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─翌日─
[いつも通りの時間に起きると、オレはトレーニングウェアへと着替える。
休みの日に行う自主練、と言っても軽いランニングだが。
日に一度は身体を動かしておかないと後に響くため、続けている事柄。
出先で軽く何か食べようと、小銭を持って外に出た]
[ランニングは中央広場を拠点とし、休憩を挟みながら各通りをそれぞれ*往復する*]
ー中央公園ー
[傾げた首を元にもどすと、いつのまにか隣に人がいる。驚いてぺしゃっとお尻をつくと、木の葉ががさりと音をたてる。
隣にいた人は、そんな子に構わず桜の樹を見上げている。
ぶつぶつ何か言っている。よく聞こえない。
頑張ってひろったのは、「おうか」という言葉。]
?
[桜の名前だろうかと、同じように上を見上げる。]
─繁華街─
[あーでもないこーでもない、と考えて。
とりあえず、一服しよう、とポケットから黒の小箱を取り出し、喫煙可能な場所を探す。
さすがにここで歩き煙草をする気はない……のだが]
……お?
[目に入ったのは、黒一色の姿。
申し訳ないと思いつつ、傍目、非常に怪しく見えた]
―繁華街・自宅―
[朝、目が覚めて朝食の準備をする。
お父さんは朝食を食べたらそのままでかけるらしい。
「店は休業の張り紙しといてくれ来週には帰るから」と簡単に言ってそのまま出かけていった]
いつもお父さんばっかり…。
[店のシャッターに一週間の臨時休業の張り紙を張り]
今日はどうしようかな?
[考えながら店の中に戻ろうとすると伽矢が丁度ランニングにでかけるところで、
昨日のこともあって声をかけようか迷っているとすぐに走っていってしまった]
―中央広場―
[歌の出所を探すと、シンボルツリーの傍にうさぎを見つけた。
それともう一つ]
……そーいやあいつがなんか言ってたっけ。桜と女の話。
ネタに使うにはちょっとアレだから却下したけど。
……ま、関係ねーだろけどな。
[相方との会話を思い出しながら、暫し遠巻きに眺める]
……んお。
[と、女性に驚いたらしい少女が尻餅をつくのが見えた]
大丈夫かね。
[一向に立ち上がる気配がないのを見て、少しの躊躇の後近付いて行く。
足元で枯れ葉を踏む音がした]
─繁華街─
……ん?
[帰るかどうするか考えながら歩いていると、ふとこちらを見ている視線に気付く。]
あれは、たしか…………ああ、担当がどうしてもって言うんで仕方なく出た会場にいた奴だ。
確か……「ひふみ」とか言う名前だったな。
[相変わらずの好奇の目を向けられた会場で、比較的マシな対応をしてきた奴だったような気がする。
さて、声を掛けるかどうするかと考えていたが、帰ったところで飯を作るにも微妙な時間。
どうせ、一人で食うならと自己完結。その間10秒。]
おい、そこのあんた。昔あったことあるよな。
[自分が目立ってしまうという自覚は嫌と言うほどあるので、敢えてそう声を掛けた。]
[まさか、失礼なこと思っていやがるとは思いもせず。]
─繁華街─
……はぁ?
[突然かけられた声に上がるのは、惚けた声。
そういわれてよくよく見れば、確かに以前会ったような覚えもある]
……あー……。
ああ。
[手を、ぽむり、と叩き]
確か、童話書きの。
……こんな所で何してるんだ?
―中央広場―
[女の人と桜の枝と、尻餅ついたまま交互に見上げるも変化なし。
女の人は真剣で。どことなく、近寄りがたい。
『おうか』が気になって、聞いてみようかと口をあけたら。
今度は後で音がした。]
ふひゃ?
[中途半端に開いた口からは、悲鳴に足りない鳴き声が。
地面に近い所から、さっきの人より更に背の高い人をぽかんと見上げて。]
[少女から声が上がった。
ぽかんとした顔に軽く頭を掻く]
あー……立てる?
[人の良さそうな笑みを返す。
少女に手を差し延べながら、近くにいる女性をちらと見るが、相変わらずその視線は樹にばかり向けられていた]
[何だか惚けた声を出した礼斗に、「ん!? まちがったかな…」と思ったが、ぽむりと手を叩く様子に合っていたと少しほっとする。]
ああ、「白井 夜」だ。
とはいえこれはペンネームで、本名は別だがな。
何って……担当に約束をほぼドタキャンされて……
ああ、思い出しただけでまた腹立ってきた。
[そう言う声はイライラした色が混じっていた。
だが、はーと息を吐くと、]
ところで、お前。飯はまだか? 良かったら奢ってやるが。
[簡単に身支度を整えると外にでかけることにした。
通りを当てもなくぶらつきながら自然と足は中央公園のある方に]
あっ、あれ千恵ちゃんじゃないかな?
[ウサギのリュックを背負った少女の姿、
地面に座り込みその傍に女性と男性がいるのが見えた。
男性の方には見覚えがあるような気がして]
あの人、どこかでみたことあるような…。
[少し考えたが答えはでなく千恵の方に近づいて]
千恵ちゃんどうしたの?
[「知らない人とは口をきいてはいけません。」
とは母親の弁。
でも笑んでもらうと、警戒心はとたんに緩む。
こくり。頷いて、差し出された大きな手を、両手でちんまりと握って立った。
スカートとスパッツは、葉っぱまみれの土よごれ。
それでもそのまま、はふりと微笑むと。]
ありがとお、おじちゃん。
[笑ってうさぎ共々、ぺこりとお辞儀する。]
─繁華街─
そうそう、白井さん。
作風が面白いんで、覚えてたんだ。
[容貌云々より、むしろそっちの印象が強かったらしい。
しかし、とっさに名前が出てこないのはどうなのか]
……そりゃまた、災難で。
[ドタキャン、との言葉に浮かぶのは苦笑。
音信不通対策を取られるこっちとは真逆だなあ、などと呑気に思いつつ]
飯はまだだが。
食べに行こうとは思っていたが、別に奢られるほど苦しくはないぞ。
[唐突な誘いに、さらりとこう返した]
……知り合いかな。
[知らない名前を呼んで近寄ってくる少女が見えた。
呟くも、取り敢えず「千恵」と呼ばれた少女が立ち上がるまで、手は差し延べたまま]
いーえ、どう致しまして。
[「おじちゃん」には僅かに苦笑しつつそう返す。
会話の邪魔にならないように少し距離を置いた]
あっ、みずねぇちゃ。
[知った声。向こうの方から、よく知った人がやってくる。
よごれたまんま、とててと近づいて、瑞穂の足元にきゃぁと飛びついた。]
びっくりして転んだの。
おじちゃんに起こしてもらったの。
[そういって、史人を指差した。]
[千恵を起こしてこちらを見ている男性、
千恵がこちらに寄ってくると少し距離を置く様子が見えた。
飛びついてきた千恵を抱きとめて、少しよろめく]
うん、お礼もちゃんと言えてたね。
[いいこいいこと千恵の頭をなでてから]
でも人のこと指さしたりしたら駄目だよ?
後、お兄さんって呼ぼうね?
[千恵に注意をした。
史人に視線を向けると頭を下げて]
すみません、色々と。
作風、ね。……ああ、そういえばあんた、そういうの専門に扱ってるんだったな。
[そも、過去会った会場がそっちの類の書籍の出版パーティーだったわけで。
ちなみに名前を覚えていないことには、それ程執着はしていない様子。そもそも、雪夜自身あまり人の名前を覚えようとはしていないわけで。]
……ああ、まったく呼び出しておいて急用ですぐ帰るなんざ、ありえない話だ。
正直、付き合い方を考えさせられる。
[苦笑いには憤慨した様子でそう答える。]
ふむ、そうか。俺は別にどっちでも構わんのだが、奢ると強行して、そっちがいい気をしないのなら、な。
……まあそれはそれとして、コレといった当てがないのなら、行きつけの店を紹介するが。
―中央広場―
いえいえ。
[丁寧な礼に手を振った。
千恵に向けたような笑みを彼女にも向けて]
……じゃ、オレはこれで。
気をつけるんだよ。
[千恵に言い残してから、もう1人にも頭を下げて、その場を*離れて行く*]
そ。超常現象、幻想生物は俺の専門。
それだけに、あんたの解釈法とかは面白くてねー。
[何気に、全巻手元に置いているらしい。というのは余談としておいて]
……一日一回、生存証明のメールを送れ、と言って来るのも大概どうかと思うが……。
そっちも、中々苦労しておられるようで。
[憤慨する様子に、よっぽどだな、なんて思いながらこう言って]
貸し借り増やすのが、好きじゃないんでね。
あー、宛もなくはないけど、お勧めがあるなら教えてほしいとこかな。
味のいい店は、覚えてて損ないから。
……喫煙できると、なおいいんだけど。
[手にしたままの黒の小箱、それをくるりと投げ上げつつ。
口にするのは、冗談めかした言葉**]
[いいこいいこされると、子猫のように目を細め。
続いた瑞穂の注意は聞いているのか、にこにこしたまま、はぁいと返事する。
きをつけて、にもおんなじように、はーいと元気よく返事を返し。]
にいちゃ、ありがとお。またねー。
[立ち去る史人に手をふると、うさぎの耳もひょこひょこ揺れた。]
―中央広場―
どうもありがとうございました。
[向けられる笑みに頭を再度下げてその場から離れていく背中を見送りながら]
あっ、思い出した。
あの人もしかして漫才師の史人さんかな?
[千恵の頭をなでながら疑問の声を漏らす]
[頭を撫でてもらうと、くるくると喉が鳴る。
疑問の声に細めた目を目を開けて。]
ふみ、にいちゃ?
[確認するように名を呼び瑞穂を見上げ。]
みずねえちゃ、漫才師ってなぁに?
[素朴な疑問を聞いてみた。]
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