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[階段を下り、2階までくると、リディのことを知る。ギュンターに向かっていったのを思い出して止まっていた涙が又滲んだ]
リディさん、具合悪かったんだ。
あんまり話したこともなかったの。
[悲しい、と言う気持ちと、皆がそうなるのでは、と言う思いがより増してくる。
アーベルの具合が悪そうだと聞くと、眉を寄せる]
アーベルさん、大丈夫、かな。
[2階6の部屋で邪魔にならないよう、壁に沿って立つ]
[ナターリエが見つけてきたというメモの話も、聞いてもよくわからずに、ただそこで音を聞いていた]
神様は、意地悪だわ。
[音や声でわかる。悪くなって行ってるのが。だから余計に、自分は音を立てないように、努めて、ぽつりと零す。
壁についた手に、茨の棘が刺さる。
痛いと思って触ると、滲んだ血はすぐに粉へと*変わった*]
―― 回想 2F部屋6で ――
[廊下で出会った人と。続々と部屋に集まってくる人と。
ぺこり、ぺこりと会釈して。
そうして体格や服装に視線を走らせる]
[皆、動きが引き連れていたり、庇っていたり、体の一部が変色していたり。ベアトリーチェの姿が見えると、その動きに特に違和感がないのだけを見て取って、彼女の隣へとそっと移動した]
べ ベア トリィーチェ。おとふり と、です。
だいじょ ぶで した、か?
さん階は。へにゃ、どーぶつ、います。
あぶ あぶな です。気を、つけてくださーね。
[話の合間を見つけ、膝をついてそう話しかけた。
エーリッヒが、リディの訃報に拳を打ち付けているのが見えた。小さな、守りたい少女。昨日感じた、ささやかな希望は、相次ぐ死の報告に掠れて見えない]
[せめて、彼女だけはなんとか、と。祈る。
くるりと視線をめぐらし、ノーラの姿を探した。
足を庇う様子に、痛ましそうに首を左右に振る]
…………か
[やがてカルメンと思しき女性が、男性と一緒に入ってきた。
顔を上げる。呼びかけようと、謝ろうとして、動きを止めた]
[彼女は今、どんな表情をしてるのだろう。
声をかけていいのか、迷う]
[そうしているうちに、誰かが話を始めて。
イレーネという女性の死や、その不審な点。
残されたパソコンやメモについての情報交換が始まる]
………ぴゅいとぅ……り
[その単語だけ繰り返して、ただ黙って聞いていた。
全ての話が終わるまで、少しぼうっとしたような目でたたずんでいる]
[なんでだろう。第一ボタンを早くしめなくてはいけない。
そんな気がする。指が動いても、なかなかそれはとまらない**]
[二人が亡くなり、生きているものたちも次第に蝕まれていく。
掌を見つめた。曲がったままの小指をそっとさすってぬくもりを灯す。
個人差はあるのだろうけれど、自分の進行は驚くほど緩慢。
それでも少しづつ増す負荷はわかるから、治っていっているわけではないのだろうけれど。]
[無言で見つめる。
ピアノの前で鍵盤に指を置いたまま、白い彫像と化した姿。
うっすらと浮かべた微笑は、綺麗だとすら思えた。
千切れた首輪は、いつか見た悲しい争いの痕跡に似ていて。]
…時間、ないものね。
無理も出来ないけど、留まっていても…
[その先の言葉は、口に出来なかった。]
[誰かが側に寄ってくる気配がした。同じ高さで聞こえてくる声は、オトフリートのもの。その言葉遣いに首を傾げ]
先生?
うまく喋れてないのは、病気のせい?
……私は大丈夫。先生は、大丈夫なの?
だってわかるもの。先生が苦しそうなの。
[手を伸ばす。オトフリートの腕にたどり着くと、さするように手に取る]
3階は危なかったけど、みんなが守ってくれたから大丈夫だったの。
見えないのって、不便ね。お手伝いも出来ないんだもの。
[気を紛らわせようと、わざと冗談めかして*口にした*]
屋上のヘリ…
[ぼんやりと天井を眺めて。
焦点を結ばぬ瞳。唇は意志とかけ離れた言葉を紡ぐ。]
全員が縋っては、翼は飛び立てない。
選択は賢明にして、非情。
[血の気が引く音が聞こえた。全身の震えが止まらない。
口元を覆おうと上げた手が冷たい。]
誰かを見殺し、に……
[糸の切れた操り人形のように、ふにゃりと崩れ落ちる。]
―2F 部屋6―
[>>183 壁を叩く音に驚き新緑を向ければ
エーリッヒの手に赤が滲むのが見えるだろう。]
…
[嘘が下手で感情を表に現せる彼を羨ましいと
不謹慎にも思ってしまう自分が嫌で
落ちてくる黒髪をそっと指先で耳にかけた。
足は糸を手繰り寄せるようにベアトリーチェの傍らへ。
オトフリートが少女に話しかけていて>>187
覚束ない足取りの自分を見ているとも気づけた。]
オトフリート…あなた――
[彼の呂律の回らなさに瞳を僅かに開いて彼を見た。
カルメンがダーヴィッドと戻って来た様子を気にするのなら
それ以上は言わず、暫くその場で休もうとするだろう。]
[僅かな休息。空には星が瞬いているだろう。
あの不思議な感覚が強く、強く、なっていく。
星詠みとしてではなく何か違うものが対内で蠢いているようだった。
手を胸元に添えておそらくこの部屋にいるだろう
1人の男性を―――深く、「視た」。
探すためではなくて、彼を信じるために、視る。]
……ぁ、…
[秋の夜空に輝くフォーマルハウトのような白い星のような光が一瞬ちかりと見えた気がした。]
(…良かった。)
[安堵の心と同時に、全身を襲う倦怠感。
いけないと思い、壁に手を付けたがそこは茨の壁。]
っ…!
全く…
[壁から手を離し、血が滲めば衣服で拭いそれを隠そうとした。
僅かだが疑ってはいたが、その理由はほんの些細な事。]
鏡が嫌いだなんて…言うから。
[は、と息を吐いたがぴりりと痛む左手に顔を歪めた。]
― 6の部屋 ―
[ふっと視線を感じた。振り返るとヘルムートの姿がある。
見守るようなその視線に、感情を露わにしてしまったことを恥じる。
――けれど、気にかけてもらえているというその事実に、
ほんの微か、胸の重みが去ったことは否めない。]
(治すことはできずとも、出来ることはあるだろう。
しっかりしろ……。)
[医者が自分で手に傷をつけてどうする。
自分を叱咤するように、軽く頬を叩いた。
背後で、オトフリートの声が聞こえている。
その呂律の回らなさが進んでいるようで、
少しだけ眉間に皺を寄せる。
大丈夫――微笑を作る。]
……ノーラさん。
[けれど、その笑みは視界に入った女性の様に、微かに陰った。]
[名を呼ばれて、ぎくりとしたように声の主の顔を探す。
見つけたのは微笑む顔。それを見返す顔に笑みはなく]
…平気よ。
[左手を庇うようにしながら言う。]
……平気じゃ、ないでしょう。
[困った人だな、と苦笑を浮かべる。
近づいて見たのは、彼女の首元のバンドの数値。
レベルが上がってしまっている。
今のところ最後に確認した、自分の数値よりも高い数字。]
僕は、剣もだけど、救急箱を常備しておくべきかな。
[庇われる左手。緑を向けて、伏せる。
自分も手に怪我をしたから――消毒液を自分で試してみようと。]
貴女も、甘えたいときは、甘えていいんですよ。
[怪我をしてない左手が、彼女の頭に伸びる。
その指先は、黒髪に触れたか否や。]
下に、救急箱取りに行ってきますね。
また、3階に向かうなら入用でしょうし。
[どちらにしても、何か誤魔化すように微笑んだ。]
[右足の色は見れば誰でも解る程の変色。足先の感覚は鈍いもの。
上がってしまったものは仕方ない。そう自分に言い聞かせて
伏せられた緑、頭に伸びる手は長い黒髪へと届く。]
…上手く…解らないから。
[甘え方とか、そういうものが、よく解らない。
戸惑うような顔で彼の笑みを見上げて]
待って。
[咄嗟に出た言葉と、彼の服の袖を掴もうと飛ばす手。]
連れて…行って。
[指先に残る髪の感覚。
それも病が進行すれば分からなくなるのだろう。
ふっと、そんなことを思ったから、誤魔化すような笑みが零れた。]
……多分、自分が我儘かもと思うことが、
甘えるってことかもしれませんね。
[分からないといった彼女に、そんな言葉を向ける。
下に向かおうと、踵を返した瞬間。
服の裾に感じる引っ張られるような感覚。]
おや。でも、足大丈夫ですか?
僕も、支えることはできても、抱えることはできないから。
[願い事が耳に届くと、
変色してしまった星詠の人の右足を刹那見る。
でも、それ以上『否』と言わないのは、
その願いが彼女の『甘え』の形なら、叶えようと思ったからか。]
―2F 6の部屋/少し前―
[水差しを持って戻る。紙コップで、水を配る]
水、遅くなったけれど。飲みなさい。
[ノーラに差し出すときはそんな事を謂った。
衣裳部屋での件を思い出したのだろう。
ハインリヒの咳はどうだったか。じ、っと見て]
酷くなってるじゃないの。
……嗽なり、潤すなりしなさいな。
[何故だか辛そうな顔をしてコップを渡す。
声のかれたようだったゲルダを探す。
見回して、誰かに行き先を聞けば3階へ向かって]
[我慢が――甘え。まだピンとこないといった顔をするけど
伸ばした手が、そうなのかもしれないと気付くのはまだ先。]
歩けないわけではないわ。
…抱える?
見てたのね。
[僅かに眉を下げてから、ぱ、と右手を離して重い足取りだけれど医務室に行くのなら彼の後を追うように赤を揺らしながらついていくだろう。]
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