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読書家 ミリィ に 8人が投票した
探偵 ハインリヒ に 1人が投票した
読書家 ミリィ は村人の手により処刑された……
次の日の朝、探偵 ハインリヒ が無残な姿で発見された。
酒場のママ ヘルガ は絆に引きずられるように 探偵 ハインリヒ の後を追った。
次の日の朝、ランプ屋 イレーネ が無残な姿で発見された。
現在の生存者は、教師 オトフリート、シスター ナターリエ、青年 アーベル、職人見習い ユリアン、小説家 ブリジットの5名。
[Za, za ――――― ]
[界全体を包み込む、音の波]
[ほどけて] [粒子と化して]
[数字の羅列] [消える]
[幾つものちから]
[防衛プログラムの『暴走』]
[機鋼竜の『望み』][魔の者の『実験』]
[――そして、彼の『意志』]
[様々なものが絡み合い]
[翠樹][疾風][陽光][精神]
[同時に四つの属性が消え失せて]
[残されし均衡は][保たれし安定は]
[対にて対ならざる][天聖と時空のみ]
[それすら崩れれば仮初の世界は如何なろう?]
[想像には難く無く――]
―草原―
無事なわけないでしょう?
[心底嫌そうに言った、次の瞬間、バンダナを外して、銃口を避けて疾る……雷光の速さ、そう呼ばれる彼の足でも避けきれるかどうかは、判らなかったが、致命傷は避けられるだろう、そう踏んで]
−北西部:針葉樹の森−
[傍に在った存在が、消え失せる]
……ぁ、
はっ、……ふ、
[荒く息を吐き出して]
[明滅する左眼を抑える]
[枷に触れた瞬間、光は容易く収まった。]
―屋敷・広間―
[答えを聞こうとして。
見つめていた先で動いた力は]
きゃ…!
[幾重にも響いた声。その一部には確かに機鋼の竜と呼び合うものもあったけれど。それを確かめる間もなく、膨れ上がった力の起こした反動が一気に襲い掛かってくる]
だ…め…!
[胸元の石を握り締める。
鎖を外す…どころではなかった。
その場に膝を突き、必死に耐える]
─屋上─
……っ!?
[不意に、感じた揺らぎ。
それは、今までよりも大きいか。
機鋼界自体が、軋むような──]
……ちょっと、待ちやがれっての!
[口をつくのは、苛立ちの声]
[異分子…キケン…ハッケン!ハッケン!]
[どこに隠れていたのか、ドロイドから発せられる警告音]
[防衛レベル2]
[排除] [実行]
ざっけんな、ってんだ……。
[草原の先。そこで騒動が起きているのは、感じていたが。
今はそれよりも──]
……セレス、伝えろ!
[従魔──否、機竜王の子であれば辿れるであろう、機鋼の力。
それを読ませ、そちらへと感覚を向ける。
呪印の痛みは、強引に押さえ込んで]
エターナル・ロンド! 『渡れ』!
[声に応じ、舞う光鎖。一瞬の後、屋上から、その姿は消えうせて]
―草原―
[放たれなかった光に、ぴたり、足を止め、消え行く少女を見つめる]
初めて、まともに働いた、てか?
[多分、そうでは無い事は、同時に大きく動いた界の力…安定を欠いたその揺らぎが告げていた]
─西部森林・針葉樹林─
[空間を『渡り』、跳んだ先。
舞い散る雪の中、その姿は容易に見つけられるか]
……何故。何のため?
[白の中では異質な漆黒を揺らめかせつつ。
投げかける問いは、簡潔]
…………!
[背後に、気配]
[揺らめく漆黒][見据える青]
何の、ため?
わからないことを、知るため。
[ヂ、][違和感]
[理由はそれだけじゃない。]
[揺れる、機鋼の力、その波に引きずられそうになりながら、一瞬、意識の端にかかった、時空竜の気配…空間を瞬時に渡る、その力の行き先は…]
………西、か……
[再び地を蹴り、走り出す]
―東部・草原→西部・針葉樹林―
わからない事を知る。
それだけのために、何故、ここまでの危険をおかす?
機鋼に属す君であれば、機鋼竜が完全でないのは……容易に、知れるはず。
そして、今起きている事が界に、そして全てに。
及ぼす影響とて、感じられるのでは?
[翠と紫で静かに青を見返しつつ、問い。
言葉にならぬ音に、一つ、瞬いて]
……、
そんなの、
わからない、
[連ねられる言葉]
[頑是無く、首を振る]
知らない、
わからない、
だから、知りたい、
――……それだけ……っ!
[まるで、幼子の我儘。]
[幼子の我儘を思わせる言葉。
ふと過ぎるのは何か。
……それは自身の幼き時か、それとも]
知らない、わからない、を知りたいのは構やしねえ!
それは、生けるものの持つ、当たり前の欲求。
だからって、そのために何やってもいいって事はねぇだろっての!
[オトフリートに声をかけられると、笑みを向け]
どうも、死に損なったようです。
[そして、すぐに視線は青年の青い瞳に戻る]
アーベル…
[また感じる、違和感]
あなたは…その姿は、あなた、だけのものか?
[強い、強過ぎる機鋼の力…それは、まるで…]
……悪運は、お強いようで。
[ユリアンに短く言葉をむけ。
青の青年を、再び見やる]
なくしたもの。
それは……君、自身、か?
[呟いて。ふわり、背に開く、白の翼。
かけた眼鏡も外して。
それは、竜郷で見せた姿と同じ物]
……この姿で会った時には、あったもの?
[それならば。時空竜たる彼には、読み取る術もあるのだけれど──]
[抑えが効かない。崩れる均衡を戻すために本来の力を得ようと。
だが無作為の開放は無理な干渉を引き起こしかねない。
どうすればいいのか]
『 ...Oeffnung und Umwandlung 』
[呟きと共に左手の鎖が全て外れた。
同時に人の子の身体が崩れ、紫のもやっとした球体へと。
そのままエリアも越えて薄く広がってゆき。
軋む世界を宥めるかのように流れる]
[今までとは異なる何かに、私は彼の仔を抱いて身を竦める。
まるで世界が――機鋼界自体が軋むかのよな、音]
『何が…!?』
[事態を把握せんとする私の腕から、彼の仔が飛び出して。
応えるは、時空竜の声]
[一瞬の後、『波動』が響いて、消える。
私は、渡った彼の竜の無事を祈り、出ぬ喉で高く一音啼いた]
誰なのか、
何なのか、
すべて、ぜんぶ。
後、少しで、わかるから、
そうしたら、 きっと。
[砂とも光とも知れぬ粒子が舞う]
[人の形は文字の羅列へと変わって]
[*瞬きの後、その姿はもう、其処には無い*]
誰なのか、何なのか、か。
[小さな呟き]
自分は、自分。
それ以外の何だってんだよ……?
過去があろうと、なかろうと。
時が刻まれ、螺旋巡り行けば。
新たな物が開き、積み重なる。
……そこに……価値は、見出せない……のか?
[どれほどの時間がたったであろうか。
もしくは、刹那ほどの時であったろうか]
[宥められゆく気配に気付き、私は目を閉じて感覚を追う]
『……これは…影輝……?』
[おぼろげに感じるは『均衡』を司る気配。銀茶の髪の少女のそれ。
私は不安そうに鳴く彼の仔を抱き、導かれるままに部屋を後にした]
[アーベルの消えた空間を、しばし、じっと見つめる]
何が価値となるのかも…まだわからない、そういうことかもしれない。
[オトフリートの言葉に、ぽつり、零して]
僕にも、わかりませんが。
[目を伏せた]
[外した眼鏡を乗せなおし、一つ羽ばたいてから、翼をしまう]
何が価値かもわからない、か。
ありそうだな、あの調子だと。
……価値の在り方なんざ、人それぞれ違うもの。
俺だって、わかりきっちゃいない、よ。
[小さく呟いて]
……これ以上ここにいても仕方ない。一度、屋敷に戻ろう。
[放たれた力は界の中を流れ渡ってゆく。
ギリギリの均衡。それすらも崩しそうな場所でだけ暫し留まって]
[竜もどきは昏々と眠る。
内に残るのはその姿を支える最低限の力のみ。
首に掛かった鎖細工はその色を失って]
―屋敷:広間―
[階段を下りて、広間へと気配を辿る。
着いたそこは、破壊され広いそれではなく――人影なき空虚]
[その中心に浮かぶ、小さな藤色の羽竜]
ほんとにね。
[言いつつ、目を細める。感じるのは、影輝の波動]
……無茶もしたようだし……。
[ほんとにもう、と言いつつ。
さすがに『渡る』余力はないので、光鎖を収め、歩き出す]
[『それ』が彼の少女なのだと、天聖が属ゆえか唐突に理解する]
『……何ゆえ…このような…』
[心配そうに鳴きかける彼の仔をソファーへと下ろし、私は小さな藤色の羽竜へと両手を差し伸べる。
どうか、無事で……そう祈りと願いを込めて]
[オトフリートの後をついて、踵を返しかけて]
………これは?
[影輝の少女が幾ばくかの安定をもたらした成果か、ゆらぎのわずかに落ち着いた、その空気の中、残る”精神”の力の残滓]
イレーネさんと一緒だと言ったのは…本当だったのか…
[自分を動揺させるために言っているのかと、そう判断したことを後悔した]
[天聖が属の者の手に受け止められて。
巡っていた力の幾ばくかがその身へと戻る。
それでも未だ瞳は閉じられたまま。
シャラリと音だけが響いた]
[手の内に在る羽竜は、静かな…静か過ぎる眠りの中にあり。
私は、彼女が界を護る為に力を使い果たしたのだと理解する]
『……そう、でしたか…
おやすみなさい…どうか安らぎの夢を……』
[眠る羽竜への言葉は、心の中のみで]
『まったく…修行が足りないってレベルじゃねえな……』
[自分自身に吐き捨てて、手にしていたバンダナを頭に巻こう、として、手を止めた]
……言っていた……って、誰が、何を?
[呟きを聞きつけて、そちらを振り返り、問う。
それに対する答えに、同族の消滅を確かめたなら、異眸はやや、陰るだろうか]
……っとに、もう。
[小さな呟き。それはどこか、*苛立ちを帯びていたろうか*]
[オトフリートの目に浮かんだ陰りを、声に滲む苛立ちを感じて]
…だからといって、あなたが無茶しないでくださいよ。
おとーさん。
[*真顔でそう言った*]
[消耗した時に殻となる姿で。
包まれる天聖の気に添って身の内を力が巡る。
それでも意識を取り戻せるまでにはまだまだ時間が*掛かるだろう*]
[その頃。
上空を旋回せし白梟は、場が落ち着いたのを確認して。
軋みによりひび割れし氷の窓のから現れ、羽ばたき一つ]
『あ…白梟殿。どうか彼女を…』
[押し戴く藤色を差し出して、私は希う。
なれど返るは否定のそれ。力失いし昏りは傷を癒すとは別なりと]
『なれば…少しでも構いませぬ、私が喉を…願えませぬか』
『せめて眠りなりと安らかに…』
[ばさり、大きく羽ばたくは了承の印なりや]
[助力して下された白梟殿に、私は深く礼をして。
ソファーにお座りしている碧の獣の傍らへと腰掛けて、藤色の羽竜を両手で守るよに膝へと乗せる。
背凭れに身体を半ば預け、紡ぎ出すは――幼き麒麟の為の音。
未だ五音に至らぬ、三音の――優しくも易しき歌]
……―――…――
[喉に負担をかけぬよう、私は静かに柔らかく歌う。
眠る羽竜に、側に在る愛しき魂に、そして…遠き*無垢なる器へと*]
─移動中─
……誰がおとーさんですかと。
[いい加減、諦めた方がいいと思うが。
やっぱり突っ込んだ。真顔で]
無茶はしない……と言いたいが、向こうの出方次第だろ。
最悪、『全力』も考えにゃならんさ。
[『全力』とは即ち本性の解放。雷精にはそう言わずとも伝わるだろうが]
ま、大丈夫。後先顧みずに走りはしねぇ。
『現在(いま)』は……。
[続いた言葉は、*舞い落つ白に、溶けてゆく*]
−南東部:海岸−
[戯れるような波]
[彼の足に触れては引く]
[影輝の精のちからによってか、]
[海は穏やかだった。]
[断続的な波の音]
[子守唄か][ノイズか]
[揺らぐ海面]
[映り込む彼の姿]
[*その表情は沓として知れず*]
―昨夜:広間―
[お戻りになりし二人を迎え、何が起こりしかを伝えし後。
疲弊しきった身体を休めんと、それぞれが部屋へ戻るであろうか]
…えぇ。影輝が少女は、私が。
目覚められし時…お困りになられるやも知れませぬゆえ。
[『少女』の姿取る精霊が、殿御の元に在るは不都合あらんと。
そう告げて、私は藤色の羽竜を両手に抱き、部屋へと戻る。
動けぬ者を側に置くは、何事か在りし時にお困りになるやも知れぬと密やかに思いながら]
[少女の伴侶たる氷精殿の反応を思えば、ある意味他の選択肢などなかろうとは知りはせなんだなれど]
―二階個室→広間―
[やはり未だ身体が弱っているゆえか、目を覚ましは陽も高き頃。
僅かなりと身体は回復せしか、辛うじて隠せし角に安堵の息を吐く。
厨房に残りし料理の、野菜のみのポトフをいただいて。
消えてしまいし陽の麗人と、風の御仁を想い心は刹那沈みゆかん]
[やがて食事を終えれば、私は身を清めると告げて、藤の羽竜を連れて温かき泉へと向かう。
酷使したままの脚は、薬効も切れて既に棒の様。
いざと言う時、せめて彼の仔や眠りの羽竜を連れて動けるようにと、温泉が効能に縋ろうか]
―温泉―
[脱衣所に残されし亜麻色の布を見つくれば、姿消えし優しき彼の猫を思い出し。かつての時の、地の獣らとの遣り取りも今は懐かしく思えよう。
纏いし白金の衣と亜麻色のそれを洗い干し、私は静かに胸まで温泉へと浸かる。
傍らに在るは、柔らかき布を敷き詰めた籠に眠る藤色の影。
昏々と眠る様子を眺めつつ、布が乾くまで――傷が和らぐまで――私は小さな声で柔らかく歌う。
小さな生き物達と戯れし時、好んで口ずさむ歌を]
「ピィ」
[歌に合わせるよに一声鳴いて、舞い降りしは黒の鳥。
上空を旋回し、舞い降りるは何処なりや。
次いで聞こえしは猫の声。
歌に惹かれたか、主や白の猫の痕跡を探しに来たかはしらねど、側に来たらば指先で優しく撫でようか]
―温泉―
[温もりと潤いと。
ふんわりと包まれている感触。
優しい歌声が聞こえる]
ん…。
[まだ重い瞼をゆっくりと開く。
何だか視界が何時もと違うような]
『あれぇ…?』
[ぼんやり。湯気の中]
[藤色の羽竜が瞼を開けたのを見、私は安堵の息を吐く。
途切れる、歌。
黒き鳥は再び高く舞い上がり、黒き猫は籠を覗く]
……お目覚めなりや?
[問う声は、案ずるよに]
『ナタ・リェさん?』
[聞こえた声の方を見ようとして。
先に視界に入ったのは黒猫の姿。
…なんでこんなに大きいのだろう]
『シシィ?』
[思考は纏まらず、疑問は浮かんで消えるだけ]
『おはよう』
[微笑。といっても見た目では分かりにくいのだろうけれど。
聞こえた言葉にそう返して。
未だ夢現]
[藤色が羽竜は、未だ夢現。
鳴くように口を動かす様子に、私は仄かに目元を和ませる]
…なれば、今しばしの眠りを…
[私は途切れた歌を再び口ずさみつ、乾いた白金の衣を身に纏う。
やがて亜麻色の布を肩に掛け、籠に眠りし藤色の影を手に、共に来る者あらば共に広間へと*戻るだろう*]
『…うん…』
[覗き込み手を伸ばしてきた猫にもされるがまま。
流れる歌声に気持ち良さそうに目を瞑った。
籠の中揺られながら、再び夢なき夢の*中へ*]
―屋敷・自室―
[結局、昨夜オトフリートがこちらの言いたい事を判ってくれたのかどうかは甚だ疑問だった]
て、ゆーか、ぜってー本質的に判ってねーな、あれ。
[ごろり、寝台の上で寝返りをうつと、バンダナを外したままの髪がばさりと揺れ、パチパチと紫の光を散らした]
─影輝界・中枢─
不意に駆け抜けた衝撃は、精霊界の全域を揺らして。
『均衡』を領域と為す界の中枢。
貴紫の六翼広げし影輝の王は、閉ざせし瞳をゆるりと開く。
「……揺らいだ……か」
掠れた呟きが零れ、影輝王は手にした刀を握り直す。
「……外からの干渉は、不可能……出来うる限り、支えはするが……」
できるのは、それだけ、と。
零れるのは苛立ち帯びた、呟きか。
「……頼むぜ……」
機鋼界の内にある者、その姿を思いつつ。
音を立て、六翼を羽ばたかせる。
舞い散る粒子は、影輝の波動。
それは軋み、揺らぐを機鋼の界を支えし力となるべく、精霊界を*渡り行く。*
─二階・自室/昨夜─
[屋敷に戻り、状況を聞いて。
色々とため息をついたりなんだりしつつ、セレスを連れて自室へと]
……て。
なんですか、コレ?
[それで、差し出された物にちょっときょとりとしていたりとかは、緊張の中でののんびりとした一コマ]
[その後、いくつか言葉を交わして。
……セレスは少し、機嫌を損ねたりもしたようではあったけれど。
それを笑って受け流しつつ、眠りに落ちて──翌日]
─二階・自室─
[目を覚まし、最初に確かめたのは呪印の具合。
痛みはなく、それなりに安定している様子に、一つ安堵の息を吐く]
……ヴィンター、悪い。少し、頼む。
「……まったく」
[処置なし、と言わんばかりにばさりと羽ばたく白梟に苦笑しつつ、癒しの光を印に受け、痛みを抑える]
さて……んじゃ、どうしたもんかね。
[落ち着いたところでぽつり、零れたのはこんな呟き]
[不意に、セレスがぴくり、と身を震わせる。
同時に感じる、気配]
……おやま。
堂々と、いらっしゃった事で。
[くすり、と笑みつつ立ち上がる。左肩に舞い降りる白梟と、右肩に飛び乗る碧の獣]
……んじゃ、行きますか。
[口調は軽く。どこかに散歩にでも向かうような、そんな感じで]
─…→広間─
―自室―
[寝台の上に仰向けに転がり、閉じていた目をぱちりと見開いた]
………
[寝台を降り、廊下に出ると、天聖の麒麟の部屋の前へ]
気をつけてください。
[ドア越しに声をかける]
[逃げろとは言わなかった。多分、それは意味がない]
……、
[ゆるり、][振り向く]
[異なる青の双眸が、黒を見据えた]
やあ。
[返すのは淡々としたものではなく]
[静かながら感情の篭められた声]
……久方振りというべきかな。
「虚のいとし子」。
[呼ばれた名は、竜郷での通り名。皇竜により、つけられし物]
……ま、そう言うべきなのかな?
[にこり、と笑う。それは、旧知の友にでも向けるような笑み。
ただし、見据える異眸は鋭さを失いはせずに。
肩のセレスは、やや首を傾げてじ、と青を見つめて]
―二階個室―
[広間へ降りる前、一度部屋に戻りて亜麻色の布を置きかけて――]
…あ……
[不意に変わった『何か』に、私は小さな声を上げる。]
そこにかけられたのは、雷精の声]
………はい。
[始まるのだと――私は籠に眠りし紫の羽竜を両手に掬い上げる。
恐らくは何処に居ようと同じ。
それに――隠れていようとは、思わなかった]
[オトフリートを呼ぶ名に、その表情に、僅か、目を伏せる]
[言葉は差し挟まず、静かに対峙する二人を鋼の瞳で見つめている]
[合わせるように][微かな笑みを含む]
[返す視線には親しみなど微塵も無いが]
折角の再会だ。
のんびりと茶でも飲み交わす、
というわけには行かないけれどね。
[集まる気配に気付いたか、眼を細めた]
さすがに、この状況じゃ、俺も呑気に茶を淹れる気にはなれんしね。
[ふ、と笑む。集まる気配は気づいていても、振り返りはせずに]
……さて。
ご用件は?
嗚呼。
今更、言う事でも無いのだけれどね。
界の軋みは、既に感知しているのだろう。
影輝の精霊が抑えはしたようだけれど、
長くは持たないに違いないから。
その前に、纏めて「頂こう」かと思って。
纏めて、ねぇ……。
世に満ちし、十五の属。
その全てを得て……何を、望む?
ついでに一応聞いとくが、機鋼界が崩壊したらどうなるかは、わかってんのかな?
『纏めてって、風呂敷包みじゃないんですから…』
[ぼそりと、ものすごくローカルな突っ込み。風呂敷を知ってる者が何人居るやら]
その様子だと、わかっていないよーで。
[困ったもんだ、と肩を竦めて]
精霊界は力の中枢であり、源。
源が消えたらどうなるか、なんてのは、言わずもがな、と思いますが。
ま、何にせよ……。
[言いつつ、す、と右手を横へと伸ばす。
乗っていたセレスがするり、と滑り落ち。
ゆらり、絡みつくのは漆黒の光鎖]
道理を知らない子供の我がままにゃ、いつまでも付き合ってられんのでね。
……そろそろ、『器』を止めに行きたいんですが?
嗚呼。
それはそれで、構わないよ。
[いともあっさりと。]
――紛い物で居続けるくらいならば。
数多のちからがあれば、変われるかとも思ったけれどね。
[じゃらり、]
[左の腕を持ち上げる][鎖が鳴った]
永遠の反抗期に、どうこう言われたくはないな。
―広間―
[辿り着いた先で目に入りしは、対峙する青と黒。その肩の碧と白。
少し下がりて見守る紫黒より、更に後にて私は藤と共に見守る]
………
[あおを見やる淡い菫色には、哀しみが揺れて]
そっちは構わなくても、こっちにゃ一大事、なんだけどねぇ。
[実際には、誰にとっても『人事』ではないのだけれど、言った所で水掛け論、と口にはせずに]
って、紛い物……?
[短い言葉に首を傾げるも。続いた言葉に、くく、と思わず笑みをもらし]
何せ、無限存在ですから?
常に何かに反抗していないと、ただ、流されるだけになっちまうんでねぇ。
君が竜郷で遭いし魔と、
此処で会った存在は別物だっただろう。
今も尚――ね。
[天青石の睛が、][異眸を見る]
[機鋼のちからを宿した、青]
世を知ったのは好いことだけれど、
随分と素直では無くなってしまったものだ。
昔は可愛げも多少あったのに。
[冗談染みた言葉]
[凭れかかっていた壁から、身を起こす]
別物……ね。
[それが違和感の元かと、小さく呟いて]
ま……あれから、魔界やら精霊界やら人間界やら歩き回って。
色々なものを見て、知って。
……求めて、失って。
[その部分はごく小さな呟き]
……色々と、経験も積みましたんで。
いつまでも、可愛いお子様ってわけにゃいかないってとこかな?
[くすり、と笑い。壁から離れる様子に、す、と目を細める]
失ったものを、求める。
それだけだ。
[呟きは聞こえたか否か]
[呼応するが如き、言葉]
話し合いは時間の無駄――……、かな。
強きが正義、とは言わないが。
手っ取り早いのは確かだね。
[右の手を横へと広げた]
[ビシ、][ビシビシビシ、]
[幾つもの音が連なり、][背に生えるは、]
[ ―― 鋼の翼 ]
[流水の羽とよく似た][紛い物]
失ったものよりも。
巡る螺旋の築く、新たなものには、惹かれない……?
[小さな呟きは、問いのようで問いでなく]
時間の無駄もなんも。
最初の一手の時点で、折り合いがつきゃあしねぇっての。
そも、話し合う気があるなら、最初っからそれできやがれってんだ。
[呆れたような言葉を投げ。
異音と共に開きし鋼の翼に、巻きつけていた光鎖をゆらり、自身の周囲に巡らせる]
『器』の意志は、即ち、僕の意志。
共鳴し、
共振し、
同調したが故に。
……いや、
そもそも、願ったのは――
呼んだのは、何方が先だったかな?
[半ば独り言ちるように]
止めたいのならば、僕を倒せば好い。
簡単な話だね。
(参ったな)
[補助を受けて形作った身体の中。
現況を把握しきれているとは言えない中。
それでも動きを見て思う]
(私じゃ支えきれない…)
[貴紫の瞳で機鋼が魔を、時空が竜を、雷撃が精を見る。
天聖の獣に支えられ、ただその遣り取りをじっと見つめる]
(でも…やらなくちゃ)
[僅か戻った力、それを緩やかに均しながら]
[戦いは、避けられぬように見える]
[けれど]
それは、本当に…
[鋼の瞳が僅かに揺らぐ。それは、二つの大きな力が動き始め、界の揺らぎがまた大きくなった、そのためだろうか?]
己を失って、
違う誰かに奪われるのは厭だ。
[忌避の感情。]
生憎と。
“彼”は話し合いの出来ない「子供」だったから、無理な話だね。
最初から、僕が“僕”として居られたのなら、
違ったのかもしれないが。
今更言っても、仕方の無い話だよ。
[鈍い光を抱く翼]
[窓を開け放ち]
幾ら壊れゆく世界とは言え、狭い場所で暴れる気は無いよ。
[外へ。]
……翼。
[ふと、ここに来た時の機鋼王との会話を思い出す。
あの時点ではまだ、『器』に翼はなかったと]
『器』の意思と同調……その翼は、『器』の望みか?
[もしそうだとしたら。
『器』の望みは、自身が幼き日に抱いたそれと同じなのだろうか。
飛べぬ片翼に嘆き、飛翔を望んでいた頃の]
……どっちが願ったにせよ、どっちが呼んだにせよ。
結論がそこなら……俺は、それをやるだけだ。
[零れたのは、決意の呟き]
『魂』なき『器』に願いがあるかなど、
――知らないよ。
ただ、或いは、……呼応したのだろう。
[自由になりたいと、願ったが故に。]
[しかし、それは口にせず]
[鋼鉄の翼]
[飛ぶ事など叶わぬと思われるそれ]
[けれど、]
[読み込んだ記憶(データ)]
[風の流れに働きかけて]
[それをも可能にする]
[ちからそのものは無き故、]
[長くは持たねども。]
奪われる、とは、かぎらねぇだろうに。
[忌避への呟きは、どこか呆れを感じさせ]
……ま。子供云々以前に、『魂』が入ってねぇからな。
本能だけの存在に、話し合いを求めたのが間違いか。
……機竜卿も、大概読みが甘いんだよなぁ……。
[ぼやくよに呟いて。振り返るのは、傍らの『魂』]
セレス。界を支えるの、できるか?
「……うん。時空竜……」
心配すんな。
[笑って。視線は刹那、優しき麒麟へと向くか]
[短い空白。
視線はそれて]
……さて……んじゃ、行きますか、と。
[ばさり、と音を立てて開くは真白の翼。
草原へと向かった鋼の翼を追い、空へと]
セレスを心配させたくないなら…痛い真似はしないでくださいよ。
[翼持たぬ身で、彼等の後は追えない。ただ、届くかどうか判らぬ言葉を投げて]
[「『器』の意志は、即ち、僕の意志」
私は鋼の翼を背にした青年の言葉に、僅かに瞳を揺らす]
[『器』が今在るは生まれる前の卵。
穏やかな母なる揺り篭。
内なる竜の見る夢は、空であったのだろうか]
……生まれてすぐ…飛び立てはせぬであるに……
[彼の仔の練習を重ねし姿が、脳裏を過ぎる。
無垢なる器はそれを知らず、ただただ純粋に求めしやと]
……、
あまり争い事は得意じゃなかったのだけれどね。
すっかり、得意に「させられて」しまった。
[ぽつり、呟いて]
[それでも、緑に立つその姿は無防備に見える]
[相手が向かい来るを待つが如くに]
[自由を求めた。
…どこかが小さく痛んだ。
分からない思いではなかったから。けれど]
『…でも』
[優しき手の持ち主を一度見上げる]
とはいえ、じっとしてるのも芸が無いな。
麒麟殿、セレスとブリジットを頼みます。
[窓へ向けていた視線を麒麟に向け、にこりと笑って、腕の中の小さな竜の頭を撫でる]
[舞い降りた、先。
唯一着いて来た、魂分かつ白梟が傍らを離れ、空へ]
……させられた、って何ですかと。
どうにも君は、『自分の意思』ってのが希薄に思えるんだけど、ねぇ……。
[呟きつつ。待つが如し様子に、一つ、息を吐く]
…………。
[距離を開けるか、それとも詰めるか。逡巡は、刹那──]
……いずれにせよ。止めさせてもらうっ!
[声と共に、漆黒の光鎖が舞う。
地表すれすれを、蛇行しつつ、伸び。
相手を捕らえようと]
[私は彼の仔の傍らへと進み、飛び立つ背を見送る]
………
[言葉なくその頭を撫でようとして。
手を動かさんと視線を落とせば、見上げる貴紫と目が合おうか]
[掛けられし雷精の声に、私は顔を上げる。
向けられるは笑みと、彼の仔らを任せられし言葉]
…ええ。
そなたも…お気をつけて。
[手の内の竜を撫でる手を見送り、私は壊れし窓辺から外へと出る。
全てを見届ける為に]
―屋上―
[安定を欠いた空は、風と嵐を呼んでもいようか、その力で呼びよせるまでもなく、遠く雷鳴の轟きが聞こえる]
ダーヴ殿、いただきますよっと!
[ポケットから取り出した、小さな機鋼の器、空に投げ上げるとその内に封じられた雷撃の力が弾ける]
ありがとう。
[小さく微笑みそう声に紡ぐ。
人姿を取っている時とは流石に違う響きだけれど]
ユリアンさんも、気をつけて。
[頭を撫でられれば少しだけ目を細めて。
手を振る…つもりで小さくパサリと翼を動かした。
窓から出てゆく姿を見送り。
戻した視線は、機鋼竜が心に向くか]
…私は今のを支えるだけで精一杯。
よろしくお願いします。
……奪われたからね。
[身を低くして、][右の手を地に触れた。]
" kbjcqh, p#bq, KQ. "
[干渉][再構築]
[隆起した大地が幾本もの太い槍と化して]
[光の鎖の行く手を遮り]
[その先に在る時空の竜へと伸びる]
[成果を見届ける間もなく、]
[地を蹴り横へと飛んで]
[脇から距離を詰める]
奪われたから、『何もない』?
……だったら、新しく作りゃあいいんじゃねぇのっ!?
[吐き捨てるよに言いつつ。
光鎖を止めた大地の槍がこちらに迫るのを見れば、鎖を握る右手を一度引いて、大きく振り。
横薙ぎの一閃で、それを打ち砕く。
オーバースィングの動きは隙も大きく。
接近は容易く許す事となるか。
砕いた破片が舞い散る中、右腕を大きく振り上げ、光鎖を手元へ戻そうと動くが、防御として間に合うとは思えず]
[小さく羽ばたく藤色の影に、私は僅かに安堵の息を吐く。
片手へと羽竜を乗せ、もう片方の手で彼の仔を撫でる。
界を支えるそれぞれへと、天聖が力はひそやかに力を貸そうか]
「うん」
[影精の言葉に、セレスは一つ、頷く]
「頑張るよ。
大事なもの、みんな。
護りたいから」
[返す言葉は、幼くも強き決意を秘めたもの]
失ったものを諦めろと、
過去の己に死ねと?
[成れぬ翼は動きを阻害する]
[そして、複数を同時に操作する事は困難で]
" fblO'. "
[粒子の粒と化して失せる背の鋼]
[同時に、]
[引き戻そうとする時竜へと接近して]
" jcf, Gg#cs#, l#M'coc. "
[ヂ、][火花]
[一度引いた腕を]
[空いた右側へと突き出す]
[獣の爪で貫かんと]
[けれど、足の枷に阻害されたその動きは僅か遅れて]
[天空より、雷鳴が轟き、稲妻が奔る]
[その雷光を身に受けて、紫電の閃き…現れるは、黒き獣…否、集いて闇に近付きし紫黒の雷光を纏う、白き雷獣の姿]
さあて、ね!
消し去るのが正しいのか、正しくねぇのか、そんなのは俺の預かり知らん事だが。
過去に囚われている間にも、螺旋は巡る、時は進む。
その間に、新たなものが得られる。
消えたものと、それと。どっちに価値があるかってこったろ!
手が届くかもわかんねぇものと、手を伸ばせば掴めるものと。
二つ、あるなら、掴めるものの方がいいんじゃねぇかってだけだ!
[叫びは目の前の彼へ。
しかし、同時に自分自身にも向くだろうか]
[繰り出される、獣の爪。
妨げもあってか、直撃には至らぬものの、鋭いそれが脇を掠めるのは否めず。
時をかけて癒した傷、その上に新たな傷が刻まれる]
……ちっ!
[舌打ち一つ。光鎖は戻った。とっさに長さを詰めたそれを、青年の背へ向けて叩きつけるよに振り下ろす]
うん、私も頑張る。
[少年に頷きを返し、その力に自分の中で均した力を寄せる。
聖なる力に支えられ、機鋼界での均衡を。
在るべき姿に出来うる限り近づけようと。
大きく轟いた雷鳴に一瞬だけ身を竦めてしまったのは、支えてくれる麒麟にだけ伝わってしまったかも。
それでもしっかりと目を開いて。
じっと繰り広げられる光景を見つめながら]
価値?
己が消えて、新たな誰かに変わってとられて。
其処に価値など見出せるか。
その弁は、己が在るからこそ言える事だ!
[“己”と、“誰か”。]
[それが、何を指すかは理解されまいか]
[半ば懐に潜り込みかけた体勢では、]
[背後より迫る一撃を避けるは叶わず]
[咄嗟に半身を捻り、]
[向かい来る鎖へと左腕を突き出す]
[弾くまでは出来ずとも、]
[背への直撃を和らげようと]
[左手首の枷から伸びる鎖が、弧を描く。]
「大丈夫」
[息を飲むナターリエの様子に。
界の均衡を支えつつ、セレスは小さな呟きを]
「時空竜、ボクと約束した。『死なない』って」
[だから、大丈夫、と。声は凛と、迷いや恐れはなく]
[雷獣は、その足で屋根を蹴る。真に雷光の速さで、野を駆け抜け、争う二人の元へ。三本の黄金の尾は、野に奔る稲妻の閃きにも見えたか]
[愛し仔の呟きに私は刹那、瞳を揺らす。
「死なない」
その決意は、逆を返せばそれすらも覚悟して臨むという事]
[なれど、迷い恐れなき凛とせし声に、菫青石の瞳には力が戻る。
時の竜が、約束を違えはしないと信じるが故に]
だぁーから! なんでそこで、『取って代わられる』って方にしかいかねぇんだよ!?
過去があろうがなかろうが、そこにいるのは『自分』じゃねぇか!
そうやって自分自身を否定してたら、先になんざ進めねぇだろっての!
機鋼は『創造』……新たなものを創り出す。
だが、本質までは作り変えやしねぇんじゃねぇかっ!?
[苛立ちを帯びた声。
その苛立ちは、どこかかみ合わない理論に向くか]
[光鎖に向けられる鎖。
二つは交差し、勢いは削がれ、黒の一閃は肩を掠めるに留まるか。
いずれにしろ、懐に飛び込まれた状況は不利、と。
翼の力も利用して、大きく後ろへ跳び、距離を強引に開ける]
[守るように抱き込むように寄せられて。
少し肩の力を抜いた。過敏になっててはいけない。
もう一度、自然のままに意識を引き締めなおして。
走る閃光とその先にある姿を瞳に映す]
チッ、
[肩へと走る衝撃]
[痛みは無い。]
[しかし、散る赤は着実に傷を告げる]
“彼”と“僕”は違う、
本質?
……まさか、あれと同じなど、
『創造』は、僕が望んだ事じゃない!
[其は創造を司る機鋼なりて、
創造されし者であるが故に――]
[退く時竜へと追い縋ろうと地を蹴りかけ、]
[動きが止まる。]
" Ik#IRu ... ! "
[彼方へと向けられるコトバ]
[駆け抜けた先で、稲妻は止まり、波打つ雷光の輝きの中]
[そこに立つのは、青年の姿の雷精]
[鋼の瞳が、動きを止めた青を見つめる]
[動きが止まった事を訝りつつ、着地し、態勢を立て直す]
……望んだ事じゃない?
[その言葉には、微か、疑問を感じて]
……なら、君は、何を望む?
何がしたい……どう、ありたいんだ?
他者の一切介在しない、自分の『君という存在の意思』は!
[駆け抜けた雷光を視界の隅に止めつつ。
漆黒の光鎖に、力を凝らし、周囲に巡らせる]
[野を駆けし稲妻。
それが雷精の青年の姿へと変わり、青へと問うを私は見守る]
………アーベル
[本で知りはしたものの、初めて呼ぶ名。
この名が示す本質は――いつの彼であるのだろうか]
……、
僕の意志は唯一つだよ。時空の竜。
自由になりたい。
大切なものなど、
己以外には、何も無い。
他には、何も、要らない。
[己以外の全てのものを、拒絶する答え]
[けれど、何処かが、軋む。]
[痛みは感じない筈なのに] [ぐらりと。]
…創られた器と、産まれ出た心と…
それでも、それは、命だ…
[その言葉は、目前の二人へのものか、それとも、遠く響くコエへのものか…]
ないてるの。
[それは自分で何かを考えたのではなく。
この界に添っていたからこそ漏れた言葉だったか。
小さな小さな、普通であれば誰にも届かぬような呟き]
[返された言葉は、何処か、懐かしさすら感じるか。
それは、幼き頃の自身の想いにも似て]
……違うだろ。
それは……心から求められるものじゃない。
[孤独を律とする時空の者。
彼とて、自身のみでは生きられぬと知るが故に。
かつて自分を慕いし少女の使い魔と、盟約を結び、永遠をわかっているのだから]
……本当は……違うんじゃないか?
[地の奥深くより響くナクコエ。
私は、揺れる世界の中で、遠きそれに耳を傾ける]
[揺れる世界は、揺り篭のよに][嗚呼、泣かないで]
――…―― ………――… …―……
[高く響く、澄んだ五音。天聖が麒麟の歌。
泣かないで、そう願うかのよに。愛しみと慈しみが歌となりて響く]
……違うなら。
機鋼竜に呼ばれることも、惹かれることも。
なかったんじゃないか?
……他に、何も、いらないのであれば。
他者の声も、聞く必要はない……。
[綴られる言葉は、静かな響きを帯びて]
……っ、
[天聖の獣の紡ぐ歌][安らかなる音色]
[眉を顰める][感じるのは][不快?]
止めろ――!
[周囲を省みず][音の方へ][彼女へと][駆ける]
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