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[終わらせる。
すい、と身を沈める。
疾走する司の姿が、視界から消えた。
その姿は光を失った、
否、かつて司によって奪われた憑魔の左目の、死角に。]
……くッ
[風が切裂く。深く。
弧を描いて血飛沫が舞う。
紅の刃が、形を失って散る。
ゆらりと倒れる。]
[紅が散り、紅が舞う。
舞い散る薄紅と交差するそれは、美しく見えたろうか。
真新しい白の胴着に、紅が跳ねるのも厭う事無く。
倒れる憑魔を、静かに見つめ]
……これで、終わる……終わりに、する、よ。
過去に、囚われるのも……何もかも。
[持ち上げかけた腕が、しかし小さく痙攣して地に落ちる。
落ちる花のなかただ横たわり]
……司が地水火風森羅万象に属するものであれば
我ら憑魔はお前たち、ひとに、ひとのこころに属するもの
きっと我らはそもそも分たれるべきものではなく
ひとの持つ幾つかの側面の、不意に分かれてしまったもの。
誰であれ彼であれひとのこころに棲まうは闇
おれこそがその淵より出て来たりしもの
こころの闇に身を委ねて生きるも、
ひとつの幸福の在り方。
それを否定する事があればお前の心はやがて己が身を喰らう。
……ああ。
確かに、司も憑魔も、元は同じものなのかも知れない。
[自らの存在を認めた今では、素直にそう思えて]
……闇を持たない人間なんて、いない。
俺だって、抱えてる、から……。
[それは、例えば実家での居場所の事とか。
敢えて見ずにいた想いの事とか。
どれも、日常的で人間的なもの]
……その時は。
他の司が、俺を浄めて、還してくれる。
[そういうものだから、と。掠めるような、笑み]
……そう。
そうやって、
刹那の願いの影に隠れてしまって
ほんとうは失いたく無いものを無為に失いながら。
[吐息も絶え、静かに目を伏せた。]
[その頃、桜繚学園一帯を外界と隔てていた結界の一要素、
憑魔の司る部分は中天からほどけていた。
不可視であった障壁は、解ける度に一辺一辺、
桜の花びらの形になり下界へ落ちゆく。
やがて埋め尽くすほどの無数の花弁が
遥か上空から深々と降り注ぐ。]
[決着が着いたと見て、弓を降ろす]
……榎本さん……
[声は小さく…彼女には聞こえなかったかもしれない]
もう一度……君のフルートが聞きたかったよ……
[舞う薄紅に、僅か、目を細め。
それから、手にした風の刃を一度、見やる]
……無くしてから、何かを見出せる事も……ないわけじゃ、ないけど、ね。
[僅か、目を伏せつつ、呟く。呟きは、果たして届くだろうか。届いたから、どうなるものでもないのだけれど。
そんな事を考えつつ、倒れた傍らに膝を突き、風の刃をその胸に突き立てる。
憑魔の拠り代を、取り出すために。広がる、紅。
拠り代──人の命の象徴は、その色彩の中に冴え冴えと]
器は大地に、魂は天空に。
[言葉と共に、薄紅が舞う]
再び輪廻の内へと還しゆかん。
世を巡り流れを兆すもの、風の流れ司りし者の名において。
……魔の拠り代となりし者、その存在を……。
還さん。
[例えば榎本芙由がそのときかけられた言葉に何と答えたか
それは最早想像に頼るのみない。
音色と呼ばれた過去を懐かしんだか、
礼を述べたかまた嫌悪の表情でも見せただろうか。
答えを知り及ぶか、花はただ*舞い散る*。]
[光と薄紅が散るのを見やりつつ、自らの手に残ったもの──拠り代を、見やる]
……受け入れたからには、これは、なすべき事。
[静かに呟いて、まだ微かに温もりを帯びたそれを、口にする。
……やはり、感じるのは、嫌悪感だけで。
吐き出しそうになるのを堪えつつ、飲み下し。
その力を、自らの内に取り込んで]
[剣戟を遥かに聞いて、囁きを微かに聴いて。
閉じていた目を、薄く、開いた。
天から舞い降りる花びらが、頬を撫ぜる。
掬い取ろうと、掌を広げたけれど、
触れた欠片は雪の如く、溶けて、消えた。
夢から醒めるように、夢の中に落ちるように]
―――…寂しいな。
[零れた感想は、“綺麗”ではなくて。
腕の中の仔犬は、細く、鳴き声をあげる。
花に埋もれるように、意識は、*薄れていった*]
……元の存在は、同じものでも……。
でも、絶対、味覚だけは同じじゃないっ……。
[妙に真剣に、こんな事を呟きつつ、綻びていく結界を見上げる。
後は、司の力が作り出したそれを、自らが解放すれば、終わる。
……終わった先の日常が、どうなるかなど、わかりはしない、けれど]
……俺は……どこに、行けばいいんだろう、ね……?
[呟くような、その問いに答えるものはあるだろうか。
あったとしても……望む答えが与えられるとは、思えぬものの、今は]
……風……解き放て……。
[残る封印の結界を開放するための言を、小さく紡いで]
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