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─朝/宿屋/食堂─
[辿り着いたその場、席につけば近寄ってくるミハエル。
その唇から告げられる事実に、紅は一度大きく見開かれた。]
そう……―――
[頷けば、けふっと一つ咳が出る。
何を謂うべきか迷う間、妻の視線を感じ、一度紅は青を見、翡翠に向けられる。]
何かを得ようとすることは、きっと何か代償を払うということ。
ミハエル君がそこまでして手に入れたかったものが、
手に入ると佳いと思うよ。
[ただ、穏やかに、クロエに向けたと似た言葉を紡いだ。
ゼルギウスが望むのは、その代償は……―――。
運命の歯車が、望むままに回ってくれるのならば、護りたいものの代わりに、自らのもう幾許もない生を差し出したい、と。]
―宿屋・食堂―
[ライヒアルトからかけられた言葉、二階にあがったアーベルは帰っておらずそちらの方を見る]
そっか、ユリアンが……
[落ち込みながら少しばかり人の死に慣れてきたような、そんな感覚を感じて]
そうだな、朝食は後にするか……。
[そう返し、再度階上を心配するように見上げて一度厨房へと引っ込んだ]
……それ、と。
[過るのは、微かな逡巡]
……ごめんな?
なんていうか、お前にばっか、辛い思いさせて。
[死を多く重ねる事が、死に接する者の負担になるのは知っている。
実際、以前共にいた霊能者は、最後には発狂して死んでいったから。
それを和らげてやれぬ事への、謝罪を、紡いで]
ん、じゃ。
俺、ちょいと行ってくる。
急ぎでいかないと、ならん所ができたんで、な。
―食堂―
如何致しまして。
[礼の言葉には軽くそう返して。
ゲルダの紡ぎにゆるく頷く。
ベッティの返事には嗚呼、と声を返すが]
……あ、
[彼女を紅茶の席に誘おうとするも
それを言う前にベッティは厨房へと姿を消した]
─宿屋/食堂─
嗚呼、ありがとう、丁度喉、乾いてたんだ。
[ミハエルへ言葉を紡ぎ終えると、また咳を一つ。
それを喉の渇きの所為にして、ライヒアルトから差し出されるミルクティーを受け取る。
口に含めば、常より甘く感じるそれに、つっと紅が上がる。
音紡がぬまま、唇が『ありがとう』と再度動いた。
そして、ゲルダには、唯微笑んで首を横に振って見せる。
気にしないで、と。]
[離れ際、もう一度頭を撫でて、手を離し。
ゆっくりと踵を返して階下へと向かう。
右手はポケットの中のダイスを握り締めたまま、食堂へと顔を出し]
─ →食堂─
……っとー……ああ、いたいた。
[探す姿を見つけたなら、常と変わらぬ調子で声をあげ]
ライ、ちょっといいか。
……サシで、話したい事がある。
─宿屋・食堂─
[ベッティ>>178からの問いには]
もう少ししてから、頂こう。
今はこれがある。
[ロイヤルミルクティーを示すように掲げ、後に摂ることを告げる。
ゼルギウス>>184の返答には軽く翡翠を伏せ]
Без труда не выловишь и рыбку из пруда.
Волка ноги кормят.
楽して得られるものは無く、自分から動かなければ得ることも難しい。
だから、僕は僕が選んだ途を行く。
それしか方法が無いから──。
[ゼルギウスの言葉に頷きながら、自分が決めたことを口にした。
払った代償に見合った結果が得られるは、今はまだ分からないが]
―宿屋・食堂―
慣れちゃいけないよな……。
[つぶやき、準備していた朝食は途中でやめて保存の利くようにしてから再度食堂へと戻る]
んっ…?
[ちょうどアーベルが戻ってきたところで、ライヒアルトを呼ぶ様子にそちらの方をじっと見ていた]
ん〜……風邪かな?
喉乾いてる所為かもしれないね。
大丈夫だよ。
[あくまで最期まで心配させたくないのか、
努めて明るくぼけっと妻の聲に答える。]
ん。今回の件が片付いたら、ゆっくりさせてもらうよ。
今は、ちょっと踏ん張りどきでしょ。
[白銀の性格をよく知っているリヒトの言葉にも、
無邪気に先のある言葉を告げながら、唯一人見つめる先は闇(死)。]
─ 宿屋/食堂 ─
…着替えてくるね
[紅茶を飲み終えると、周りにそう伝えてゆるりと立ち上がる。
足取りは緩やかなものではあるが確りしたもので。]
― →二階 ―
[部屋に向かう傍ら、もしクロエに出会えば、あと声を上げて。
血に染まるその姿をみられたかも知れず。]
―食堂―
[ゼルギウスの唇の動きに微かに目を細める。
青年の方もその仕草のみで何も声にはしない。
飲みなれぬミルクの甘さに目を落とせば掛けられる声。
アーベルの方を向けば瞬き一つして]
――…あ?
何だよ、改まって。
[ぐっとカップの中身を飲み干し席を立つ]
何処で話すよ。
[常の調子でゆるく首を傾げる]
[頭を撫でられると、つい涙腺が緩みそうになって顔を伏せ頷いた。
だが、続いた言葉がどこか引っかかって。
顔をあげ、アーベルを見つめた。恐らくは、蒼鷹と同じような表情で。]
ベル、兄…?
[何故か不安にかられ、名を呼ぶも続く言葉はなく。
謝られれば、ううん、と頭を振った。]
私は、視ることしか出来ないもん。
見つけてあげることは、出来ないから。
…ごめんなさい。
[気遣われれば、申し訳ない気持ちが強くなり謝罪の言葉を吐く。
この場を離れると言われれば、うん、と頷いてから。]
…ベル兄。
気をつけて、ね?
――…サシで話、ね。
まさか、あいつが占い師じゃねぇよな。
[そうでなければ良いと思う。
アーベルとの付き合いは長い。
そう、だから――……]
[食堂へと向かうアーベルの背に、願いを込めた言の葉を投げ。
見送った後も動けぬまま蒼鷹と共に座り込んでいるところに声をかけられた。]
……ゲルダ。
どうしたの、その格好。
[幼馴染の声に、顔を向ければ血で汚れた姿に驚き青褪めた。]
─食堂─
[向けられる視線には、気づいていても。
今、蒼が見据えるのはただ、一点]
……あー……宿ん中だと、内緒話とかし難いし。
とりあえず、外、でねぇ?
[玄関を親指で示しながら、問う口調は何気ないもの。
けれど、蒼に宿る険しさと──それと共に宿る、何かを楽しむような光は、僅かながらも見て取れるか。
それが、勝負を仕掛ける時の表情と知る者は、ここにはいない、けれど]
─宿屋・食堂─
[ゼルギウスと話をしていると、アーベルが降りて来てライヒアルトへと声を掛ける。
翡翠がじっとアーベルを見詰めた]
[狭い選択肢に含まれる一人。
手に掛けるを厭わない者。
けれどここで事を起こす気は無かったため、彼らの様子を眺めるままとなる]
踏ん張り時、だな。
四人で一緒に逃げなきゃならねぇもんな。
[自分と、同胞とその伴侶と、子。
分が悪い勝負というのは分かっていたが
最後まで抗うしかないと、考える]
―食堂―
[遺体をみたからという訳でなく、食事をとれない身としてはべッティの言をライヒアルトが退けてくれたのはありがたかった。
そこに言葉を重ねることなく、チラリと現れたアーベルがライヒアルトに誘いかけるのを横目でみつつ]
そうだね。
私も、私が選んだ途を行くよ。
[ミハエルに薄らと微笑んで見せた。
次に占った先、その結果を謂うは決めている。
ただ、そのタイミングが……―――難しいかと視る先は。
出来うるならば、皆の前で効果的に、
とは唯自分だけの都合に過ぎない。]
……そう。
[夫の調子だけはいつものまま。
なのにどうしてこんなに不安に駆り立てられるのか。
それでも踏み込んで聞けないのは、
何かを知るのが恐ろしいからかもしれない。
今のように。
今この時は穏やかで温かなのに、その一歩先は見る事が出来ずに。]
[青年は何かを感じてはいた。
虫の知らせというものだろうか。
アーベルの蒼を深緑が見詰め、それから肩を竦める]
外、ね。
男二人で散歩なんて華がねぇが
いいだろ、行こうぜ。
[幼馴染に頷き、玄関から外へと出る]
……私も行こうか?
[もう一人幼馴染は占い師の候補の一人。
手にかけるに抵抗のある相手ではあるが。
だからどこかに潜んでいようかと、同胞に問う。]
[何か言いたげな視線を向けるだけに、結局何も彼に言うことはなかった]
まっ、幼馴染同士、男の会話もあんだろな……
[つぶやくような声は自分を納得させるためか、他人に納得させるためか]
可能性は高い、かもしれないね。
[ふっと思い出すのは、ブリジットの件のこと。]
どうしようか、先に君が白だと謂ってしまうのもありかな。
[サシで話したいのならば、余計なことかと、そわりとして謂う。]
―――……うん、4人で
[叶わぬことと知っていながら、言葉だけは希望ある先を。]
……そう、ね。
[4人と、呟けばそっと腹に手を当てる。
腹の子は母の手に過敏に動き返す。
……少し大きくなっていた。
まだ見て触れられても知られぬ程度の変化だが、
人ならざる身が、その餌がそうさせたか。]
華がないとか、俺ら二人に関して言えば、いつもの事だろ?
[イレーネがゼルギウスの所に行っている時は、大抵は二人で駆け回っていたのだから、と。
おどけた口調で返しつつ、玄関から外へ。
出てすぐは自衛団員の姿もあるため、少し歩くか、と言って歩き出す]
……さってーと。
どっから話したもんかねぇ。
[周囲に人の気配の途切れる頃。
最初に口にしたのは、こんな言葉]
いざとなると、色々とひっ絡まって。
上手い言葉が出てこねーや。
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