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[様子のおかしいマコトに気付いて、声をかけようとして…その匂いに気付く。雨上がりの空気を淀ませる、生臭い匂い…]
………
[踵を返し寮内に駆け込むと、その異臭は更に強くなる。やがて、目に入ったのは…緋色の華………]
……ただし。
[顔を覆った手の隙間から漏れる声はフユのもの。]
代わりって訳じゃあないが、
お前のこの
[手がフユの顔の上を滑って]
身体と
[指先が喉をなぞり、胸の中心で止まる。]
正気と
[指が、身体を離れた。]
周りの奴らの命を頂くことになるがな。
だがそれも構うまい?
お前の望む静寂を得る為に、最も簡単な方法は
奴らを皆殺しにすること、だ。
おれがその為の力を与える
おれがお前の心を強くする。だから、恐れることも
憚ることも……無い。
[心がざわつく、強風を受ける水面のように。]
[2年生らしき男子の言葉が遠く近く聞こえた気がした。]
[思わず、彼女は自分自身を両の手で抱きしめた。]
[数度、頭を振る。
周囲の音は、聞こえない。
ただ、言い知れぬ不安を感じて。
……前にも感じたような、そんな感覚。
それは、錯覚だろうか?]
…………部屋。戻らないと。
[機械的な呟きがこぼれる。
そのまま、ふらふらとした足取りで、三階の自室へ向かう。
あちこちでおき始めている異変には、気づいた様子もなくて]
[廊下を歩いていると声にならない悲鳴が耳に届く。何事かと声の聞こえた共用スペースに顔を出すと]
…………何、これ
[背負っていたバッグを取り落とし呆然と呟く。水分を吸っていたバッグがベチャリという音を立てるのにも気付かず唯目の前の光景を見つめる
そこには背中から血を流し真っ赤になった男の子と彼に抱かれるようにその下敷きになっている少女
彼女の方はフユ先輩にいつも懐いている1年生。たしかタチモリマイコ]
ちょ、大丈夫!?
[そう言って駆け寄る。背後からヒサタカが来ていることにも気付いていない]
[フユは、よろよろと
モモの死体の脇を通り
窓際へ行って、窓を開けた。
風が吹き込んで、血の匂いを散らす。
手すりを掴んだまま、ベランダに膝をついた。]
[ごくり、と唾を呑み込む…それでも声は出なかった。何があったのか(彼の命が既に無いのは見れば判る)マイコはどうしたのか(生きているのだろうとは判る)問うべきことも、かけるべき言葉もあるはずだったが、頭に浮かぶ言葉は、どれもこの場に相応しいとは思えなかった]
………
[漸く共用スペースの隅の電話機の存在に思い至って、受話器に手を伸ばした]
[悲鳴。鉄臭い臭い。]
[警笛が胸に響きはじめる。]
何……?何なの……?
[訳もわからぬまま、彼女は踵を返し学園へと駆け出していた。]
……ケン?
[いないのかな、と、小さく呟く。
日常が壊れかけているのを、察しつつも、それができない状態と言えるだろうか]
ケンー?
[呼びかけつつ、ベッドを覗き込むが、姿はなくて。
暗い室内に響くのは、開け放たれた窓から吹き込む風が、カーテンを揺らす音]
……ベランダ、かな?
[小さく、呟き、ベランダへと向かい]
……ケンー?
[三度、呼びかけて。目に入った色彩に、動きを止める]
何で……桜――?
[訝しげに発しようとしていた言葉が、何か重い音で遮られる。
――どさっ]
友梨?
[先程までそこに居た筈の妹の姿はなく、代わりに黒い――否、あかい線が一筋、手摺りから地面へと伸びていた。
その先に蹲る塊。]
[救急車を呼ぶべきなのか、警察に知らせるべきなのか、迷いながら受話器を耳にあて…その向こうの沈黙に気付く。ボタンを押しても、フックを叩いても反応はない]
[受話器を戻した手は、僅かに震えていた]
……先生を、呼んでくる。
[それは、誰に向けた言葉だったか、ただ絞り出すように、そう言って、サヤカの後を追うように、校舎に向かって駆け出す]
[シン、と。
辺りは、静まり返っていた。
水滴が地を跳ねる音すら、聞こえそうな程に。
木の葉が風に揺れる声で、耳が覆われる程に。
昨晩、桜の周りに人が集っていた事を思うと、
それは異様な事のように感じられた。
空気に味がついているような気がするのは、
…雨上がりだからだろうか。
不意に、言いようのない不安が、胸に去来する。
光が、遠い。
灯は点いているのに。
月は輝いているのに。
星は煌めいているのに。]
[さっきまではなんとも思わなかった制服がやたらと重く感じ、足の裏が痛む。]
[遠く、霞んで見える薄紅に、さらに警笛は強くなり。]
[それでも、足は止めぬまま走り続けた。]
[やがて薄紅があの桜だと気づき。]
……何、で?
……ケン? 何してんだよ?
[幼馴染は、ベランダにいた。
手すりにもたれかかるようにしているその足元には、数個の空き缶。
……どうやって持ち込んだのかは知らないが、酒類であるのは一目瞭然だった]
ちょ、お前何して……っ!
[慌てて駆け寄るが、返事はない。
傍目には、酔いつぶれているだけのようにも見えるが、しかし。
……それだけでは、ない、と。
意識のどこかが冷静に告げていた]
……ケン!
[それを拒むように、名を呼んで、肩に触れた途端──]
[へたりこんだ頭から自分もその色に染まってゆく。
それはまるで、直前に見た人と同じように。
目の前の人と同じように。
全てが緋に染まってゆく]
[マイコに凭れ掛かっているワタルを退けようとするが、マイコがしっかりとワタルを抱きしめているため、離すことができない]
ちょ、何をして……
[その時耳に届いたのは「わたる」「はなさない」という断片的な呟き
その言葉に手を離し、僅かに後ずさる]
あ……。
[目に入ったのは、あか。
鮮烈過ぎる、いろ]
……ケン……?
[もう一度、名を呼ぶ。
答えはなく、倒れた周囲に広がる、同じ色]
……なん……で?
[問うた所で、答えは得られるはずもなく。
その場に座り込むように膝を突き、胸元を深く抉り取られた幼馴染の姿を、呆然と見つめる]
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