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―屋敷(所謂イストー家)の自室―
[日中、幾らか考えた。
仕事が終わってからも暫しこうして考えていた。
デボラとミッキーが、人狼を見分ける事が出来ると言い、デボラがシャーロットを人狼だと、ミッキーがシャーロットを人間だと言った。
どちらかが嘘を吐いているのだが]
…なんとかして、本当のことを知ることは出来ないかしら。本当のこと… あっ
……ば、馬鹿っじゃ ないの
[ひとつの方法を思い付いた。だがその方法はあまりに酷い]
仕組まれた状況、か。
[なるほど、と彼は思う。鈍い頭を必死に回転させて]
ばーさんがネリーを挙げたのは何でなんだろうな。
……ばーさんが、狼なら。
あるいは。
ネリーも、あのカミーラって人も……。
[ 呟くように。少年の声に頭をあげる]
うん? なんだがきんちょ。
おう、俺は人間だぞ。
―屋敷(所謂イストー家)の自室―
[動揺した。
落ち着こうと、カップを取る。
落として割れた。
破片が手を傷付けて、見る見る血が流れて]
馬鹿じゃない…そんなの。でもあたしにしか
[割れたカップの破片はそのままに、手には自分で手早く処置をして包帯を巻いてから、辞書(と包んだクッキー)を抱えて集会所へ向かった]
─回想─
[朝になり、父親の拘留されている自警団の本部へ出掛けた。出掛ける前にカミーラが書いたらしきたどたどしい文字の紙切れを見た。]
婆さんとネリーは仲間じゃない、か。
あたしは、逆に婆さんが──。
あの昔ばなしの語りがこわいんだろうか。
あの熱意を逆に──疑ってる。
後先を考えない狂気なのではないかって疑ってる。
理由は無い。
多分、自分がオカマだからと受ける異端者差別と同じ様なもの。
能力を持っている者は、全員不気味に見える。
婆さんが疑わしいから、ミッキーは少しだけそう見えない。
昨日今日でミッキーを信じるとか、出来ないわ。
さっき、調書をみて「太った坊ちゃん」が「ミッキー・イストー」だって、分かった程度なんだもの。
[やおら立ち上がり、少年のそばに近づいた]
ちょっと話があるんだが、いいか?
[そう問いながら、どこで話をしたものか、と辺りを見回す。現れたローズマリーと目が合った]
[そうして、...はさらに恐ろしい現実に気が付いてしまった。
― デボラが自分のことを人狼だとあげつらった ―
これがどういう意味を持つかということに。]
・・・い、いや・・・違う。
[誰もいない暗がりで、一人で反論した。]
違う、私何もしてない!してないわ!
[だがどれほど私が声を嗄らして叫んだとして、一体誰が信じてくれるのだろう。]
・・・ミッキーさん。
(そうだ!ミッキーなら私が潔白だって誰よりもきちんと判ってくれている!)
ミッキーさん・・・!
[...は、濡れた頬を拭いもせず立ち上がると、イストー家へとよろける脚を叱咤して進めた。]
-家→イストー家
(→留守のようなので集会場へ行くと思われます)-
[ネリーの問いかけに振り返る。見つめるその目は、充血していた。]
あの子にちょっと、辛い話をしなければならないの。
…ネリーは幽霊が見える、と言っていたわね。
あの子の――あの子の肉親の言葉を、伝えることも出来るのかしら。
[静かな、しかしそれ以上は聞かないで、とぴしゃりとはねつける響きを持たせて、ネリーに言う。]
─回想─
ネリーを婆さんが指名したのは、お互いを仲間に見せない為にわざと…じゃないかと考えてしまったわ。狼が二匹しかいないのならば、占いに掛けられて疑われるより、本物の霊能者に成りすましてしまって、本物を陥れる方が──カンタン。
…嫌ね。
あたしの考える事は、ひねくれていて汚い。
ねえ、ちっとも優しい女なんかじゃないわ。
[ギルバートの顔がちらりと掠める。
彼は自分を女だと思っている。女だと思われるのは居心地が良かった。そのうち分かるのだから、こんな時だもの…少しくらい夢を見たい。]
でも、カミーラは言葉が通じないのが──おそろしい。
狼の言葉だけが分かる者なのかもしれない。あの怪我は追われるだけの理由があって出来たものなのかもしれない。人間を恨んでいるのかもしれない。
…ロクに話してやしないけど。
ネリーは何処か落ち着いた態度。
最初に処刑の話が出て、あたしはすごく怖かったのに「人狼は二匹と数えるのか」って首を傾けた姿が、人間っぽくないって思ったかもしれないや。
他にも、シャーロットと探偵ごっこをするって最初言ってたって。昨夜シャーロットの部屋を出て、一度玄関まで行った時に、見張りに立っていた自警団員が馬鹿にしたみたいに言った時、違和感を感じたの…かも。
幽霊が見える事と探偵をしようと言う言葉。
これは矛盾しない?
後で、ネリー自身に聞いてみなきゃいけないわ。
[キーワードは肉親、幽霊]
………。言葉を伝えることなんて無理よ。
死んでしまった人はもう私たちとは違うものだから。
[それから口を閉ざして、(ローズ、泣いた?)と更に小さく小さく(ちょっとからかうように)言ってどうしたものかと会議室の中を見回した]
( ?
何で泣いているのシャーロット
おばあちゃんがなんて言ったって、もう大丈夫だよ
だってあの悪いおじさんは、あたしが昨日やっつけちゃったもん
シャーロットはかけっこおそいのね
あたしのほうが、ずっと早い )
質問は三つです。
ネリーさんだけが1人…死者が見える人だと言っていた時、お婆さんは……信じていましたか?
ミッキーさんがネリーさんを信じると言っていましたが、庇っていたらお婆さんから疑われると思いますが、どう思いますか。
そして、ネリーさんが人狼なのだとしたら…何も言わずに、デボラさんとミッキーさんに見られた方が、最後の人狼が逃れ続ける事が出来るのではないでしょうか。
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