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[通じた、と判った瞬間、少女の心に浮かんだのは、やわらかな、あたたかな喜びの気持ち、つい今までの焦りや情けなさも凌駕するほどの]
[主がどこかへと離れていく様子に、小首を傾げて見送れば、お母上がこちらに気付いたらしい様子に、慌ててぺこりと頭を下げた。
そして、赤い線の前に立ち、雪玉を手に的を真剣に見つめる主の姿に、思わず手を胸の前で握り締めて、じっと見つめる。]
[もうひとつと差し出されて少し悩む。
確かに美味かったしもうひとつくらい容易く腹に収まるけれど]
いや、私はもう満足したから。
出店している人に差し入れしたらどうだろう?
[彼女が以前すでに差し入れに回っているなど露知らず。
提案には笑みを浮かべて頷いて]
ああ、其方がよろしければ是非。
[今日の迷子は回避できるだろうことに喜んだなんて以下略]
「私、ヴィントとも、お話できるんです」
[少女が告げたのは、端的な言葉。だから、知っているのだと判ってもらえるだろうか?]
ん、あ、ああ。
ゆっくり、見てくれな。
[笑みに笑みで返して、一つ、頷く。
ランプの灯火の下、石の細工が弾く光は、それを見つめる者を包む燐光のヴェールにも見えて]
…………。
[なんか、妙な感覚]
おぉー!!
[観客がどよめく。
お見事っ!!と実行委員のおっちゃんたちが拍手。
賞品の中から好きなものを選ぶようにとミハエルに。]
……ええっと……。
[しばし、時間がかかったものの。
告げられた言葉に、どうにか状況を把握して]
……ヴィントと。
て、事は……俺の事はわかってる……って事かあ。
[ため息一つ。正直、これは予想外]
そう…ですね。
[ちょっと瞬いて、袋の中を覗き]
[まだだいぶ残っている。昨日回らなかった辺りに差し入れても良いだろう、と]
じゃあ、行きましょうか?
[快諾を得ると袋の口を閉じ、微笑んで]
[相手の以下略などやっぱり知らない]
夏の夜の月の涙…若草の雫に濡れる春の花…霜の降りる夜の星の欠片…
[少女はひとつひとつ、きらめく石と繊細な細工を見つめて、その印象を言葉にしていく。柘榴石の瞳がきらきらと輝く]
[きらり。
屋台の灯りに反射して、掌の中に納まった小さな石は七色に煌いた。]
[チェーンへと繋がったそれを顔の前にぶら下げては、掌へ。
それを繰り返して……早1時間は経過しただろうか。
その石を見つめるには不釣合いともいえる顰め面で
考え込むように小さく唸れば、ペンダントを見つめたまま再びため息が漏れた。
角度を変えれば、石の色がきらりと変わって…確かに綺麗ではある。
―――綺麗ではあるのだけども。]
……うっがー!もー、コレをどーせいっちゅーねんっ!
[ギリギリと握り締めていたペンダントを、乱暴にポケットへと突っ込む。
…考え続けるのは、残念ながら少女の性に合わなかった。
思考を断ち切る様に息を吐けば、壁に凭れ掛っていた身体を起こして。
ぐ、と一つ伸びをすれば、―――小さく、くしゃみ。]
[流石に1時間外で立ち尽くしていれば、身体も冷えるだろう。
……小さく苦笑すれば、少女はそのまま珍しく*帰路へと*]
「あの、でも、あまり詳しいことは聞いていないですから」
[慌てて少女は言葉を繋ぐ。知らないうちに自分の事情を探られていたと思ったら、きっと気分が悪いだろうと思って]
「ほんとの名前がフェーンて、いうんだってことと、妖精王に、何か関係があるんだっていうことだけで」
[頭を下げる金の髪の少女につられ、こちらもぺこりと頭を下げて。告げられた褒め言葉に、更に深く頭を下げる。]
ありがとう…ございます…。
[あまりにも無我夢中で、どんな舞だったのか自分では覚えていなかったけれど。
もう二度と立つ事はないであろう舞台を、そう言ってもらえた事が嬉しくて、頬を仄かに染めて、ふわりと微笑んだ。]
…いただきます。
[差し出された飴玉を、大切そうに受け取って。そっと口に含めば、甘い幸せの味に、頬がゆるんだ。]
[詩を吟じるような言葉。それに、何となくこそばゆいような、そんな感じを受ける。
造形への評価や批判はしょっちゅう受けるけれど、こういう風に言われた事は、余りないから]
ええ、それでは…
[す、と些か芝居がかった一礼をして]
まずはどちらへ参られますか、レディ?
[そう言って微笑みを向けるも、それは長くは続かず。
むず痒そうな照れ笑いに変わった]
あ、いや、うん……。
それだけ知られてるともう、殆ど後がないとも言うんだけどね、俺。
[慌てたような響きに対し、返せたのはやや引きつった声]
……ったく……この、お喋り。
[それから、そ知らぬ様子の相棒に、ぼそりと]
『一人で抱え込んでるフェーンが悪いー』
……るっせぇ。
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