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神父 クレメンス に 5人が投票した
少年 ティル に 4人が投票した
騎士 ダーヴィッド に 1人が投票した
神父 クレメンス は村人の手により処刑された……
次の日の朝、小説家 ブリジット が無残な姿で発見された。
現在の生存者は、教師 オトフリート、少女 ベアトリーチェ、少年 ティル、陶芸家 アマンダ、貴族 ミハエル、騎士 ダーヴィッド、シスター ナターリエ、職人見習い ユリアンの8名。
[蔦を払いくちづけるその姿に、
目を奪わた。
それは一体何を意味するのか。
しかし考える前に、何かがゆがむ。
一歩、後ずさるその動きのためか。
強大な力が、かれへと襲い掛かる。]
クレメンス……!
[呼びかけは、伸ばした手は、しかし届くこともなく]
……消え、た。
[見やる左の金の目は、今は見えなくなっている。
残る右のふかみどりの目が、光景を捉えて、ただその場を見る。
うねりが捕らえたのはクレメンス。]
鍵、は、どこだ……!
[声は今いぬ彼に届いても、何の意味もなすまいか]
[しかし探そうとした瞬間に、その身体がぐらりとかしぐ。
器の限界、ではない。
右の腕も左の瞳も害され、次に広がる場所はどこか。
まだそこまではきていないのだ。
結界の中で力を呼び寄せた反動が、襲う。]
馬鹿っ………!
[少しでもこの場から遠ざけられれば良いと]
[クレメンスを捕らえたものと、もう一方の向かう先は]
[ブリジットが伸ばした手を、押し返そうとする。]
[ミハエルに、触れた手を。]
[それは届かず消えた]
[ティルの鏡像と影輝の力を持つ少女を飲み込んで、
うねりは消えた。残るは本物の翠樹の力を持つ少年]
ティル……っと!
[ぐらり倒れ込む身体に瞬時にそばまで行き、
体を抱きかかえた]
[きんいろの何も見えなくなった瞳が、
瞳孔すらもなくなった左の瞳が、
ただ風の子の姿をうつしとる。
たとえ怪我をいやされたとしても、
自ら刃を受けたその左の腕はまだ血を流すか。
抱きかかえられた身体は全体的に少しかたかったかもしれない。]
[落ちてきた力は、虚像を捕え。
後に残されたのは、翠樹の魔。
だが、力の勢いは、それのみにとどまらず]
……なっ……!?
[その場に踏み止まろうとしていた、影輝の精霊をも飲み込もうとする]
くっ……!
[せめて、それは押し止められぬものかと、鎖を繰るも、本来の力を封じられた状態の無限鎖ではそれは叶わず。
ただ]
……え?
[鎖が波動に触れた瞬間。
その波動には、本来ありえぬはずのものが、微かに感じられた]
[その力が捉え、捕らえる様が、魂に直接触れて、流れる。
偽りの姿に化けた魔と…
『寂しい?』
干渉する感情は、そんな言葉に聞こえた。
『残されるのは、寂しい?』
唇から紡がれるものではなく、思いを言葉にすればこんな形だろうか?
歪められた力は、影たる少女を捉え、捕らえて…。]
…クレメンスが。
書を持っているのではなかったのか?
[礼拝堂に背を向けたまま、立ち尽くす。
空を切った手で、己の襟元を掴んだ。]
あの男が結界へ取り込まれたというのに
それなのに、何故。
[声もコエも出せず、やがて苗床は総ての子らを――
それは根と葉を含めて。
花だけ除いて。
自らの体内に招くと同時。
ユリアンの腕にかかる重みは*少し重くなったろうか*]
−中央部・広場−
[巨きな力が二つの存在を呑み込んでゆくのを、ベアトリーチェはどこか遠くに感じていました。ぼうっとした緑の眼は、一度ゆっくりとまたたかれます。
けれどもそれに興味を示すことなく、ベアトリーチェは誘われるように、光から離れて闇へとあゆんでゆきます。するとそこに融け込んでいた魔はゆらりと揺れ、影のような女の姿をかたちづくったのでした。]
……それが、そうなの?
[問いかけは誰へと向けたものだったでしょうか。]
……波動が。
意思……を?
[小さな呟き。
明確に、なに、と感じる事はできなかったものの。
その力の波動には、結界の力の持つ本能以外の意思が感じられた]
[相対していた鏡像のような二人。
大地に近しい翠樹と、それとよく似た欠けぬ虚像。
アマンダは、欠けたモノは戻らないと知っている。
だから、うねりに飲み込まれ消えたのは、虚像と直にわかった]
…ティル、よか…
[安堵の息を吐こうとして、もう一つの気配が消えたことに気付く。
昨夜は気が動転していて気付けなかった、精霊の消える気配]
ミハエル? ブリジ…っ!?
[見回して、ミハエルの姿を見つけ。
その視線の先、誰も居ない空間に微かに残る気配に気付き、呆然]
[しばらくの間を置いて、小さく肯きます。]
……………うん。
[見つからないように、無くならないように。
天の力、魔の力、相反する二つの封印を用いて、“なんにもない”もののように、見せかけて。彼の残して呉れた力を使って、流れを逸らして。かたちを、変えて。]
[ミハエルの言葉に、がらんとした礼拝堂を見回して]
ああ。
それは、間違いない……が。
探偵さんの言葉……存外、的を得ていたのかも知れん……。
[複数犯、という言葉。
それが、今更のように思い出されて]
[...はティルの頭をぽふぽふなで続けていたが、
ミハエルの声を聞いてはっとした]
そうだ。鍵の書はどこだ!
[許されて翠樹の力を使う...とは違い、
明らかにクレメンツが行使した力は巨大なもので。
鍵の書を使ったのは間違いないのに。
辺りを見回しても鍵の書らしきものは見あたらず]
[役目を終えた影は、闇の中に融け込みます。また黒い猫となって、辺りをさまようのかもしれませんし、再びベアトリーチェのもとを訪れるのかもしれません。ただそれを、ぼうっとしたかおで見送りました。
その左の手首には、しゃらん、と揺れる鎖の腕輪がありました。]
[じゃらり、と音を立てて、鎖を舞わせる。
陣、と呼ばれる型を、周囲に展開して]
……まだ、追えるか……?
[低く、呟く。微かなりとも、残滓があれば、それは叶わぬ事もない。
そう思いつつ、礼拝堂の中を再度見回して。
ふと止めた、視線の先には、小さな指輪]
……あれ……は?
[それは、先ほど、強い天聖の力を放ったものと、気づいて]
他にも。仲間が居たという事だな。
奴を助けていたものが。その書を、鍵を、受け取って
いまもそれを守っているのだな。
[ひとつひとつ確かめるように、言葉を落としてゆく]
…そう。
[短く返して]
きっと、彼女には彼女なりの――想い(意思)が…ね?
[アマンダは何故という言葉に、答えにならぬ言葉を返しながら、ミハエルの肩を軽く叩こうとする。元気付けるように]
[鎖を一度、右腕に巻きつけて。
指輪を、そっと拾い上げる。
感じるのは、強い天聖の力。
それから、ミハエルを振り返り]
……恐らくは。
だが……。
[一体、何のためなのか、と。
呟いて、指輪をそっと、*握り締め*]
―教会―
しかし、ここにずっといても埒があかない。
ティルを休ませたいし、Kirschbaumに戻ろう。
[...はティルを負ぶい、立ち上がる。
見た目よりもずっしりと重たく、堅い感触]
[いつの間にか三つ花の蝶がひらり。
主人の周りをとびかう]
そのものにも
その者なりの思いが、あるのだろう。
クレメンスへ手を貸す者にも。
[オトフリートが拾い上げた指輪]
[アマンダの手を軽く払い除け]
[何のために]
対となる者が更に消えた訳でも無いのに、何のために私はいま、これほどに怒りを覚えているのだろうな。
―教会の入り口―
[ティルを背負ったまま教会をでると、
そこには見覚えのある少女の姿が]
……ベアトリーチェ?
もう終わったから。ここには何にもないから。
寒いからもう家に帰ろう?
先にティルをKirschbaumで休ませたらでよかったら、家におくるよ?
[...はいつもと違う感じのベアトリーチェに声をかけた]
……。
[アマンダは払われた手の冷たさに、微かな息を吐く。
霜が降りる事をも優しく受け止める大地は、冷たさに傷つかない。
けれど、心が痛まぬわけではない。
否、払われた事ではなく、優しい影輝の少女が消えて哀しくとも、涙流す事ない彼を元気付ける事も出来ぬ無力さが、だが]
…友を心配するのに、理由などないよ。
[友(もしくはそれ以上)と思う相手が消えれば、それは当然なのだと小さく囁き、目を閉じる。
全ての均衡を司る影輝、その精霊たる少女が消えた今、教会は不均衡な力の残滓で満ちていても、宥めるものはなく。
かといって、大地の精であるアマンダは、屋内ではうまく力を使えない。
ただ、出来るだけ揺らがぬように、受け入れて、支えて――自らの周りだけでも安定させようと試みるのみ]
……ユリアン。
[声をかけられてから応えるまでには、わずかに間が空いたでしょうか。ぱっと顔を挙げると、いつものような笑顔を浮べます。]
また途中でねむくなってしまったから、来るのが遅れちゃったよ。
[それはもちろん、嘘なのですけれども。家に送るという申し出には、少し迷った様子がありました。……いっしょにいたら、ばれてしまわないだろうかと。]
……「Kirschbaum」に行くのなら、デザートを奢って欲しいな。
[...は意地悪な笑みを浮かべた]
はいはい。デザートね。
今の時間から甘いもの食うと豚になってしまうけど、
それでもよかったらおごってやるよ。
じゃあ、Kirschbaumに戻ろうか。
歩きながら途中で寝るんじゃないぞ。
二人はさすがに運べないからな。
[...は片手でティルを支え、余った左手をベアトリーチェに差し出した]
友。
心配?
[何度か瞬きを繰り返して]
[くつくつと、小さく嗤った。]
[その場を鎮めることなど到底、己の範疇を越えたことだから、ミハエルもアマンダのするように自分の周りの均衡を保つだけ。ただしそれは”揺らぎ”を無理矢理に封じただけなので、揺れはしないが本来の在るべき空間からは、大きくその自然さを欠く、引き攣れたような場でしかないが。]
─遺跡─
…ぅ……。
[小さく呻いて、身じろいだ。
うっすらと目を開ける。視界が赤くぼやけている。
鈍い頭痛に手をやると、指にはぬるりと生暖かい感触。
霞のかかったような意識を、ゆっくり引き戻す痛み。
どうやらあちこち打ちつけたらしい。]
[アマンダはミハエルの嗤い声に、怪訝そうに眉を寄せる。
けれど、アマンダは四季廻るを是とする大地の精霊だから、氷の精霊の心がわからないまでも、否定することなく。
幾分か身の回りが安定すれば、先へと帰った人々を追おうとして、ふと振り返る]
そういえば…シスターは? どこに…?
[夜を狩場とするシスターが居ない事はさほどおかしくはない。
されど、住処とも言える場所での狼藉を赦さぬ誇り高き一族のはず]
何か、あったのか。それとも…
[呟きは風に消えて。アマンダはKirschbaumへ行くべく足を向けた]
豚になったら、食べられてしまうよ。
それは、あまり嬉しくないことだ。
[差し出されたのが左手だったのはさいわいでしょうか、ベアトリーチェは右の手をそっと乗せました。左手首の腕輪は袖に隠れて、よく見えないかもしれません。]
大丈夫だよ、寝たりなんてしないもの。
[手ごたえは掴めた気がする。
力の流れが、なんとなく。
…そのときに捉えたものが、なんだったのか、誰だったのかは、
まだ、よくわからなかったが。
よろりと手をついて立ち上がり、顔半面を血に染めたまま、ゆっくりと遺跡をあとにする。]
くっくっく…。
そんなものは、私に最も関わりのないものではないか。
下らない。
[そう言った声は、アマンダへ届いただろうか。ミハエルはそのどちらであれ、構わない。それは己にむけて発した言葉だったから。
アマンダの後について、オトフリートもKirschbaumへ向かったのだろう。彼らの後ろ姿が遠ざかる。]
[空になった聖堂に、笑い声が響いた。]
[教会をふらりと出て行くオトフリートの姿が見えましたが、こちらには気附いていないのか、ひとりでどこかへと向っていったのでした。その手のうちに天聖の力を持つ指環があることは、今のベアトリーチェにはよくわかりました。けれども声をかけることはなく、代りに左の手で無限のかたちをした輪をなぞります。]
[ぎゅっと握る手から流れ込むは天聖の気だろうか?
...にはよくわからないが、取りあえずにやりとし]
ベアトリーチェが豚になったら、おいしいカツ丼にして食ってやるから安心しな。
[物騒なことをいいながらも、三人と一匹は家路につく]
―……→Kirschbaum―
−Kirschbaum・一階−
[カランカラン、人の少なくなった店内にベルの音が響きます。二度目の「こんばんわ」の挨拶をして、ぺこりと頭を下げました。二階へとゆくのでしょうユリアンから手を離して、カウンターのそばまで寄ると、いつものように椅子によじのぼります。]
なにが、いいかなあ。
[そのまま、メニューとにらめっこ。]
―教会―
[ひとしきり笑い終えて、息を吐く。
笑ったことなど、久しく無い。ましてや声をあげて。
残響は高い天井を上へ上へとのぼっていき、やがて消えた。]
[再び静まり返った聖堂に、足音が響く。]
[教会をあとにした。
広場へ出る。夜空は澄んで、不穏さの欠片も残していない。]
―Kirschbaum―
[出たときと打って変わって静かに扉を開け。
出迎えたハーヴェイに...は手短に教会での出来事を話した。影輝の精霊が捕らわれた話を聞いたときのハーヴェイの表情の変化を読みとれるほど、...は経験を積んでいない]
[...はベアトリーチェの手を離して二階に登る]
−→Kirschbaum−
[アマンダはオトフリートがいつの間にか後ろから消えていたことに気付かない。
先を行く三人と一匹の後を、ゆっくりと追ってKirschbaumへと着く]
…おかえり。
[三人が扉を開けた時に零れた言葉は、ベルの音にかき消され、届かなかったかもしれない。
アマンダも、それに続いて店内へと入る。何か水分が欲しかった]
[赤い髪をみとめ、後ろ姿に向かって歩きながら、声をかける。]
無事だったのだな。損なわれたとは、思っていなかったが。
いや、無事では無いか。血の臭いがするな。
[ダーヴィッドの顔の半分、殆どを濡らす血の、香りを夜風が届ける]
[注文を済ませてしばらく、眼の前に置かれたのは綺麗に整えられたチョコブラウニーと薄く湯気を立てるホットミルクでした。フォークでそっと崩して、口の中へと運びます。]
―Kirschbaum・二階・ティルの部屋―
[...はそっとティルをベッドに横たえた。
あちらこちら傷つき、壊れているカラダ]
ティル、今日はゆっくりおやすみ。
[ただそれだけを声に乗せて、...は立ち上がる]
[三つ花の蝶はひらひらひらり。
主人を心配するかのように辺りを舞ったかと思うと、
額に止まって姿を消した]
[アマンダは、座る者のない指定席にふと視線をめぐらせ、何か頼もうかと考える。確か、彼は言っていた]
疲れた時には、甘いもの…?
[そうは言っても長々と水と果物しか頼まなかったアマンダに、メニューなんてわからない。
ベアの持つそれを、首を傾げて見つめた]
[甘いものを食べると元気が出ると云いますが、たしかにベアトリーチェの沈んだきもちは紛れていたのでした。こちらを見るアマンダに、反対向きに首をかしげます。]
食べる?
…ちーと無茶しに行ったら巻き込まれた。
ぶつけただけだからたいしたこと無いさね。
ちょっと休めば大丈夫。
[背中にかけられた声に、端的に答えてKirschbaumへ。
店内に入ればおそらく驚かれるだろうが、本人は気にせずソファーへ身を預けて*目を閉じるだろう。*]
[ベアの食べる茶色くて四角いもの。
店内に漂う甘い香りに、アマンダは二連の首飾りを撫でる。
そう言えば、千花が食べたがっていたけど、身体に良くないと――長生きを疑われる元になると禁じていた品]
ハーヴ、私に…
[頼もうとして、ベアに食べるかと訊ねられ。素直に頷く]
[岩清水と合うかは不明]
―Kirschbaum・一階―
[下に降りてきた...はベアトリーチェがブラウニーを食べているのを見てぽつん]
あーあ、豚になった。
ちなみにこのまますぐ寝たら牛になるから気をつけろ。
[変な脅しをかける。そしてアマンダがベアトリーチェからブラウニーをもらうのを見て]
もう一匹増えたかな……?
[そんなことを*真顔で言った*]
[東へ向かうダーヴィッドとは道を分かれて、自分の泊まる宿へ向かった。夜の通りはすっかり静まり返っている。]
せめて拭えば良いものを。
[部屋へ入り、窓を開く。
窓際に腕を置き、その上に頭を寝かせて、髪を夜風に*吹かれるままに。*]
牛も食べられてしまうから嫌だよ。
[ユリアンの呟きにそう返してから、アマンダにこくんと肯きますと、フォークで器用に切り分けて刺して差し出します。]
あーん?
[けれどもその動きは入って来たダーヴィッドの様子に途中で止まり、緑の眼がまん円になりました。びっくりしたふうなベアトリーチェは、しばらくそのまま*停止していたでしょう。*]
[ベアに差し出されたなら、素直に口を開けて食べさせてもらい、美味しそうに笑うはず。
口の端から零れた欠片も、指で拭って舌先で舐めて。
耳に届いたユリアンの言葉には、茶色の目を丸くして]
…食べたいの、私を?
[不思議そうにそんな言葉を返して、*首傾げ*]
−ベアトリーチェの部屋−
[朝を告げる鳥の囀りがしずかな空間を充してゆきます。お日さまは今日も変わらず、天にありました。その光は前までと少し違って感じられ、浴びるものたちも少しずつ、あるいは急激に、変っていたのですけれども。]
……………。
[ベアトリーチェは両の手で紙を持って、それを眺めます。以前に「Kirschbaum」で画いていた絵、彼女に聞いた“世界”の成り立ちを表したものでした。]
―Kirschbaum2F/東の部屋―
[体は重かった。動きはとても鈍い。
手を動かそうとして、苗床はようやく左の手の動きに気付いた。
口の端に浮かぶは諦めか。
届いていたコエを気にせぬふりで]
……
[はやく、しないと。
呟きは口唇をふるわすこともなかった]
[起き上がろうとする体を、蔦が支える。しかしつかまる場所がなければ、動けるはずもなし。
ベッドから落ちるように床に崩れて、困った顔をした]
−工房−
[アマンダはベットできちんと眠っていた。
膝まである長い髪は土の床へと流れ落ち、大地へと繋がっている]
[やがて、アマンダは目を覚ます。
千の花弁(欠片)閉じ込めた、二連の首飾りを撫でて挨拶]
…おはよう、千花。おねぼうさん。
[それから、身支度して工房を後にする。足が向かうはKirschbaum]
─Kirschbaum─
[ソファーに横になったまま、ぐったりと臥せている。
軽く手当てはされていたが、それでも髪や衣服に染み付く血の香り。
血を好む生き物には甘露と評される、竜の血の香が漂っている。
おそらく、歩いてきた道のりにも、点々と残っているだろう。]
−Kirschbaum−
[アマンダはドアベルを鳴らし扉を開ける。
一つ纏めた長い髪を揺らし店内へと入れば、漂う血の香りに首を傾げ]
…おはよう、ダーヴ。
まだ、調子悪いの?
[血は止めたはずなのに、と不思議そう]
ん、…いや、だいじょぶ……。
[片目だけを開けて、ぼんやり答える。
額に巻かれた包帯には、僅かに血が滲んでいた。
痛むのと眠いので、ぼんやりしている。]
そっか、ならいいや。
ここなら、美味しい食べ物もあるし、ゆっくり休めば直るだろう。
[アマンダはダーヴに頷いた。大丈夫との言葉を真に受けたようだ]
…ハーヴ、いつもの…
[カウンターに声を投げ掛けたところで、階段の方から何かの音と、乱れた微かな――翠樹の気配]
ティル…?
―南通り・宿の一室―
[暖かな陽が差しだした。同じ建物の中からここ数日感じていた、流水の気配は無い。]
[朝の陽に誘われて、部屋の隅を動く、小さな影。
ねずみの類だろう。素早く横切ったそれを、追った目の光りは一瞬だけ、獣のもの。封じ、いまは容易く解き放つ事の出来ぬ場所に在る、本性のもの。]
[手の中に形作った、薄い氷のダガアを投げる。
小さな命は貫かれ、僅かの血を流した。
まだ息の残るそれを拾い上げ、口許へ運ぶ。
人を装うための食事でも、精霊としての力の補充でもなく、本性の求めを癒すための、摂食。]
[アマンダは確かめるようにダーヴィッドを振り向くも、彼は既に怪我を癒すための眠りの中へ。
無言のままに階段を駆け上がれば、そこには蹲るような小さな姿]
…ティル! まだ起きては…
[膝を突いて、身体を支える。
上と下、どちらへと迷い、監視の目と食事が得られる階下へと]
―南通り・宿の一室―
[床へ落ちた血を、凍らせる。凍結してしまえばそれは摘み上げることも剥がすことも、捨てることも可能だ。]
[濡れた髪を拭い、身なりを整えて宿を出た。
広場を通って西通り、Kirschbaumへと向かう。
教会が見えたとき、少しだけそれを仰ぎ見た。]
[アマンダはティルを、ダーヴとは別のソファーへと寝せる。
辛そうな様子に、何か甘味を口に運ぶ手伝いをしたかもしれない]
…ダメだよ。
休むべき時に休まなくては、
動くべき時に動けなくなる。
[苦言はそれだけ。
言葉が返らなくても、黙って髪を一度撫でるだけで。
自分も何か力の元を得る為に、ハーヴへ甘味を*注文するだろう*]
―教会/夜―
[ユリアンがティルを連れていく様子を横目に、自分もふらりと外にでる。
思う所は多々あれども。
それは、確たる形を結ばない]
……少し、頭冷やすか。
[呟いて。
足を向けるのは、北]
―Kirschbaum―
[戸をくぐる。小さな鐘の音が出迎えた。]
…いつから此処は野戦病院になったのだ。
[ソファーを占領する二人は、どちらも襤褸襤褸で意識も無い状態。とてもでは無いが、喫茶店の一画とは思いがたい光景だ。]
[王の店先で――と言い掛けたが、王その人とアマンダに軽く宥められ、溜息を吐くだけ。]
…よくこんな場所で甘味など口に出来るものだな。普通、女性というものはこういった血生臭い輩の居るところで食事をとる事を嫌うものだ。
[アマンダの手元へ目を移し、また溜息。]
―北の遺跡/夜―
[静まり返った夜の遺跡にふわりと現れ]
……彼は一体、何をしてましたかと。
[感じとった血の匂いに、ぽつりと呟く。
顔を合わせたら、問答無用の小言、決定]
[ともあれ今は、と陣を展開する。
書、そのものの力を辿るのは難しく。
また、影輝のように均衡の乱れを辿る力は彼にはない。
ならば、どうするか]
……移ろいを辿る……か。
[時の流れの中の、微かな力の移ろい。
その違和を、読む。
それならば、見付けられなくもないだろう]
大きな変化ではなく……小さな移ろいを。
[呟きに応じて。
鎖が舞う]
[ソファへ横たわり、無惨な姿を晒す(その寝顔に危機感は皆無で、また別の意味で無惨だが)ダーヴィッドの、額に巻かれた包帯。そこにも血が滲んでおり、乾ききらない血は乱れた髪とは違った色で、その下の傷口がまだ開いたままである事を示していた。]
[それを見たミハエルは少し、眉を顰め]
[ソファへ身を屈めて、血糊で額へへばりつくダーヴィッドの髪を剥がしはじめる。]
[包帯を解くと、血の止まる様子もない傷口。
抑えていた物が無くなって、流れる鮮血。
立ちあがる香りは甘露。]
[傷口に指を当てる。額を撫でるように、指先でなぞる。
傷口に溢れる血は、水。
凍らせてその流れを止める。]
[力あるものが立て続けに隔絶されたためか、町の中の力の移ろいは大きく。
その一つ一つを辿り、違和を探す。
書ほどのものを隠すのであれば。
いかなる手段を用いようとも、その瞬間には移ろいが生じるはず。
それも、自然ではない、移ろいが]
…………何?
[やがて、捉えた違和。
それが閃いた場所は]
……取りあえず……後で、場所の記憶を辿る……か?
[一つ、息を吐いて空を見上げる。
色の異なる瞳には、やや翳りめいた色]
ともあれ、もう一仕事はしないとな。
[呟いて、再び鎖を舞わせる。
崩れた均衡を正す術は持たないが。
そこから生じる歪みの時に干渉し、*そのうねりが暴れだすのを遅らせるくらいはできるだろうから*]
[ひとたび止血が終わった事を確かめる。
(彼は火のちからを持つものだから、やがて氷も溶けるだろうが)]
[包帯を解いた際に溢れた血が、額からこめかみへと伝っている。ソファへ落ちそうなその雫を、指先で拭った。ミハエルが自分の指を口許へ運んだ小さな動きは、アマンダやカウンターの方からは見えなかったろう。まして舌先で唇を拭った事も。]
[片手で頭を持ち上げ、もう片方の手で器用に包帯を巻いてゆく。始終空きっぱなしの口の中も凍結させようかと思ったが思うだけに留めた。]
…シャワーを浴びる程度の分別も無いか。
[溜息を吐き、カウンターへ。
ミハエルのまだ注文していないにも関わらず、既にアイスティーはカウンターの*隅の席へ。*]
−中央部・教会−
[祭壇の奥、神さまの御姿を画いた絵を、虚ろな緑の眼で見つめます。
礼拝堂のうちはがらんとしておりまして、誰も居ませんでした。魔の施した結界により皆の心の流れは変り、力のないものはそこに近寄らず、そして変ったことに気附かず、不思議にも思わないことでしょう。]
……主の、御心のままに。
[小さなくちびるは聖なる句を紡いで、左の手は絵に触れようと持ち上げられました。けれども、しゃらりと鎖が鳴ったものですから、びくりと震えすぐさま引いてしまいました。何べんか、左右に首を振ります。]
……なぜ?
[それは誰に対する、なんの問いかけだったでしょうか。]
どうして?
[ぐるぐると回って気持ち悪いのは視界でしょうか、からだを巡る力でしょうか、頭いっぱいに溢れそうな感情でしょうか。]
わからないよ。
[応えるものはありません。]
―現在・図書館―
[...は閲覧コーナーで本を読みふけっていた。
『精霊使い虎の巻』『サルでもわかる属性の秘密』などの題名が見て取れた]
[こっそり持ち込んだアンパンを食べながら、
今は「探偵手帳vol2」にいろいろ調べたことを纏めている]
[ここ二三日...の側に彷徨ってた蝶の姿はいない。
呼べばきっとすぐに来るはずだが...にその気はない]
しかし……むう。
全然わからない。僕ってサル以下?
[...は気を抜くとやってくる眠気と戦いながら、
*必死にページをめくる*]
−西の桜の大樹−
[アマンダはあっさり甘味を食べ終え、桜の樹へとやってきていた。
ミハエルには普通女性は食べられないどうこう言われていたが、アマンダは女性じゃないので気にしない]
…うん、大丈夫。
ティルはちゃんと生きてるよ。無事…ではないけど。
[アマンダに樹の言葉は判らない。
大地を通して感じた不安にも似た何かを宥めるように、幹を撫でる]
[アマンダは大地に片膝を付き、手の平を当てる。
花曇りゆえか人影はほとんどなかった。嵐が来るのかも、しれない]
…さあ、落ち着いて……、あれ?
[微かな違和感。
桜の樹の根元。
意識を伸ばして、撫でるように優しく触れる。硝子の感触]
[その硝子から伝わるのは、結晶の間に沁み込んだ――翠樹の力。
アマンダは細心の注意を払い、その硝子を手元へと引き寄せる。
手の平に収まったそれを良く見れば、ティルがいつも首から下げていた硝子の小瓶だと、わかった]
…どうして、ここに…?
ううん、そうじゃない…君はまだ、ここにあるべきではないんだよ。
[アマンダは、何かを内へと秘めた小さな硝子の小瓶に語り掛ける。
そして、大地と風の場を整えて。
それを終えれば、持ち主の下へと*小瓶を運んで行くだろう*]
[ゆると目を開く、苗床は、何を見るのか。
ダウン状態の火の竜は見ていないだろうか。
その頬に透明なしづくが伝い、]
“ ”
[昔あいした人の名がこぼれた。
*小瓶は今は手元になく*]
─喫茶室─
[とろとろと見るのは、浅い夢。
色とりどりのおはじきを乗せた天秤。
ちいさな指が、それをつまみあげ、
揺らいで傾ぐ秤に首を傾げる気配。
下がった方をひとつ摘むと、もう片方へと秤は傾いで。
ひとつとり、ふたつとり、右へ左へ秤は揺らぎ。
揺らぎが止まったその時には、秤の上はどちらも空っぽ。]
−→Kirschbaum−
[アマンダは、ゆっくりと扉を開ける。
けれども来客を告げるベルは、小さく空気を振るわせる]
…こんにちは。
起こしちゃった、かな…?
[ソファーの二人に視線を投げる]
[未だ癒しの夢の中にある火の竜の邪魔はせず、小瓶の持ち主へと近づいていく。
瞬きに気付けば微笑みを。既に零れ落ちたしずくには、気付かない]
おはよう、ティル。
気分はどう? 何か、欲しいものはある?
[冷たいものでも、と傍にかがみこんで問う]
[アマンダは片手を伸ばし、ティルが起きるのを手伝おうとする。
ちょうど視界の端で、ダーヴィッドが手を額へと運ぶのが見えた]
…あ。…ゴメン、ダーヴ。起こしたかな?
[倒れないよう背を支えたまま、首をかしげて声を投げる]
[アマンダはティルが少しでも楽なように、その背をソファーへと凭れさせる。
そうしてから、彼の視線に気づき小首を傾げた。その表情の意味までは判らない]
ん? どうかした…ああ、先に水分かな。
ハーヴ、何か飲み物を…
[乾いた唇と小さな声に、水分補給が先かと判断し立ち上がろうと]
[アマンダは首を振るティルに、不思議そう。
けれど、手際よくカウンターに準備された二つのグラスの涼しげな音が小さく響けば、受け取るために足を踏み出し]
あ、そうだ。これ、届け物
[手が埋まっていてはグラスが持てぬと、ティルの手にそれを渡して]
もう、失くさないようにね
[それだけ言って、ソファーに背を向ける]
−中央部・広場−
[ベアトリーチェは広場に置かれたベンチのひとつに座って居りました。膝の上にはスケッチブックがあり、手の中には鉛筆がありましたが、肝心の紙はまっ白で、そこにはなんにもありませんでした。
眼は行交う人びとに向られていましたが、ここではないどこかを見ているようでもありました。]
[返された小瓶を見て、その瞳からふたたび涙があふれる。
それはしあわせそうでも……かなしそうにも*見えたかもしれない*]
ありがとう
[そうしておりますと、黒の猫がするり人ごみを抜けて、足もとまでやって来ました。左の手を延ばして触れ、ベアトリーチェはゆっくりとまたたきをしました。生きたものではないそれはあたたかいのかもよくわからず、ただ、きみょうな感覚がありました。]
[アマンダは耳に届いた声に、少しだけ振り返る。
翠樹から零れ落ちそうな透明な雫と、その表情に微かに息を呑んで]
……ん
[一つだけ頷いて、水分補給の為のグラスを取りに行く。
しあわせそうな、かなしそうなその表情に、気付かない振りをして]
[地に届かない足を、ぱたりと揺らします。]
……お腹が空いた。
[なんとなく声に出して云いますと、白い紙に円く線を引いてゆきます。今の季節にはない、赤の果物。ベアトリーチェはよく、そのままに齧ついていたのでした。]
[音のすぐあと、透明な光が舞ったのが見えた人は居なかったでしょうか。気附くとベアトリーチェの小さなてのひらには、すきとおるような赤いいろの果実が収まっていたのでした。]
[アマンダはティルの傍のテーブルに、そっとグラスを置いて離れる。邪魔をしないために。
手を貸して欲しいと呼ばれれば、直に傍へと戻るだろう。
そしてグラス片手にいつもの席へと戻り、喉を潤す。
岩清水は冷たく、喉の奥へと滑り落ちていく]
…や、おはよう?
[身を起こす気配に肩越しに振り向いて、空いた手を振る。
尻尾のような長い髪も、緩く弧を描いて揺れた]
―Kirschbaum―
[からん、と扉を開けて入ってきた...
翠樹の少年がソファーに座っているのを見て驚くが
すぐに駆け寄って、持っていた茶色の紙袋を手渡す]
これ、土産。
[流れ落ちる雫には気づくも...は話題に触れず
ただ袖口でごしごし擦って雫を拭き取る]
…おはよ。
[くしくしと、寝ぼけた目をこすると、乾いた血がぱらぱら落ちた。]
おなかすいた。
[相変わらず、緊張感のない反応。]
[久しぶりにエプロンをつけ、Kirschbaumの厨房にたつ]
ダーヴィットさん、もう「おそよう」の時間だよ。
何食べたい?さくっと作るよ。
[季節外れのそれがどうしていま手もとにあるのだろうとへんに思いながらも、ベアトリーチェはスケッチブックを畳みますと、腰を上げて一歩足を前へと出しました。あゆみながら大きく口を開けて、赤い実にかぶりつきます。しゃりりと音がするとともに、甘酸っぱいような味が口の中を満してゆきました。
お日さまは一日の役目を終えて地平線に下り始め、そらは柘榴石よりも昏い赤に染まってゆきます。あとわずかすれば、*六時を告げる鐘が鳴渡ることでしょう。*]
[完璧に虚をつかれた顔であけた紙袋からかれへと、苗床は視線をずらした]
いや。
だから
…………
[なんであんぱんと牛乳なのかと*問いたくなった*]
や、こんにちは。昨夜はどうも。
[アマンダは、ドアベルを鳴らし入ってきた少年にも手を振る。
直に翠樹へと駆け寄る様には、仲がいいなと小さく呟いたかもしれない。
ダーヴの発言には小さく笑う]
なら、何か頼めばいい。
[既にハーヴは何やらいい匂いを漂わせ始めているようだった]
いや、適当とか一番厄介だから。
今日のダーヴィットさん限定おすすめ「親子丼デラックス大盛」でいい?
[今適当に名付けた料理名を言う...
とティルが変な顔をして見ているのに気づき]
ん?一個じゃ足りなかった?
ごめんな。僕今金欠だからこれ以上は無理だよ。
バイト代入ったらね。
[本人は至って真顔]
[アマンダは(驚きのあまり)泣き止んだティルとユリアンを見やる]
本当に、仲がいいね。
[紙袋の中の真実なんて、気付かない]
[...はダーヴィットには巨大親子丼二つを持ってきた]
さて、これで足りる?
アマンダさんにもサービス。
[アマンダの前にはクランベリージャムが一杯かかったスコーンと石清水]
[アマンダは目の前に置かれた美味しそうな品に目を丸くする。
果実を好むアマンダには、とても魅力的な品だけど、どうやって食べればいいのかよく判らない]
あ、うん。ありがと?
[幾度か目を瞬いて、フォークはないので手に取って齧り付く。
甘酸っぱいクランベリージャムが口の中に広がり、美味しそうに目を細めて嚥下する]
ん、美味し。
[唇に紅のように付いたジャムまで舌先で舐め取り、*ご満悦*]
[フライドポテトをつまみ食いしながら、
アマンダの言葉に返事する]
うん。仲良しさんで羨ましいでしょう。
[ふふふと笑いかけようとすると、
丁度アマンダが唇を舐めるのが目に入り、
自分でも理由がわからないのに顔が*赤くなった*]
あぁ、さんきゅ。
[大きな丼ふたつを受け取ると、箸をつける。
給仕の思春期らしい素直な反応をほほえましげに見守りつつ、確実に目の前の小山を片付けていく。]
─昨夜・???─
[ブリジットと別れたあとも教会には帰る気が起きず、光の届かぬ路地裏を当てもなく彷徨う
彼女と別れたあと、影輝からの影響が消えたせいか、再びナターリエの脳裏には呪言が響き渡る]
うるさ…い。私は……そんなこと望んで……ない
[蹲り、頭を抱え拒絶の意思を示そうとする]
─北の遺跡/朝─
[深夜に始まった歪みへの時の干渉は、結局夜明けまで続き。
時計塔が時を知らせる音を聞く頃に、ようやく荒療治は一段落した]
まあ……根本的な原因を解決するまでは、持ってくれれば御の字……だな。
[一つ、息を吐いて鎖を腕輪に戻し。
色彩を変えて行く空を、眩しそうに見上げる]
[もちろん路地裏にいるのは彼女だけでない
柄の悪そうな冒険者風の男たちがにやけた笑みを浮かべて近寄ってくる
馴れ馴れしく声を掛けてくるキッと顔を上げると]
…うる……さいっ!!
[ぶわりと路地裏に吹き荒れる風。彼女の右手には連結刃の形状を取った剣
男たちは一瞬のうちにすべてを吸収され灰と化し、吹き荒れる風に消えていく
はぁはぁと肩で息をする彼女の右眼は蒼でも赤でもなく金色に染まりつつあり、その瞳孔は蛇のように縦に割れていた]
さて……とっ……。
[しばしそうして立ち尽くしていたものの、やがて感じたのは目眩。
昨夜、時計の旋律から吸収できた力は、全て使い果たしてしまったらしい]
……まずいな……。
[小さく、呟く。
力の均衡のはかれていない状況下では、属の力の強いものほど状態を確りと保たなくてはならない]
……邪魔の入らない場所で、少し休むか……。
[可能なら時計塔の側がいいのだが、さすがにそれはできず。
Kirschbaumに戻って力を使い果たした様子を見せるのも、何やら気が引けて]
……あの辺りなら、誰もいない……か?
[呟いて、残っていた僅かな力を凝らす。
最低距離の移動。
たどり着いたのは、緑の空間]
……ここなら、もし……。
[何かあっても、少なくとも周囲に迷惑はかけまい、と。
そんな事を考えつつ、鎖を出して手近な木の根元に座り込む]
……まあ、寝過ごさないように気をつけて……。
[若竜に小言を言わねばならぬのだから、と迷惑な決意を固めつつ。
周囲に鎖をゆるく、護るように舞わせながら目を閉じた]
─北東部・森林/現在─
[目覚めを呼び込んだのは、冷えた風。
それと、疲れが大分癒えているのを感じて、ゆっくりと目を開く。
最初に目に入ったのは、じっとこちらを見つめる白梟。
それに、大丈夫だ、と笑いかけ、展開していた鎖を戻す]
……さて。
一度、Kirschbaumに戻るとしますか。
[呟いて、ゆっくりと町へ向けて歩き出す]
─広場→Kirschbaum─
[広場を通りかかる際、時計塔に軽く、手を触れる。
手を離した後には、微かに煌めく漆黒の何かが一瞬だけ残り、直後にふっと消えた。
それを確かめてから、西通り、Kirschbaumへと]
[扉を開ければ、見慣れた面々の姿と、険しい表情を向けてくる影輝の王。
さすがに、昨夜からの行動は見通されていたらしい。
それに、苦笑を返しつつ、例によって紅茶を頼み]
……さて、と。
[向けられる、視線の先にいるのは多分、言わずもがな]
[その時、過去にないほど激しい虚脱感が彼女を襲う
それがブリジットの消滅であると気付いたときにはもう遅い]
!? 駄目ッ!!
あ、ああ、ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ……
[髪を顔を掻き毟り、絶叫]
[数刻、絶叫を響かせていたが、ぴたりと絶叫を止めると]
…………行かないと
[虚ろな眼でそう呟くと、ふらふらと路地裏をあとにした
その右眼はさらに金色に染まっていた]
[食べろと言うようなユリアンに食べられそうにないとコエを返す。
それからただ水を、本当に丁寧にのんで。]
―Kirschbaum―
[戻ってきた時の竜を見、目礼]
−Kirschbaumの桜の下−
[アマンダは甘味を食べ終えた後、桜の下で休んでいた。
影輝の王が支配するこの空間は、鍵の書が奪われた今でも均衡を保つ場所ゆえに。
西の桜の地は安定させてきたばかりで、力を貰うのはまだ早い]
『力を手にし、うねりに飲み込まれた神父。
けれど教会には、鍵の書の気配らしきものはなかった……
鍵の書は、いずこ?
隠したのは、だれ?』
[物思いは、ドアベルの音にかき消される。やってきたのは時の竜]
―Kirschbaum―
[...は踵を返すと、ティルの元に行き、
一旦手渡した茶色の紙袋の中に
手を突っ込んでごそごそ。
そして牛乳パックを取り出して、
ストローをさして飲み始めた]
[「照れ隠しの行動じゃない!」と本人は言い張るだろう]
[取りあえず、小言のターゲットが食事を終えるのをまとうか、と思いつつ、自分も紅茶を味わって。
絆を結んだ二人の様子に、何となく、柔らかな笑みを浮べるのは無意識だろうか]
『森へ行きたいな』
[首飾りは首につけられず、手元に。
それを握ると苗床はそんなことを思う。
しかし体はまだ鈍い。
ばらばらになったように噛み合わない。
そんな状況だからか、諦めたように目を閉じた]
[目を閉じたティルに首を傾げて]
ん?どした、ティル?
まだ、カラダ痛むのか?
それとも水お代わりか?
[ふらりと三ツ花が店内を飛び回る]
─現在・墓地─
[先日のイレーネとティルの争いのあとはアマンダの手により元に戻されている。その中には、その過程で流されたイレーネの血も含まれていたが]
…………掘り起こさないと
[そう呟くと、剣を地面に突き立てる。剣は鈍い光を放ち、大地に拡散された彼女の血を掻き集める
掻き集められた血を剣が啜りきると、剣は光を収める
柄を握るナターリエは俯き、顔は前髪に隠されて見えないが]
……あは
あはは、はははははははっははははははっはあはっははははははははははははははははははははははははははははははははははははははっげほっげほっ……
[突如咽ながらも高笑い。ぜぇぜぇと肩で息をしながらも笑いを止めようとしない。そうして顔を上げ髪を掻き上げると]
俺、参上!
[ニマリと哂うその右眼は完全に金色に染まり、瞳孔は蛇のように縦に割れていた]
[首を振る動作はいつも以上にゆっくりと。
たぶん何をしてもしばらくは変わらぬのだろう。
花の抜け出た額があつい。
苗床自身は気付けないが、どうやら体が先に音をあげたらしかった。
封印内で無理矢理にちからをつかったせいだけではなさそうだ]
[そして、彼女(?)の手の中の剣が大きく変化する
その刀身は漆黒のまま、長剣の形状から身の丈ほどもある大剣へ姿を変え、その表面に複雑なルーン文字を刻んでいく
封印を解かれ、その真の姿を現した魔剣
その名は知るものも多いだろう悪名高き剣「ストームブリンガー」]
―北部・遺跡―
[一旦店を出たアマンダが、再び戻って来た頃にKirschbaumを辞してから。遺跡を訪れ、何かを捜していた。何を探して居るのかと聞かれても答えることは出来なかったろうが、何度か足を運んでも見いだせなかった手掛かりすら掴めず、ただ陽が暮れた。]
[団長失踪から、もう何日も日が経ったからだろうか、自警団の人影もいまはまばらで、ミハエルを咎める者は居なかった。]
[これからどうやって鍵の書を探すか、何か情報はあったのか、訊ねようと身を起こしかけて、遠く大地の違和感に髪が逆立つように騒ぐ。
大地に同化しつつあるものを、無理やり引き剥がされたような――]
――ッ! な、なに…がっ!
[身を折るようにして、目を閉じて探る。方向は――]
…墓場!? 何があった…っ!
[ベアトリーチェの周りを、光に包まれた小さな鳥が飛んでおりました。その光は宝石のきらめきのようで、お日さまよりあたたかく、月よりもすきとおっているのでした。
細められた緑の眼は、深い森とおんなじいろ。ほのかに照らし出されるかおは、うたにも合わず、微笑っているようにも見えたでしょうか。くるりと踊るように回ると、左手首の輪がシャララと清らかな音いろを立てるのでした。]
―北部・遺跡―
[一体誰が、クレメンスから書を受け継いだ?]
[さもなくば、彼と書を共有していた者は]
[冷たい夜風に身を任せ、思索に耽る。
だが答えは見えない。あの神父姿のものと、親しくあったものが誰であるか等、知り及ぶところでは無かったし、先のティルとユリアンのように人知れず何らかの力の共有を果たすこともあるのだ。]
……なんだろう。
[光の鳥は散ってしまい、そこにはもう居りません。感じられるのは、失われた筈の生命の力。そしてそれより強い、月闇の力でした。]
―Kirschbaum―
[旗立ててもらった特製プリンを口に運んでいる最中、
突然北東に大きな気配。
消えたあの同族に似て、まったく違うもの。]
…いま、の……。
[デザートスプーンを咥えたまま呟く。
ぱたり、とプリンに刺さっていた旗が倒れた。]
─Kirschbaum─
[唐突に上がった声に、はっとそちらを振り返る]
墓場……? 墓場が、どうかしたのか!?
[先日の戦いのあった場所、と思うとさすがに放ってはおけずに問いを投げる]
[問いにやや遅れて感じた波動に、す、と目を細める]
……これは……まさか、生命の力?
いや、幾らなんでもあり得ん、この強さは……っ!
『何が? そんなの鍵の書に関することに決まってる――!』
[反射的に飛び起き駆け出そうとして、掛けられた声が誰かも確かめずに叫ぶ]
わからない! 墓場で何かあった! それだけは間違いない!
[それだけ言って、墓場の方へと駆け出す]
[手をニギニギしていたが、ニマリと哂うと]
ああ、久しぶりの肉体だ。しかも、吸血鬼という高スペック
くけけけけけ、最高。最っ高にハイって奴だよ
まったくこいつも事なかれ主義過ぎて退屈極まりなかったからな
俺様が出てきた以上、アバレまくってやるぜぇ
[ひゃはははは、と高笑い]
[草の上に置いていたスケッチブックを拾い上げ、ベアトリーチェは森を駈けてゆきます。おかしな力の流れの感じるほうに。
茂みを抜けると、そこには墓地が広がっていました。けれどもそこの様子はなぜだかいつもと違って、そこに居る見覚えのあるシスターもいつもと異なるように思えました。闇よりも濃いまっ黒な剣は、眼に入ったでしょうか。]
[問いへの答えは素っ気無かったものの、感じた波動と合わせて異変があった事は確信できて]
まったく、のんびりしている暇もないなっ!
[大げさなため息をついた後、店の外へ飛び出し、墓場へと走り出す。
その行く先を先導するように、白梟が夜空に舞った]
─…→墓場へ─
―Kirschbaum―
[のんびりあんぱんを食べていた...だが]
ん?墓場?生命?
生命ってイレーネさんのことだよね?
イレーネさんも「消されて」しまったのに…
やっぱり、「鍵の書」…?
―北部・遺跡―
[夜風が運んできた気配、首を伸ばしてその匂いを嗅ぐような仕草。
ミハエルは自らの仕草に気付いて一瞬、気まずげな表情を見せたがそれを見ていた者は居なかった。
その気配を追って、駆け出した。]
―→墓地―
ベアトリーチェにナターリエ。
いや、お前は…ナターリエか?
[響く高笑いに、眉を顰め]
−北東部・墓場−
……ナターリエ?
[危機を知らせる声にもぼんやりとしたまま、ベアトリーチェはシスターの名前を呼ぶのですが、すぐに首をゆっくり左右に振りまます。]
ううん、違うみたいだ。
[ちょうどやって来たミハエルの呟きに同意するように云いました。]
[後を追うように駆け出してきた火炎の気に気づき、ふとそちらを振り返って]
無闇やたらと、怪我をするな!
如何に力ある身とは言え、血を失すればその力も失われる!
[やはり、小言は言わずにおれなかったようだ]
−墓場−
[アマンダが墓場で見つけたのは、高笑いするナターリエ…否、その内にある気配は異なるモノ]
君は、誰だ…!?
[そう言って、ベアトリーチェに気付き、子どもを庇うようにその傍へ]
−北東部・墓場−
…だろうな。そもそも彼奴はこんな所で抜刀するようなものでは無いと記憶している。
ブリジット、アマンダの後ろへ隠れて居ろ。
[月を背に立つナターリエの貌つきは、狂気と狂喜に満ちていて、最早どう言い訳をしてもシスターを名乗れそうもない。]
―Kirschbaum―
ああ、行くか…。
多少荒っぽいが、勘弁してくれよ。
[...は問答無用にティルを抱きかかえると、
店の外に出て、地面を蹴った]
[ふわり、二人の身体が宙を舞い、
一跳びで墓場までたどり着く]
不可抗力だっての!
[追いかけ、追い越しつつ言葉を返す。]
いーんだって、休みゃすぐ治るんだしっ!
[幾つかが集まってきていることが判る。
そしてその先、狂える生命の力に押し込められているようなものは…
残されてバランスを崩した月闇!?]
─墓場─
[たどり着いた墓場の状況。
満ちる、尋常ならざる気]
……おいおい。
[上がるのは、呆れたような声]
月と闇、二つに愛されし者が、月の光にでも狂われたか?
[ゆらりと振り向く。そこには彼女を通して見知った顔]
……こんばんわ。私は私ですわよ
[その返答は、いつもナターリエが話しているような穏やかな言葉
だが、次瞬狂気に満ちた笑みを浮かべると]
……なぁんてな、きゃはっ
[その顔はナターリエとは似ても似つかない歪んだ笑顔]
[次々に集まって来る皆に、愕いたようにまたたきます。スケッチブックを抱きながら、ミハエルに云われるままにアマンダのうしろへと下がりました。わけのわからないと云うようなかおで、辺りをきょろきょろと見回します。]
シスター…いや……。
[その手の中の剣の意匠は"知っていた。"
数百年も前に封印を解かれて奪われ、指名手配を受けていた悪名高き、魔剣。]
ストームブリンガー。…何故お前が此処に。
……まったく。
対を失いし力は脆いものとは知っていたが……。
[呆れたように呟きつつ]
よりによって、黒き剣に器を乗っ取られるとは、迷惑な。
[言いつつ、右腕の腕輪に触れて。
銀の鎖をその手に]
……だが、さすがにこのまま放置はできんぞ?
ん、気をつけて。
なんだか、変。何かが、起こってる!
[ミハエルに言われたからか、素直に後ろで大人しくスケッチブックを抱いているベアトリーチェに安堵する。
彼女と子どもは仲が良かったから、飛び出すのではないかと心配していたから。
何故こんな時間にここに居るのかという不自然さには気付かない]
[ダーヴィッドの方をつまらなさ気に見遣ると]
なぁんだ、俺のことを知ってる奴がいるのか
正体不明の謎の存在。その方が格好いいだろうがよ、あぁん?
……はは、このシスターがな。「吸血鬼としての親を殺す」ため俺の封印を解いてくれてねぇ
まあ、かなり不服な制限契約を吹っ掛けてきやがったが、背に腹は変えられねぇしな
そして、こうして自由を手にすることが出来たんだしな
―墓地―
[ティルをできるだけ離れたところに置き、
じっとナターリエを見やる。そして一言]
キモいぞ!その喋り方。
[遠くから叫んでいる。若干逃げ腰]
熱くなりすぎるな!
力は多少抑えられているようだが、斬られれば俺たちでもただではすまんぞ!
[斬りかかって行く若竜に向けて、叫ぶ。
周囲を舞う無限鎖は、必要とあらば援護をする構えで固定して]
[ぜんたいなにが起っているのかは、アマンダの背に隠れてよく見えませんでしたが、力の高まりだけは感じられました。]
対を、失いし力。
[オトフリートの言葉を小さく繰り返して、なんとなくそちらを見やります。]
[逆鱗に刻まれた特別な紋章は、【封印管理者】の任に就く竜の証。
過ぎた力を封じ、その封印が維持されているのを見回るのが役目。]
[場の状況を見守りつつ、ふと捉えた小さな声にそちらを見やる]
ああ。
光と、影。
三対の調和が崩れて、不安定になっているんだ。
なんとか、鎮めなくては……。
[感情をその領域とする、月闇の暴走。
それが周囲に及ぼす影響は、未知数と言えるだろう]
[地を蹴り、こちらに切り込んできたダーヴィッドの剣を受け止めると]
あぁん? 封じるぅ?
ははっ、やなこった
せっかくの自由を手放すわけねぇだろうが。この(ぴー)野郎!
[そう言って、吸血鬼の腕力でダーヴィッドを弾き返す]
[アマンダは魔剣の事を知らない。
けれど、その名には眉をしかめ、花曇りは本当に嵐を連れてきたのだなと思った]
…吸血鬼としての、親…?
契約…?
鍵の書とは…別なのか…?
[呟きは剣戟の音にかき消されただろうか]
その喋り方は…彼の蛇か。
ただ者では無いと思っていたがまさか、魔剣なんぞ連れ歩いて居たとは、な。だがそんなものに器の支配を明け渡してしまうとは無様なことだ。
…加勢しよう、ダーヴィッド。
[腕を振り上げた。空中の水分が凍り付き、刃になる。
刃はダーヴィッドの後ろから、ナターリエ(いまは”ブルー”か)向けて、風を切って*飛び*]
調和……崩して、不安定に。
[意味を呑み込むように呟きながらも、それは少しずれていました。]
『それは、必要なこと。』
[眼は下に移って、ちょうどオトフリートの胸ポケットの辺りを見ます。]
[はじき返された剣の勢いを逃がすように、身を翻す。
強い。
素体そのもののポテンシャルは、人のモノとは明らかに違う。]
…そんなだから野放しにしておけねぇってんだ!!
[その力を宿すには、あまりに粗野なその人格。
故に厳重に封じられていたんだと、なんとなく納得。えぇ、納得。]
[ダーヴィッドを弾き飛ばしたあと、飛んできた氷の刃を並外れた動体視力で捕捉すると]
あっまぁぁいっ!!
[弾き飛ばした遠心力を加速し、回転して刃を切り払う
その顔はある意味逝ってるバトルマニアの狂気の哂い顔]
そう。
[呟く少女に、一つ、頷く。
彼女がそれをどう受け止めているかなど気づく事はないままに]
安定ばかりでは、世界は保てないが……。
だが、今ここに在る不安定さは、不自然に織り成されたもの。
正さなくては。
[言いつつ、剣戟に目を向ける。
少女の視線が向く先には、気づかぬままに]
[火と氷――水の欠けた二つの力が、
陽と影――二つ欠けて一つしか残らない闇へとぶつかる]
乗っ取られたのも…不安定になっていたから、か…?
[ベアトリーチェの呟きは聞こえても、その想いには気付かずに]
不安定?
[けれども、ベアトリーチェにはわかりません。ある意味では対たる時空が居るためか、元もとが不安定な存在のためか、それもわかりはしませんでした。]
わからないよ。
[その応えはアマンダに向けたもののように聞えたでしょうか。]
チッ!
[大地に手をつき、鉱物の盾でナターリエ、否、魔剣が切り払った氷の刃の破片を防ぐ。氷の精霊の力の篭ったそれは、鉱物の盾と相殺し、煌きながら砕け散った]
危ないな。もう少し下がって。
[ベアトリーチェを肩越しに振り返りながら見れば、その視線はオトフリートの胸を見ていた。
けれど、アマンダはそこに何があるのか知らないまま、下がるように促すだけ]
くっ
[強引に剣を引き戻すと、剣の腹で切り上げを受け止める
その勢いを利用してひらりと後方に飛んで着地]
……いいね。いいね、いいねぇ。こいつは楽しめそうだ
さあ、もっと俺を楽しませろ
言っておくが、俺は最初から最後までクライマックスだぜ
手を抜いて楽しませないうちに死ぬんじゃねぇぞ
[そう言ってぶおんと剣を一振り]
[アマンダの言葉に、ふとそちらを見て]
恐らくは。
交わされていた契約がどんなものかはわからないが、ブリジットがいなくなった事で、俺たちの間の均衡が崩れているからな……揺らぎが生じたのかもしれん。
[それから、視線は再びベアトリーチェへ]
落ち着かない感じ……と言い換えてもいいかな。
ぐらついたり、震えたり、ね。
[黒き剣に灼熱の刃は受け止められ、澄んだ音と共に火花が散る。
お互い飛び退って開く間合い。]
むしろ、最初から最後までエピローグにしてやるぜっ!!
[燃え盛る刃を真っ直ぐに向け。
だが、その刀身は既に小さく欠けていた。]
……厄介な。
これだから、黒き剣は面倒なんだと……。
[響く声に、やれやれ、と息を吐き]
エターナル・ロンド、守護方陣!
[鎖に、護りの型を取るように命じる。
戦えぬものに影響が及んだ際に、素早く対処可能な防御の形を]
……そこに?
[唐突な言葉に、戸惑いつつ、視線を辿り。
昨夜、取りあえずは、とポケットに放り込んでおいた指輪の事を思い出す]
君は……これが何か、知って?
ん、そうだね、わからないね…
どうしてなのかも…鍵の書が、今どこにあるのかも…
[アマンダはベアトリーチェがわからないのは、無理ないと思う。
子どもだから、そして、口にしてるアマンダ自身も推論でしかなく、当事者ではないはずの子どもに答えられるはずがない、と。
だから、気付かない、気付けない。
子どもだって、14の内の一つであるのに。
天聖という、稀有な力の持ち主であるのに]
[辺りの喧騒もまるで気にならないふうに、ベアトリーチェは一点を見つめていました。けれども訊ねられれば、わずかに首をかたむけます。知らない筈もありませんでしたが、素直に答えてはいけないのはよくわかっていました。]
……それは、元は天聖界にあったものだよ。
[ゆっくりと言葉を選んで、紡ぎます。
アマンダの声が耳に、右手で袖の上からそっと左の手首の辺りを押えました。]
ひゃはっ、上等!!
じゃあ、俺を楽しませてくれや。そして美味しく食べさせてくれよな!
[そう言うと、目にも止まらぬ速さでダーヴィッドに袈裟斬りに斬りかかる]
[オトフリートの説明には、視線は闘いの方に向けながらも一つ頷く。
永き時を見てきた竜の言葉は、静かな重みが詰まっていたから]
そう…ブリジが、
いないから…
ハインも、エーリヒも、アーベルも、イレーネも…皆いない…
神父は…迷宮から出る術を知っているのかな…
だったら、内側から…みんな出てこれないのかな…
[容易く解く事の出来ぬ迷宮。
その内で生きてはいるだろうとの影の王の説明の後からは、あまり口には出していなかったけれど、心配して居ない訳ではなく。
鍵の書を探すしかないとの言葉を忘れ、つい、そんな弱気な呟きが零れた]
[ほんの一瞬だけ、アマンダへと眼が向けられます。]
大丈夫だよ。
きっと、大丈夫。
[なにをもって大丈夫というのか、それもやはり、定かではないのですけれど。]
[左手首を押さえる姿に、僅かに首を傾げるものの。
返ってきた答えには、さすがに驚きは隠せずに]
天聖界……に?
何故、そんな物が、人の世界に……。
[天聖界。
ある意味では、人の世界に最も近く、そして遠い場所。
そこに存在していたものが、何故、ここにあるのか。
それは、ごく自然な疑問と言えた]
…くっ!!
[早い!
咄嗟に受け流すべく剣を凪ぐ。
高い金属音。 焔を纏っているとはいえ、素体はただの剣。
刃は耐えられず砕け散り、肩へと迫るその黒い刃。
だが、左手は既に、腰の拳銃を抜いている。
鋼の筒へと込められてあるのは、幾千度もの熱い息吹。]
[アマンダの呟きに、一つ息を吐いて]
……結界は、もし破られたなら、その様相を変える。
あのおっさんがどんな方法で入ったかはわからんが、少なくとも、同じ方法では開けられない。
……書を返還しようとすれば、迷宮自体が口をあけて……まあ、こう言うとなんなんだが。
自分にとって不要な存在は、弾き出すだろうが……な。
[肩へと刃は深く喰いこみ、肉迫した至近距離から、
引き金によって解き放たれるのは、
鉛の玉ではなく、火竜の咆哮。
がら空きの腹を狙って火球は飛び出す!]
……それは、ベアトリーチェは知らない。
ただ、それを追って来たのだと、云っていた。
そのために、永き時を巡って来たのだって。
[主語のない、誰かから聞いたような言葉。]
だから、返して欲しい。
[文字通り火花散る、激しい剣戟。
オトフリートの鎖がとった護りの型に、少し安堵して後ろを見やる]
…天聖界? ベアは…よく知ってるんだね。
[精霊にとってはごく当たり前の【界】の話。
ただ、何を指すかはわからずに不思議そうに問う]
【これ】って、なに?
[呟きはオトフリートが持っているらしい、ベアトリーチェの視線の先にあるらしいものに対して。
けれど、アマンダの視線は偶然、抑えている左の手首の辺りを見ているように思えたかもしれない]
[眼だけを向けたベアトリーチェにアマンダの見ている先をきちんと知ることは出来なくて、弾かれたように顔を挙げました。]
……なんでも、ないよ?
[それは、不自然に見えてしまったことでしょう。]
[アマンダは、一瞬だけ向けられたベアトリーチェの視線と言葉に、微笑んだ]
……うん。そうだね、信じてあげないと。
みんなに、怒られちゃうよね。
[元気付けてくれてるのだろうと、茶色の目を細めて]
…………。
[どこか、遠くから聞こえてくるような言葉に、左の手をポケットに入れて、指輪を取り出す]
天聖界にあるべきもの。
それを、あるべき場所に返そうとする者がいるなら、それは均衡を、安定を保つために必須だけれど。
でも。
何故、君がそれを?
やはり、鍵の書…なんだね
[オトフリートが息を吐いた様子に、やはり甘い考えなのかとアマンダは肩を落とす。
ベアトリーチェの不自然な様子に何か言おうとして――視界の端で、鈍い音を立て飛び散った赤が見えた]
…ダーヴ!
[視線は一瞬、ベアトリーチェから逸れる]
!?
[ダーヴィッドの肩を切り裂く感触に目を細めるが、第6感が危機を告げる
腹腔に放たれる火球をかわそうとするが、さすがの吸血鬼の反応速度でも避け切ることは出来ず、腹腔部の一部を持っていかれる
一旦跳び退き、喀血する。苦しそうに手を当て、修繕を試みているがその顔には狂気の笑み]
げはっ。……はは、いいね楽しかったぜ
だが、もうお終いだ。美味しく食ってやるから安心しな!!
[そう言って止めの一撃を加えようと飛び掛る。その刀身がダーヴィッドの体を貫こうとした瞬間]
!? な、てめっ何をしやがる。邪魔……すんじゃねぇ!!
[ぴたりと止まった刃先。困惑と苛立ちを浮かべる歪んだ顔]
[苦しそうに唸っていたが、右眼の金色が薄まったかと思うと]
私を……殺…して
んなっ、てめっ。フザケタこと……言うんじゃ…ねぇ!!
[肩に埋められた刃。
痛み以上に、強烈な脱力感。
思わず膝を付き、目を上げるが動けず。
その剣が胸を、貫いたと…思った。]
…な?
[数ミリ手前で止まる切っ先。]
だから、返して。
それがないと――……
[声には少しばかり、焦ったような響きがありました。けれどもその続きは、遠くから聞える鐘の音か、近附く力の奔流に消えてしまうでしょうか。]
[遺跡の方から、力が高まるのを感じる。
胸の紋章と、左手にはめた指輪が輝きだす。
うねるその封護結界の力へ、干渉できるだろうか!?]
[苗床はただ見ているしかできず
重くあつい息を吐く]
……ちからを
[戻さねばなにも出来ない。
その視線を森へ向けると、瓶を握ったまそちらへゆこうとした]
[オトフリートの声に、逸れた視線は再びベアトリーチェへと戻る。
そう、勝負はあちらに任せることが出来るけれど、小さな少女は…]
…ああ、どうしたの? ベア。
なにが…?
[自分の言葉を思い出し、首を傾げつつも。
手でも繋いで力づけようと、重ねられた手へと指を伸ばして]
―墓地―
[今日もやってきた。うねりは力のあるものを飲み込もうと虎視眈々と狙っている]
今までの僕だったら、何もできないと嘆いていたかもしれないけど。
僕には「約束」があるから。早くこの喜劇を終わらせる!
いけ!風よ!
[...がさっとうねりの方向に腕を翳すと、風がうねりに向かって襲い掛かった]
[これが初めて「ユリアン自身の願い」で起こした風とは本人も気付いてなかった]
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