を立ち上がった。足元に広がる血溜まり。背に刺した短剣を抜くと、その広がりは加速する。赤に濡れたカヤの顔を見て「後で綺麗にしてやっから、我慢しててくれ」と告げると、皆の居る方へと向き直る]
…カヤが違うってことは、人狼は他に───!?
[居る、と言いかけた時。振り返った刹那に見たのは、飛び散る赤。突然のことに硬直し、目を見開いたまま赤が飛び散った先を見た]
[白磁の頬を濡らす程勢いの有る紅の奔流]
[拘束していた腕を解いたのなら]
[音を立てて、転がる身体]
[上半身を折り曲げて、倒れたユリアンの身体を覗き込む]
[他者の姿など、眼に入らないとでも言いそうな仕草だった]
[フーゴーに尋ねられたなら、男が口にしたのもまたカヤの名前だった。
そのカヤがフーゴーの手で処刑されるまでを、黙したまま見つめ]
……ハ。
[やがて緩く息を吐いた。
――哄笑が響いたのはその直後か**]
[反芻するフーゴーの言葉に、こく、と頷く。
声を出したら泣きそうだったから。
泣き出さなかったのは、決めた事もあるけれど。
まだ、終わらない、とわかっていたから]
……っ!?
[不意に、聞こえたもの。
哄笑と、それを追うような、『声』]
ふえ……な、なにっ……。
[『声』の示す方を振り返れば。
目に入るのは──あかと、しろ]
そうか…。
[クロエの告げる結果に眼を伏せた。
謝罪の言葉は今はやはり口に出せず。フーゴーに頷こうとした時だった]
…なにっ!?
[響いた哄笑に、反射的にクロエを背に庇うようにして。
紅を吹き上げ崩れてゆくユリアンと、それを覗き込むヘルムートを見て、息を飲み込んだ]
[突然のことで床に転がる音が聞こえるまでフーゴーは動けなかった。凝視した先では床に転がるユリアンを覗き込むヘルムートの姿]
…ルーミィ、おめぇ…!
[おめぇが、と繰り返し、ぎりと歯を食いしばる]
[クロエの言葉に、少なからず落胆と、カヤへの哀惜の念を瞳に浮かべ。
側へ行こうとした、その時。]
な…に…?
[哄笑と、瞳を染める朱。
とさりと落ちる、ユリアンの身体に近寄る、ルーミィの姿。]
…お前が、人狼か。
……ルーミィ、さん?
[背に庇われた状態で、震える声を上げる]
ルーミィさん、が……でも、どして……。
[何故、ここで、この場でユリアンを殺めるのか。
それがわからず、呆然と呟いた]
[右手は既に獣の様相]
[深く紅に濡れる其の合間には、白金の毛並みが見える]
残念だな。
貴方の望む力は得られなかったみたいだね。
折角の御褒美だったのに。
[低い声で囁いたのなら、漸く上半身を起こし]
[ゆるり]
[辺りを見回した]
[視界に入る、様々な負の感情]
本当に、良い気持ち。
[陶然とした表情で男は哂った]
――……そう、貴方の言う通り。
[すい、と、人の形の侭の指先がヴィリーへと向けられる]
なかなか見つけてくれないから。
[其の理由を結びつけるものを、直ぐに言い出しはしない]
[己を指差し、見つけてくれないから、と言うルーミィの目をまっすぐ見据え。]
御託は、いい。
お前が、ゲルダを、殺したのか。
[そういいながら、懐からフーゴーから借りた銀色の牙を取り出し、ルーミィに向けて。]
切り捨てられた、か。
…馬鹿野郎。
[ユリアンが直前でヘルムートをと言い出したこと。
それがどうしてなのかはまだ分からないが。
その結果としてどうなったのかは見ての通りだった]
見つけられないから。何だ。
[良い気持ち、というのに嫌悪の表情が浮かぶ。
そこに何が繋がるのか分からず、眉間の皺が深まった]
[曖昧な問いかけに、眼差しはクロエに向かう]
[庇うように立つ人間の視線は気にも留めず]
こんなときにも、クーちゃんは、さんづけしてくれるのねぇ。
[一言の呟きは、常のルーミィの口調]
[けれど、其れは刹那に掻き消える]
愉しいから、か。
愉しかったから。
[どの様な問いかけでも、恐らく答えは其れに成るだろうと]
上手く潜んだものだな。
普段から性別を偽っていた延長か。
[見つけられなかった理由は相手の演技力にあるか、と。視線は手元にある血濡れた短剣に落としたまま。これでは歯が立つまいかと考える]
僕は無駄とも言えるものを愉しむのが好きだけれど?
[御託と切り捨てられたモノ]
[其れを拾う者があるのだから、答えを返す]
見つけられないから……何人も死んでしまう。
ものがたりは、おわらない。
[嫌悪の表情を浮かべるアーベルに言い含めるよう柔い響き]
だ、って。
ルーミィさんは、ルーミィさん、だし。
他の呼び方、でき、ない。
[呟きに返すのは、ある種場違いといえる言葉]
……愉しい。愉しかった……から。
[返された答えを、繰り返す。
理解と容認の距離は、遠い。
足元のぶち猫が低く唸る。
身構える仕種に合わせ、銀の鈴が微かに音を立てた]
[ヴィリー自身の問いかけには、薄く口を開き]
ライヒアルトなら。
きっと、其れには沈黙で答えるだろうね。
[即ち其れは、ゲルダを喰らったことの肯定]
こういう時にも、正面から向かい合う…貴方のそういう素直な所は好ましいな。
[銀の短剣を眼の前に、くすくすと、余裕の笑みを見せる]
[笑みを浮かべ、己の質問に答えた女…否、男性を、変わらぬ表情で見据えたまま。]
…俺は。
こうとしか、生きられない。
お前は、そうとしか、生きられないのか。
[短剣を構えたまま、そう問いかけて。]
…残るのは、お前だけか。
[グッと右手を握り締める。
見つけられなかったのは間違いない事実]
どうして、愉しめる…。
[もう人狼に効くだろう武器は手の内に無い。ヴィリーの邪魔をしてはいけないと、声はひそめて呟く。
鈴の音とツィンの唸り声に、僅か視線が下を向く]
[フーゴーに向けるのは、くっきりとした笑み]
何度か僕は言った筈だよ?
少なくとも、貴方には。
ヘルムート・フォン・ティークは作家だと。
演技は三流でも。
創り上げる物語次第では、それなりに成る。
男としてのヘルムートも、女としてのルーミィも。
狼としてのセザーリオも。
作家で在ることだけは確かなのさ。
作家故に創り上げることが出来、創り上げた物語を周囲に読ませ錯覚に陥らせる、と。
要はそう言うことか。
それで、今になって化けの皮を剥がしたのはどう言う理由からかね。
単に見つからないのが詰まらないと言う理由からか?
それとも……物語を終わらせたいのか。
物語を創り上げるのに飽きたのか。
[見つけないからものがたりはおわらない、と。ヘルムートはそう言った。理由はそこにあるのかと、ようやく視線を上げヘルムートを見据える]
[場違いとも言える呟きには、低い声で哂った]
そんなふうに。
貴方は優しいけれど、決して強くない。
だから、とことんまで思いつめてくれそうで、ずっと喰らわずに残していたんだ。
[さらりと告げる言の葉]
[低く唸るぶち猫には淡白な視線を向けるだけ]
[ルーミィとして接していた時にも]
[結局一度もツィンに触ることはなかった]
[切り替わる様にも見える人格は]
[決して何れが主人格というわけでもなく]
[舞台の上で演じ分けられる役柄に似て、同一の意識の元に在る]
やさしいのね。
[ルーミィの雰囲気でヴィリーに与える言葉も、ゆえに本心から]
愉しくなければ、生きている意味が無いよ。
[低い響きで告げる其れもまた本心]
[最後の問いかけに返るのは、先程と同じ沈黙という肯定]
[己の愉悦の為に、残したと。
そう告げる目の前の存在に、ぎり…と、知らず歯をかみ締めて。]
其れだけの為に、ゲルダを。
………お前、だけは。
[許さない。と、低く呟き。]
[フーゴーの問いには、また笑みを]
[途切れぬ笑みは、いっそ狂いきった者の証のようでも有る]
嗚呼、そうか。
もう一つ、理由になりそうな答えが有ったね。
[崩れ落ちたユリアンの身体を拾い上げる]
[まだ幾分熱を持つ、柔らかい其れ]
[背中からは、今もなお紅が落ちる]
――……こうすると、愉しくなりそうだから。
[其れは間違いなく、死者を冒涜する行為]
[此方へと向いた銀の短剣を目掛け、投げつけて]
[不意をつき、窓を破って、外へと駆け出していく]
[その姿は、白金の毛並みをした――狼]
[もしも其の時に誰かが狼を狙ったなら当たったかもしれず]
[そうでなくとも、窓の欠片で足を切ったのかもしれず]
[白金の狼の駆ける地面には]
[僅かな紅が残っていた]
[其れは真珠の眠る*海へと向かう道*――……]
[問いに肯定するような途切れぬ笑みに顔を顰める。もう一つの理由があると言いながら動くヘルムートを見やり、何を、と思った瞬間]
っ!?
ちぃっ!!
[ヘルムートが持ち上げたユリアンの身体がヴィリーへと投げられる。それに気を取られた隙にヘルムートは窓を突き破り外へ。刹那見えたのは、白銀の毛並み]
なに、を。
……ーっ…しまっ…!
[短剣を向け間合いを測っていた所に、いきなりユリアンの身体を投げつけられて気を逸らしてしまい。
その隙をついて完全な狼の姿へと変わったヘルムートが窓から逃げていくのを見た。
せめて傷だけでも、とその姿に短剣を投げたが、それは彼に当たっただろうか。]
[低い哂い声と、向けられた言葉。
何をどう言えばいいのか、わからなくて、立ち尽くしていた。
やがて場は動き──白金の煌めきは、窓から外へ]
……ルーミィ、さん。
[それでも、口をつくのはこの呼び名で。
一度に起きた出来事への困惑と、力の行使による疲労感に、小さく息を吐いた]
ヴィリー、無事かっ。
[追いかけるのは困難か、と思い先にヴィリーの安否を確かめる]
ここで逃がすわけには行かねぇな…。
[行くか?と視線はヴィリーへ]
[ヘルムート。ルーミィ。セザーリオ。
鮮やかに入れ替わる人格に翻弄され、どうにも反応が遅れる。
そしてそのどれもが、作られたものには見えなかった]
っっ。
[ユリアンの遺体を投げつけ、窓から飛び出してゆく影。
白金の獣が海へと駆けてゆくのも、見送ることしか出来なかった]
…大丈夫か?
俺は、大丈夫だ。
[フーゴーから安否を問われ、頷き。視線を受けて、また頷いた。]
俺は、奴を止める。
これ以上、殺させは、しない。
アーベル、お前は、クロエを。
[投げた銀剣は、既にユリアンの血に塗れていた為にヘルムートに当たったのかどうかは解らなくて。
床に落ちたそれを拾い、アーベルの方を向いてクロエを守れ、と言外に言い放ち。
ヘルムートの走り去っていった方へと*駆け出した*]
聞くまでも無かったな。
[ヴィリーの返答に頷き返して。アーベルにクロエを任せる様子を一度眺めやる。それからウェンデルにも視線を向けると、「来るかどうかは好きにしろ」と告げフーゴーもヴィリーの後を追う]
[忌み嫌った結社の一員としての責務を全うする*ために*]
あ……うん。
[振り返りながら、向けられた問い。
小さく頷いた]
いっぺんに色々起きて、少し、びっくりしただけ。
……大丈夫。
だから、ツィンも。
そんな声、あげない。
[それから、警戒を解き、不安げな声を上げるぶち猫に向けてこんな言葉を投げかけた]
ああ。
[言外に言われたのは、先にも言われたこと。
走り出すヴィリーの背に返し頷いた]
良かった。
[大丈夫というクロエに僅か表情を緩める。
それから放り投げられたユリアンの遺体に近づき。
形だけもカヤの横へと臥させた]
[駆け出して行くヴィリーとフーゴーを見送り、それから。
カヤと、それからユリアンの遺体を見やりつつ、ぶち猫を抱え上げる]
……ウチらも、行かないと、だよね。
[行った所で、自分には、何もできないけれど、でも]
終わりに、しないと。
[その決意は、揺るがないから]
ツィンも守りたいんだよな。
[不安そうなぶち猫の頭を一つぽんと叩き、立ち上がる]
そうだな。
終わらせてこよう。
[揺るがぬ決意に向けて、右手を*差し出した*]
[守りたい、という言葉にぶち猫が上げるのは、肯定の鳴き声。
その様子に、少しだけ、笑って]
うん……行こう。
[差し出された手をしっかりと握って。
まだ、走るのは辛いから。
海へ向けて、*歩き出す*]
―海辺―
病める貝にのみ、真珠は宿る。
[海に向かう男の背には]
[深く暗い喪の色彩]
其れならば、何時か僕の裡にも真珠が宿るかと思ったけれど。
いつになっても、あたくしのうちがわに、うつくしいものなんて、やどらなかった。
ひとのうちがわになら、いくらでも見いだせるのに。
[ひとりごとめくつぶやきは]
[あらく波立つ海辺へ消える**]
―宿屋―
Alles ist Gleichheit vor Gott.
Triff sie vorzugsweise zur Seite.
[二つの煙が立ち上る。
一つは死者に向かい、祈りを唱えた男の口許から。
一つは、その右手に握られた銃の口から]
……。
[顔を上げ、割れた窓を見た。
窓を突き破った狼に向けて放った銃弾は如何なったか、男は覚えていない。
たとえその身を捉えていたとして、特殊な力など何も無いただの鉛弾では、大した傷にはならなかったかもしれない]
……ク。
[不意にその口許が歪んだ]
残念だ。
――案外、気に入ってたんだがなぁ。
[低く笑い混じりの声を、酒場に残る手伝いの青年は聞いただろうか。
上げた目の色は暗く、何処か獣じみていた]
……まぁ、それならそれで。
最期くれぇは、看取ってやろうよ。
[その言葉と共に、咥えていた煙草を空いた手が壁に押し付け、弔いの灯は消える。
男は白金の獣と、先に行ったであろう4人の後を追うべく、*踵を返した*]
─外→海─
[外へ向かうと海に向って離れた間隔ながらも赤が点々と続くのが見えた]
海に向かったみてぇだな。
[ヴィリーは既に駆け出して居たか。赤の続く先を追い、フーゴーも駆けて行く]
─ →海へ─
[外に出る。
最初に見上げたのは、空。
それから、導のようにこぼれるあかを見て]
……海の方?
[呟き、視線を向けた先。
見える海の波は未だ、荒さを湛えて]
…………。
[言われた言葉がふと掠める。
優しいけれど、強くない、と。
それに、返す言葉はない、けれど。
それでも、逃げたくはないから。
海へと向かい、歩みを進めた]
― →海―
[残された血の後を辿り、駆け出すことは無く、けれど少しばかり早足で歩く。
右手には銃を握ったまま。
その姿を見た島民がいたならぎょっとしたかも知れない]
……この方角は、海のほうかねぇ。
[勿論男はそんなことを気にする筈もなく。
足を進めて行けば、やがては先行く人の背が見えてくるか]
─海へと向かう道─
[地面に点々と続く朱は、まるで己を追ってこいと道しるべを残されたようで。
それを辿り走る自分はきっと彼から見れば滑稽だろう。
だが、それでも立ち止まるわけにはいかなかった。
彼を止める為に。]
―海辺―
[男の眼差しは、海の向こう遥か遠く]
[其の足元は、紅に染まる砂の浜]
海の向こうで得た絆は、奪われ、断ち切れ、消し去って。
けれど、何時も通りとも言えるかな。
きっと此処で得た絆も、直ぐに壊れる。
[二条の傷口に痛む足を動かして振り向く]
[足音が近付いている気がした]
― →海―
みたいだな。
手負いの…いや。
[走ることは出来ないが、足を止めることはなく。
しっかりと右手を握って海へと向かう]
ものがたりを世に送り出してきたひとは。
どう終わらせるつもりなんだろう。
[それは問いの形ではなく。
いまだ島を閉ざす波の音に紛れるように落ち、浜に近づくにつれて強くなる風に流れていった]
[潮の匂いが徐々に強くなってくる。
波の音が徐々に耳を強く打つようになってきて。
足を、止める。
そこに立ち尽くしているのは、足元を朱に染めた、金の髪を持つ、男。]
………ルーミィ。
[だが、呼んだ名は、彼女から名乗られたもの。]
[後ろから来る気配。
ふと、振り返り、右手に銃を携えたウェンデルの姿に一瞬だけ目を丸くしたりしつつ。
風に流れる、ものがたり、という言葉に、再び向かう方へと黒の瞳を向ける]
……わかんない、けど。
最後まで、みないと、ね。
[小さく呟いて。
こもる力に返すよに、自分も手に力をこめる。
小さいけれど、確かな繋がり。
それが、感じ取れて。
恐怖感は、余りなかった]
[浜に居たヘルムートは遥か水平線を見ているらしく。最初に見えたのは風に靡く金の髪。こちらを振り向くのを見て足を止め、ヴィリーよりも後方になる位置へと立った]
………。
[何も言わず、ただヘルムートを見やる]
―海辺―
……なぁに?
[呼ばれたなまえのとおりに、返るのは甘いひびき。
うかべる笑みも、以前とかわらず。
焦げ茶のひとみがヴィリーをみつめる]
―海辺―
[やがて見えてくるのは砂浜に佇む人影。対峙する二つの背]
ああ。それだけはしっかりと、ね。
[後ろからの足音は追いついてきたか。追い越してゆくか。
その手に拳銃が握られたままなのが見て取れた。
そこにも覚悟の形を一つ見つけ、小さく頷くよな動作をした]
[初めて会った時と変わらぬ態度に、ただ険しい表情で見つめ。]
………お前は。
物語のつもりかも、しれないが。
俺達は、作り話の、登場人物じゃない。
[そう、告げてから、一呼吸置いて。]
…ライも、お前も。
だから。
美しい幕引きなど、必要はない。
物語の結末なんて言葉で、全てが終わらせられるわけがない。
お前は、償うんだ。
生きる為でなく、己の愉しみの為に命を奪ったことを。
[銀の剣は握ったまま、一歩、近付いて。]
─海辺─
[たどり着いた浜辺で目に入ったのは、先に駆け出した者たち。
荒事に加われない自分は、ただ、見守るしかできない。
共にやって来たぶち猫も、同じ意思があるのか。
対峙する者たちを見つめ、低く、鳴く。
銀の鈴の音が、風に流れた]
―海辺―
[驚く顔を見てか、頷くような仕種を見てか。
男はニヤリと口許をつり上げた]
[そこに言葉は無く、歩く2人の横を抜けて、更に3歩、4歩。
さくり、砂を踏む音をたてて、止まった。
対峙する人影のよく見える位置で]
[増える足音の数]
[先程まで宿に居た人数が、その全て]
勢揃い、かな。
[左足には、ちりちりと灼かれる痛み]
[けれど、表情は何一つ変わらない]
[痛みは感情では無く、感覚の筈]
[そうである筈なのに指先が触れるのは、心臓の上]
つもり、じゃなくて。
物語なんだよ。
[けれど低い声は淡々と紡がれ]
[浮かべる笑みの質が変わる]
[柔い女の笑みから、獣の凄惨の滲む笑みに]
―海辺―
[一際強い風に、焦げ茶の瞳を細める]
[厭わしいと、そう言わんばかりに]
だから、償ったりなんてしないよ。
[告げられる言の葉に、首を振る]
[詰められる距離に其々を見回す]
僕は、一番の悲劇になりそうな人を狙うだけ。
[宣言と共に、白金の煌きがクロエに向かって宙を駆ける]
[獣が紅に穢れた砂浜を蹴った]
……させる、か…っ!
[構えた銀の刃が軋んだ音を立てて、白金の煌きとクロエの間に割って入る。]
………いや。
物語なら。
全てが息絶えた後も、続いていく。
読む者が居る限り、永遠になる。
…これは、現実だ。
お前の思いも、俺の痛みも。
失ったもの、得たもの、全てが、真実だ。
[視線を逸らさぬまま、言葉を紡いで。]
[握った手は今もまだそのまま。
人狼への武器となるものは、既に失われた後]
クッ!
[だからできるのは。
身体を張って守ることだけ。
強く右の手を引き、白金の獣に背を向けて、クロエの身体を抱き寄せる]
―海辺―
御託は要らねぇな。
[場違いに笑みを浮かべた男は、為された会話もたったの一言で片付けた。
右腕を上げ、傷付いた左足に狙いを定め、引き金を引く。
そこには鉛弾しか込められていないけれど]
……誰もが、息絶えるまで、終わらない……。
そんなの。そんな終わり方……!
[思わず声に出すのと、白金が駆けるのは、どちらが先か]
……え……。
[ぶち猫が鋭い声を上げるのが聞こえた。
手が引かれ、抱き寄せられる。
視界が狭くなり、状況が掴めなくなった]
[クロエに狙いを定め駆けるヘルムート。それに割って入るヴィリー。老体は即座に反応することは出来ず、ならばと別の行動をとる]
[ヘルムートに隙を作るべく、彼の右側へと回り。手にしたままだった血濡れた短剣を振るう。タイミングはウェンデルが放った鉛玉とほぼ同じだったか]
[フーゴーの短剣を避ける為]
[白金の狼は、傷ついた脚を引きずり軌道を変えた]
[けれど、其れが大きな隙を生む]
[キャリンッ]
[金属同士の擦れ合うような其の音が獣の音には大きく聞こえ]
[更にもう一つ届く音は、銃声]
[二つの音に、上がる獣の悲鳴は一つ]
[後ずさり、低く低く喉を鳴らした]
[銀の短剣は左の前脚に]
[銃弾は左の後脚に]
[ぐらりと、獣の身体が左へと傾ぐ]
[顔ばかりが、唯、前を向いて]
[銀の刃が、白金の毛並みを紅く濡らし。
剣を引き抜くと、ぐらり、揺れる獣の姿を真っ直ぐに見据えたまま、クロエ達を庇うように対峙して。]
[最後まで真直ぐに此方を見る、男を見返した]
最悪……。
そういう事は、教えてくれなくて良いのにぃ。
[狼からこぼれる声は]
[おんなのやわらかさも、獣のちからづよさも両方をひめて]
最後に聞かせてくれる?
此れがほんとうに現実だというのなら。
私の書いたものがたりは、誰かが読んでくれる限り。
永遠になるかしら?
[紅が、砂浜へ止め処なく零れ落ち]
[焦げ茶の瞳に濁りが生まれる]
[背後で響く幾つもの音。そして悲鳴。
僅かに力を抜き、クロエを背に庇いつつ向き直る]
物語は。
いつまでも語り継がれてゆくものだと思う。
[紅流す姿を見つめながら、自らの思いを口にした]
……あぁ。
お前の記した物語は、永遠だ。
誰かの記憶に残り、思いが継がれ。
永遠に、語られる。
[白金の獣は、血に濡れて、誰の目にももう長くは無いと分かる姿になっても、尚美しく。
その傍らに片膝をついて、その瞳を真っ直ぐに見つめ、頷いた。]
[聞こえるのは、ただ、交差する音。
やがて、それらは静まり。
聞こえてきた問い。
庇ってくれる肩越しに、白金の姿を、見て]
……続いていくもの、だと、思うよ。
ウチのとうさんが、言ってた。
伝えるものが、受け継ぐものが、いれば。
失われたり、しない、って。
[小さく紡いだ答えは、白金まで届くか]
[傾ぐ獣の身体。
煙を吐く銃口は、獣の頭に定められた。
引き金に指を掛け、けれど未だ引かれることはなく]
……なんだ。
もう終わりかい。
[自分に向けられていない問い掛けに、男が答えを返す筈も無い。
代わりのような呟きは、何処まで届くか、その耳にどう聞こえたか。
いずれにせよ、口許には歪な笑みが浮かんだまま]
[振るった短剣は容易に獣に躱される。けれど隙を作るには十分で、直後に獣の悲鳴が耳に響いた]
[フーゴーはまた黙ってヘルムートを見やる。今手にしている短剣では止めは刺せないな。そう考えながら、ヘルムートがヴィリーに訊ねる言葉を耳にした]
……物語、か。
[ただそれだけを紡ぎ押し黙った。今回のことも結社の系譜として残されて行く。後世結社に属する者達も読むことになるだろう。それが彼の望む物語の在り方かどうかは分からないが。他の者が口々に言う中、それに同意するように頷くだけだった]
[答えの声が返るのを、微かに揺れる耳が捉えて]
[一人一人に言葉を向けた]
ベルちゃんも、クーちゃんも。
二人とも、優しいのよね。
其処が、好きで、嫌いだった。ううん、今も。
[焦点の合わぬ眼差しは、其れでも二人の近さを捉え]
[慈愛にも似た笑みが、浮かぶ]
――……頑張って。
[いつかと同じ、激励の言葉を祈るように呟く]
[次いで吐き出されるのは、溜息]
本っ当、神父様はこういう時に迄、乙女心を理解しないし。
優しくないし。
でも、そういう所含めて、好ましいとは思ってたわ。
其れ以上でも其れ以下でも無いけれど。
[獣の耳には、紡がれた声も良く聞こえる]
あたくしは、今までの一連を物語にして遺してある。
もしも出版されたなら、また逢えるかもしれないわ?
[其れは終わることの無い永遠に未完の物語]
[終わりの無いことの象徴]
おじさま。
[銀の毒が回り、響く声が震える]
宿に戻ったら、リアちゃんを弔ってあげてくれる?
私は、別に良いけれど。
彼は人間だから。
[遺言の一つ、叶えてもらえるだろうと]
[結社の人間を相手にするのではなく]
[宿屋の主人としての彼に願いを告げた]
……ああ、ちゃんと弔うさ。
[ヘルムートの最期の頼み。結社の人間としてでは無く、その望みを承諾する]
…おめぇも、弔う場所に望みがあるなら言え。
死する者に人間も人狼も、関係無ぇ。
[自分は良いからと言う言葉に眉根を寄せながら、今際の時にある相手へと訊ねる。その問いに答えるまで灯火が持つかは分からねど]
ハ。
俺にそんなモン求める時点で間違ってんだよ。
ヘルムート。
[彼女が求めていたのと違う名前で呼ぶ。
けれど男がきちんと名を呼ぶのは、多分これが最初で ]
ほぉ。
……そいつぁ、楽しみだねぇ。
[そう告げた刹那、浮かべる笑みの種は僅かに変化した]
[優しい、という言葉。
好きだけど嫌い、という言葉に、ほんの少しだけ、表情がへにゃ、となる]
……ウチは。
ルーミィさん、嫌いじゃ、ない、よ。
[ぽつり、紡いだ言葉には嘘はない。
続けられた、激励。
最初にそれを向けられた時は、揺らいでいたから、素直に頷けなかった、けれど]
……うん。
[今は。
小さいけれど、はっきりと。
頷く事ができた]
――……本当に、そうなら良いのに。
[覗き込まれても、焦げ茶の瞳は焦点が合わず]
[永遠という言葉の甘美さに、ゆっくりと瞼が閉じられた]
貴方の言う事は、信じてしまいそう。
酷い、ひと。
でも……信じる侭に。終われるのなら……。
――……悪くは…無い、わ。
[其れが、作家である男から零れた最後の言葉]
……俺は。
お前にとって、煩わしい男だっただろうが。
最期に側にいるのが、俺で、すまないな。
[銀の短剣を手にしたまま、横たわる獣の瞳が閉じていく様を見据えたままそう言って。]
…ライの側に、いてくれたこと。
感謝、している。
あいつは、きっと…ずっと、独りだったんだ。
[クロエのように、言葉にすることは出来なかった。
ただ、首を振って、それから頷いて]
ありがとう。
[それだけを口にして、閉じられてゆく瞼を見つめた]
[ゲルダを殺したことは、許せないが。
幼馴染の孤独は、きっと彼が、彼女が、少なからず癒してくれたのだろうと。
そう思いながら、物言わぬ骸となった白金の毛を緩く撫でて。
ゆるりと立ち上がると、フーゴーに銀剣を差し出した。]
…これは、返す。
もう、俺には、必要ないものだ。
[囁く『声』がきこえたなら一度、目を閉じて。
静かに開き、そこに揺らめくいろを見届ける。
それが、自分のやるべき事だから]
……おやすみなさい、かな。
[零れ落ちるのは、小さな呟き。
ぶち猫が、にぃあ、と鳴く。
銀の鈴が、ちりん、と小さく音を立てた]
[問いの答えは無いまま、ヘルムートの瞳は閉じられる。小さく、短く息を吐いた。後にヘルムートの別荘に居る者に伝え、どうするかを決めようと考える。
そんな中でヴィリーが傍に来て、短剣を差し出してきた]
…おぅ。
……おめぇに押しつける形になって悪かったな。
……ヴィリー、そいつを運べるか。
皆を、弔わにゃならん。
[短剣を受け取りながら訊ねる。皆の中にはヘルムートも含めていて。一度宿屋へ戻ろうと提案した]
[返される声は聞こえていて]
[力無く、白金の耳が揺れていた]
[けれど其の頃には既に、声を出せるだけの力は無く]
[何時しか、微かな動きも消えていた*]
[獣の目が閉じられるのを見、言葉が途切れて暫く後。
頭に向けられていた銃口は、再度の火を噴くことなく下ろされた]
……ったく。
[零れる悪態は何に対してだったか。
銃を懐にしまう代わり、いつものように煙草を出す。
昔仲間を弔っていた時と同じように、火を点け、紫煙を天へと上らせた]
[一つ息を吐いて]
まぁ。
結構面白ぇ奴だったからさ。
[紡ぐ言葉は小さく、相変わらず尊大で]
また逢えるってんなら。
――そん時は、ダチぐらいになら、なってやってもいいぜ?
[その言葉は獣の耳でも、捉えるには遅すぎただろう]
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