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─広間─
[階段付近で交わされるやり取り。
他に音のない空間では、遮るものもなく。
届いた言葉に一瞬、肩が震えた。
ぎ、と唇を噛み、それから]
……なんで……なんだよ。
[零れ落ちたのは、掠れた呟き。
やや伏した翠は、先ほどよりも、暗い──否、冥い]
―広間―
[辺りを見回すが自衛団員は宿屋に戻ってきてはいないよう。
エーリッヒを気遣うクレメンス>>194とライヒアルト>>198を
交互に見遣り少し考えるような素振り。
ゼルギウスが此処にいれば何かあっても大丈夫だろう、と
女は玄関へと向かう]
私、詰所に行って自衛団長さんの事を知らせてきます。
[広間に居る者にそう告げて宿屋を出る]
―広間―
[突然に肉親を亡くすことの辛さは実体験で知っている。
だから逆に掛ける声が見つけられなかった。
一度向いて逸らされた視線に、困ったように俯いた。>>201]
えっ、ナータ。
危険だよ、今一人で行ったら!
[人狼がいるこの状況で。
それを知らせた自衛団員だってどんな反応をするか。
慌てて後を追いかけようとした。>>202]
[おぅ。びっくりした。
おやまぁ、だいぶ動揺してるっぽいか、これは?]
どうしたー、大丈夫か?
気ぃ抜いてると殺られんぞ。
[もう殺し合いは始まってるからな。
『場』が崩れるまでオレらは喰らい続けなきゃならねぇ。
けど連中だってただ喰われてるつもりはねぇだろう。
爺のあの一撃が良い例だ]
ん、覚えてたか。なら良い。
[返って来たコエにオレはそれだけを返した。
その返答をする頃には愉しげな色は消える。
オレも演技頑張らなきゃならんからな]
[男が階下に降りた直後に、エルザが階段に姿を現し、近くに居たゲルダが声を潜めて事実を告げる。男にその声は聞こえなかったが、エルザが外へと向かった後に、同じ事実をクレメンスから聞いた。エルザは、恐らく殺された団長を見に行ったのだろう、とも]
あのじいさん、殺しても死にそうになかったけどなあ。
[最初に零れた感想は、どうにもその場に相応しくはなかったろう。一応声を落としてはいたが]
俺も見に行ってみるぜ。こうなると自衛団がどう出るかも気になる。
[さすがに次に出た言葉は、真面目な響きを持っていた]
[追いかけようとするおとうとを一度振り返り]
でも、知らせなきゃ。
それに危険なのは誰しも同じことでしょう?
[誰かが危険に晒されるくらいなら自分がそうなった方が良い。
そうすれば少なくとも自分が後悔することはないから]
ラーイは待っていて。
病み上がりは大事にしないといけないのよ。
[常と変わらぬ様子で留める言葉を向ける]
―朝 二階の自室―
……ってぇ。なんだ?
[まどろみの中で、悲鳴とも唸りとも思われる声>>153に起き上がり、頭を揺らす。
昨日は寝る前に薬学の本を読んでいたためか、頭がすっきりせぬと、昨日厨房からもってきた水差しより、コップに水を注ぐ]
[男が外に向かう前に、ナターリエが動き、その後を追ってライヒアルトも動こうとする]
いや、お前さん達、どっちもあぶねーって。
[やれやれと肩をすくめて、二人より前に、外に出ようと戸口へ向かう]
……死にたくはない。
[そこまでは低く唸るように答えて。
深呼吸で余裕を掴めたか、コエも少しは落ち着きを取り戻した]
そう、だよね。
人狼だって知られたら殺される。
気をつけるよ。
[まだ弱いコエではあったけれど、しっかりと答える]
俺は、人狼なんだから。
[そうと認めてしまえば、頭痛も静かに引いていった]
この場が崩れるまで。
続けるしかないよね。
[そして動きが止まる。
揺れる水面を眺め、息を飲み、後ろへと振り返って。そこに壁があるだけだというのを把握して、もう一度水へと目を移す]
…気のせい、だよな。
[寝惚けていたのだろう。こりゃ重傷であるなと、水を飲む]
―広間・玄関近く―
それはそうだけど。
どうしてもナータが行くっていうなら俺も一緒に。
[扉近くまで行って反論し、留める言葉に困った顔をした。>>205
ナータは時々頑固にもなる。殆どは折れて受け入れてくれるけど]
ヴィリーさん。
はい。お願いします。
[彼の方に頭を下げて足を止めた。
ナータはどうするのか。一人でないなら、まあ。自分が折れておくべきかもしれない]
─ →宿屋外 西壁─
[場所は聞いていたから直ぐにそこへ向かう事が出来た。
オレは出入り口から出て宿屋の西側へと回る]
……これ、か?
[辿り着いた先には白いシーツが掛けられていた。
おそらくこの下に爺が居る、のだろう。
発見時に血はだいぶ乾いていたのか、白に色が移ってはいないようだった]
…うげ。
[捲ってみて、見えたものにオレは左手で口元を覆った。
眉根がきつく寄る。
傷口が目に入って、すぐさま捲っていたシーツを下ろす。
白を被されたものの傍にしゃがみ込んだまま、しばらくオレは俯いていた]
[ヴィリーの声>>207にきょととして。
昨日の浴室での一件を思い出し思わず視線を外した]
――…今なら危なくはないと思います。
ほら、外は明るいですし。
[おとうと>>209の心をあねは知らず
小さな笑みを一度彼に向けてから]
ラーイはお留守番しててね。
直ぐに戻ってくるから、大丈夫よ。
[そう言いおいて前を歩き出すヴィリーの後をついて女もまた歩み出す]
[そして、ほんの少しの苛立ちが混じえながらも、いつもの薬師としての必需品を手に、一階へと降りる]
― → 一階広間―
…何があったんですか
[挨拶する気配もなく、疑問系でもなく。
誰にたいして問いかけたでもないが、周囲を見渡した後自然と、視線はクレメンスへと向けられた]
やべやべ、直視しちまった。
やっぱオレも喰いたいなぁ。
[それはリートが喰らった爺の遺体を見ての呟き。
左手で隠された口元を、オレは愉しげに歪めた。
その後に聞こえたリートのコエ。
オレは小さく笑う気配を載せる]
そうそう、知られたら殺されちゃうよん?
なんたって人を喰らう化け物なんだからな、オレ達は。
[自分の事を言ってるのに、オレの声に悲観は無い。
だって塞いでたってどうにもならねーかんな。
紡ぐ声は中性的な雰囲気を纏う。
オレの真名、この聲から来てるんじゃね、って考古学やってる同胞に言われたな。
オレは意味とか知らねーけど]
『場』が崩れるまでは衝動も起き続ける。
どの道止めらんねぇのさ。
[言って、オレはまたくつりと笑った]
[ヴィリーの事は村に来て日の浅い人、と認識していたから
詰所が何処にあるか分からないかもしれないなんて思っていた。
だからこそ一緒に行こうとするのだけど]
……頑固でしょうか。
そんなこと、ないと思うのですが。
[へなりと眉尻を下げながら案内する心算で]
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