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・・・なんでもないわよ。
なんでも・・・ない。
ただ。
人間はいつまで自己犠牲とか言うのに酔うつもりなのか、と思っただけよ。
[占いの力。確かに自分にはその力がある。だが]
…本当は、自信が無い。
僕は確かに人狼か人間かを知ることは出来る。
でもパトラッシュを助けるには人狼を見つけ出して、駆逐する必要がある。
村に人狼が居なくなったと分からせなきゃならない。
…でも僕はまだ人狼を見つけていない…。
調べた人は皆人間だった。
[その声には焦りの色が見える。人狼を探さないと…、そう呟いて不安げな表情を浮かべた]
自己犠牲……。
自分が何も出来なくても。
「何かをした」気になれるからでしょう。
つまりは、自己満足よ。
エゴを満たすためのね。
[つまらなそうに]
[吐き捨てる]
うん、ちゃんと休みます。
御師様とも、そう約束してきたし……。
[ふわ、と笑って一つ頷き。それから、僅かに目を伏せて]
……肝心な時に倒れて、何にもできなかったら、また同じになっちゃいますから。
まだ、確実にいるんだ?
[不安そうな顔のまま]
[ディーノを見つめる]
それでも。
ディーノは力があるから。
……あたしは。
誰かを守る力なんて持ってないもん。
[自分の手へと視線を落とし]
[悲しそうに呟いた]
エリカさん。
貴方が眠るまで、私もそばにいます。
貴方達は、そんなこと言っても、本当に眠るまで油断できませんから。
マスター。
新しい水桶もらうわよ。
[言うが早いか、酒場の奥で常備してある水桶を一つぶんどると、エリカを促して、エリカの部屋へと]
ふぇ?
あ、でも……。
[起きてなければ、多分レッグがいるんだけどなあ、とか。
起きてたら怒られるなあ、とか。
そう考えると、ちょっと怖い物があるのだけれど、それもまた自業自得で。
いずれにしても、落ち着いていないとならないのは確かだから、と、それに続く]
〔それでも、お前の好き勝手にさせるわけにはいかない。これから、独房に入ってもらう、と、団長が重苦しく口を開く〕
〔そうしないと、騒ぎは収まりそうに無いから、と〕
…ま、しょうがねぇよな。
あ、ちょい待て。
一つ、頼みがある。
…外からの来訪者の中に、手品師がいるだろ。
あいつに、俺らの基地の場所を教えてやって欲しいんだ。
…その事によって悲劇が起こっても、ノブやリディアのように村の人間じゃない。
お前らの責任は少ないはずだ。
損な話でもないと思う。
…頼む!
〔団長は半ば呆れたような表情で〕
〔わかった、と言うと〕
〔外に控えている団員を招きいれ、「独房へ」と指示すると、詰め所の前で待っているであろうディーノの元へ進んでいった〕
[エリカの部屋に入ると、レッグが横になって眠る姿。
少しだけ呆れたが、そのまま無視して、エリカをベッドへと横たわらせて、絞ったタオルをエリカの額に乗せた]
・・・あ。
[気づけば、また手袋をしたまま水桶に手を突っ込んでしまったようで。
前回と同じく不快ではあったが、前回と同じように無視することにした]
リディアが人狼だったとしても、最低後1匹は居ると思うんだ。
僕の経験からだけどね。
[護る力が無い。そう呟くフランを見ると悲しげな表情で。僕は力があるだけ良いのか? でもその力をきちんと行使出来なければ、結局は──]
…誰かを信じる。
信じてあげれば、その人には少しなりとも力になれてるんじゃないかな。
周りから否定されても、その一人が信じてくれていれば、その人の力になってるんだと思う。
精神的に、助けて、護ってあげれると思う。
[上手く言えないけど…、と視線を前に向けて頬を掻いて]
[部屋に戻り、大人しくベッドに潜り込んで。
濡れたタオルの心地良さに目を細めるものの]
……あれ?
また、手袋外すの、忘れちゃったですか……?
[濡れた手袋に気づいて、きょとん、と瞬き]
…そうなんだ。
[俯いたまま小さく呟く]
誰かを、信じる。
[顔を上げて]
[ディーノの横顔を見る]
信じていることが…力になる?
[困惑の表情]
[今は誰を信じればいいのか]
[まだ悩んでいる]
そうすれば…。
あっ。
[何かを言いかけた時]
[詰め所の扉が開いた]
確かに、暑いですけど……。
[にしても、不自然な感は否めなくて。
暑いと言いながら、全てを閉じ込めるようないでたちをしているのも、違和感はあるのだが]
…………。
[肩に、他者に見られたくないもの──人狼の爪痕を持つ身であるが故か。
その理由を問うのは、ためらわれて]
[視線を上げたところで一人の男性が近づいてくるのが見えた。こちらに向かってくる様子に少し身を硬くする]
え、と…何か…?
[恐る恐る訊ねて。少しの沈黙の後に告げられた言葉は村はずれの丘近くにある小さな洞穴の場所。ランディからの伝言だ、と付け足して男性は踵を返す]
ランディから…?
あ、ちょっと待って!
ランディは、今…?
[呼び止め、ランディはどうしたのかと訊ねる。それに返って来たのは一言]
独…房?
何で、そんな。
[全てを言い切る前に相手が言葉を紡ぐ。あいつのためだ、と。それを聞いてそれ以上は何も言えず。こちらがこれ以上問いかけないと知ると、男性はそのまま詰所へと戻って行った]
[不自然な言葉に、エリカが当然のように不信感を煽られたようで、シャロンは小さく肩をすくめた]
あら。
忘れちゃったかしら?
あの時と同じ冗談を言ったつもりだったのですけど。
[思い出すのは、クローディアが倒れたときに一緒になって看病してくれたエリカの姿]
そして、答えもあの時と一緒。
手袋をしていたのを忘れていただけよ。
この手袋も、衣服も、私にとっては第二の皮膚と同じですからね。
・・・下を見ても面白くないわよ?
あまり、人に見せられるようなものではないですから。
[ランディは、ここで夜まで待てと言った。
けれど、夜になれば何か動くだろうか。
あの様子だと、今現在ランディもそう自由に動ける身分には居なさそうだ。]
ディーノのことだけでも、聞けるかと思ったんだがなぁ…。
間が悪ぃったらありゃしねぇ。
[洞穴からは空が見える。曇った夜空。今日は、星が見えない。
それを頭を上げて見上げ。]
俺のせいで誰かが殺されるのは、もうイヤなんだよ…。
[暗い空の向こうの、誰かに話しかけるように。]
俺だけ助かっても、しょうがねえだろう…?
[空は応えない。梟が静かに鳴いているだけ。]
あ……そう言えば、そうでした。
[その時の事を思い出して、妙に納得しつつ。
続いた言葉に、一つ、瞬いて]
見せられない……?
……それなら……無理に、見せなくて、いいと思うです。
[言いつつ、無意識の内に左の肩をぎゅ、と掴む。
鋭い爪の痕があるから、それが余りにも奇異だから、他者と距離を詰めることに抵抗があった幼い頃の自分。
シャロンが、他者と距離を取ろうとするのは、それと近い心理なのだうろか、と。
ふと、そんな事を考えて]
洞穴…。
[ランディからの伝言。それが何を意味するのか。しばらく考え込んで、一つの可能性が頭に浮かぶ]
…僕、ちょっと行って来る。
[前を見据えたまま立ち上がり、横に座るフランに告げた]
そうね。
誰にだって見せたくないもの。知られたくないもの。
それは当然のようにある。
全て見せることが信頼だなんてことはない。
見せないからこその信頼もあるのだから。
だけど。
どうしても苦しくなったときには。
誰か。
一番信頼できる人に、全てを明かしてみなさい。
貴方が信頼できる人なら、きっと、どんなことも笑い飛ばしてくれるはずよ。
私にとってのクローディアがそうであったようにね。
・・・喋りすぎたかしら。
もう眠りなさい。ゆっくりと。安らぎを。
貴方がいい夢を見れますように。
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