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[複雑な響きの声に、何か思案するような素振りが掠めるも、それは一瞬で掻き消えて]
どういたしまして?
[笑みと共に向けられた言葉に、返す言葉はいつもと変わらない調子のもの]
ハハ、下っ端の頃なんてそんなもんでしょ。
俺は規模の大きい商船に乗ったことは無いけど。
海賊は…ね。商船だと特にリスク高いか。
[半ば無意識に左上腕を右手で押さえる。
スゥと息を吸って吐く。何かを追い出した]
ああ、そうしとくよ。
疾風の親父さん。
[ニ、と笑う。
先達に敬意を表しながら、負けないとでも言いたそうな顔]
あ、ええと。
ちゃんづけは、遠慮しますわぁ。
会ったばっかりですし。
[よどみなく言われて、言われた方が困った。
かも知れない。
やはり、男にちゃん付けは、抵抗がある。
悪意をこめているならまだしも]
ウチは、クロエです。
滞在してる間は、よろしゅうに。
[新たに置かれたデザートを一口入れるたびに、少女は嬉しそうに叫んだ]
すごい!すごい!
なんか魔法みたい!
こんな美味しいのが、あったんだ!
[口の周りをヨーグルトで汚しながらも、少女はそれを次から次へと口に入れる。
やがて、2杯目の容器が空になると、脱力したようにテーブルに突っ伏した]
あー、幸せー。
こんなのがあるなんて思わなかったー。
[チリンと鈴が鳴った]
[おいしいと叫ぶ少女に、すこしうらやましそうな顔をむけつつも、ねだるようなまねはせず。
ただかすめ聞こえたひとつの名前に焦げ茶の瞳をうごかした]
――……、
[ユリアン、と、聞こえた気がする。
そのせなかに視線が留まる]
ん、そうだよぉ。
気持ちの持ち方は、大事だかんね?
[その辺りは、母の世話になっている医者からの受け売りもあるのだが。
からりと笑うフーゴーに、こう言って*頷いて見せた*]
おめぇな、相手の都合も聞いてから頼むもんだぞ。
[半ば押し付ける形にも見えるユリアンの言動に嘆息しつつ突っ込みを入れて]
悪ぃなヴィリー、これでもうちのお得いさんなんだ。
一つ頼まれてやってくれねぇか。
[他の仕事もあるかもしれんが、とフォローを入れておく]
[その内、誰かに指摘されたか口の周りにヨーグルトがついていることを言われると、楽しみが残っていたとばかりに、笑みを浮かべながらペロペロと口の周りを舐めながら、ライヒアルトに顔を向けた]
ライヒアルトまた明日も此処に来ようね。
私、またこれ食べたい。
ううん。
明日だけじゃなく、明後日も、その次の日もずっとずっと食べたい。
だから、ずっとずっと此処に来ようね。
[笑みを浮かべながら話す内容に、さて*賛同が得られたかどうか*]
クロエにツィンね。
[ぶち猫に視線をやって、宜しくなーと。]
はいはい、アーベルに似てしっかりしてらあ。
[言った後にやって来た金髪の人には一歩引いて。
名前を聞くと、思わず声が漏れた]
…なんだ、人違いか。
声も良くヘルに似てる気がしたんだが。
[なーんだ、とすっかり安心した様子で顔を向けるとばちりと視線がぶつかった]
……えーっと…どうも。
[その顔にどうしても初めまして、とは出てこず。
嫌な予感に耐え切れずそそくさと顔を背ける]
ルーミィさんか。
[どこかカクカクしているクロエとヘルムートを見比べる。
名前からすれば女性だ。服装も間違いなく女性だ。
体つきは…海の女には体格の良い女性も少なくない。
年上らしいので、ちゃんづけに抵抗があるのも良く分かる]
横から失礼。俺はアーベル。
この島の住人じゃないけど、よろしく。
[誤解が解けるまではもう少しかかるよう*だった*]
まぁな。
俺も下っ端から始めて船持つまでになったんだしよ。
船を繰るにあたって避けられねぇリスクだからな。
[アーベルの仕草に問うまではしなかったが、その動きを視界には入れて。続く笑みと呼び掛けには、にや、と笑みを返した。
はしゃぎながらデザートを食べるリディに意識を向けると]
確かにこのデザートはここらのものじゃねぇが…そこまで感動するもんかね。
[やはり不思議そうな表情になる。リディが記憶喪失と言うことはまだ知らない。けれどおそらくライヒアルトは訊ねなければ教えてくれないのだろう]
あら、ざぁんねん。
おことわりされちゃったわぁ。
[笑みながらのそのことばにとげは無い]
これだけ人気のお店ですものねぇ。
ひきぬきは、村の人たちにおこられそうだわぁ。
[それはいやだとつぶやきながら、食事を口へとまたはこぶ]
[少女の口許に、まだしろいものが残っているのに気付いたなら、つんつんと指先で示しつつ]
ついてるわよぉ?
ええっと…、
[そうしていまさらながらに少女に名前をといかけた]
ここの連中が引き止めるかは分からねぇが、俺がまず離れる気がねぇからな。
[悪ぃな、と再度ヘルムートへ謝罪]
ああ、おめぇさんもデザートが必要なら言ってくれ。
酒があるなら要らねぇかも知れんが。
[リディに向けた視線には気付いて無かったが、念のためでそう言葉を向けて。フーゴーがデザートを勧めるのは女性だけと知っている者が居たら、ヘルムートの性別に気付いていないと言うことは明白だったことだろう]
[ヘル、と、もれきこえた名前に、面影は確心にかわる。
真正面から視線がかさなり、焦げ茶のひとみは冷えた笑みをうかべた]
えぇ。どうも。
[あえての薄い反応を返す。
けれど]
リアちゃんに、ベルちゃんねぇ?
[さらっとむかしからの呼び名を紛れこませたり]
ちゃんづけくらい、遠慮しなくたっていいのにー。
[遠慮の理由もなんとなくわかるから、無理強いをすることはないが]
クロエ…クーちゃんねぇ?
あ、あたくしからちゃんづけするのはいいのかしらぁ?
[かってにあだなを付ける時点で、どうかともおもうが]
やぁん、おじさまみたいないい男がひきとめられないなんて。
そんなこと、ぜったい無いと思うわぁん。
[いいまわしゆえに誤解されそうでもあるが、ちゃかすのではなく本心で。
謝罪にはかわいらしく――本人はそのつもりで――首をすくめてみせた]
きゃあっ。
あたくしももらっていいのぉ?
それはありがたくいただくわぁ。
おじさま、だいすき。
[女性にしてはひくい声が、このときばかりは、ややたかくはねあがった]
引き止めてもらえるならありがたいことなんだがな。
この島で必要とされてるってぇことだからよ。
[フーゴーもアーベル同様がたいの良い女性は良く見て来た。故に他ほど違和を感じないのだろう。跳ね上がる声には笑みを深めて]
食えるのが特定の奴だけとは決まってねぇんでな。
食いたいって言ってもらえりゃちゃんと用意もするぜ。
[そうしてヘルムートに対してもデザートを用意する。後でリッキーから性別に関して突っ込みが入るかも知れないが、それはもっと先の*話*]
[その呼び名に明らかに顔色が変わる。
視線が不安を確信に変える]
…俺、休むわ。
[無言のまま、そそくさと鍵を受け取り部屋へと向かう。
明日、もう一度会う必要があるだろう。知る必要がある。古い友人について頭を悩ませながら*]
だってぇ、目のまえであんなにおいしそうに食べられたら…。
我慢できなくてぇ。
[いいわけじみたことをつぶやきつつ、デザートを受け取る。
それを食べおえたなら、食事の代金を払って]
ごちそうさま、おいしかったわぁ。
あたくしは、別荘の方に帰るわねぇ?
[だれにともなく、そうつげて店外へ。
ハンカチをわすれていることに気付かずに…**]
─宿屋─
お…来たか。美味そう、だな。
[自分の席に運ばれた料理を見て、僅かに頬を緩ませて。
先に運ばれた酒を飲みながら食事をしていると、やけに中央の方が騒がしいのに気付いたが場所が場所だけに気にとめず。
幼い頃の事故の為隻眼になった故の視野の狭さも相まって幼馴染の姿も自分の方へと向かってくる男の姿も気付けずにいて、声をかけられるとようやく顔をあげた。]
ん…?あぁ、すまない。
何か用で…も?
……ふむ。
[いきなり用件に入られ目を白黒させつつも、仕事の話となると姿勢を正し]
…その。
物も見ない内から頼むのは…あまり、良い事とは思えない。
あぁ、いや、その。
仕事を、請けたくないわけじゃないんだ。
ただ…こいつは、あんたの商売道具か何か、だろう?
あんたが実際に見て、気に入ったもんを入れないと、こいつに悪いと思うんだ。
ここのおっさ…いや。
フーゴーが俺の細工品をいくつか持ってるから、それを見て、気に入ったらまた声をかけてくれ。
俺は大体夜はここに来るから、急ぎでなければその時に。
早く欲しいなら、海辺にあるアルダー工房ってとこに居るから、悪いがそこまで足を運んで欲しい。
[そういうと、ナイフと紙幣をそのままユリアンに返し。
悪いな、と微かに申し訳ない表情を見せて。]
[フーゴーから声をかけられると、首を横に振って]
いや。
今の時期はそう忙しくないから、仕事自体はいくらでも請けられるん、だが…
俺より腕のいい細工師は、いくらでも居るし。
やっぱり、金を貰うからには。
俺の細工を気に入ってもらえないと、申し訳ない。
すまん、な。
[そう言ってユリアンとフーゴーに頭を下げ、食事を済ませると代金を支払い]
…美味かった。ご馳走様。
それじゃ、また来る。
[そう言って酒場を後に*した*]
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